YouTube上の誹謗中傷の削除は、ガイドライン違反と運営が認めれば可能です。しかし、通報しても動画やコメントが削除されない可能性はあります。
YouTubeは60以上の多言語に対応しており、世界中に多くのユーザーを持っている動画配信サイトです。
ユーザーは投稿された動画を自由に閲覧できます。そして、動画を評価する、コメントを残すといった行為ができます。また、動画公開で得られる広告収入システムで生計を立てる「ユーチューバー」が増えたことでも注目を集めています。
注目され再生回数を稼ぎたいため過激な内容の動画は増加傾向にあり、誹謗中傷など悪質な動画が存在しているのが現状です。


2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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この記事の目次
誹謗中傷の事例を紹介
YouTubeの動画やコメントによる誹謗中傷の事例を紹介します。
YouTubeには他者を傷つける動画投稿やコメントが存在しています。世界規模で人気が高くたくさんの人が視聴しており、誹謗中傷を含む動画やコメントが残っている状況は風評被害などに繋がりやすいため早めの対処が必要です。

迷惑系ユーチューバーによる誹謗中傷の事例
2021年10月25日ユーチューバー「よりひと」氏が株式会社VAZに所属する女性ユーチューバーの名誉を毀損した疑いで逮捕されました。よりひと氏は芸能人や人気ユーチューバーの不祥事や疑惑に対し、過激な内容の発言をする「迷惑系ユーチューバー」として注目を得ていました。
よりひと氏は自身のYouTubeチャンネルでVAZに所属する女性ユーチューバー・桜さんが小学生の時にイジメをしていたという内容の動画を公開し、VAZ側は動画の削除を求めていました。
小学生ユーチューバーが誹謗中傷された事例
小学生ユーチューバーとして活動していた「ゆたぼん」氏は、誹謗中傷に対し法的措置を進めていると自身の「少年革命家ゆたぼんチャンネル」で明かしました。
ゆたぼん氏は弁護士の福永活也氏に相談し、2020年7月24日に公開した「誹謗中傷アンチをガチで訴えた!」というタイトルの動画で発信者を訴える手順を福永氏に説明してもらっています。
福永氏は2020年7月17日に「【少年革命家】ゆたぼんの誹謗中傷と戦う」というタイトルの動画を公開し、ゆたぼん氏の父が「死ね」「殺す」といった脅迫めいたコメントが寄せられていることを明かしました。
その後、発信者情報開示請求で悪質な書き込みをした相手に連絡を取り、20人近くから謝罪があったと発表しました。また、謝罪した人の約半数から賠償金を得たと明かしています。
パチスロ系ユーチューバーが誹謗中傷された事例
パチスロ系ユーチューバーの「桜鷹虎」氏が同じくユーチューバーとして活動している「シバター」氏に対し、刑事告訴と損害賠償請求をした事例です。
シバター氏は物申す系ユーチューバーとして炎上商法で活躍しており、桜鷹虎氏が新型コロナウイルス状況下での自粛期間中のパチンコの動画をアップしたことを自身の動画で痛烈に批判しました。
桜鷹虎氏は上記のシバター氏の投稿内容・発言によりなりすましや殺害予告などの嫌がらせを受けたため、シバター氏に対し名誉毀損や業務妨害を理由に民事訴訟と刑事告訴を行いました。
YouTubeの削除基準
YouTubeでは全てのユーザーが安心してコンテンツを利用できるように、コミュニティガイドライン、プライバシーガイドラインといった不適切な動画やコメントを削除するためのルールを設けています。
コミュニティガイドライン
YouTubeの「コミュニティガイドライン」では、安全で活気のあるコミュニティを維持するため禁止行為に関するルールを定めています。たとえば、ポルノ、暴力行為、嫌がらせ、悪意のある表現などは禁止行為に当てはまります。
コミュニティガイドラインに違反する行為が発覚すると運営から警告が行われます。違反警告を90日間で3回(悪質な嫌がらせ行為は1回)、または、スパムアカウントなど違反行為のみを目的としたチャンネルと判断されると、チャンネル停止の措置を受けます。停止措置を受けたチャンネルの動画はすべて削除されることになります。
プライバシーガイドライン
「YouTubeプライバシーガイドライン」はユーザーの個人情報保護を目的とする規約です。
動画コンテンツの中で個人の顔写真、音声、フルネーム、政府発行の個人番号、銀行口座番号、住所、メールアドレスなどの個人情報が掲載されており、個人をはっきりと特定できる内容は削除対象になります。
YouTubeの不適切動画を削除する方法
動画の内容がYouTubeのコミュニティガイドラインに反していれば、運営に通報し削除申請ができます。特に誹謗中傷など悪質な内容を放置すると、被害が拡大するリスクがあるため注意してください。
動画ページ内から報告する
規約に反している動画を見つけたときは動画ページ内から運営に通報できます。
動画プレーヤーの下部(スマホ・タブレットでは上部)にある「…」のアイコンをクリックします。
次に、プルダウンメニューにある「報告」を選択すると報告理由が一覧になって表示されまるので、適切な選択肢をチェックして運営に通報します。24時間体制で報告された動画をチェックしているYouTubeのスタッフが規約に違反しているかを判断します。

