任意整理後クレジットカードはいつから作れる?信用情報や住宅ローンはどうなる?

クレジットカード

任意整理をすると、その事実は事故情報として信用情報機関に登録される(いわゆる、ブラックリストに載る)ため、一定期間、新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作ることが難しくなります。

とはいえ、現在は、インターネットでの買い物などで何かとクレジットカードが必要になる場面が多いため、少しでも早くクレジットカードを持ちたいと考えるのが自然でしょう。

そこで今回は、任意整理をした後どの程度の期間が経てばクレジットカードを作れるのか?また、信用情報や住宅ローンの扱いはどうなるのか?という点について、解説していきたいと思います。

この記事で学べること

  • 任意整理をした後のことがわかる
  • 債務整理後にクレジットカードを作れる時期がわかる
  • 申込みの注意点がわかる

1 任意整理とは?

「任意整理」は、債務の問題を解決するための方法で、毎月決められた額を返済し続け、借金を完済した状態を目指します。
債務者が借金を返済していくために、支払額支払方法などについて債権者直接交渉・合意する手続きのことをいいます。

具体的には、債務者が負っている借金について、その将来利息を免除してもらったり、支払方法を長期の分割にしてもらうための交渉を行います。

交渉の末、最終的な返済額が確定すると、具体的にどのように返済していくのか、を返済計画という形でまとめます。一般的には3年~5年にわたり借金を返済していくことが多いです。
この返済計画に債権者が合意すれば、あとは、合意の内容に従って返済を開始することになります。

将来の利息をカットした内容であれば、リボ払いやカードローンといった比較的、金利の高いものは返済額を減らすことが期待できます。
また、利息制限法で定められている利率で引き直し計算をした結果、利息を払い過ぎているようであれば、その分だけ借金を減額することができます。
元金を完済しているうえに払い過ぎているようであれば、その分を返還するよう債権者に請求することもできます。

2 信用情報機関への登録

債務整理をすると、信用情報機関に「事故情報」として登録されることになります。
「信用情報機関」とは、株式会社シー・アイ・シー(CIC)株式会社日本信用情報機構(JICC)、そして、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つの機関のことを指します。信販会社や消費者金融、クレジットカード会社はCICやJICCに加盟しているのに対し、銀行などはKSCに加盟しており、それぞれの機関において、個人に関するローンの支払情報などが「信用情報」として登録されています。

(1)債務整理と信用情報機関への登録

任意整理に限らず、債務整理をする人は、自分の借金であるクレジットカードや住宅ローンの返済することが困難な状態に陥っていることがほとんどであるため、借金を期限までに支払うことができずに延滞していたり、借金を支払うこと自体が不可能な状態になっていることが多いといえます。

このように、借金を約定通りに支払えなくなった人は、「事故情報」として信用情報機関に登録されます。
「事故情報」とは、基本的に

①返済が延滞していること、
②債務整理が開始されたこと、
③債務者に代わって保証会社が代位弁済したこと、
④個人再生や自己破産、特定調停を申し立てたこと等

を主なを内容とする情報をいいます。

このように、債務整理が開始されたことは「事故情報」とされているため、任意整理を開始すると、その事実は「事故情報」として信用情報機関に登録されることになります。

(2)信用情報機関への登録期間は?

信用情報機関への登録期間は機関によって多少の違いがあるものの、完済後約5年間は登録が残ったままの状態が続きます。
そのため、任意整理などの債務整理を開始すると、完済後5年間は、事故情報として信用情報機関に登録が残っていることになります。

また、信用情報機関から事故情報の登録が消えたとしても、金融機関はそれぞれに社内でその情報を保有されることもあります。(「社内ブラック」といいます。)

たとえば、AさんがB社を対象として任意整理を開始すると、Aさんに関係する情報が事故情報として信用情報機関に登録されます。その後5年が経過し、Aさんに関係する事故情報が信用情報機関から消えたとしても、B社は自社内でAさんに関係する情報を保有し続けることがあります。

(3)信用情報機関に登録されることのデメリットは?

