交通事故の示談交渉は行政書士に依頼するべき?それとも弁護士に相談?

交通事故の示談交渉は行政書士に依頼するべき?それとも弁護士に相談?

行政書士弁護士では、職務範囲に大きな違いがあります。

本記事では、行政書士と弁護士の仕事内容の違いについて説明します。また、交通事故で行政書士と弁護士ができること・できないことについても解説するので、気になった方は参考にしてください。

行政書士と弁護士の違いとは

行政書士と弁護士の違いを知らない方は多いのではないでしょうか。行政書士と弁護士はどちらも法律問題に携わる職業ですが、仕事内容は全く異なります。まずはじめに、行政書士と弁護士の違いについて解説します。

行政書士について

行政書士は、「行政書士法」に基づいて国家資格を得た者が就任できる職種です。行政機関に提出する書類を作成するのが主な仕事内容であり、国民と行政の橋渡しをする存在といえます。

行政書士の仕事は大きく分けて以下の3つに分類されます。

1官公署に提出する書類の作成

官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、警察署など)に提出する書類の作成業務を担います。そのほとんどは許認可に関する書類であり、中には行政書士にしかできない「独占業務」も数多くあります。

許認可に関する書類の例
建設業を始める際に提出する「建設業許可書」などがあります。また、「消費貸借契約書」や「遺産分割協議書」などの権利義務に関する書類や、「取締役会議事録」などの事実証明に関する書類の作成もおこないます。
2手続きの代理

書類を作成したあとは、行政書士が代理人として官公署に書類を提出します。また、許認可に関する聴聞または弁明、その他の意見陳述のための手続きも代理可能です。

行政庁の判断に不服があるときは、許認可に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求などの不服申し立て手続きについても代理してもらえます。

3書類作成に関する相談

行政書士は、行政書士が作成できる書類に作成に関する相談に応じることができます。「行政書士が作成できる書類」とは、官公署に提出する書類と権利義務・事実証明に関する書類を指します。

交通事故において、内容証明郵便や示談書などの書類を代わりに作成してくれるのは、行政書士と弁護士だけです。ただし、弁護士の主な仕事は、示談交渉や裁判に介入してトラブルを解決することなので、その分費用も高額になります。

そのため、文書作成のみを依頼する場合は、行政書士に依頼した方が費用を抑えることができます。

弁護士について

弁護士は法律のエキスパートであり、司法試験に合格し、弁護士資格を得た者だけが就任できます。では、弁護士の仕事はどのようなものがあるでしょうか。詳しく見ていきましょう。

1裁判代理

依頼人の訴訟代理人として、法廷で立証活動をおこないます。民事裁判では、交通事故だけでなく、金銭トラブル、離婚、相続問題など、幅広い分野で依頼人の代わりに主張をおこないます。刑事裁判では、検察官の起訴後、被告人の代理人として無罪や刑罰の軽減を訴えます。

2示談交渉の代理

「示談」とは、当事者同士の話し合いによって紛争を解決することです。刑事事件や交通事故で利用されることが多く、事件の被害者と加害者は、裁判を利用することなく、自主的に損害賠償の金額などを取り決めます。

示談交渉は、自分だけで進められますが、弁護士に依頼することも可能です。交渉のプロである弁護士に代理してもらうことで、交渉を有利に進めることができます。また、加害者側との連絡を全て弁護士に任せられるため、精神的なストレスからも解放されるでしょう。

3法律文書の作成

法律にかかわる紛争に巻き込まれると、法律文書を作成しなければならない可能性があります。弁護士に依頼すれば、内容証明郵便や示談書など、依頼人が記入するべき法律文書を代わりに作成してくれます。

また、交通事故で後遺障害が残ったケースでは、医師が作成した診断書の内容を確認してもらうこともできます。

4法律相談

依頼者から法律上のトラブルで相談を受けたとき、弁護士が法的観点からわかりやすくアドバイスしてくれます。

交通事故にあったときは、相手方の保険会社が提示してきた損害賠償の費目が正しいか確認してもらえます。また、適正な慰謝料を受け取るために、正しい通院方法などについても教えてくれます。

POINT
交通事故についても、依頼人に代わって示談交渉や裁判代理などに介入し、トラブルを解決してくれます。行政書士と比べると費用は高くなってしまいますが、弁護士に依頼した方が多くの手続きを引き受けてくれます。

