交通事故の損害賠償の相場はいくら?慰謝料の種類や計算方法を解説

交通事故の損害賠償の内容とは?種類や相場についても解説

交通事故の被害者になったとき、加害者から損害賠償を受け取れます。

しかしどんな種類があり、相場はいくらなのか、よくわからないですよね。知らないと請求しそびれてしまう賠償金が出てきたり、低い金額しか支払ってもらえなかったりする危険性があります。

本記事では、損害賠償の種類やそれぞれの相場、算定基準について実際の例を交えながら解説します。

交通事故の損害賠償とは

損害賠償とは、不法行為等により被害者に生じた損害を補償するものとして民法に定められている賠償金です。交通事故の場合、ケガの治療費や破損した車の修理代、慰謝料などが含まれます。

損害賠償は民法に定められている賠償金

民法709条では「故意または過失によって、他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。責任を金銭によって支払うものが損害賠償です。

道路交通法70条には安全運転義務として、「車両等の運転者は、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転しなければならない」とされています。交通事故で他人にケガをさせたり、物損を起こすことは上記義務の違反となります。

POINT
交通事故の被害者は、加害者に対して交通事故で負った損害(ケガの治療費、仕事を休んだ分の給料の補償、精神的な苦痛への補償など)を請求できます。

損害賠償は複数人に請求できる

複数の人間が関係する交通事故では、それぞれの加害者に損害賠償を請求できます。何人もがかかわって発生する損害は、民法第719条で定められている「共同不法行為」にあたり、「各自が連帯して賠償責任を負う」とされています。

交通事故の状況により、車の使用者だけでなく運行供用者などに慰謝料などにも保証を請求できます。運行供用者とは、車の運行を支配し、利益を得ている者を指します。バス会社やタクシー会社などが代表的です。

加害者A、加害者Bなど複数いる場合は、それぞれの加害者は他の加害者の存在に関係なく、起こった損害すべてに対する賠償責任を負います。

例えば損害賠償が200万円だとすると、AとBに100万円ずつ請求することもできますし、AまたはBだけに200万円全額を請求することもできます。

損害賠償金の種類

交通事故で実際に請求できる損害賠償には、いくつもの種類があります。相手方に請求できる賠償金の項目について詳しく説明していきます。

交通事故の損害賠償は4種類

交通事故で加害者に請求できる損害賠償は、大きく下記の4種類に分けられます。

積極損害

被害者が事故のために出費しなければならなくなったお金で、事故がなければ必要のなかった費用です。

ケガの「治療費」や「葬儀費用」から、病院へ通うための「交通費」、車椅子や義足、コルセットなどリハビリや介護に必要な「装具・器具の購入費」など付随する費用が含まれます。

消極損害

交通事故に遭ったことで得られなくなった経済的利益に対する賠償金です。

事故でケガをしたため会社を休まなければならなくなったり、家事ができなくなってしまったり、後遺障害が残ったことで仕事を続けられなくなったため発生した損害が含まれます。具体的には「休業損害」や「後遺障害逸失利益」などがこれに当たります。

精神的損害

交通事故による体のケガ以外に被害者や遺族が被った精神的な損害。

精神的損害に対する補償は慰謝料と呼ばれ、入院したことへの精神的苦痛に対する「入通院慰謝料」、後遺症が残ったことへの「後遺障害慰謝料」、被害者が死亡する事故に対して被害者自身の無念や残された遺族の悲しみに対する「死亡慰謝料」などがあります。

一般には「損害賠償 = 慰謝料」のように思われることもありますが、実際は、慰謝料は損害賠償の一部で、精神的苦痛に対するものをいいます。

物的損害

交通事故で発生した物損に対する補償です。事故による車両の修理代や破れた衣服・壊れた手荷物の代金、車を修理する間の代車費用などが含まれます。

それぞれの損害賠償ごとにどのような項目があるかを見ていきましょう。

治療費(積極損害)

交通事故で発生したケガにより病院に入通院したときにかかる費用です。診療費や薬代、手術代、応急手当費、検査費用、リハビリ費用などが含まれます。医師から完治または病状固定と診断されるまで請求でき、相手方が加入している保険から実費で支払われます。

治療費は事故により病院で治療を受けた分の費用はほぼ全額請求できます。しかし注意しなければならない点として、認められるのは医療行為として必要かつ適切と判断されるもののみになっていることです。