信用情報機関に事故情報が登録されることは、その間は債務者が経済的な信用を失うことを意味します。

クレジットカード会社銀行などの金融機関は、新規でクレジットカードや融資の申し込みを受けると、クレジットカードを発行して問題ないか、融資を実行して問題ないか、といったことを判断するために、申込者に関し一定の審査を実施します。

この際に、金融機関は、審査の一環として、信用情報機関に申込者に関する情報が登録されていないかどうかを確認します。信用情報機関に申込者に係る事故情報が登録されている場合、審査を通過する可能性が低くなるということがいえるでしょう。

既に利用しているクレジットカードに関しても債務整理後には、ショッピングやキャッシングができなくなり、使用不可状態となります。

(4)信用情報の確認方法

自分の信用情報を確認したい場合には、信用情報機関に対し、信用情報の開示を請求することにより確認できます。CICとJICCについては、機関のホームページから開示請求することもでき、そのほかにも、郵送によったり、窓口で直接開示請求する方法が用意されています。信用情報の開示請求にかかる手数料は、500円~1,000円とされています。

また、自分で対応することに不安がある方は、たとえば、弁護士などに依頼することによって、自分で対応することなく、弁護士が代理して手続を行ってくれます。

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3 任意整理後のクレジットカードはいつから作れる?

クレジットカードによる決済は、その名義人や加盟店、クレジットカード会社の三者間における信用が前提として成り立つものです。
そのため、先に見たように、クレジットカードの発行を受けるためには、クレジットカード会社による審査を通過することが必要になります。

(1)クレジットカード会社による審査

クレジットカードの入会を申し込む際には、申込者の勤務先や年収など、一定の事項をクレジットカード会社に申告する必要があります。

しかし、クレジットカード会社がもっとも重視する点は、申込者に支払能力があるかどうかという点です。その点を判断するために、クレジットカード会社は、信用情報機関に対し、申込者に係る信用情報を照会するわけです。

信用情報機関に申込者に係る事故情報が登録されていると、クレジットカード会社は、申込者について経済的な信用がないと判断し、クレジットカードの発行を拒否することになります。
申込者の情報を参照するため、家族や親族が自分のクレジットカードを申し込んだ場合、審査に影響があるということはありません。

このように、クレジットカード会社による審査は、主に申込者に係る支払能力を判断するために実施されるため、任意整理をした事実が事故情報として信用情報機関に登録されていると、申込者はクレジットカードの発行を受けることが難しくなります。

(2)任意整理後いつからクレジットカードを作れる?

先に見たように、任意整理をすると、完済後およそ5年間は登録された事故情報が信用情報機関に残っている状態です。

そのため、少なくとも、任意整理を開始し、完済してから5年間はクレジットカードを作れる可能性は低いといえます。
しかし、任意整理を開始し、完済後5年が経過し、信用情報機関から事故情報の登録が消えれば、新たにクレジットカードを作れるようになる可能性が高くなります。

もっとも、クレジットカード会社によっては、任意整理後、借金の完済をまって信用情報機関に登録するところもあるようです。
この場合は、5年に返済期間を加算した期間は、信用情報機関に登録が残っている可能性がありますので注意が必要です。

なお、自分の情報が登録されているかどうかは、信用情報機関に対し、信用情報の開示を請求することにより確認することができますので、クレジットカードを作る際には、あらかじめ確認しておくことをお勧めします。

4 任意整理後に住宅ローンを組むことはできる?

