交通事故で弁護士に依頼する際にはメリット・デメリットがあります。しかし、デメリットがあっても弁護士に依頼するほうがいいケースもあります。

執筆・監修:豊川祐行
2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あかつき法律事務所」を設立。 あまた法律事務所へのお問い合わせはこちら
この記事の目次
交通事故で弁護士に依頼するデメリット

弁護士へ依頼すれば、ストレスの大きい示談交渉の手続きを一任できるだけでなく、受け取れる慰謝料の大幅な増額が見込めます。その一方で、状況によっては注意すべきデメリットもいくつか存在します。まずは、あらかじめ押さえておきたいデメリットの側面から見ていきましょう。
依頼には費用がかかる
一つ目のデメリットは、当然ながら弁護士費用が発生するという点です。
示談交渉の代理人として弁護士を立てる場合、専門的なサポートを受けるための対価が必要になります。一般的に「弁護士費用」と呼ばれ、主に契約時に支払う「着手金」と、解決後に支払う「報酬金」で構成されています。それぞれの特徴は次の通りです。
法律トラブルの解決に向けて、弁護士が正式に業務を開始する段階で支払う初期費用です。この費用は「事件の着手」に対する対価であるため、万が一希望通りの結果が得られなかった、あるいは解決が難しかった場合でも、原則として返還されません。
無事に示談が成立するなど、依頼した案件が解決に導かれた際に支払う費用です。裁判で全面敗訴を喫するなど、成果が全く得られなかった場合には発生しません。なお、一部のみの要求が認められたケースなど、成功の度合い(獲得できた賠償金の額)に応じて金額が変動するのが一般的です。
弁護士に依頼する際は、こうした費用の負担が必要です。そのため、弁護士の交渉によって慰謝料が上乗せされたとしても、その増額分を弁護士費用が上回ってしまった場合、手元に残るお金が実質的に減ってしまう(費用倒れ)リスクがあります。

依頼先の選定が難しい
二つ目のデメリットは、どの弁護士に任せるべきか見極めるのが難しい点です。
医師に専門科目があるように、弁護士にも得意・不得意とする分野があります。普段は交通事故を扱っていない弁護士に相談しても、的確な対応が難しく依頼を断られてしまうことがあります。また、最終的な慰謝料の着地点は弁護士自身の交渉スキルや知識量に大きく左右されます。実績の乏しい事務所を選んでしまうと、保険会社の手慣れた交渉に太刀打ちできず、十分な増額を引き出せないまま終わってしまう可能性もあります。
弁護士を変更したいときに費用と手間がかかる
三つ目のデメリットは、途中で弁護士を変更しようとすると、多大な労力と追加費用がかかる点です。
弁護士との契約は法律上の「委任契約」に該当します。この契約は依頼者の意思で原則としていつでも解約できるため、「対応が不誠実」「交通事故の知識が足りないように感じる」といった不満があれば、途中で解任して別の弁護士に変えること自体は可能です。
しかし、一度支払った着手金は返還されないのが原則であるため、新しい弁護士に依頼し直す際は再度着手金を用意しなければなりません。また、新しい相談先をゼロから探し、事故の経緯を説明し直すのにも多くの時間と労力を消費してしまいます。

デメリットがあっても弁護士に依頼すべきケース

ここまで見てきたように、弁護士への依頼には費用面のデメリットがつきまといます。しかし、そうしたコストを考慮しても、弁護士を立てたほうが圧倒的に有利になり、結果として得をするケースが多々あります。具体的にどのようなケースで依頼を急ぐべきか、詳しく解説します。
事故による被害の程度が大きいケース
事故による怪我の程度が重く、発生した実害や損害額が大きいケースでは、費用がかかっても弁護士に依頼するべきと言えます。被害が大きい事案ほど、保険会社が提示する金額と本来もらえるべき法的な適正額との間に、大きな乖離(ひらき)が生じるためです。弁護士が介入することで上乗せされる金額が、弁護士費用をはるかに上回る可能性が高く、金銭的なメリットが非常に大きくなります。
高額な慰謝料の請求が見込まれ、弁護士の介入効果が特に高くなる具体的な事例は以下の通りです。
- 怪我の治療のために、入院や通院が3ヶ月以上にわたって長期化している
- 適切なリハビリを行っても完治せず、身体や精神に後遺症が残ってしまった
- 非常に悲惨な事故であり、被害者の方がお亡くなりになられた
こうした深刻な状況にある場合は、弁護士が本来の「裁判基準」で交渉を行うことで、受け取れる賠償金が数百万円から数千万円単位で増額することもあるため、依頼を強くお勧めします。
被害者側の過失割合が0のケース
交通事故の被害に遭った際、被害者自身にも一定の責任(過失)があるケースでは、ご自身が加入している任意保険会社の「示談代行サービス」が利用できます。これは、保険会社が被害者に代わって相手方と交渉を進めてくれる仕組みです。
専門的な知識が必要な示談交渉を個人で行うのは大変なため、このサービスを利用して保険会社に一任するのが一般的となっています。しかし、被害者側にまったく過失がない「もらい事故」のようなケースでは、この示談代行サービスを利用することができません。