 温泉療法や漢方、整骨院での治療、鍼灸治療など医師の指示ではなく、自分の判断で行ったものについては支払われない場合があります。

また、相手方の保険会社が治療費の打ち切りを提案してくることがありますが、まだ治療が必要な状況であれば応じる必要はありません。

付添看護費(積極損害)

事故によるケガのため入通院の際に、付添看護が必要になったときの費用です。原則として医師から付添が必要と判断されたときに請求できます。

職業看護人の場合は一般的な費用の範囲内であれば全額実費で支払われ、家族や近親者に付き添ってもらった場合は1日当たりの金額が決められています。

交通費(積極損害)

ケガのため病院に入通院するときにかかる交通費です。基本的には全額実費での請求が可能ですが、治療費と同様に認められるのは必要性・妥当性があると判断されるものに限られます。

自家用車で通院した場合は、必要性・妥当性がある限り、駐車場代やガソリン代、高速料金なども請求可能です。しかし、注意が必要になるのが通院でタクシーを使用する場合です。タクシー代は骨折により電車やバスが利用できないなど、特別な事情や事由がない限りは認められないケースが多くなっています。

入院雑費(積極損害)

入院中に必要となったお金です。パジャマや寝具、ティッシュ、洗面用具、文房具といった日用品・消耗品、公衆電話に使用するテレホンカードや手紙用の切手代など通信費、新聞・雑誌やテレビカードを購入するための文化費などに分けられます。

金額に定額化がされており、入院1日当たり1100円〜1500円程度請求できる相場です。

器具・装具費(積極損害)

事故後、何らかの後遺症が残ってしまったときに必要となる車椅子や義足、義手、義眼、リハビリ用の器具などの費用です。

購入費やレンタル費用を実費で請求できますが、将来買い替えが必要になると見込まれる器具を計算に入れて、中間利息を差し引いた金額もプラスで請求できます。

将来介護費用(積極損害)

事故で障害が残るなど、将来的な介護に必要となる費用です。将来の介護費は多額になると考えられ、介護費用の金額が争われることが少なくありません。

POINT
交通事故では一度示談してしまうと損害賠償計算のやり直しはできません。介護費用の計算にあたっては、将来の出費も考慮に入れましょう。現実的な金額を注意深く計算する必要があります。

自宅改修費(積極損害)

後遺症が残ったためにバリアフリー化や手すりの設置など自宅の改修が必要になった場合の費用です。認められるのは介護に必要と判断できる部分のみです。利便性向上のためでは認めてもらえません。「ついでに自宅をリフォームしよう」というような考えはしないようにしましょう。

 必要以上の設備を設置した場合も全額請求できないケースがあります。

車両の改造費(積極損害)

事故による後遺症のため通常の運転ができず、車を改造しなければならなくなったときの費用。認められるのは必要なものだけで、不必要な改造や設備は全額請求が認められない可能性があります。

葬儀費用(積極損害)

事故によって、不幸にも被害者が死亡してしまった場合は葬儀にかかる費用を請求できます。

葬儀そのものの費用から、火葬・埋葬料金、読経・法名料、花代、お寺・僧侶へのお布施、食事代、仏壇などの購入費、遺族の交通費、四十九日法要費などが含まれます

通常は150万円が上限とされますが、さらに高額な請求が認められるケースもあります。

損害賠償にかかる費用(積極損害)

医師に診断書を書いてもらう費用や交通事故証明書、印鑑登録証明書を用意するための費用、成年後見人を選ぶための手数料など、損害賠償を請求するためにかかる費用です。

弁護士費用(積極損害)

加害者との示談交渉で弁護士に依頼したときの費用です。通常、弁護士に依頼する費用は被害者負担になりますが、裁判を行った場合には一部を加害者に請求できるケースがあります。

POINT
弁護士費用が支払われるのは、裁判に勝訴して相手方への支払い命令が出された場合に限られ、損害額の10%が相場です。示談や調停など裁判によらず解決したケースでは、弁護士費用はすべて被害者負担になります。

損害遅延金(積極損害)

金銭債務において、支払いが遅れたときに請求できるお金を「損害遅延金」といいます。交通事故では、事故が起きてすぐに損害賠償が支払われることはなく、支払いは加害者との示談が成立してからです。

事故から損害賠償支払いまでにタイムラグがあるため、この期間が加害者による支払い遅延状態と位置付けられ、損害遅延金を請求できることがあります。損害遅延金の請求は裁判所に訴えた場合に限られ、示談等の方法で支払われることはほぼありません。

