名誉毀損について弁護士が徹底解説!あなたの現状を解決できる?

名誉毀損について弁護士が徹底解説!あなたの現状を解決できる?

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名誉毀損はどのような要件で認められ、成立するとどのような責任が発生するのでしょうか。

本記事では、名誉毀損についての詳細を説明し、実際の判例を確認しながら、名誉毀損されたときの解決策を説明します。

名誉毀損とは?

名誉毀損とは、相手の社会的信用を貶める情報を言いふらして、他人の名誉を傷つける行為を指します。

名誉毀損をおこなうと、民事や刑事で法的責任を負います。

  • 民事では、損害賠償責任や慰謝料請求を根拠づける不法行為が成立します。
  • 刑事では、刑法240条の名誉毀損罪が成立し、3年以下の懲役刑もしくは禁錮刑、または50万円以下の罰金に処せられます。

名誉毀損が認められる構成要件とは?

名誉毀損の構成要件は、公然と事実を摘示して、人の名誉を毀損することです。ここからは「公然」「事実を摘示」「人の名誉を毀損」が指す内容について、それぞれ詳しく説明します。

公然性

公然」とは、たくさんの人たちが見たり聞いたりできる状態を指します。

例えば、インターネットの掲示板やメルマガ、メーリングリスト等は、それらを利用する人であれば閲覧することができるので、「公然性」があるといえます。

なお、特定の人へのメールなど限られた人しか閲覧できない場合は「公然」とはいえませんが、そこから世間に出回るリスクがあることを認識していた場合は、公然性が認められる場合があります。

事実を摘示

事実を摘示とは「◯◯は会社の金を横領してパチンコに通っている」など、具体性のある情報を言いふらすことです。

では、発信した情報が本当のことであれば、罪は成立しないのでしょうか。この点、内容の真偽は問題にならず、たとえ本当のことを言ったとしても、相手の信用を貶める発言を拡散すれば名誉毀損が成立します。

人の名誉を毀損

名誉毀損の保護対象は「人の名誉」です。

まず、客体である「」とは、一般的な自然人だけでなく、「法人」や「法人格の無い団体」も含まれます。一方で、自然人や法人が取り扱っている商品やサービスなどの「物」に対する感想や批評の場合は「名誉棄損」に該当しません

また、「人」が誰であるか判明している必要があるので、誰に発したのかわからない場合は名誉毀損に当たりません。

ただし、イニシャルや伏せ字、匿名表記、などであっても、内容から容易に人物の特定が可能な場合は名誉棄損に該当します。

次に、「名誉」とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける外部的名誉(客観的評価)を意味します。一方で、プライドなどの名誉感情(主観的評価)は、保護対象に含まれません。

名誉棄損罪が成立しないのはどんなときか

構成要件に当てはまる場合でも、表現の自由との調和の観点から、名誉毀損が成立しないケースがあります。例えば、政治家や企業による不正、不祥事に関わる情報を発信するのは、公正な社会を実現するために必要なことです。

このように、個人の名誉の保護と表現の自由との調和を図るべく、刑法230条の2に規定している一定の要件の下で名誉毀損は不成立になります。

ここからは、名誉毀損が不成立になるために必要な要件をそれぞれ説明します。

公共性がある

一つ目の要件は、発信した情報に公共性があることです。公共性とは、社会一般に影響や利害をもたらす性格のあるものを指します。

例えば、政治家の不祥事の事実は、有権者がその人に投票するか否かの判断材料になるので、社会的に有益な情報と判断され公共性があるといえます。

一方で、芸能人の不倫の事実などについては、社会にとって重要な情報ではないため、公共性はありません。世間の人が知りたがっていると思って芸能人のプライベートを暴いてしまった場合は、プライバシー侵害にあたります。

POINT
このように、発信した事実に公共性があるかどうかは、その情報に社会的な価値が含まれていることがポイントになります。
公益目的である

二つ目の要件は、情報を公開する目的が公の利益を図るためであるということです。例えば、企業が不祥事を働いたという情報を拡散するのは、私怨ではなく公正な社会を実現するための行為です。

反対に、個人的な恨みや単に加害を加える目的で企業のイメージを失墜させる情報を拡散した場合は、その情報に公共性があっても公の利益を図る目的がないとみなされます。

真実であることを証明できる

三つ目の要件は、発信した情報の真実性が証明できることです。事実の内容がデマである場合には、たとえ社会のためにおこなわれたものであっても、原則として名誉毀損の成立は免れません。

では、真実だと誤信して(デマを拡散しようと意図せずに)情報を発信し、その結果、真実性の証明に失敗した場合、即座に名誉毀損が成立するのでしょうか。

この点、最高裁の判例では、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、違法性が阻却され罪は成立しないものとされています。

