毎月の返済で苦しいけど、債務整理が今後の生活にどれほで影響するか不安・・・
任意整理をしたら、生活がどう変わってしまうのだろう?
こんな不安を抱えている方も少なくないでしょう。
債務整理をすれば、借金総額を大幅に減らせるというメリットがある一方で
一定期間クレジットカードが使えない、ローンが組めないといったデメリットもあります。
この記事では、債務整理後どんな影響が出るのか、債務整理後ローンは組めるのかなど詳しく解説します。
債務整理後の金銭的な影響
そもそも債務整理とは、借金問題を解決できる法的手段を指します。
債権者との直接交渉や、裁判所を介して借金の減額をしたり、免責により借金自体を0にすることが可能です。
主な債務整理の手続きに、任意整理・個人再生・自己破産があります。
よくある疑問として、以下の項目があげられますが手続きごとにどんな違いがあるのでしょうか。
・住宅ローン、持ち家について
・自動車ローンについて
・財産について
各手続きで、どのような影響が出てくるのか項目ごとに確認しておきましょう。
クレジットカードはどの手続きでも使えなくなる
どの手続きをしても、クレジットカードは新たに作れなくなります。
これは債務整理をした時点で、共通して信用情報機関に事故情報が載るためです。
また原則として、使っているカードも解約扱いとなり使えなくなります。
今使っているクレジットカードに家族カードやETCカードが紐付いていた場合、それらもメインカードと一緒に使えなくなります。
毎月の引き落としにクレジットカードを利用している場合は、一時的に口座引落しにしたり
デビットカード払いに変更する必要がでてきます。
任意整理でカード会社を対象外にした場合のみ、今まで通りの返済をすることでクレジットカードの契約を維持することは可能ですが、新たな借金を作らないためにも
一度支払い方法を見直すとよいでしょう。
住宅ローン、持ち家について
債務整理をすると、持ち家に住めなくなるというイメージをお持ちの方もいるでしょう。
しかし厳密にいうと、手続きによってどこまで影響が出るかは変わってきます。
■任意整理の場合
任意整理の場合は、裁判所を介さず債権者と直接交渉するという手続きのため、
住宅ローン会社を債務整理の対象外とすれば
今まで通りローンの返済を続けることで持ち家に住み続けることができます。
そういった意味で、影響はほとんどないといえるでしょう。
■個人再生の場合
個人再生は任意整理と異なり、裁判所を介して債権者と交渉する手続きです。
裁判所に再生計画を申し立て、認可をもらうことで借金を大幅に減額することができます。
こちらは原則すべての債権者を対象として行う手続きですが、
住宅ローン特則という制度を使うことで、持ち家を残しながら個人再生手続きをすすめることが可能です。
住宅ローン特則を使うには、住宅ローン支払いの継続、本人所有であること、抵当権の有無などいくつか条件を満たす必要があります。
とはいえ、持ち家を手元に残しつつそれ以外の借金を大幅に減額することができるので
恩恵は大きいといえるでしょう。
■自己破産の場合
自己破産は、裁判所に申立てをして免責許可により借金の免除(免責)してもらう手続きです。
自己破産の場合は、債権者すべてが対象となる上、手元に残せる財産は自由財産という生活に必要なものだけです。
そのため住宅ローンが免除される代わりに持ち家も手放すことになります。
自動車ローンについて
自動車ローンも住宅ローンと同じように、どの債務整理をするかによって影響が異なります。
個人再生と自己破産の場合は、自動車を手元に残すことは出来ません。
任意整理、かつ、自動車ローンの融資先を債務整理対象外にした場合は手元に残すことができます。
財産について
債務整理をすると、すべての財産が没収されてしまうのではと心配になる方もいるでしょう。
ローンを組んでいるものは、ローン会社に回収されるのが通常ですので、
そういった心配をされてしまうのは仕方ないかもしれません。
実際のところ、自己破産では自由財産と呼ばれる生活に必要な一定額の現金、家財道具以外は回収されてしまいます。
ただ、任意整理・個人再生では自分名義になっている財産は処分されません。
自己破産でも、以下のような財産は差し押さえ禁止となっています。
・一ヶ月に必要な食料や燃料
・政令で認められた、標準的な世帯の二ヶ月間の必要生計費
自己破産であっても、「明日から生活できない」ということはありません。
自分にとって、どれがベストな手続きなのかしっかり確認しましょう。
債務整理後の暮らしへの影響
債務整理をすることで、家族や仕事、暮らしはどのように影響してくるのでしょうか。
以下で整理しておきましょう。
仕事への影響はほとんどない
一般的に債務整理を解雇事由にするのは不適切とされているので、債務整理を理由に職を失うことは少ないでしょう。
ただし自己破産をしたときのみ、弁護士・税理士・行政書士などの士業、銀行員などの団体役員、取締役などの会社役員など、一部の職業では一定期間その仕事ができなくなります。
しかし資格の剥奪などはないので破産手続きが完了し、復権すれば再度その仕事をすることも可能です。