住宅ローンを申し込むと、金融機関は、申込者に支払能力があるかどうかなどを判断するために、申込者に係る情報が信用情報機関に登録されているかどうかを確認します。
この点は、新規で融資やクレジットカードを申し込む場合と同じです。

そのため、任意整理をした場合には、完済後5年間は、登録された事故情報が信用情報機関に残っているため、住宅ローンを組むことは難しいといえるでしょう。

任意整理をし、完済後5年が経過し、登録された事故情報が信用情報機関から消えていれば、住宅ローンを組むことが可能です。

この場合も、住宅ローンの申込みをする前に、あらかじめ信用情報を開示請求し、自分の情報が残っているかどうかを確認することをお勧めします。

5 任意整理後クレジットカードの入会・住宅ローンの申し込みをする際の注意点

(1)事故情報として登録された金融機関を選ばない

事故情報として登録されたクレジットカード会社などの金融機関との関係では、完済後5年が経過して信用情報機関から事故情報の登録が消えたとしても、新たにクレジットカードを作ったり、住宅ローンを組むことが難しい事があります。

これは、先に見たように、「社内ブラック」として情報を残しているクレジットカード会社との関係では、任意整理をしたことが半永久的に情報として社内に残っており、審査が通りにくくなるためです。

そのため、新たにクレジットカードの入会や住宅ローンを申し込む場合には、事故情報として登録された金融機関とは別の金融機関を選ぶことをお勧めします。

(2)複数の金融機関に一斉に申し込むことをしない

クレジットカードの入会や住宅ローンを申し込むと、申し込みの履歴が信用情報機関に登録されることになっています。
クレジットカードの入会などの申し込みを受けた金融機関は、信用情報機関を通して、申込者に係る申し込みの履歴を確認することができます。
そのため、複数の金融機関に申し込みをしてしまうと、他のところからクレジットカードの入会を拒否された・住宅ローンを組んでも貸し倒れになる、といった判断をされ、審査に通らなくなることがあります。

このように、複数の金融機関に一斉に申し込むと、その履歴が残り、審査に通らなくなる可能性が高くなるため、クレジットカードの入会・住宅ローンを申し込む際には、利用すべき金融機関を慎重に調査したうえで、1社に絞るべきだと考えられます。

(3)クレジットヒストリーを作る

「クレジットヒストリー」とは、簡単にいうと、クレジットカードの利用履歴のことです。事故情報が信用情報機関に登録されている5年間は、基本的に、クレジットカードなどを利用することができないため、その利用履歴がないことになります。

このように、クレジットカードなどの利用がないことを「スーパーホワイト」といいます。
スーパーホワイトであることは、クレジットカードの入会審査などに通らない一因になります。

現代において、クレジットカード会社などを含む金融機関と取引をしたことが一切ないということはありえないと考えても不自然ではありません。

そのため、クレジットカードの入会などの申し込みをした場合に、申込者がスーパーホワイトであると、かえって、信用情報機関に事故情報が登録されていたのではないか、と疑いを持たれてしまい、審査に通過しにくくなります。

このように、スーパーホワイトであることは、クレジットカードの入会審査などにおいては、かえってマイナスに働くことがあるため、クレジットカードの入会を申し込むまでの間に、一定のクレジットヒストリーを作っておくことが大切です。

たとえば、携帯電話の購入に伴う、購入代金の分割払いを遅れることなく支払い続けることなどが考えられます。

6 まとめ

任意整理をすると、完済後およそ5年間は信用情報機関から事故情報が消えることはないため、クレジットカードを作ったり、住宅ローンを組むことは難しいといえます。

しかし、現代においては、クレジットカードによる決済を条件としているサービスなども少なくなく、現金のみでの生活は不便さを感じるかもしれません。また、住宅を購入する人は、住宅ローンを組めることが前提となっている場合が多いといえます。

このように、債務整理をした後もクレジットカードなどを持つ必要性は高いといえるため、次の入会審査に備え、きちんとした準備をしておくことが重要になってきます。

もっとも、信用情報機関への情報開示請求制度や金融機関による審査のポイントなど、初めての方にとってはわからない点もあると思いますので、まずは、相談料無料の当事務所にご相談することをお勧めします。

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