交通事故で行政書士と弁護士ができること・できないこと

行政書士と弁護士では職務権限の範囲に違いがあります。交通事故で行政書士と弁護士ができること・できないことを表にまとめましたので、参考にしてください。

 行政書士弁護士
示談交渉×
裁判代理×
ADR×
自賠責保険への請求
相談

表からわかるように、弁護士は全ての法律事務を扱えますが、行政書士にはさまざまな制限があります。交通事故において、行政書士にはできないことがいくつかありますが、弁護士には制限がないことを知っておいてください。

ここからは、表の各項目について詳しく解説します。

示談交渉

「示談交渉」とは、交通事故の当事者が、損害賠償の金額、すなわち示談金額を決定するための話し合いです。弁護士は、弁護士法第3条により、すべての法律に関する事務をおこなうことが認められています。したがって、弁護士は、被害者に代わって示談交渉に参加することも可能です。

一方で、行政書士は示談交渉を代理することはできません。なぜなら、弁護士法72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、弁護士のみに認められている法律行為をおこなうのを禁じているからです。

 弁護士法72条が禁止している行為は「非弁行為」といい、弁護士でない者がこれをおこなうと「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に科せられます。

裁判代理

示談交渉で当事者双方が合意に至らなかった場合、民事裁判を提起することで紛争の解決を目指します。このとき、交通事故の当事者は、本人の意思によって訴訟代理人を選任できます。依頼を受けて訴訟活動をおこなう弁護士は訴訟代理人にあたるため、弁護士は裁判代理が認められます。

一方で、行政書士による裁判代理は、弁護士法が禁止する非弁行為にあたります。したがって、行政書士は本人に代わって裁判を代理することはできません。

ADR

「ADR(Alternative Dispute Resolution)」とは、裁判外で、第三者が間に入ることで紛争を解決する手法です。日本語では、「代替的紛争解決手続き」や「裁判外紛争解決手続」と訳されます。

ADRには、大きく分けて「あっ旋」「調停」「仲裁」があります。ここからは、それぞれの内容について簡単に説明します。

あっ旋

ADR機関のあっ旋人が当事者の間に入り、当事者たちの自主的な紛争の解決を促す方法です。あっ旋人が解決案を提示する場合がありますが、法的な拘束力はなく、あっ旋人による提案を拒否することができます。

調停

3人の調停委員による合議を開催し、委員会が紛争解決に向けて働きかける手法です。あっ旋と同様に、当事者たちは調停委員による解決案を拒否することもできます。

仲裁

裁判を受ける権利を放棄し、仲裁委員に紛争解決の判断を委ねる手法です。仲裁判断には、裁判と同様の効力が生じます。

POINT
ADRは、弁護士に代理・同行してもらうことができます。一方で、行政書士はADRの代理権を有していません。弁護士に依頼しない場合は、一人でADRに参加することになります。

自賠責保険への請求

交通事故の被害者は、自賠責保険に保険金を請求できます。自賠責保険とは、原付を含む車両を所有する者に加入が義務付けられている強制保険であり、交通事故の被害者救済を目的としています。

交通事故において、自賠責保険への請求方法には「加害者請求」と「被害者請求」の2種類あります。

加害者請求

加害者又は加害者が加入する任意保険会社が自賠責保険に請求する方法です。保険金を支払うのは加害者側の保険会社になるため、本来は加害者請求によって保険金が支給されることになります。

加害者請求では、加害者側の任意保険会社が書類を用意してくれるため、被害者に手間や面倒がかかりません。ただし、加害者側に手続きを任せる以上、手続きが不透明になるといったデメリットもあります。

被害者請求

事故の被害者が、加害者側の自賠責保険に直接請求する方法です。本来は加害者請求によって自賠責保険に保険金を請求しますが、加害者が任意保険に入っていないケースなどでは、被害者請求を利用した方がいい場合があります。

被害者請求では、被害者自身が必要書類を収集・提出しなければなりません。一方で、自らが提出書類の内容を確認できるため、手続きの透明性が確保されます。

POINT
このように、被害者請求によって自賠責保険に請求する場合、提出書類を被害者本人で作成する必要があります。ですが、行政書士や弁護士に依頼すれば、これらの書類の作成を任せることができます。なお、行政書士は、被害者の代理人として、自賠責保険に被害者請求することはできません。