休業損害(消極損害)

事故のため仕事を休まなければならなくなったことによる収入減少分の損害を加害者に請求できます。会社員の場合は直近3カ月の給与明細と休んだ期間により損害額が算出され、有給休暇を使って休んだ場合にも請求できます。

個人事業主の場合は1日当たりの収入から算出します。また、専業主婦の場合も「賃金センサス」言われる国の統計情報から平均賃金をもとに損害を計算可能で、失業中の場合でも近い将来就職する予定があれば請求できる可能性があります。

 労災保険から休業補填給付を受けたときや休業中も収入に変化がなかったときなど、損害が生じたといえない場合には請求できません。

後遺障害逸失利益(消極損害)

事故後に後遺症が残ってしまうと将来的に仕事などに影響が出て収入が減少してしまう可能性があり、この損害を補填する賠償金が「後遺障害逸失利益」です。

休業損害が治療中の収入減少を対象としているのに対し、後遺障害逸失利益は病状固定後の損害を補償対象としています。現在の収入をもとに計算され、給与所得のない専業主婦(主夫)でも請求できます。

また、子供や学生も将来就職していたら得られるはずだった収入の補償として請求可能です。

逸失利益はもとの収入が高いほど、後遺症が残る度合いが重いほど、年齢が若く将来働けた期間が長いほど高額になります。

死亡逸失利益(消極損害)

被害者が事故で死亡したとき、将来働いて得られるはずだった給与などの収入の補填として請求できる賠償金です。

現在の収入や死亡時から定年までに働ける期間によって算出され、収入が高く、年齢が若いほど相場は高額になります。専業主婦(主夫)や子供、高齢者、失業中など収入がない人でも、平均賃金などをもとに請求可能です。

入通院慰謝料(精神的損害)

傷害慰謝料とも呼ばれ、事故のよって病院へ入通院しなければならなくなったことへの精神的苦痛に対する慰謝料です。治療期間をもとに算出され、ケガが重く、入通院期間が長くなるほど高額になります。

しかし、重いケガでなければならないわけではありません。医療機関で治療を受ければ、捻挫や打撲、擦り傷程度の軽傷でも受け取れます。事故に遭った日に1日だけ病院に行った場合でも請求可能です。

後遺障害慰謝料(精神的損害)

事故で後遺症が残ってしまったことへの精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺症であればどんなものでも請求できるわけではなく、きちんと後遺障害等級を申請し認定を受ける必要があります。

後遺障害の認定
医師から後遺障害診断書を書いてもらい、「損害料率算出機構(自賠責損害調査事務所)」と呼ばれる専門機関に申請後、審査を受けます。
交通事故の後遺障害は1級を最高として14級までの等級に分かれており、後遺症の度合いが重くなるほど慰謝料も高額になります。

高次脳機能障害の等級認定には必要書類が多く手続きが複雑になります。個人で処理するより、弁護士に相談するのが早いでしょう。

死亡慰謝料(精神的損害)

事故で被害者が亡くなったときに請求できる慰謝料で、被害者本人に対するものと遺族に対するものの2種類があります。

被害者本人への慰謝料は事故によって「死に至らしめられた」ことに対する精神的苦痛への慰謝料です。本来なら、被害者自身に支払われるべきですが、すでに死亡しているため、代わりに遺族から選ばれた「相続人」が受け取ります。被害者本人への慰謝料は相続人の合意により自由に分配可能です。

遺族に対する慰謝料は「近しい人を失った」被害者遺族に対するものです。民法第711条では、他人の生命を侵害した者はその父親や母親、配偶者、子供にも損害を賠償しなければならないと定められています。

POINT
死亡慰謝料の対象になるのは、主に被害者の配偶者や子供、両親などです。しかし被害者と共に暮らした期間が長い場合は兄弟や孫、祖父母のほか、婚約者や内縁関係でも請求権が認められるケースがあります。

車両修理費 (物的損害)

事故で損傷した自動車の修理費用。請求範囲は事故による破損部分のみで、事故前からの傷や壊れていた箇所、不要な修理などの費用は対応してもらえません。

もし修理代が車両の時価額を上回る場合は「経済的全損」となります。残念ながら修理費は支払ってもらえませんが、車両の時価と買い替えにかかった金額を加えた金額を請求することになります。

代車使用料(物的損害)

