交通事故のトラブルを解決する際、弁護士に依頼すべきかどうか迷う方は少なくありません。弁護士に相談すれば専門的で手厚いサポートを受けられますが、やはり「弁護士費用」がネックとなり、自分自身で対応しようと考えるケースも多いのが実情です。

執筆・監修:豊川祐行
2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。 あまた法律事務所へのお問い合わせはこちら
この記事の目次
交通事故の慰謝料は示談交渉で決まる

交通事故の被害に遭った場合、被害者は加害者に対して慰謝料を請求する権利があります。そして、その具体的な慰謝料額を決定するための話し合いが「示談交渉」です。
慰謝料は精神的苦痛を補償するお金
「慰謝料」とは、交通事故によって被害者が受けた精神的苦痛を金銭的に補償するための賠償金です。
突然の事故による恐怖や、ケガの痛みといった肉体的・精神的ダメージはもちろんのこと、死亡事故においてはご遺族の計り知れない悲しみやショックも対象となります。
これら交通事故によって生じた多大な精神的苦痛を償うために、加害者側から支払われるのが慰謝料です。
交通事故においては、主に「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類の慰謝料が認められています。
交通事故で負ったケガの治療のため、入院や通院を余儀なくされたことに対する慰謝料です。通院や入院にかかる肉体的・精神的負担に対する補償であるため、基本的には入通院の期間が長くなるほど金額も増額されます。
交通事故のケガが完全に治りきらず、後遺症として身体に残ってしまった場合に請求できる慰謝料です。
後遺障害は症状の重さに応じて1級から14級までの等級に分類されており、専門機関の審査を経て等級が認定されて初めて請求が可能となります。1級に近いほど症状が重く、支払われる慰謝料も高額になります。交通事故で最も多いとされる「むちうち」の場合、14級などの比較的軽い等級に該当するケースが一般的です。
被害者が亡くなられた交通死亡事故において、加害者に対して請求できる慰謝料です。
死亡慰謝料を請求できるのは、法的に①死亡した被害者本人と、②ご遺族(配偶者、父母、子どもなどの近親者)に分けられます。
- 被害者本人は、事故を起こした加害者に対して慰謝料を請求する権利を取得します。しかし本人はすでに亡くなっているため、相続人となるご遺族がその権利を引き継ぎ、代わりに請求することになります。
- これとは別に、大切な家族を突然失ったご遺族自身の深い精神的苦痛を慰謝するものとして、ご遺族固有の死亡慰謝料を請求することも認められています。
示談交渉で賠償金の金額を決める
「示談交渉」とは、被害者と加害者(多くの場合は加害者側の保険会社)が、損害賠償の総額や支払い方法・期日などについて直接話し合い、合意を目指す手続きのことです。
交通事故のトラブルは、最終的に民事裁判で決着をつけることも可能です。しかし、裁判は解決までに膨大な時間と費用(コスト)がかかるため、通常は示談交渉による早期解決が図られます。
被害者は基本的に相手方の保険会社の担当者と交渉することになりますが、ここで「弁護士に依頼すべきか」という問題に直面します。もちろんご自身で交渉を進めることも可能ですが、豊富な専門知識と交渉経験を持つ弁護士に一任した方が、結果的に有利な条件で合意できるケースが圧倒的に多くなります。
示談交渉は、あくまで双方の合意によって賠償金額が確定します。どちらか一方が条件に納得しなければ、示談は成立しません。
また、一度示談が成立し示談書を交わしてしまうと、後から「やはり金額が足りない」と内容を覆すことは原則不可能です。これは蒸し返しを防ぐための法的効力ですので、示談書へのサインは慎重に行う必要があります。

