アメブロの特徴とは
アメブロ(アメーバブログ)は、株式会社サイバーエージェントが運営している国内最大手のブログサイトです。アメブロはユーザー数が多く、芸能人やスポーツ選手などの有名人が多数利用していることでも知られています。
誰でも無料で登録できる上に、簡単な操作でブログを投稿できるため、ブログ初心者にも人気を集めています。
このように、アメブロでは誰でも気軽に利用・投稿できる反面、残念なことに、特定個人や企業に対して誹謗中傷記事が投稿されるケースが後を絶ちません。
また、ブログ記事にコメントすることもできるため、誰かが投稿した記事のコメント欄に誹謗中傷が書かれるケースも多くあります。
アメブロの投稿やコメントによる悪影響
アメブロはユーザー数が多く、不特定多数の人が閲覧できます。そのため、個人や企業に対する誹謗中傷が投稿されると、個人や企業に対する世間からの評判・信用が大きく下落してしまうおそれがあります。
ここからは、実際にアメブロで書き込まれた誹謗中傷の事例について紹介します。
堀ちえみさんが誹謗中傷された事例
タレントの堀ちえみさんが運営するアメブロに中傷するコメントを繰り返し書き込んだとして、警視庁人身安全関連事案総合対策本部は、東京都迷惑防止条例違反の疑いで、奈良市の無職の45歳女性を書類送検しました。
女性は2020年10月~2021年5月に、堀さんのブログに159回にわたって「甘い物食べてがん再発すると良いですね」「どうか一生の眠りについてくださいね」「2年前亡くなってたら良かったですね」「不細工ですね」などと中傷する書き込みをしたとされています。
細川茂樹さんが殺害予告された事例
俳優・タレントの細川茂樹さんが運営するアメブロに、殺害予告のコメントを投稿していたとして、兵庫県西宮市の無職の44歳男性が脅迫容疑で逮捕されました。
2018年3月16日20時半ごろに、細川茂樹さんのブログに「バラバラ切断遺体にしなければならない」といった内容のコメントがされました。これを受けて細川さんは弁護士を通じて警察に相談し、被害届を提出して逮捕に至りました。
アメブロで禁止されている行為
amebaの利用規約第13条は、amebaが提供するサービスを利用する上での禁止行為を定めています。
会員又は利用者は、禁止行為に当たる内容・表現を含む書き込みや投稿、メッセージの送信は禁止されており、規約違反をすると削除措置などのペナルティが科せられます。
アメブロについてもamebaが提供しているサービスの一つですので、アメブロユーザーはamebaの利用規約に従う必要があります。ここからは、アメブロで禁止されている行為を一部紹介します。
良識に欠けるものや、品位に欠ける表現
殺害・虐待・自殺・自殺行為を肯定する内容や、助長するおそれのある内容の投稿は、良識に欠けるため禁止行為にあたります。過度に残虐又は暴力的な内容の動画・画像の投稿も禁止です。
さらに、アダルト画像、動画を含む内容の投稿も品位に欠ける表現として禁止されています。
他の会員や利用者、当社、その他第三者を誹謗中傷する表現
他の会員や利用者、当社、その他第三者について、誹謗中傷もしくは侮辱する、又は名誉や信用を傷つける行為、表現・内容の投稿は禁止です。
人種、民族、性別、信条、社会的身分、居住地、身体的特徴、病歴、教育、財産等による差別につながる表現・内容の投稿もしてはいけません。
また、本人の承諾のない個人情報(一般に公開されている著名人などの情報は除く)の投稿については、プライバシー侵害に当たるため禁止されています。
社会倫理や法令に反するもの
出会いを希望もしくは誘導することを目的とするもの、又はそのおそれのある行為、表現・内容の投稿は、社会倫理に反するため禁止されています。これには、異性との交際又は性交渉を目的として本サービスを利用する行為も含まれます。
さらに、他の会員に対し、個人情報(フルネーム、電話番号、メールアドレス、住所、本人の顔写真等)を聞き出す行為、又は健全な目的以外で個人情報を掲載・発信する行為も規約に反します。
最後に、相手に恐怖心を生じさせる目的で危害を加えることを予告する脅迫行為や、ストーカー行為は法令に違反します。
アメブロのコメントを削除する方法
アメブロはユーザー数が多いため、誹謗中傷による被害は甚大なものになってしまいます。そのため、悪質な投稿を見つけ次第、適切な方法で削除依頼しなければなりません。ここからは、ブログで書き込まれた誹謗中傷を削除する方法を解説します。
投稿者に直接削除依頼をする
アメブロでは記事の投稿者に直接メッセージを送れますので、誹謗中傷された場合は投稿者に記事の削除を求められます。加害者に直接コンタクトを取るため勇気が要る行動ですが、削除依頼が成功すればもっとも迅速に投稿の削除を実現できます。
投稿者に削除依頼する際には2つの方法があります。
1つ目は、ブログにあるコメント欄に削除依頼のコメントをする方法です。ただしユーザー全てに公開されるため、慎重にコメントを送信しましょう。
2つ目は、相手プロフィール内の「メッセージを送る」から直接連絡する方法です。
もちろん、削除依頼をしても投稿者が聞き入れてくれない場合も考えられます。そうならないためには、自分がどのくらい被害を受けたかの説明や、削除に応じなければ法的措置を取る意思を記載してメッセージを送ることが重要です。