事故で車が壊れてしまい、修理が終わるまでの間、代わりの車を用意しなければならなくなったときのレンタカー代などです。代車費用を支払ってもらうにいは、公共交通機関やタクシーの利用だけでは不十分と認められなければなりません。また代車のグレードは、事故で破損した車両と同等でなければなりません。

 代車の費用が認められるのは、修理や買い替えまでの必要な期間のみです。あまり長く借りていると全額請求できない可能性があります。

評価損(物的損害)

格落ち損」とも呼ばれ、交通事故で損傷した車が事故車になり、価値が下がってしまった分の損害を相手側に支払ってもらえます。

評価損は、車が修理不能になり性能的な低下を起こす技術的なものと、中古車市場での価格が下がってしまう取引上のものの2種類に分けられます。

年式の新しい車や中古車市場での価値が高い車ほど認められやすく、古い車や修理自体が少額で済むケースでは認められにくい傾向にあります。

休車損(物的損害)

営業車の場合、事故がなければ稼働によって得られたであろう利益を休車損として請求できます。認められるのは修理や買い替えに必要とされる期間のみで、代わりの車を保有していないことも条件になります。

その他の物的損害

事故との因果関係が認められる事案は損害賠償として請求可能です。事故車両の引き上げやレッカー移動にかかった費用、車に搭載していたカーナビやテレビが壊れた場合の修理費用、積み荷の損害、同乗していたペットがケガをしたときの動物病院の治療費などがあります。

損害賠償金の算定基準

交通事故における損害賠償の金額計算方法について解説します。交通事故では損害賠償の基準が3つあり、適用する計算方法で受け取れる金額が大きく変わることに注意してください。

交通事故の損害賠償算定基準は3種類

交通事故では、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判)基準」3つの損害賠償の計算方法があります。金額が高額になる弁護基準を使用するのがおすすめです。

自賠責基準

すべての車に加入が義務づけられている自賠責保険による慰謝料の算定基準です。交通事故に対する最低限の補償を目的としているため、受け取れるお金は3つの基準のなかで最も低額になっています。

自賠責保険には上限があります。損害賠償の金額が上限を上回ってしまうと、加害者が加入している任意保険から支払いを受けることになります。

任意保険基準

加害者が加入している自動車保険の算定基準で、保険会社により計算方法が異なります。計算方法は保険会社が自由に決めることができ、一般的に外部には非公開とされています。

自賠責基準よりは高額と言われますが、実際の相場に大きな違いはありません。また、保険会社はなるべく支払う保険金を安く済ませたいと考える傾向にあるため、相手側が提示する条件をそのまま受け入れてしまうと、低い金額で示談させられてしまう恐れもあります。

弁護士(裁判)基準

弁護士に依頼したときに適用される損害賠償の計算方法で、3つの基準のなかでは高い金額を受け取れる可能性が高い計算方法です。

弁護士基準の相場は、公益社団法人「日弁連交通事故相談センター」から発刊されている「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)や日弁連交通事故センター東京支部から刊行されている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)などをもとに計算されます。

民事裁判に訴えたときにも使われるため、裁判基準とも呼ばれますが、弁護士に依頼すれば裁判を起こさなくてもこちらの基準が適用されます。

自賠責基準と比べると受け取る金額が2倍~3倍になることもあり、弁護士基準こそ交通事故の被害者が本来受け取るべき適正な金額といえるでしょう。

POINT
交通事故の損害賠償はケガの治療や今後の生活に関わる大切なお金ですし、もらえる金額はなるべく高いほうが望ましいでしょう。
交通事故の被害に遭われた際は、損害賠償の算定に弁護士基準が適用されるよう、弁護士への依頼を検討してみるのがおすすめです。

損害賠償金の相場

交通事故の損害賠償金を計算する3つの方法で、相場にどれくらい違いが出るのかを比較してみましょう。

自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準では、治療日数や治療期間、後遺障害の重さなどの状況により慰謝料を計算する仕組みです。

ここでは慰謝料を例に、治療期間が3か月と6か月の場合、死亡事故の場合に分けて、実際に金額をみていきます。

治療期間3か月の場合

事故の怪我により、3か月医療機関に通院した場合の入通院慰謝料の目安です。

自賠責基準

自賠責基準では、1日あたり支払われる金額が4300円と決められていて、入院でも通院でも金額は変わりません。自賠責基準では、この金額をもとに以下の2通りの方法で計算を行い、金額の低いほうが実際にもらえる慰謝料になります。