交通事故で弁護士に依頼するメリット

事故後の煩雑な手続きや交渉は、専門家である弁護士に一任するのが非常に効果的です。数多くのメリットがあり、被害者の負担を劇的に軽減してくれます。
示談交渉を一任できる
弁護士に依頼する最大の利点の一つは、示談交渉をはじめとする事故対応の手間や精神的ストレスから完全に解放される点です。
事故直後はただでさえ心身のショックが大きく、日常生活もままならない時期です。そのような状況下で、交渉のプロである保険会社の担当者と何度も連絡を取り合い、専門的なやり取りを行うのは非常に困難であり、大きな負担となります。
慰謝料を増額できやすい
弁護士が介入することで、受け取れる慰謝料が大幅に増額される可能性が飛躍的に高まります。適正かつ最大限の賠償金を獲得するためには、弁護士の存在が不可欠と言っても過言ではありません。
慰謝料の計算方法の種類
交通事故の慰謝料算定には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」という3つの異なる基準が存在します。弁護士に依頼することで、この中で最も高額な「弁護士基準」を用いた請求が可能となります。
すべての自動車に加入が義務付けられている「自賠責保険」が定める算定基準です。
これは被害者に対する「最低限の救済」を目的とした国の保険制度であるため、3つの基準の中で最も慰謝料額が低く設定されています。迅速な支払いが受けられるメリットはありますが、十分な補償とは言えません。
加害者が加入している「任意保険会社」が、自社内で独自に設定している算定基準です。会社ごとに計算方法は異なりますが、自賠責基準に多少上乗せされた程度の金額にとどまるのが一般的であり、弁護士基準と比べると大幅に低い水準となります。
弁護士が代理人として示談交渉を行う際、あるいは実際の裁判で用いられる法的に正当な算定基準です(別名「裁判基準」)。
3つの基準の中で最も高額な慰謝料が算出されるという圧倒的なメリットがありますが、この基準を引き出すためには原則として弁護士への依頼が必要となります。
慰謝料が増額する理由
弁護士に依頼すると、裁判所も認める最も高額な「弁護士基準」で慰謝料を再計算し、強気に請求することができます。そのため、被害者ご自身が単独で交渉する場合と比較して、慰謝料額が数倍に跳ね上がるケースも決して珍しくありません。
通常、被害者が個人で交渉している間は、保険会社は自社の支出を抑えるために、最低限に近い「任意保険基準」での金額しか提示してきません。営利企業である保険会社が、自ら進んで高額な賠償金を支払うことはまずあり得ないのです。

だからこそ、弁護士の介入が大きな意味を持ちます。弁護士であれば、法的に妥当かつ最も高額となる弁護士基準での金額を堂々と加害者側に突きつけることができます。
弁護士基準は過去の裁判例に基づいた正当な基準であるため、仮に保険会社がその請求を拒否したとしても、弁護士は躊躇なく民事裁判を起こして適正な金額を勝ち取りにいきます。
保険会社も訴訟のプロですから、「弁護士基準で裁判を起こされれば、自社が敗訴して高額な賠償命令が下る」ことを熟知しています。裁判になれば遅延損害金や弁護士費用の一部まで負担させられるなど余計なコストがかさむため、保険会社としては何としても裁判への発展は避けたいのが本音です。そのため、弁護士が交渉のテーブルに着くだけで、裁判を避けるために弁護士基準での支払いに応じるケースが大半なのです。
被害状況に合った賠償金を計算してくれる
弁護士は、保険会社から提示された示談案(賠償項目と金額)の妥当性を隅々まで精査し、漏れのない適正な賠償金を正確に算出してくれます。
交通事故の損害賠償には、治療費や慰謝料、車の修理代だけでなく、専門知識がなければ気づきにくい項目が多数含まれています。
例えば、後遺障害によって労働能力が低下し、将来得られるはずだった収入が減ってしまう分を補填する「後遺障害逸失利益」などはその代表です。逸失利益は非常に高額になるケースが多いですが、保険会社は独自の計算で金額を極端に低く提示してくるのが常套手段です。知識がないままその提示額にサインしてしまえば、被害者が大損をすることになります。
これらすべての賠償項目を被害者ご自身でチェックし、金額が適正かどうかを判断するのは事実上不可能に近いです。弁護士であれば、提示された内訳に不足やごまかしがないかを瞬時に見抜き、正しい金額へと修正してくれます。

交通事故で弁護士に依頼するデメリット

弁護士への依頼は被害者にとって強力な武器となりますが、当然ながらいくつかのデメリットや注意点も存在します。
依頼には費用がかかる
弁護士を代理人に立てる以上、当然のことながら「弁護士費用(相談料、着手金、成功報酬など)」が発生します。
この費用負担が最も懸念されるポイントであり、獲得できた増額分よりも支払う弁護士費用の方が高くついてしまう「費用倒れ」のリスクには注意が必要です。
入院や長期通院を要する重傷事故、あるいは死亡事故であれば、賠償金自体が高額になるため費用倒れの心配はまずありません。しかし、ケガのない物損事故や、通院が数回で済んだような軽微な事故の場合、賠償金自体が少ないため、費用倒れになる危険性が高まります。