就業制限があるのは、自己破産だけです。
任意整理と個人再生にはそういった制限はありません。
一部の士業や団体役員、会社役員など就業制限対象とは別の仕事に就いていたり、債務整理の手続きが任意整理と個人再生だった場合は、影響がでることはほとんどないでしょう。
賃貸契約などの引っ越しへの影響はない
基本的に、債務整理をしても、賃貸物件の契約をすることは可能です。
入居時の審査が通るだろうかと心配になる方もいるかもしれませんが、
一般的に不動産会社は信用情報機関の事故情報を見ることはできません。
ただし、家賃支払いがクレジットカードと指定されていたり、保証会社を利用する際に信販系の保証会社が指定されている場合は、審査に通らない可能性もあります。
家族の信用情報は傷つかない
債務整理をしても、家族の信用情報が傷つくことはありません。
ただし、状況次第では暮らしへの影響が出る可能性はあります。
例えば、債権者の破産により自宅を競売にかけられ引っ越しをしなくてはいけなかったり、
債務者名義のクレジットカードに付帯する家族カードを使っていた場合は、そのカードは使えなくなります。
また、妻が夫の借金の連帯保証人になっているようなケースですと、夫が債務整理をすることで妻に請求がいくため今後の生活に影響が出てしまうでしょう。
家族の信用情報は傷つかないので、家族名義でクレジットカードやローンを契約することはできますが、状況次第でマイナスな影響が出てしまうということは把握しておきましょう。
債務整理後の支払いはどうなる?
ここまで、債務整理後の暮らしにどういった影響が出てくるか確認しました。
それでは実際の支払いはどうなるのでしょうか?
返済は楽になる
債務整理の手続きが完了すると、その時使っていたクレジットカードやローンの返済額は再計算で減額されます。
その後は、毎月債権者が指定する口座に決まった金額を振り込むようになります。
任意整理では利息や遅延金が、個人再生では元本が大幅に減額されるため、
毎月の支払いが楽になります。
また、債務整理手続きを弁護士や司法書士に依頼すると、債権者に受任通知が送られるタイミングで、支払い催促や請求がストップします。
その間に家計を見直したり、余裕ができたら返済金を積み立てることも可能です。
弁護士や司法書士からも、計画的に返済できるようアドバイスをもらいながら返済準備をすすめることで、心理的にも金銭的にも余裕ができるでしょう。
支払ができなくなった場合
注意したいのは、債務整理後の支払いができなくなるケースです。
任意整理や個人再生では、弁済計画に則って毎月の返済をしていきます。
しかし予期せぬトラブルなどで、返済が滞ってしまうケースもあるでしょう。
ここでは債務整理後の支払いが困難になるとどうなってしまうのか、解説していきます。
任意整理の場合:再和解・追加介入
任意整理後に返済が滞った場合、どのくらい遅れたかによって対応が変わります。
滞納回数1回とカウント、本来の支払期限に間に合うよう挽回のチャンスあり
②滞納期間が2ヶ月超え
債権者から一括請求の通知が届く
例えば、1月分の支払いが間に合わなかったため、2月に2回分支払うといったケースでは滞納分がなくなるため問題ありません。
しかし、2ヶ月以上滞納してしまうと債権者から一括請求の通知が届き「期限の利益」がなくなってしまいます。
そうなると、残りの返済額を一括で支払わなくてはなりません。
再び分割払いにするためには、再和解・追加介入どちらかで対応する必要があります。
再和解とは、債権者と再び直接交渉し、返済計画を見直してもらう手続きです。
再和解が成立すれば、現在の収入に見合った返済計画で分割払いができますが、一度目と比べると再和解成立の難易度は高いといえるでしょう。
再和解が成立しない場合は、追加介入を検討することになるでしょう。
追加介入とは、はじめの任意整理で対象としていなかった債権者と任意整理での和解を目指す方法です。
任意整理対象の債権者を増やすことで、全体の支払い額を減らすことで、手元に残るお金を増やすことが狙えます。
ただし、はじめの任意整理ですべての債権者を対象としていた場合は、この方法は使えないので注意が必要です。
追加介入でも解決しない場合は、個人再生や自己破産を検討する必要があるでしょう。
個人再生の場合:再生計画が取消される可能性があるので注意
個人再生が成立すると借金元本を大幅に減額することができる反面、支払いが滞ると
再生計画が取消されてしまう可能性があります。
そうなると、せっかく減額した借金がもとに戻ってしまう上、手続きにかかった時間やお金がすべて無駄になってしまいます。
リストラなどのやむを得ない事情があった場合、返済期間の延長の申立てをしたり、
借金の4分の3以上を返済しているなど一定条件で残額の免除を申し立てできるハードシップ免責などの制度もあります。
しかし、これらは一般的に申し立てても裁判所に認めてもらうのは難しいといわれています。
そうなると、マイホームを始めとしたほとんどの資産を手放す自己破産を検討しなくてはなりません。
個人再生で支払いが難しくなりそうな段階で、弁護士などの法律のプロに相談しましょう。
債務整理後にローンを組むためには?