被害者にも過失がある場合は、被害者側も相手に対して賠償金を支払う責任が生じるため、保険会社にとっても「自社がいくら支払うか」という直接的な利害関係が発生します。
しかし、赤信号で停まっていたところに追突された場合や、センターラインを越えてきた対向車にぶつかられた場合など、被害者の過失が「ゼロ」の事故では、被害者側に賠償責任が一切発生しません。つまり、被害者側の保険会社はお金を支払う必要がないため、この交渉に対して法律上の利害関係を持たないことになります。
利害関係がないにもかかわらず、弁護士資格を持たない保険会社の社員が他人の金銭交渉を代理することは、法律(弁護士法)で禁止されている「非弁行為」に該当してしまいます。そのため、過失割合がゼロのクリーンな被害者ほど、自分の保険会社を頼ることができず、自力で交渉に臨まなければならなくなります。
交渉のプロである加害者側の保険会社を相手に、知識のない個人が一人で立ち向かうのは非常に不利です。そのため、このような場合こそ、多少の費用を払ってでも弁護士を味方につけるのが賢明な判断となります。
法律のプロである弁護士であれば、非弁行為の制限を受けずに被害者の代理人となり、相手方の不当な言い分を退けて、正当な金額の賠償金を堂々と請求してくれます。
仕事や私生活が忙しいケース
本格的な示談交渉は、怪我の治療が一段落したタイミングや、後遺障害の等級認定が確定した後に始まります。つまり、被害者の方がようやく落ち着き、普段の生活に戻ろうとする時期と重なるのです。
しかし、治療が終わればそれまでセーブしていた仕事や日常生活が一気に忙しくなります。そのため、日中の仕事中に保険会社からかかってくる電話に対応したり、複雑な書類を精査したりする時間的・精神的な余裕がないというのが現実です。主婦(主夫)の方であれば、日々の家事や育児に追われる中で、不慣れな交渉をこなすのは大きな負担となります。
示談開始が遅れているケース
交通事故の損害賠償を請求する権利には期限(消滅時効)があり、これを過ぎてしまうと、本来受け取れるはずの示談金を一切獲得できなくなってしまいます。人身事故における一般的な損害賠償請求権の時効は、事故が発生した日の翌日から5年です。また、後遺障害が残ったケースでは、症状固定(これ以上治療を続けても改善しないと診断された日)の翌日から5年で時効を迎えます。
治療の長期化や、相手方との連絡が途絶えがちになることで、気付けば時効の期限が迫っているという事態も少なくありません。迫り来る期限の中で、迅速かつ正確に請求手続きを完了させるのは、個人では極めて困難です。
このように残り時間が限られているケースでは、一刻も早く弁護士に相談することをお勧めします。実務経験を積んだ弁護士であれば、時効を一時的にストップさせる法的手続き(催告や訴訟の提起など)を迅速に行いつつ、後遺障害の等級認定手続きなどを効率的に進めるノウハウを持っています。