名誉毀損罪と侮辱罪の違い

名誉毀損罪と類似した犯罪に侮辱罪があります。侮辱罪とは、その名の通り他人に侮辱的発言をした際に科せられる犯罪です。侮辱罪は、名誉毀損と同様に公然性がなければ犯罪になりません。

では、名誉毀損罪と異なる点は何でしょうか。相違点についてそれぞれ説明します。

具体的な事実に言及しない

名誉毀損が成立するためには、「〇〇は浮気している」などの具体的事実に言及する必要があります。一方で、侮辱は「間抜け」「能無し」など、抽象的な悪口を発した際に成立します。

法定刑が異なる

名誉毀損を犯すと「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」に科せられます。一方で、侮辱を犯した場合の罰則は「拘留または科料」のみとなっており、刑法の中でも最も軽い法定刑になっています。

このことから、名誉毀損の方が罪として遥かに重いことがわかります。

名誉毀損で慰謝料の請求はできる?

上記のように、名誉毀損が認められると懲役刑や罰金などの刑事上の責任を負います。では、犯人に対して金銭で賠償してもらいたい場合、民事上で慰謝料請求はできるのでしょうか。

慰謝料請求が規定されている不法行為責任の規定を確認しながら説明します。

不法行為責任とは

民法709条は、「不法行為にもとづく損害賠償」を定めています。不法行為とは、故意や過失がありながら、違法行為によって他人に損害を与えることです。

そして、民法は、不法行為によって被った損害については、加害者に損害賠償請求ができると規定しています。

不法行為の成立要件として、

  • 行為によって他人の権利・利益を侵害したこと
  • その行為が故意や過失にもとづくこと
  • 被害者に損害があったこと
  • 行為と侵害および侵害と損害との間に因果関係があること

が必要です。

たとえば、人を殴ったときや物を盗ったときなどに不法行為が成立します。なぜなら、これらは故意や過失に基づいた行為であり、違法な手段によって被害者に損害を与えているからです。

名誉毀損による慰謝料請求

インターネットで誹謗中傷された場合、民法709条の要件をみたすことを前提に、民法710条が定める慰謝料請求をすることになります。

名誉が傷つけられると精神的苦痛が発生するので、民法710条にいう「財産以外の損害」が生じます。そして、この「財産以外の損害」は、誹謗中傷されたことで生じたものですので、行為と損害との間の因果関係もあります。

したがって、犯人に対して民法710条を根拠にして慰謝料を請求することができます。

名誉毀損に時効はあるのか?

名誉毀損が成立すると、加害者に対して刑事告訴や民事上の慰謝料請求をすることができます。

ただし、刑事と民事の両方に時効制度が存在しており、これらの請求権を行使しないまま一定期間が経過してしまうと、訴えを提起できなくなってしまいます。ここからは各時効制度について説明します。

告訴期間の制限

告訴とは、被害者などの告訴権を有する者が,警察や検察等の捜査機関に対して犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求めるものです。

名誉毀損罪は、被害者などによる告訴がない場合、検察官が起訴できない親告罪に分類されます。そして、親告罪の告訴は、犯人を知った日から6ヶ月以内にしなくてはならず、これを経過した場合は告訴することはできません。

告訴期間の起算点は「犯人を知った日」ですが、これは犯罪行為が終了してから犯人を知ることを指します。

例えば、投稿が残っている間は犯罪行為が終了していないとみなされます。そのため、投稿が削除されない間は、名前や住所などの投稿者の情報を入手していたとしても、告訴期間が進行することはありません。

公訴時効

公訴とは、検察官が裁判所に起訴状を提出して裁判を求めることです。公訴においても、犯罪行為が終了してから一定の期間が経過すると、検察官が起訴できなくなる時効制度が存在します。

公訴時効の成立期間は犯罪類型ごとに異なり、名誉毀損罪は3年経つと公訴時効が成立します。

公訴時効は、原則として犯罪行為が終わった時からカウントが進みます。そのため、名誉毀損罪の書き込みをされた場合は、投稿が削除されてはじめて犯罪行為が終了したとみなされ、公訴時効のカウントが進みはじめます。

 公訴時効が進行している場合、告訴状の提出や犯人の身柄を確保(逮捕)するだけでは、公訴時効は停止しません。必ず公訴を提起する必要があるので注意しましょう。

民事上の消滅時効

民事上における慰謝料請求権の行使にも時効規定があります。「損害及び加害者を知った時」から3年が経過し、時効の効果を主張する者(加害者)が時効を援用(時効の規定による利益を受ける旨の意思表示)した場合、被害者側の慰謝料請求権を行使できなくなります。

