誹謗中傷の例はどんなものがある?SNS・ネットのコメントや言葉の事例

誹謗中傷の例はどんなものがある?SNS・ネットのコメントや言葉の事例

誹謗や中傷が発覚すると、侮辱罪名誉毀損罪が成立する場合があります。

何気なく他人を悪く言ったコメントが、実は名誉毀損になるケースがとても多いので、誹謗中傷に心当たりがある方はこの記事をぜひ読んでください。

インターネットで誹謗中傷が後を絶たない理由

「誹謗」は他人の悪口を言うこと、「中傷」は根拠のない事を言いふらして、他人の名誉を傷つけることを意味します。

すなわち、誹謗中傷とは根拠のない悪口を言いふらして、他人の心を傷つけることを指します。では、なぜインターネットでは誹謗中傷が後を絶たないのでしょうか。

インターネットは匿名の世界

インターネットで自由なコミュニケーションが可能になった一方で、匿名のまま不特定多数に向けて特定個人の誹謗中傷を書き込んだり、特定個人に向けて一方的に悪意のある書き込みを発信したりすることも可能になりました。

また、人前で他人を悪く言うと、周囲にいる人が注意してくれますが、匿名で書き込みができるインターネットではそのような歯止めがありません。

このようなインターネットでの匿名性は、誹謗や中傷が起きやすい原因になっています。

「みんなが言っているからいいだろう」という心理

インターネットを利用していると、誹謗中傷の書き込みを見る機会は少なくありません。なぜなら、インターネットでは悪意のある書き込みでも削除されることが少なく、そのままネット上に残っている場合が多いからです。

そして、誹謗や中傷の書き込みを見る機会が増えると、「他の人も言っているから自分もいいだろう」という心理が生じてしまい、他人を誹謗中傷することに対する罪悪感が希薄化してしまいます。

その結果、加害者意識のない誹謗や中傷の増加に繋がってしまいます。

間違った正義感に基づく書き込み

正義感を持つことは大切ですが、度が過ぎた正義感は他人への誹謗や中傷に繋がります。「間違ったことをする人は罰されなければならない」などの思い込みは、正義感が暴走している人の特徴的な考えです。

そのままインターネットで他人を傷つける書き込みをしてしまう危険は十分にあるでしょう。

脳科学の観点からも、他人に正義の制裁を下すことによって脳に快楽物質が発生すると実証されています。つまり、どんな人でも脳内の快楽を求めて正義感が暴走してしまい、他人を誹謗中傷してしまうおそれを持っているのです。