①4300×通院期間
②4300×実通院日数×2

今回は治療期間3か月で1か月につき10日通院したものとして計算します。

①4300×30日×3か月=38万7000円
②4300×(通院10日×3か月)×2=25万8000円

となり、このうち金額の低いほう②の25万8000円が受け取る慰謝料になります。

任意保険基準

任意保険基準は各保険会社によって計算方法が異なるうえ、非公開とされています。実際のところ、どのような方法で算定されているのか正確には分かりません。そこで、以前にすべての保険会社で共通の基準として利用されていた「旧任意保険支払基準」を参考として相場を計算します。

任意保険基準では治療期間によって慰謝料が決まります。自賠責基準と異なり入院と通院で金額が違い、実通院日数は慰謝料に直接関係しません。

旧任意保険支払基準をもとにした入院および通院の慰謝料算定表

入院→
通院↓
0か月1か月2か月3か月4か月5か月6か月
0か月025.250.475.695.8113.4128.5
1か月12.637.86385.7104.6121134.8
2か月25.250.473.194.5112.2127.3141.1
3か月37.860.581.9102.1118.5133.6146.1
4か月47.969.389.5108.4124.8138.6151.1
5か月56.776.995.8114.7129.8143.6154.9
6か月64.383.2102.1119.7134.8147.4157.4

単位:万円

上記の表をみると、通院3か月の慰謝料は37万8000円となり、自賠責基準よりは高額になることがわかります。

弁護士基準

弁護士基準でも任意保険基準のように、慰謝料は治療期間によって決まり、独自の算定表を使用します。弁護士基準では、軽症用と重症用の2種類の算定表が用意されており、ケガの種類や度合いによってどちらを使うかが決まります。

弁護士基準軽症用算定表

入院→
通院↓
0か月1か月2か月3か月4か月5か月6か月
0か月0356692116135152
1か月195283106128145160
2か月356997118138153166
3か月5383109128146159172
4か月6795119136152165176
5か月79105127142158169180
6か月89113133148162173182

単位:万円

弁護士基準重傷用算定表

入院→
通院↓
0か月1か月2か月3か月4か月5か月6か月
0か月053101145184217244
1か月2877122162199228252
2か月5298139177210236260
3か月73115154188218244267
4か月90130165196226251273
5か月105141173204233257278
6か月116149181211239262282

単位:万円

今回は通院3か月ということで軽症用を使用しました。上記の表より弁護士基準での慰謝料は53万円となります。

3つの基準の中で弁護士基準が一番高額で、自賠責基準と比べると2倍以上の金額になっていることが分かります。

治療期間6か月の場合

治療期間が6か月で2か月入院・4か月通院したケースで、3つの基準で慰謝料がどれくらいになるかをみていきます。

自賠責基準

自賠責保険での1日あたりの支払い額は入院でも通院でも変わらないので、計算式は3か月の場合と同じになります。

通院期間も1か月につき10日として計算すると、
①4300×30日×6か月=77万4000円
②4300×(入院30日×2か月+通院10日×4か月)×2=86万円

となり、2つのうち金額の低い①の77万4000円が受け取る慰謝料になります。

任意保険基準

任意保険基準での慰謝料は上の表を参照して、89万5000円が目安になります。こちらでも自賠責基準よりは高額になっていますが、違いが大きいわけではありません。

弁護士基準

治療期間が6か月となりますので、重症用の算定表を用いて計算します。弁護士基準での慰謝料は165万円となり、自賠責基準の2倍以上で、他2つの基準よりも慰謝料額が一桁多くなります。

後遺障害が残った場合の慰謝料は?

もし入通院だけでケガの症状が完治せず、なんらかの後遺症が残ってしまった場合の慰謝料の相場もみておきましょう。

交通事故ではむちうちなどの軽傷でも後遺症は残りやすいので、慰謝料をもらえる可能性は高いです。

後遺障害慰謝料は認定される後遺障害の等級によりもらえる金額が決まっていて、こちらもそれぞれの基準ごとに慰謝料額が変わります。各等級での自賠責基準・弁護士基準の慰謝料目安は以下のようになっています。

任意保険基準については正確な金額が分からないのでここでは省略していますが、自賠責基準より数十万高い程度の相場と考えられます。

等級自賠責基準弁護士基準
1級(要介護)16502800
1級11502800
2級(要介護)12032370
2級9982370
3級8611990
4級7371670
5級6181400
6級5121180
7級4191000
8級331830
9級249690
10級190550
11級136420
12級94290
13級57180
14級32110