相談

行政書士は、行政書士が作成できる書類に関する書類についての相談に応じることができます。交通事故にあった際には、後遺障害等級認定の申請書や示談書に関する相談を受けることが可能です。

反対に、行政書士が作成できない書類や、その他の法律に関する相談に応じることはできません。例えば、行政書士が、示談交渉の進め方や訴訟についてのアドバイスをすると、弁護士法の「非弁行為」に該当するため、法律違反となります。

弁護士であれば、全ての法律問題に対応できるため、どのような内容でも相談することが可能です。書類作成に関するアドバイスだけでなく、示談交渉の流れや獲得できる賠償金の見積もりなどの相談にも応じてくれます。

また、弁護士は、行政書士と比べて法律や交通事故への理解が深く、依頼者がわからないことを詳しく教えてくれます。そのため、交通事故においては、行政書士よりも弁護士に相談するのをおすすめします。

交通事故で行政書士に依頼してOKなことは?

行政書士は「代書屋」とも呼ばれる職業なので、書類作成が苦手な方には心強い存在といえます。交通事故においても、行政書士に面倒な書類の作成を依頼することができます。

では、交通事故にあった際に、行政書士に作成を依頼できる書類はどのようなものでしょうか。交通事故で必要となる書類を一部紹介します。

内容証明郵便

どのような内容の文書を、誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明してくれる文書です。

相手方が任意保険に入っていない場合などでは、連絡を入れても無視されるケースがあります。このとき、内容証明郵便を送ることで、「郵送物なんて送られてきてない」としらを切られるのを防ぐことができます。

保険会社に送付する各種書類

自賠責保険に被害者請求するときは、被害者本人が必要書類を作成しなければなりません。

具体的には、「支払請求書兼支払指図書」「事故発生状況報告書」「診断書・診断報酬明細書」などの書類を用意する必要があります。行政書士に依頼すれば、これらの書類を代わりに作成してもらうことができます。

後遺障害等級認定の申請書類

交通事故で後遺障害が残った場合、審査機関から後遺障害等級の認定を受けることで、加害者に後遺障害慰謝料などを請求できます。

後遺障害慰謝料の金額は等級によって異なるため、適切な等級が認定されることが非常に重要です。しかし、等級認定の申請をする際には、後遺障害の存在を裏付ける証拠書類を収集・作成しなければなりません。

行政書士は、書類作成や自賠責保険の手続きに詳しいので、依頼者にあった等級の認定がなされるようにサポートしてくれます。

このように、交通事故に関する書類の作成で困っている方は、行政書士に相談するのも一つの手です。文書作成に関することであれば、その範囲でアドバイスを受けても弁護士法違反にはなりません。

ただし、行政書士の職務範囲には制限があるため、示談交渉や裁判代理を依頼できない点には注意しましょう。

交通事故で弁護士に依頼してOKなことは?

弁護士であれば、交通事故にかかわる全てのトラブルを依頼可能です。特に、示談交渉や裁判代理などは、行政書士では担当できないため、はじめから弁護士に依頼した方が二度手間にならなくて済みます。

また、弁護士に依頼すると、慰謝料の金額を増額させることができます。これは、相手方の保険会社と弁護士では、慰謝料の計算方法が異なるからです。

保険会社が用いる慰謝料の計算基準は「任意保険基準」と呼ばれますが、この基準で算出した金額は、裁判で認められる相場を大きく下回ります。一方で、弁護士が用いる「弁護士基準」は、過去の判例を基に設定された慰謝料の計算基準であり、任意保険基準の金額と比較すると倍以上になることもあります。

POINT
このように、交通事故では弁護士に依頼した方がメリットが多いため、行政書士ではなく弁護士に依頼するほうが安心です。行政書士とは違い、弁護士には職務範囲に制限がありませんので、何かあれば遠慮なく弁護士に相談するようにしてください。

まとめ

行政書士は文書作成の専門家ですが、職務範囲の都合上、取り扱えない業務もあります。特に、交通事故の分野では、示談交渉や裁判の代理権が認められていないため、行政書士に依頼しても断られるおそれがあります。

この点、弁護士ならば、交通事故に関連する全ての手続きを一任できます。また、弁護士に依頼すれば、示談交渉で慰謝料の金額を増額してくれます。このように、交通事故では弁護士に相談するメリットの方が大きいため、行政書士よりも弁護士に相談するのがおすすめです。

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