交通事故の慰謝料の示談交渉とは

交通事故で怪我をさせられた場合、被害者は身体的・精神的な損害を与えた加害者に対し、相応の慰謝料を求める権利があります。この具体的な賠償額や支払い条件を、加害者側が加入する保険会社と話し合って決めるプロセスを「示談交渉」と言います。
ここでは、そもそも慰謝料がどのような性質を持つお金なのか、そして示談交渉という手続きがどういった意味を持つのかを整理しておきましょう。
交通事故の慰謝料とは
慰謝料とは、事故によって被った「精神的な苦痛」を金銭によって癒すための賠償金です。不当な暴力や誹謗中傷、不倫などで心が深く傷つけられた際に支払われるものと同じ位置づけになります。
人身事故の被害に遭うと、怪我の痛みに耐えなければならないだけでなく、今後の生活や仕事に対する強い不安、事故の恐怖といった目に見えない精神的ダメージを負うことになります。法律では、この苦痛を少しでも和らげるために、加害者に対して慰謝料を請求することが認められています。
示談交渉とは
示談交渉とは、大がかりな裁判を起こすことなく、当事者同士の話し合いによって合意点を見つけ、トラブルを解決する手続きのことです。この場において、賠償金の総額や支払いの期日、振込方法といった具体的な条件を取り決めていきます。
裁判手続きを選択すれば法的な強制力をもって決着させられますが、判決が出るまでに多くの時間と高額な裁判費用が必要になります。これに対して示談交渉は、柔軟な話し合いができるため、裁判に比べて早期解決が期待でき、手続き上のコストも抑えられます。準備する書類も比較的シンプルで済むため、交通事故のトラブルでは、まず裁判を起こす前に示談交渉からスタートするのが一般的な流れとなっています。

交通事故の慰謝料の示談交渉を弁護士に任せると得なのか
相手方の保険会社との示談交渉は、被害者ご自身だけで進めることも不可能ではありません。しかし、専門家である弁護士に代理人を任せるという選択肢もあります。では、わざわざ弁護士を立てることで、被害者には具体的にどのようなリターンがあるのでしょうか。
また、依頼することでかえって損をするような落とし穴はないのでしょうか。ここからは、示談交渉を弁護士に委ねるメリットとデメリットについて、さらに深く踏み込んでいきます。
交通事故で弁護士に依頼するメリット

弁護士は法律の高度な知識と、数々の交渉をまとめてきたノウハウを持っています。そのため、法的な根拠が厳しく問われる示談交渉の場において、弁護士を味方につけることは被害者にとって数多くの大きなメリットをもたらします。
示談交渉などの事故対応を一任できる
一つ目のメリットは、保険会社とのやり取りや煩雑な事務手続きをすべて丸投げできる点です。
怪我の治療中は、痛みに耐えながら病院へ通うだけでも一苦労です。それにもかかわらず、加害者や相手の保険会社からの頻繁な連絡に対応しなければならず、被害者が受ける精神的なストレスは想像以上に重いものです。
慰謝料が増額する可能性が高い
二つ目のメリットは、弁護士が背後に立つだけで、受け取れる慰謝料の金額が劇的に跳ね上がる可能性が高い点です。
交通事故の慰謝料を計算するにあたっては、実は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」という3つの異なる算定規律が存在し、どれを適用するかで最終的な金額に数倍もの差が生じます。
それぞれの基準の仕組みは以下の通りです。
自賠責基準
法律によって全ての車に加入が義務付けられている「自賠責保険」から支払われる際の算定基準です。これは、交通事故による被害者への「最低限の救済」を目的としたセーフティネットであるため、算出される慰謝料の額は3つの基準の中で最も低く設定されています。
任意保険基準
加害者側が任意で加入している民間の保険会社が、自社の支払い規定として独自に設けている算定基準です。被害者に対して、保険会社が「今回の提示額です」と言って最初に出してくる金額は、この任意保険基準で計算されています。
この基準は自賠責基準よりは多少色をつけた程度のものであり、次に説明する「弁護士基準」には遠く及びません。保険会社も営利企業であるため、支払う保険金をできるだけ抑えて自社の支出を削ろうとする思惑があるからです。なお、計算の詳細は各社ごとに非公開となっています。