また、不法行為の時から20年間権利を行使しなかった場合においても、時効の援用によって損害賠償請求することができなくなります。

過去に名誉毀損が認められた判例の紹介

ここからは実際に名誉毀損が認められた判例を見ていきましょう。損害賠償の額も記載しておくので参考にしてみてください。

芥川賞作家の女性が、インターネットで脅迫や名誉毀損された事例

芥川賞作家の川上未映子さんは、ネット上の掲示板やブログで脅迫や名誉毀損の内容を書き込まれたとして、東京都新宿区の女性を相手に、約450万円の損害賠償を求めました。

加害者である女性は、2018年の8~9月にかけて、自身が開設したブログに直接面識のない川上さんの名を挙げ「私のストーカー」などと書きこみました。同年10月にはネット掲示板「5ちゃんねる」に「やるっきゃない、さすしか」などと投稿したほか、ブログにも「今必要なのは恨みを晴らす直接的な行動」と、身体や生命に実害を加えることをほのめかす投稿を複数おこないました。

川上さんは、同年11月に都内で公開対談イベントに出演予定でしたが、警視庁玉川署に相談したところ、取りやめるよう要請され、それを受け入れました。

 東京地裁でおこなわれた裁判では、女性の投稿は「生命、身体に対する加害行為を示唆する表現で違法」と指摘し、名誉毀損の成立も認め、女性に約320万円を支払うよう命じました。

安全保障関連法に反対した学生団体がSNSで名誉毀損された事例

安全保障関連法に反対した学生団体である「SEALDs(シールズ)」のメンバーであった2名が、Twitterで誹謗中傷が含まれる内容の投稿をされ、名誉を傷つけられたとして、東京都品川区の女性に計990万円の損害賠償を求めました。

加害者の女性は2016年1月から2018年6月にかけて、匿名のアカウントで学生団体に所属するメンバーの実名を挙げ、「工作員」「売春婦」「報酬のためにデモしただけ」などと計33件もの投稿を繰り返しました。

 東京地裁でおこなわれた裁判では、大半の投稿が中傷に当たると認定し、臆測と強引な関連付けで個人を攻撃した色彩が強く悪質であると指摘しました。判決では、加害者の女性に計99万円の支払いを命じました。

女性サイエンスライターが名誉毀損された事例

サイエンスライターの片瀬久美子さんは、森友・加計問題に関して「政府には説明責任がある」とTwitterで批判意見を述べました。すると、2017年7月から片瀬さんに向けて「昔淫売をやっていた」「娘にも淫売を強要」「旦那は強姦魔」「研究費を着服した」「不正に学位を取得」などの名誉毀損にあたる誹謗中傷がされるようになりました。

片瀬さんは、その中でも特に酷かったものについて法的措置を取ることを決めました。まずTwitter社に対して2018年4月、発信者情報開示請求を行い、翌月、IPアドレスの開示が認められました。

そこで得たIPアドレスをもとに、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して発信者情報開示請求を行い、それと並行して、警察に相談し、被害届を提出しました。その結果、本人の特定に成功し、訴えを提起。

 判決では、片瀬さんの主張が全面的に認められ、投稿者に対して約260万円の支払いが認められました。

弁護士に相談するとどうなるか?

インターネットで名誉毀損された場合、弁護士などの法律の専門家に相談することで、トラブルをスムーズに解決できます。ここからは、弁護士に相談した際のメリット・デメリットについて解説します。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に相談したメリットは、大変な裁判手続を全て代行してくれることです。

誹謗中傷記事の削除を求める場合は、裁判所で仮処分を申請するケースが一般的です。また、犯人を特定した場合は、プロバイダに対する複数の発信者情報開示請求をする必要があります。

ところが、仮処分も発信者情報開示請求も、裁判所を利用した専門的な手続きですので、法律に馴染みのない人が自力でおこなうのは困難です。そのようなときは、弁護士に依頼することで、面倒な裁判手続を全て代行してもらうことができます。

なるべく裁判手続に時間を費やさずにトラブルを解決したい場合は、弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼するデメリット

弁護士に依頼するデメリットは,弁護士費用がかかることです。弁護士に事件処理を依頼した場合には,弁護士費用を負担することになります。

法律相談なら5000円~1万円の相談料だけで済みますが,事件処理を依頼するとなれば,少なくとも10万円程度の費用はかかってしまいます。

弁護士に依頼すると、トラブルの解決を全面的に任すことができますが、事件処理を依頼する際の弁護士費用は決して安くないということを念頭に置きましょう。

まとめ

名誉毀損は、他人の名誉を貶めたときに認められます。もし、名誉毀損の被害にあったときは、被害が拡散する前に対策を講じましょう。

困ったときは弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。弁護士に依頼することで、大変な事件処理を代理でおこなってもらえます。まずは法律事務所のホームページや電話から気軽に相談してはどうでしょうか。

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