単位:万円

後遺障害が残った場合の慰謝料も、弁護士基準は自賠責基準を大きく上回っています。等級が上になれば、1000万円以上の差になることもあります。

死亡事故の場合

被害者が死亡した、死亡事故の慰謝料についてみていきます。

自賠責基準

自賠責基準では、被害者本人への慰謝料は400万円と決まっています。遺族への慰謝料は、慰謝料請求権者の人数によって変わり、被扶養者がいる場合はさらに1人あたり200万円がプラスされます。

請求権者遺族への慰謝料
1人550万円
2人650万円
3人750万円
被扶養者1人につき+200万円

例えば、夫と妻、子供の3人家族で夫が事故で亡くなった場合の慰謝料は、請求権者は妻と子の2人、被扶養者は子供1人とすると、
400万円(本人への慰謝料)+650万円(遺族への慰謝料)+200万円(非扶養者)=1250万円
となります。

任意保険基準

死亡慰謝料の場合も任意保険基準での算定方法は非公開とされているため正確なところは分かりません。ただ、上記の例のように一家の大黒柱である人物が死亡した場合の慰謝料相場は1500万~2000万円程度とされています。

弁護士基準

弁護士基準では本人への慰謝料と遺族への慰謝料を合計した金額が決められており、慰謝料の目安は以下のようになります。

弁護士基準での死亡慰謝料

一家の支柱である場合2800万円
一家の支柱に準ずる者(母親、配偶者)2400万~2700万円
その他(独身の男女、子供、高齢者など)2000万~2500万円

上記の例のように3人家族で夫が死亡した場合の慰謝料は2800万円となり、自賠責基準の2倍以上の金額になっています。

交通事故の慰謝料は、弁護士基準を適用することで大幅な増額が期待できるでしょう。

また休業損害や付添費、入院雑費など他の項目に関しても、自賠責基準と弁護士基準で金額は異なります。交通事故の損害賠償請求では弁護士に依頼するほうが、全般的に受け取る賠償金の相場は高額になります。

損害賠償請求には時効がある

交通事故の損害賠償請求で注意しなければならないのが時効です。事故から一定の期間が経過すると時効が成立して請求権が失われてしまい、損害賠償を受け取れなくなってしまいます。

 後悔しないよう、どれくらいの期間で時効が成立するかをきちんと把握しておきましょう。できるだけ早めに行動を起こすのが重要です。

交通事故の損害賠償請求権の時効はどれくらい?

交通事故における損害賠償の時効は、基本的に被害者が事故の加害者および損害を知った翌日から3年または5年です。

物損の場合は3年(民法724条)、人身事故では民法改正のため、2020年(令和2年)4月1日以降については時効が5年(民法724条の2)となっています。加害者を知ったときとなっているため、ひき逃げのように加害者が分からない事故など、発生後にはすぐに時効がカウントされないこともあります。

死亡事故では、被害者が死亡した時点で損害が明らかになります。ひき逃げなどでなければ、亡くなった日の翌日から時効がスタートします。

請求権を行使しないと時効になることも

民法724条2号では、不法行為の時から20年間権利を行使しないときは、時効が成立して損害賠償請求権が消滅すると定められています。

ひき逃げのように加害者が分からない事故だからといって、時効がないわけではありません。事故から20年経過すると時効になってしまいます。

POINT
交通事故の損害賠償請求では、放っておいて時効になってしまったということのないよう、なるべく早く行動を起こすことが大切です。もし自分一人での対応が難しいと感じるのなら、弁護士への依頼も検討してみてください。

交通事故の損賠賠償は弁護士に相談しよう

交通事故の被害者になり何らかの損害を被ったときには、民法に基づき不法行為に対する損害賠償を請求できます。交通事故の損害賠償には、積極損害や消極損害、精神的損害などの項目があって算定基準により受け取る金額が変わり、弁護士基準が最も高額な示談金を受け取れます。

交通事故の損害賠償請求には時効があり、早めの行動が求められます。またさまざまな種類があるため、請求漏れに注意する必要もあります。法律についての知識がないと適正に対応するのは難しいでしょう。慰謝料などの請求に不安があれば、弁護士に相談するのがおすすめです。交通事故の案件に強い弁護士であれば、賠償金の増額も期待できます。

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