ただし、現在では初回相談を「無料」で受け付けている法律事務所が数多く存在します。無料相談の段階で「おおよその賠償額の見込み」や「費用倒れのリスクがないか」を率直にアドバイスしてくれるため、費用の不安がある方は、まずは無料相談を上手に活用して見極めるのが賢明です。
弁護士の選定が難しい
交通事故において最大限の結果を出すためには、「交通事故案件に強い弁護士」を正しく選定することが極めて重要です。
弁護士の業務分野は幅広く、すべての弁護士が交通事故に精通しているわけではありません。交通事故案件を普段扱っていない弁護士に依頼してしまうと、専門的な医学的知識が不足しており、後遺障害の獲得や適正な増額など、期待した結果が得られないリスクがあります。
また、示談成立までには弁護士と何度も連絡を取り合うことになります。説明が分かりにくかったり、レスポンスが遅かったりする弁護士を選んでしまうと、余計なストレスや心理的負担を抱え込むことになりかねません。
弁護士の変更に費用と手間がかかる
弁護士との契約は「委任契約」であるため、対応に不満があれば途中で解任し、別の弁護士へ変更すること自体は自由です。
しかし、正式に依頼をした時点で支払った「着手金」などの初期費用は、途中で解任しても原則として返還されません。
さらに、ゼロから別の弁護士を探し直し、改めて事故の状況を一から説明して再契約を結ぶとなれば、膨大な時間と労力、そして二重の費用負担が発生してしまいます。
「自分の話を親身に聞いてくれない」「連絡が全くこない」といった場合は変更もやむを得ませんが、変更には大きなリスクとコストが伴うことを十分に理解し、最初の弁護士選びを慎重に行うことが大切です。
デメリットありでも弁護士に依頼すべきケース
弁護士費用などの懸念事項はありますが、それらのデメリットを考慮しても「絶対に弁護士へ依頼すべき」と言い切れる具体的なケースが存在します。
治療費を打ち切られた
まだ治療中であるにもかかわらず、相手方の保険会社から「そろそろ治療費の支払いを打ち切ります」と突然の打ち切りを宣告された場合は、迷わず弁護士に相談すべきです。
交通事故の治療費は相手方の保険会社が負担しますが、彼らも無期限に支払い続けるわけにはいきません。一般的に、打撲で1ヶ月、むち打ちで3ヶ月、骨折で6ヶ月程度経過すると、保険会社側は独自の判断で「症状固定」の時期が来たとみなし、治療費の打ち切りを強く迫ってくる傾向があります。
しかし、ケガの回復スピードや痛みの程度は人それぞれ異なります。「症状固定」であるかどうかを医学的に判断できるのは、保険会社の担当者ではなく、実際に治療に当たっている主治医だけです。医師が「まだ治療が必要だ」と判断しているのであれば、保険会社の圧力に屈して治療を中断すべきではありません。
保険会社には、事故と因果関係のある必要かつ相当な治療費を支払う義務があります。一方的に打ち切りを通告されても、弁護士が介入し、医師の診断に基づく医学的な必要性を客観的に主張・交渉することで、治療費の支払いが延長されるケースは数多くあります。