弁護士基準
過去の実際の裁判判例を積み重ねて構築された、法的に最も正当な算定基準です。実務の現場では「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称、赤本)」などの専門書に準拠して計算されます。
弁護士が示談交渉の席につく際は、この弁護士基準をベースに強気の増額請求を行います。本来、裁判所が被害者の実害を適正に補填するために認めている基準であるため、他の2つの基準に比べて格段に高額な慰謝料が算出されるのが最大の特徴です。
このように、最も高額な「弁護士基準」での獲得を目指すべきですが、知識のない個人がいくら「弁護士基準で払ってください」と主張しても、保険会社がそれを受け入れることはまずありません。相手は「当社の規定ですから」と任意保険基準を押し通し、一般の被害者を相手に譲歩することは極めて珍しいのが実態です。
しかし、交渉の場に弁護士が登場すると、保険会社の対応は一変します。もし増額を拒否し続ければ、弁護士によって裁判を起こされ、結局は裁判所から「弁護士基準」での支払いを命じられる上に、遅延損害金などの余計なコストまで背負うことになるのを知っているからです。
被害状況に見合った適正な賠償金を算出できる
三つ目のメリットは、形式的な計算に囚われず、個別の被害状況に見合った本当の意味での適正額を正確にはじき出せる点です。
示談交渉が進むと、相手の保険会社から「免責証書」や「示談書」と共に賠償金の提示額が届きます。しかし、そこで記載されている金額は、多くの場合、休業損害の日額や通院費などが低めに見積もられており、被害者の実際の損失を十分にカバーしていないケースが目立ちます。
こうした不利益を未然に防ぐためにも、弁護士の目を通算して提示された示談金の項目が適切な内容になっているか厳しくチェックしてもらう価値があります。多くの法律事務所では、提示された書面の妥当性を診断する初期相談を無料で実施しています。まずは専門家の見解を仰ぎ、買い叩かれていないか確認してみることをお勧めします。
弁護士に依頼する際の「費用面でのデメリット」を抑える方法

弁護士へ依頼することが解決への近道であると分かっていても、どうしても気になるのが発生する弁護士費用というコスト面のデメリットです。しかし、現在の保険や法律事務所の仕組みを上手く活用すれば、自己負担を最小限に、あるいは実質ゼロに抑えて依頼することが可能です。
弁護士費用特約を活用する
ご自身やご家族が加入している自動車保険、あるいは火災保険やクレジットカードの付帯保険に「弁護士費用特約」がついているかどうか、今すぐ確認してみてください。この特約が利用できれば、弁護士に支払う着手金や報酬金を、ご自身の保険会社が代わりに全額(または一部)負担してくれます。これを使えば、どれだけ弁護士費用がかかっても自身の懐が痛むことはないため、「費用倒れ」の心配を完全に無くし、ノーリスクで最上のリーガルサポートを受けることができます。
一般的に、この特約による補償上限は「弁護士費用300万円まで」と規定されていることが多く、通常の交通事故トラブルであればこの枠内で大半が収まります。また、正式な依頼に至る前の「法律相談料」についても10万円まで補償してくれるケースが多いため、まずは費用の心配をせずに弁護士に相談することができます。
「相談料無料」「着手金無料」の法律事務所を選ぶ
もし「弁護士費用特約」に加入していなかったとしても、諦める必要はありません。従来の弁護士事務所では、最初に10万〜15万円ほどの「着手金」を先払いするのがルールでしたが、現在の交通事故実務においては「着手金一律0円」を掲げる法律事務所が非常に増えています。こうした「完全成功報酬制」を導入している事務所であれば、手元にまとまったお金がなくても依頼が可能です。

また、相談するだけで発生していた「30分5,000円」といった相談料についても、交通事故の案件に限っては「何度でも相談料無料」「初回面談無料」としている事務所が主流になっています。「まずは金額の妥当性だけ見てほしい」「弁護士を立てるべきかアドバイスがほしい」といった段階でも、費用の心配をせずに気軽に門を叩くことができます。
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット・デメリットまとめ
交通事故の被害に遭われたとき、相手方から適正な補償を受け取るのは被害者としての当然の権利です。弁護士に示談交渉を委ねることは、慰謝料の大幅な増額や手続きの負担軽減という絶対的なメリットがある一方で、費用の発生というデメリットもあります。しかし、弁護士費用特約の有無を確認したり、着手金無料・相談料無料の事務所を賢く選ぶことで、コストの懸念は綺麗に解消され、手元に残る金額を最大化できるケースがほとんどです。
「自分のケースで弁護士を立てたら費用倒れになるのでは?」と少しでも迷うのであれば、まずは無料相談を利用して、弁護士に直接見通しを診断してもらいましょう。その上で、実際に依頼するかどうかを決めるのが最も賢明で損のない方法です。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
▶︎柔軟な料金設定
・初回相談【無料】
・ご相談内容によっては【着手金無料】
▶︎いつでもご相談いただけます
・【土日・祝日】ご相談OK
・【夜間】ご相談OK
・【即日】ご相談OK
1.交通事故の無料相談窓口
tel:0120-651-316
2.債務整理の無料相談窓口
tel:0120-783-748
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