プライバシー侵害の申立てをする
自分の個人情報や自身が写っているYouTube動画が勝手にアップされているケースでは、プライバシー侵害を理由として削除を依頼できます。
専用フォームから「プライバシー侵害の申立て」を送信すると運営に確認してもらえます。
また、投稿者に直接報告し削除してもらう方法があります。投稿者が過ちに気づき削除すれば、早期に解決できる可能性はあります。
YouTubeのコメントを削除する方法
YouTube上にある誹謗中傷のような不適切なコメントは、各コメントの右端にある「⁝」ボタンから運営に通報し削除します。運営がチェックし不適切な書き込みと判断されれば削除してもらえます。
YouTubeのコミュニティガイドラインはすべての利用者に対し、他者への誹謗中傷、名誉毀損などを目的とした嫌がらせ発言を禁止しています。全てのユーザーに向けられた規約ですので、投稿者だけでなく、動画にコメントする者も規約に従う必要があります。
YouTubeのチャンネルを削除する方法
YouTubeでは個人の意思で他人のアカウント削除は不可能です。
ユーザーが誹謗中傷しているなどコミュニティガイドラインに違反している旨を通報してもチャンネルの削除は難しいのですが、違法なコンテンツを大量に公開している、他者を攻撃するために作成されているなど悪質性が高ければ、運営の裁量でチャンネルごと削除されるケースはあります。
また、弁護士に依頼すれば法的に訴えるとアカウントの削除請求ができます。ただ、YouTubeはアメリカのGoogle社が運営しています。海外法人を相手にした裁判は、手続きに多くの時間がかかってしまう点に注意しましょう。
YouTubeの動画やコメントを削除できないときの対処法
YouTubeに削除申請が認められなかった時は法的な手段を考えます。
YouTubeの投稿者や運営に通報しても、すべての動画やコメントが削除される保証はありません。しかし、明確な誹謗中傷など権利侵害があるなら、投稿者を特定し訴訟を提起しましょう。
動画やコメントの投稿者を特定する
誹謗中傷の被害者は投稿者に精神的苦痛への慰謝料や発生した損害に対する賠償請求が出来ます。
ただ、YouTubeは匿名での利用が可能です。実名のアカウントでなければ、投稿者の身元を特定して訴える必要があります。
投稿者の氏名や住所などの個人情報を割り出すには、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)で規定されている「発信者情報開示請求」という制度を利用します。
発信者情報開示請求は2回の裁判手続きが発生します。
最初にYouTubeに対し訴訟を提起し、投稿のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。
次に、入手したIPアドレスから投稿者が利用している携帯キャリアや接続プロバイダを特定します。そして、判明したプロバイダに情報開示の裁判を起こし、契約者の個人情報の開示を求めます。
発信者情報開示請求で投稿者を特定するには、およそ半年から1年程度かかります。さらに、投稿者を特定するために必要なIPアドレス・タイムスタンプの情報は、投稿から3か月程度しか保管されないのが現状です。そのため、情報が消去されないよう保存手続きが必要になります。発信者情報開示請求は時間との勝負になります。
投稿主の法的責任を問う
発信者情報開示請求で誹謗中傷の犯人を特定できれば、民事裁判や刑事裁判で犯人に法的な責任を問うことができます。
通常は民事裁判で犯人に損害賠償を請求しますが、誹謗中傷が名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪など犯罪に当たる可能性があるときは、警察に被害届を提出し刑事責任を追及できます。

まとめ
YouTubeの悪質な動画やコメントによる誹謗中傷は、ガイドライン違反だと通報することで削除が可能です。
YouTubeは世界中で利用されている動画共有サイトであり、動画やコメントの誹謗中傷は不特定多数の目に触れることになります。悪口や事実ではない内容は、風評被害が拡大しないうちに対策を始めましょう。
もし、申請しても削除されなかったときや犯人に民事や刑事の法律上の責任を問わせたいなら訴訟が必要になります。正しくスムーズに手続きを進めるなら、弁護士のアドバイスを受けながら対策するのが良いでしょう。
初回の相談料は無料、着手金は無料といったサービスを実施している弁護士事務所なら、費用を気にせずに相談できます。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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