海外法人のインターネット上のサイトから誹謗中傷された場合の対処法は?

海外法人のインターネット上のサイトから誹謗中傷された場合の対処法は?

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海外でも、日本と同様に誹謗中傷が増え続けています。では、海外の誹謗中傷の状況や取り組みはどうなっているのでしょうか。

また、海外にいる人へ誹謗中傷してしまった場合の対策法も説明するので、心当たりのある方は参考にしてみてください。

海外における誹謗中傷の状況や取り組みは?

インターネット上の誹謗中傷が問題となっているのは日本だけではなく、世界各国で、法整備など具体的な対策が求められています。では、海外におけるネット上の誹謗中傷の状況や対策はどのようなものでしょうか。

韓国における誹謗中傷の状況と対策

韓国では公の場で活動している芸能人に対するネット上の脅迫や誹謗中傷が深刻化しています。特にアイドルが自殺する事件が社会問題になっており、指(キーボード)による殺人という連想から「指殺人(ソンカラク殺人)」という言葉も生まれました。

このような事態を受けて、韓国の情報通信部(日本の総務省に相当)は「制限的インターネット本人確認制度」(通称:インターネット実名制)を国会に提出しました。

インターネット実名制は「情報通信網の利用促進、及び情報保護などに関する法律」の改正案の一部として可決され、2007年7月に施行されました。これにより、訪問者数の多い人気サイトでコメントなどを書き込む際に、本人確認が義務付けられました。もっとも、2012年に憲法裁判所が違憲判決を出し、廃止されています。

ドイツにおける誹謗中傷の状況と対策

ドイツでは難民に対するSNS上のヘイトスピーチが問題になっています。2017年には、現行法で禁止されているヘイトスピーチなどの削除をSNS事業者に義務付ける「SNSでの法執行を改善するための法律」(SNS対策法)が成立しました。

削除義務の対象になるのは、ヘイトスピーチだけでなく、誹謗中傷、国家を重大な危険に晒す暴力行為の指導、国全体を陥れるデマが含まれます。

 また、SNS事業者が適切に苦情処理をしなかった場合、制裁金が科されます。ただ、制裁金の上限が高額なため、制裁金の支払いを逃れたい事業者は、過剰に書き込みを削除するのではないかという懸念が広がりました。

フランスにおける誹謗中傷の状況と対策

フランスにおいてもヘイトスピーチなどの誹謗中傷が問題になっています。

2020年5月には、ネット上の有害なコンテンツを、通報されてから1時間以内に削除するようソーシャルメディア企業などに求める法律を可決しました。削除の対象となるのは、テロや児童性的虐待に関連するコンテンツで、期限内に削除しなかった企業には最大で世界売上高の4%の罰金が科されることになります。

しかし、この法律は表現の自由を侵害すると批判され、憲法院からも内容の一部が違憲と判断されました。そこで、憲法に違反する部分を削除・修正し、同年6月25日に公布・施行されました。

この法律の施行に伴い、放送行政監督機関のもと、ヘイトスピーチ観察局が置かれ、学校でヘイトスピーチ問題の啓蒙教育を行うことなどが定められました。

海外サイトから誹謗中傷の書き込みをされたらどうする?

海外サイトに誹謗中傷の書き込みをされた場合、どのように対処すれば良いでしょうか。主な対策法について説明します。

誹謗中傷ホットラインに相談する

誹謗中傷コメントは拡散されるおそれがあるので、発見したらすぐに削除をしてもらいましょう。

海外サイトで誹謗中傷を書き込まれた場合でも、対象サイトに対して投稿の削除を促す通知をすることは可能です。例えば、インターネット企業有志が設立したセーファーインターネット協会(SIA)は「誹謗中傷ホットライン」を運営しており、誹謗中傷に関する相談を受け付けてくれます。

誹謗中傷ホットラインに相談することで、国内・国外にかかわらず、掲載されているサイトに向けて、該当コメントの削除を促す通知をしてくれます。

海外からの誹謗中傷で困ったときは気軽に相談してみると良いでしょう。

仮処分申請を弁護士に依頼する

対象の書き込みの削除を求めたとしても、実際に削除されるかどうかの判断は、海外の運営サイトに委ねられます。むしろ、サイト管理者が対応してくれないケースの方が一般的です。

そのような場合は裁判所に仮処分の申請をすることで、より効果的にサイト管理者に対して削除を要請することができます。

しかし、サイト管理者が海外に籍を置く場合、訴訟手続きが面倒になる上に時間がかかってしまいます

加えて、訴える相手が海外の会社となれば、高度な専門知識が求められるので、個人で対応するのは現実的ではありません。そのため、仮処分の申し立てをするには、海外の弁護士資格を持つ弁護士に依頼しましょう。

犯人を特定して慰謝料を請求する

誹謗中傷は違法行為ですので、加害者を訴えることができます。ただし、訴えを提起するためには発信者を特定しなくてはなりません。

この点、日本で発生した誹謗中傷であれば、プロバイダ責任制限法に則った発信者情報開示請求をすることで、犯人を特定することができます。

一方で、海外サイトからの誹謗中傷の場合、日本のプロバイダ責任制限法の適用の可否が問題になります。

POINT
プロバイダ責任制限法第4条1項は、開示の対象を「当該権利の侵害に係る発信者情報」としており、この部分を厳格に解釈すると、権利侵害がなされた時の発信者情報、すなわち、名誉毀損やプライバシー侵害に関する情報を投稿した際のIPアドレス・タイムスタンプのみしか開示の対象にならないことになります。

そして、海外のSNS事業者は、ログインした際のIPアドレス・タイムスタンプしか保有しておらず、投稿時のIPアドレス・タイムスタンプを取得していません。そのため、法律を厳格に解釈すると、発信者の特定は不可能となります。

仮に日本の裁判所で、海外のインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対する発信者情報開示を命じる仮処分命令や判決を取得できたとしても、海外のISPが応じない場合には加害者の特定ができず、慰謝料請求ができない事態が起こり得ます。

このように、海外サイトの誹謗中傷に対応するのは大変ですので、困ったときは弁護士に相談してみましょう。面倒な手続きも代わりに弁護士がおこなってくれるので、まずは試しに無料相談を受けることをおすすめします。

まとめ

海外サイトで誹謗中傷の書き込みをされた場合、国内の企業が運営している場合と異なり、削除申請などの手続きがかなりややこしくなります。

対応するには弁護士のサポートがほぼ必須になりますので、誹謗中傷の被害を受けたときは、すぐに弁護士に相談して指示を仰ぎましょう。

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