特に、法律に違反する根拠などを書いておくと、投稿者も事の重大さに気づいて、自発的な削除を促すことができます。
設定を変更して誹謗中傷が送られないようにする
先ほど説明した通り、アメブロではコメント機能やメッセージ機能を設けています。そのため、自分がブログ運営している場合は、コメントに誹謗中傷が書き込まれたり、メッセージで直接悪口を言われるおそれがあります。
一方で、自分のブログを運営している場合は、設定を変更することで、ある程度の誹謗中傷を防げます。例えば、コメント機能を承認制にすることで、見ず知らずの人がコメントできないようにすることが可能です。また、ブログ記事自体に閲覧制限をかけることもできます。
運営会社であるサイバーエージェント社に削除依頼をする
投稿者が削除に応じない場合には、アメブロの運営会社であるサイバーエージェント社に削除依頼をしましょう。削除依頼は、権利者向け窓口のページで必要事項を入力して行います。
入力内容は以下の通りです。
- アメーバID
- メールアドレス
- 権利が侵害されているページURL
- 上記URLに記載されている侵害内容
- 侵害されている権利
- 希望の対応(削除対応またはAmebaでの確認)
- あなたの立場(本人または代理人)
- 権利者であることを証明できるWEBページのURL
削除依頼の際には、利用規約の条文を引用して、どの規定に違反しているかを具体的に指摘しましょう。
また、自分のどのような権利が侵害されているかを具体的に説明しなければなりません。どのように記入すれば良いかわからない方は、弁護士などの専門家に詳しく教えてもらえますので、一度相談してみるのがおすすめです。
裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てる
サイバーエージェント社に対して削除依頼を行っても、投稿内容の審査に時間がかかったり、そもそも削除が認められなかったりする場合があります。
確実に投稿を削除してもらいたい場合は、裁判所に対して「仮処分申立て」を行い、裁判所からサイト側に削除命令を出してもらいましょう。仮処分とは、正式な裁判手続きを経ることなく、本裁判に勝ったときと同様の状態を確保できる手続きです。
通常の裁判は判決が出るまでに半年〜1年程度かかりますが、仮処分の申立ては簡易な手続きですので、2週間〜1ヵ月程度の短期間で結論がでるのが特徴です。
仮処分が認められると、裁判所からサイト管理者のサイバーエージェント社に対して、投稿削除の仮処分命令が言い渡されます。裁判所が命令を出すことで、該当の記事をほぼ確実に削除できるのがメリットです。
アメブロの投稿やコメントが削除されない場合の対処法
依頼しても削除が認められなかった場合は、弁護士などの専門家に相談するのも手です。また、誹謗中傷によって名誉棄損、侮辱、肖像権侵害などの被害を受けたときは、発信者を訴えることで法的な責任を問うことができます。
ここからは、深刻な誹謗中傷をしてきた投稿者を訴える方法を解説します。
発信者情報開示請求で投稿者を特定する
アメブロは匿名で記事投稿やコメント入力ができます。そのため、投稿者を訴えるためには、投稿者の身元を特定しなければなりません。
投稿者を特定するには、アメブロの運営会社であるサイバーエージェント社に対して、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行います。
まず、投稿に利用されたデバイスのIPアドレスを開示請求します。裁判外で開示請求することもできますが、個人情報に関する情報開示ですので断れるケースがほとんどです。その場合は、裁判所に対して発信者情報開示の仮処分申立てを行います。
IPアドレスが判明すれば、次にインターネット回線を提供するプロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。開示請求の対象は投稿者の氏名、住所、電話番号などになります。これらの個人情報は慎重に扱う必要があるため、仮処分ではなく通常の民事裁判で開示請求することになります。
特定した投稿者を訴える
投稿者が特定できれば、投稿者の住所宛てに内容証明郵便を送付して、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起します。
ただし、裁判には時間と費用がかかってしまうため、できれば簡単な手続きで損害を賠償させたいところです。その場合は、投稿者と示談交渉をすることで、当事者同士の話し合いに基づき損害賠償金を受け取ることが可能です。
投稿者が示談に応じない場合には、裁判にて損害賠償請求します。裁判では、投稿の違法性や自分が受けた損害について、証拠に基づいて立証しなければなりません。
まとめ
アメブロは多くのユーザーが見ているサイトですので、誹謗中傷によって受ける風評被害は甚大なものとなるおそれがあります。悪質な投稿を発見した場合は、削除依頼するなどして正しく対処しましょう。
名誉毀損やプライバシー侵害など、著しい被害を受けた場合は、投稿者を訴えることで損害賠償ができます。適切な方法で対処するためには、一人で抱え込まずに弁護士などの専門家にアドバイスしてもらうのがおすすめです。