入通院の期間が3ヶ月以上になっている
骨折や重いむち打ちなどで入通院の期間が3ヶ月以上におよぶケースでは、弁護士の介入によるメリットが非常に大きくなります。
「入通院慰謝料」は通院期間に比例して算定されるため、治療が長期化するほどベースとなる金額が大きくなります。金額が大きいということは、「任意保険基準」から「弁護士基準」へ引き直した際の「増額幅」も跳ね上がるため、迷わず弁護士に依頼すべきです。
また、適正な慰謝料を受け取るためには「正しい頻度での通院」が不可欠です。仕事が忙しいからと通院日数が極端に少なかったり、逆に必要以上の頻度で漫然と整骨院に通い続けていたりすると、かえって慰謝料が減額されるリスクがあります。
後遺障害が残った
治療を尽くしても身体に不具合(後遺症)が残ってしまった場合、あるいは残りそうな見込みがある場合は、一刻も早く弁護士へ相談してください。
後遺症が正式に「後遺障害」として等級認定されると、入通院慰謝料とは別に高額な「後遺障害慰謝料」を請求できる権利が発生します。
さらに、後遺障害によって以前のように働くことが難しくなり、将来にわたって生じる収入の減少分を補填する「後遺障害逸失利益」も請求可能となります。この逸失利益は、被害者の年齢や収入によっては数千万円規模になることも珍しくありません。
しかし、これらの賠償金を獲得するためには、専門機関による厳しい「後遺障害等級認定」の審査をクリアする必要があります。そのためには、適切な内容の「後遺障害診断書」の作成や、MRI画像等の客観的な医学的所見など、緻密な準備が不可欠です。
交通事故に精通した弁護士に依頼すれば、等級認定に必要な検査の指示や、医師への診断書作成の働きかけ、さらには被害者に有利な医学的所見をまとめた申請書類の作成など、全面的で強力なサポートを受けることができます。

被害者側に過失が一切ない
追突事故などのいわゆる「もらい事故」において、被害者側に一切の過失(落ち度)がないケースでは、弁護士への依頼が事実上必須となります。
交通事故では、「自分(被害者):相手(加害者)=2:8」のように、事故発生に対する責任の割合(過失割合)を算定します。完全に停車中に後ろから追突されたような場合は、過失割合が「0:10」となります。
実は、このように被害者の過失が「ゼロ」の場合、ご自身が加入している自動車保険の「示談代行サービス」が利用できないというルールが存在します。
保険会社が示談交渉を代行できるのは、法律上、保険会社自身がその事故に対して「金銭的な利害関係」を持っている場合に限られます。
被害者の過失がゼロであれば、加害者に対して賠償金を支払う義務が一切発生しないため、被害者側の保険会社が保険金を支払う必要もなくなります。つまり、保険会社にとって「自社の支払いに関係のない事故(利害関係がない)」となってしまうのです。
弁護士法第72条では、弁護士資格を持たない者が、利害関係のない他人の法律事務(交渉など)を代行することを固く禁じています(非弁行為の禁止)。そのため、過失ゼロの被害者は保険会社に交渉を任せることができず、自力で加害者側のプロの担当者と直接交渉しなければならなくなるのです。
プロを相手に孤軍奮闘して不利な示談を押し付けられないためにも、過失ゼロの事案では速やかに弁護士を代理人に立てる必要があります。
参考:電子政府の総合窓口(e-Gov)
弁護士特約に加入している
ご自身やご家族が加入している自動車保険などに「弁護士費用特約(弁護士特約)」が付帯している場合は、費用倒れのリスクがほぼゼロになるため、迷わず弁護士を利用してください。
弁護士特約とは、交通事故の解決を弁護士に依頼した際にかかる費用(相談料、着手金、成功報酬など)を、保険会社が代わりに負担してくれる極めて優れたサービスです。年間数千円程度の追加保険料で付帯されていることが多く、気づかないうちに加入しているケースも少なくありません。
この特約を利用すれば、原則として1名につき最大300万円までの弁護士費用を保険会社がカバーしてくれます。
通常の交通事故案件で弁護士費用が300万円を超えることは稀であるため、実質的に「自己負担ゼロ」で手厚い弁護士サポートを受けられる計算になります。特に、物損事故や軽微なケガなど、賠償額が少なく「費用倒れ」が懸念される事案においては、この特約の存在が絶大な威力を発揮します。

