任意整理をした後の支払い方法と返済期間

債務整理

債務整理を考えていても、その後の返済スケジュールや月々の返済額がどのようになるのかがおよそでもわからないと不安になると思います。

そこで今回は、任意整理の支払方法や返済期間、支払いが遅れたときの対処方法などについてわかりやすく解説します。

1 任意整理の支払いまでの流れは?

任意整理に着手して、実際に支払いを開始するまでの流れは以下のようになります。

(1)受任通知の発送

任意整理を依頼する弁護士との間で委任契約を締結すると、弁護士は貸金業者等の各債権者に受任通知を発送します。

受任通知では、債務者の代理人として債務整理業務を開始することや取引履歴の開示を依頼する旨が記載されることが一般的です。
受任通知を受領した債権者は、それ以降、弁護士とやり取りすることになりますので、債務者に対して直接取り立てることを停止します。

(2)引き直し計算の実施

債権者から取引履歴の開示を受けた弁護士は、利息制限法所定の利率に引き直す計算を実施します。
その結果、過払い分が発生していれば、その分を借金に充当し、支払額を確定します。

また、引き直し計算の結果、完済していることが判明し、そのうえで過払い金が発生していれば、債権者に対して、過払い金を返還するよう請求することになります。

(3)和解交渉・和解書の作成

弁護士は、引き直し計算により確定した支払額を基に、債権者との間で支払条件について和解交渉を行います。

任意整理の場合は、将来の利息をカットして返済の厳しい債務を完済する方針での和解を目的とします。利息が比較的高いクレジットカードのリボ払いや消費者金融からの借入に有効です。
裁判所を通さないため、債権者が交渉に応じるかは債務者の状況や条件、弁護士らの交渉によるところが大きくなります。

支払条件について債権者との間に合意が成立すると、両者間で和解書を作成・締結することになります。

(4)支払いの開始

債務者は、合意書に従って、支払いを開始します。

2 任意整理から完済までの期間

依頼から和解契約までの期間

弁護士に任意整理を依頼した場合、和解が成立するまではおおよそ3か月ほど、借金額が大きかったり、交渉相手が増えると6ヵ月ほどになることもあります。
内訳は
・依頼された弁護士が受任通知と取引履歴の開示請求書を貸金業者に送り、引き直し計算を終えるまでに1ヶ月ほど
・和解案の作成、和解交渉、和解合意までは2か月ほど

となります。もちろん、あくまで目安ですので、まずは依頼する弁護士にどのぐらいかかるのかを聞いてみることがオススメです。

借金を返済する期間

和解内容によりますが、返済期間は3年(36回)~5年(60回)が目安となります。

一般的には3年間ですが、借金の額が大きすぎたり、月々の返済が厳しかったりする場合は5年ほどで返済していくケースもあります。

3 任意整理後の支払い方法

債権者との交渉により、支払条件について和解が成立すると、債務者は和解書に従って借金を返済していくことになります。
具体的な支払方法は、以下の2つの方法が挙げられます。

(1)自分で業者の口座へ振込む

一つ目として、債権者が指定する口座に自分で直接振り込む方法があります。
もっとも、債権者が複数に上ると、それぞれに返済期間や月々の支払額が異なります。

そのため、自分で直接振り込む場合には、支払いの漏れが出ないよう、自分できちんと管理する必要があります。

(2)振込代行サービスを利用する

弁護士に任意整理を依頼した場合、法律事務所によっては、振込を代行してくれるところもあります。

この場合、債務者は、弁護士との間で取り決めた振込日までに、月々の支払額を弁護士名義の口座に振り込みます。あとは弁護士が、各債権者に対して、支払額を分けて送金してくれます。
もっとも、弁護士に振込代行を依頼する場合には、1社につきおよそ1000円の代行手数料がかかりますが、債務者は弁護士名義の口座に月に1回振り込むだけで済むため、支払いの漏れを防ぎ、手間を減らすことがメリットです。