債務整理しても、一生ローンが組めないわけではありません。
ただし制限がないわけではなく、事故情報が信用情報機関から削除されるまでローンが組めなくなります。
債務整理後にローンを組むにはどうしたらよいのでしょうか。
事故情報が消えるまで待つ
1つめのポイントは、信用情報機関から事故情報が消えるまで待ってからローンを申し込むことです。
CIC・JICC・KSCで管理している事故情報は、5〜10年後に削除されます。
事故情報が削除される前にローンに申し込み、審査に落ちると「ローンの審査に落ちた」ということが記録されてしまい、その後同じ会社へローンの審査を依頼したときに影響が出る可能性もあります。
そうならないためにも、自分の事故情報が確実に消えているか、各機関へ問い合わせしておきましょう。
同じグループ企業は避ける
事故情報が消えていたとしても、もともと借入をしていた会社やそのグループ会社へ新たなローンの申し込みをするのは避けましょう。
各金融機関独自の基準で作られたリスト、いわゆる社内ブラックリストに載ってしまっている可能性があるからです。
社内ブラックの情報は、関連会社・グループ企業にも影響がでるといわれています。
例えば、アコムの系列銀行は三菱UFJフィナンシャルグループ、プロミスだと三井住友銀行グループとなります。
ローン自体の申込みは別の会社でも、審査や保証をするのがグループ会社だと社内ブラックの情報から審査が通らない可能性があるということです。
こういった理由から、債務整理対象にした金融機関やその関連会社は避けた方がよいといえるでしょう。
債務整理で後悔しないために
債務整理をすると、家族や友人に知られてしまうのでは・・・
債務整理は最終手段、まだ手を出したくない・・・
こんな風に不安に思われているかもしれません。
確かに、債務整理は利息や遅延金、借金元本が減る一方で、クレジットカードが解約されたり、ローンが組めなくなるなどのデメリットもあります。
債務整理で後悔しないために、以下のポイントを抑えておくとよいでしょう。
専門家に相談する
1つめのポイントは、弁護士などの法律のプロに相談することです。
弁護士であれば、個別相談、書類作成、代理対応などのトータルサポートが可能です。
また、無料相談を行っている弁護士事務所もあるので、自分と相性が合うかどうか、信頼できる弁護士なのか確認してから手続きを依頼するかどうか決めることができます。
何より相談することもなかなか難しい悩みを打ち明けられる、一緒に解決まで伴走してくれる心強いパートナーができるのです。
一度話をきいてみてはいかがでしょうか。
債務整理をきっかけにして生活を見直す
2つめのポイントは、債務整理が生活を見直す大きなきっかけになるということです。
デメリットでもあげましたが、債務整理をするとクレジットカードは強制的に解約になりますし、ローンも一定期間組めなくなります。
また、手続きの中で「なぜ借金をしてしまったのか、返済不能になってしまったのか」を振り返り、裁判所に陳述書として提出します。
今まで「まずい」と思いながら使っていたクレジットカードが止まり、借金が返済できないという現実に強制的に向き合うことになるのです。
そのため、自分の手元にあるお金でやりくりする術を身につけることができ、結果生活が大きく見直されることになります。
まとめ:日常生活への影響は少なくないが、真剣に悩んでいるなら一度弁護士に相談しよう
債務整理をすると、一定期間クレジットカードが使えなくなったり、ローンが組めなくなります。
手続き次第では、マイホームや自動車を手放さなくてはいけないケースもあります。
しかし、家族の信用に傷もつきませんし、賃貸契約や一部の職業以外で仕事への影響はほとんどありません。
とはいえ、今まで当たり前に使えていたクレジットカードやローンが使えない、手放さなくてはいけない財産が出てくることで日常生活への影響は少なからずあるでしょう。
それでも目の前の借金問題を解決したいのであれば、弁護士に相談しましょう。
法律のプロの目線で的確なアドバイスが期待できますし、何よりあなたの味方になってくれるからです。
無料相談もあるので、一度話をきいてみてはいかがでしょうか。
きっと借金問題解決へ、背中を押してくれるでしょう。