弁護士へ依頼するべきか見極めるポイント

「自分のケースで本当に弁護士を頼むべきか?」と迷った際の、具体的な判断ポイントを解説します。依頼後に後悔することがないよう、以下の点を確認してください。
費用倒れにならないか
弁護士に依頼するかどうかの最大の判断基準は、「弁護士介入による賠償金の増額分」が「支払う弁護士費用」を確実に上回るかどうか(増額分 > 弁護士費用)です。
弁護士の報酬体系は、獲得できた金額に応じた「成功報酬制」を採用していることが一般的です。しかし、もともとの損害額(賠償金)が極端に少ない軽微な事故の場合、弁護士費用の最低額(着手金や基本報酬)が上回ってしまい、結果的に依頼者が赤字になる「費用倒れ」が生じるリスクがあります。
良心的な法律事務所であれば、無料相談や見積もりの段階で、費用倒れのリスクがないかを客観的にシミュレーションし、依頼すべきでない場合は正直に指摘してくれます。金銭的な損を避けるためにも、正式な契約前に必ず費用対効果の明確な説明を求めてください。
タイミングが遅すぎないか
弁護士への相談は「早ければ早いほど良い」のが鉄則ですが、中には依頼のタイミングが遅すぎたために、弁護士であっても法的に手出しができなくなってしまうケースが存在します。
以下に、弁護士への依頼が事実上手遅れとなってしまう代表的な2つの事例をご紹介します。
すでに示談が成立している
すでに保険会社が提示した示談書(免責証書)にサイン・押印し、示談が完全に成立してしまっている場合は、後から弁護士に依頼しても内容を覆すことは極めて困難です。
ただし、ごく稀に例外として再交渉が認められるケースもあります。
例えば、示談成立時点では全く予期できなかった重篤な後遺障害が後になって判明したような場合など、当時の状況から見て予測不可能な重大な損害が発生した事案においては、追加での賠償請求が認められる可能性があります。
とはいえ、原則として示談のやり直しは不可能です。もし示談後に想定外の重大なトラブルが発生した場合は、自己判断で諦めず、ダメ元でも一度弁護士に状況を相談してみることをお勧めします。
損害賠償請求の時効が成立している
交通事故の加害者に対する損害賠償請求権には、法律で定められた有効期限である「消滅時効」が存在します。この時効期間が経過してしまうと、賠償金を請求する権利そのものが消滅してしまいます。
時効のカウントダウンは原則として、「被害者が加害者および損害の発生を知った日の翌日」から始まります。
具体的には、物損事故(および人身事故の物的損害部分)は3年、人身事故(ケガや後遺障害に関する部分)は5年で時効を迎えます。なお、ひき逃げなどで加害者が誰か判明しない場合は、事故発生日から20年が経過した時点で時効となります。
ただし、期間が過ぎたからといって自動的に権利が消滅するわけではありません。時効を成立させるためには、賠償金を支払う側(加害者や保険会社)が、「すでに時効が成立しているので支払いません」という意思表示(これを「時効の援用」と呼びます)を行う必要があります。
弁護士に相談する前に知っておきたい注意点

実際に弁護士事務所へ相談に赴く際、より有益なサポートを受けるために心がけておくべき注意点を解説します。
相談しやすい雰囲気の弁護士を選ぶ
専門知識の豊富さだけでなく、「この人なら些細なことでも気兼ねなく相談できる」と感じられる、コミュニケーションの相性が良い弁護士を選ぶことが大切です。
弁護士も人間ですから、性格や対応のスタイルは千差万別です。なかには高圧的な態度をとる人や、専門用語ばかりで分かりやすく説明してくれない人も残念ながら存在します。正式に依頼をすれば、長期間にわたって密に連絡を取り合うことになります。相性の悪い弁護士を選んでしまうと、不明点を質問しづらくなり、結果として大きなストレスと不信感を抱えることになります。

事実をありのままに伝える
弁護士に対しては、ご自身にとって不都合な事実であっても包み隠さず、ありのままの真実をすべて伝えることが極めて重要です。
「自分に過失があったことや、持病があったことを知られると不利になるのではないか」と不安になり、事実を隠したり嘘をついたりしたくなる気持ちは分かります。しかし、後になって相手方の証拠から不利な事実が発覚した場合、弁護士も事前の防御策を打てず、結果的に裁判や交渉で致命的な大敗を喫することになります。
交通事故時の弁護士への依頼についてまとめ
交通事故の被害に遭った際、適正な解決を図るためには弁護士の存在が不可欠となる局面が多々あります。弁護士が介入することによる「慰謝料の大幅な増額」や「煩雑な手続き・交渉ストレスからの解放」は、被害者にとって計り知れないメリットをもたらします。
費用倒れのリスクさえクリアできるのであれば、一人で悩み続けるよりも一刻も早く弁護士に相談し、専門的なアドバイスを仰ぐのが最善の選択です。
特に、重傷事故や後遺障害が残るような高額な賠償金が見込まれるケースや、ご自身の保険に「弁護士特約」が付帯しており費用負担の心配がない状況であれば、迷わず弁護士に依頼し、ご自身の正当な権利をしっかりと守り抜きましょう。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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