あまりにも債権者数が多ければ、支払の漏れを防ぐためにも、振込代行サービスを利用することをお勧めしますが、その分だけ代行手数料もかかります。
そのため、代行手数料だけで総額どの程度かかるのかということも試算したうえで、振込代行サービスを利用するかどうかを決めた方がよいでしょう。

4 振り込みの証拠の取り方

自分で直接業者の口座に振込む方法で返済していく場合には、確かに返済したという証拠を残しておく方が良いでしょう。

万一、業者から「返済を受けていない」と言われた場合に、返済したことの証拠を残していないと、債務者は返済した事実を業者に対抗できなくなってしまいます。

具体的には、振込みをした場合には振込明細書や通帳の履歴、直接返済金を持参した場合には債権者から発行された領収書を保管しておくことが大切です。

5 支払いができなくなったときの対処法は?

任意整理をした場合、返済期間は3~5年と長期にわたることが一般的であるため、この間に、事情が変わり支払いができなくなることも十分に考えられます。

たとえば、弁護士に任意整理を依頼した場合において、途中で支払いができなくなったときは、何よりもまず始めに弁護士に相談することが大切です。

弁護士に相談することなく、独断で対処しようとすると、かえって事態が悪化する可能性があります。そのうえで、以下のような対処法をとることが考えられます。

(1)翌月に2ヵ月分まとめて支払う

任意整理では、通常、支払いを2回以上(2ヵ月分以上)滞納すると、「期限の利益」が失われてしまい、債権者から残りの借金を一括で返済するように請求されてしまいます。
滞納が2ヵ月分にならなければ、「期限の利益」は失われないため、翌月に2ヵ月分をまとめて支払うことにより、滞納の問題は解決します。

翌月に2ヵ月分の返済額をまとめて用意するのが難しい場合には、滞納が2ヵ月分にならない状態を維持しながら、ボーナスなどのようにまとまった収入を得た際に、滞納を解消するといった方法もあります。

また、毎月の返済額に少額を上乗せして返済することにより、滞納を解消するという方法もあります。

(2)再和解の締結

滞納が2ヵ月分になってしまった場合、期限の利益を喪失し、債権者から残りの借金を一括請求されてしまいます。
この場合に請求されるのは、残りの借金額だけでなく、滞納した分の遅延損害金も請求されることになります。

この時点で、一括請求に応じることができない場合は、再度債権者に再和解の締結を交渉するという方法があります。

もっとも、一度和解したにもかかわらず、債務者が約束を守ることができなかったという経緯があるため、再和解の締結の交渉では、以前と同じような条件を提示しても、拒否される可能性が高いでしょう。

そのため、仮に再和解が成立したとしても、一回目の和解内容に比べ、期限の利益を喪失する条件や返済期間が厳しくなる可能性が高いです。

(3)別の債務整理方法を利用する

借金の支払いをできなくなった理由が、単に、支払いを忘れていたり、一時的にお金が足りなくなったというような場合は、できるだけ早くに滞納を解消するなどして、問題を解決することが可能です。

ですが、その理由が、失業や病気などにあり、そのことが原因となって収入自体が減ってしまい、その後の返済の目途が立たないような場合は、他の債務整理方法を利用することを検討する必要があります。

たとえば、以前よりも収入が大幅に減少はしているものの、月々の収入は安定しているといった状況にあれば、借金について大幅な減額が期待できる「個人再生」に切り替えることを検討する必要があります。

失業や病気などが原因となって、仕事がなくなり無収入になってしまったのであれば、「自己破産」を検討することになります。

支払いを続けていくことが難しくなった場合は、できるだけ早いうちに弁護士などに相談することをお勧めします。

支払うお金が捻出できないからといって、その状態を放置してしまうと、債権者から支払督促や訴訟などを申立てられる可能性が高くなります。

6 まとめ

任意整理では、3~5年という長期分割で和解が成立することが多いといえます。年単位での支払期間になるため、返済日などをきちんと管理して、支払いの漏れがないように注意する必要があります。

とはいえ、途中で事情が変わるなどして、支払いを続けていくことが難しくなることも十分に考えられます。そのような事態になった場合は、自分で解決しようとするのでなく、弁護士に相談することが大切です。

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