2020年にあったインターネットやSNSでの誹謗中傷の事例

2020年には、TwitterやInstagramなどSNS上で誹謗中傷の被害を受けた芸能人が自ら命を絶ったと疑われる事件が複数発生しています。

女子プロレスラーの木村花さんは、リアリティ番組である「テラスハウス」に出演した際の言動をSNSで中傷され、その後自ら命を絶ちました。

さらに7月には、俳優の三浦春馬さんが自宅で亡くなっていることが判明し、自殺の原因に誹謗中傷が関係していたことが噂されています。

さらに、近年の新型コロナの流行に伴って、感染者の人や外出自粛していない人に対する誹謗中傷も増加しました。

 例えば、感染者の人の家を「コロナの家」と呼び、自宅や勤務先の周辺をうろついて罵声の言葉を投げかけるといった嫌がらせなどが実際に起きています。

ネットやSNSで誹謗中傷にあたるコメントや言葉の例

では、どのような言葉が誹謗中傷にあたるコメントなのでしょうか。言葉の類型を5つに分けて、例をあげながら説明します。

抽象的な悪口

「お前ほどのアホはこの世の中にいない」や「お前って本当にバカなんじゃない」などの抽象的な悪口は誹謗中傷に該当するおそれがあります。

公然と他人を侮辱した場合は侮辱罪に該当する危険があるので注意しましょう。

デマの情報を用いた悪口

「アイドルの◯◯さんは浮気している」のようなデマの情報を用いた悪口も誹謗中傷に該当するおそれがあります。

このように公然と事実を摘示して他人の名誉を棄損した場合は、その事実の真偽を問わず名誉毀損罪が成立する危険があります。

また、デマの情報を流すことで相手に経済的損失を負わせた場合は、信用毀損罪が成立する場合もあります。

プライバシーの侵害にあたる情報を用いた悪口

「◯◯さんは元犯罪者だよ」や「◯◯さんの年収は◯◯万円みたい」のような被害者が知られたくないような情報を用いた悪口も誹謗中傷に該当するおそれがあります。

犯罪歴や年収、離婚歴など、他人に知られたくない情報を言いふらされた場合は、プライバシーの侵害にあたります。

 プライバシーの侵害に対する罰則は刑法には規定されていませんが、民事上の不法行為に該当し、慰謝料を請求されるケースも多いです。

損害賠償が認められた誹謗中傷の事例

誹謗中傷の被害で損害賠償請求が認められた事例をいくつか紹介します。

実際の事例を参考に、損害賠償請求が認められた事例はどのような内容で、どのような罪が成立するか確認してください。

事件と無関係の人を、犯人の仲間としてFacebookで拡散した事例

2019年に起こった常磐道のあおり運転殴打事件について、元市議会議員が事件と関係ない女性を犯人の車の同乗者と勘違いして「同乗者の女」「早く逮捕されるように拡散してほしい」という書き込みをFacebookに投稿しました。

市議会議員といった、人々から信用されている著名人が嘘の情報を拡散したため、写真に載せられた女性のInstagramには非常にたくさんの中傷のメッセージが届きました。

裁判では、女性の社会的評価を著しく落とした事が認められ、元市議会議員に33万円の損害賠償請求が認められました。

野球選手の配偶者に向けて、インターネットで誹謗中傷を投稿した事例

2018年、ある野球選手の嫁に対して「そりゃこのブスが嫁ならキャバクラ行くわ」などの書き込みが匿名掲示板で投稿されました。

それに対して野球選手である夫は「妻と自分の名誉が毀損された」として、書き込みを発信した女性を名誉毀損の罪で訴えて、約190万円の損害賠償請求をしました。

加害者の女性は「軽い気持ちでした。まさかこんなことになるなんて」と反応しており、匿名掲示板で人を傷つけるコメントをする罪悪感が薄まっていた様子が伺えます。

匿名掲示板で他人になりすまして誹謗中傷を投稿した事例

2017年、大阪府の男性が長野県に住んでいる全く別の人になりすまして、匿名掲示板で誹謗中傷を行った事件が発生しました。

犯人の男性は、被害者が別のSNSで使用していたプロフィール画像や名前を用いて誹謗中傷を行っており、被害者の肖像権や名誉権の侵害が問われました。

結果的に、この事例では、不法行為責任による損害賠償請求が認容され、犯人の男性に対して130万円の請求を認める判決が出されました。

誹謗中傷の心当たりがある場合の対応方法

TwitterなどのSNSやインターネットの掲示板で、過去に何気なく書き込みしたことが誹謗中傷にあたるかもしれないと不安になっている人がいるかもしれません。

仮に被害者が法的措置をとる場合は、まずIPアドレスから誹謗中傷した人の住所や氏名を特定し、そして誹謗中傷した人に対して損害賠償請求する可能性があります。

最悪の事態にならないように、誹謗や中傷のコメントに心当たりがある方は、すぐに該当コメントを削除しましょう。

また、該当コメントの削除ができないサイトの場合は、弁護士に削除依頼を送ってもらうことをおすすめします。

実際に住所や氏名を特定されてしまった場合も、すぐに弁護士のような専門家に相談しましょう。提訴される前に示談や和解で済ませられるケースがあります。

まとめ

このように、実は何気なくしていたコメントが、誹謗中傷にあたるケースはとても多いです。

ここであげた例はひとごとではなく、自分にもあてはまるおそれがあるので、インターネットの使い方には気をつける必要があります。

人を誹謗中傷したコメントに心当たりがある人は、被害を最小限にするために、すぐに弁護士などの専門家に相談しましょう。

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