任意整理の手続きの流れと期間は?必要書類と失敗しないための知識

任意整理の全体的な流れを掴んでから相談するか決めたい
手続きを依頼するために必要書類を確認しておきたい

任意整理がどんな流れで、どれほどの期間で行われる手続きなのかを知り、
どのタイミングでどんな必要書類があるか把握しておくことで、
実際に手続きを始める際、スムーズに進められますね。

この記事では、任意整理の全体的な流れや、和解ができなくなるケースを解説していきます。

任意整理を専門家に依頼した場合を想定していきます!

任意整理の手続きの流れ

任意整理で和解が成立すれば、将来利息や遅延損害金のカットにより返済額を減らすことができます。
実際にどんな流れで手続きするのか、具体的にみていきましょう。
今回は、弁護士に相談したときのケースをお伝えします。

弁護士に相談し、依頼する

まずは弁護士に自身の状況を説明し、アドバイスをもらいましょう。
このとき、借入総額、借入先、自身の収入がわかるよう準備しておくとスムーズです。
相談した上で、任意整理ですすめるのか、それ以外の方法がよいのか確認し依頼します。

なお、どんな手続きがあっているのかについては相談者の状況、専門家によって意見が分かれることもあります。
最適な方法を選ぶという意味でも、一回でその事務所に決めず他の事務所に相談するというのも1つの手です。
複数の事務所を比較し、自分と相性がよい弁護士へ依頼することで安心して手続きがすすめられますね。

依頼者の希望や状況によって、最適な債務整理の種類は変わってきます。
多くの事務所で無料相談ができるので、比較検討するのがオススメです!

貸金業者へ受任通知の送付と取引履歴の開示請求

正式に委任契約が締結されると、弁護士は貸金業者へ受任通知を送付します。
受任通知とは、弁護士が債務者の代理人として債務整理を開始する旨を貸金業者へ知らせるものです。
この通知を受け取った貸金業者は、法律(貸金業法 第21条第1項)に従い、債務者へ直接の取り立てを停止します。
そのため、和解成立まで返済がストップされ、依頼者は催促から開放されるのです。

また弁護士は、受任通知送付と同時進行で債務者の取引履歴の開示請求をすすめます。

取引履歴とは、貸金業者と顧客との間で行われた貸付や弁済、その他の金銭のやり取り、債務内容が記載された記録のことです。
これは、貸金業者がつけている帳簿をもとに作成されています。

この記録で、過去の返済で法的な上限金利を超えた利息を払いすぎていないか、現在の借入残高や返済状況などを確認していきます。

利息の引き直し計算

取引履歴の開示後は、弁護士が引き直し計算と呼ばれる利息の再計算を行います。
かつて金利の上限が、出資法という法律では29.2%、利息制限法では15〜20%の2パターンとされていたため現在の法律に従い、再計算を行うのです。
これにより、本当の借入額が明らかになります。

ですから、この引き直し計算は債務整理においてなくてはならない手続きなのです。

過払い金があれば返還請求する

もしこの再計算により上限金利を超えて払いすぎた利息があれば、過払い金が発生しているかどうかがわかります。
過払い金があれば、返還請求を行うことで払いすぎた利息を取り戻すことができるのです。

取り戻した利息は借金返済へと充てられ、その後に正確な債務額が算出された段階で、
弁護士から金額の確認が入ります。

和解案の作成と貸金業者との交渉

正式な債務額が確定したら、具体的な返済プランの作成にすすみます。
弁護士は、債務者の経済状況や周りからの資金援助の有無などを確認しながら
総合的に判断し、返済プランの作成をします。
任意整理は、債務者が無理なく返済できることが何より重要です。

返済プランができたら、いよいよ貸金業者との交渉がスタートします。

弁済期間はあまり長すぎると債権者からの同意を得るのが難しくなるため、
一般的には3〜5年の完済を見込んで交渉成立を目指します。

返済プランは現実的に返すことができるように組み立てます。

和解契約の締結と返済の開始

上記の返済プランで貸金業者との合意に至ると、和解成立となり、和解契約が締結されます。
これにより、引き直し計算や過払い金請求で減額が成功した場合に「減額前後の差額やそれ以外の費用は請求しない」旨の約束がなされるのです。

和解契約締結後は、いよいよ返済開始となります。
返済プランに従い、遅れがないように返済していきましょう。

和解できない場合:他の債務整理を検討しよう

任意整理で交渉をはじめても、和解できないケースがあります。
詳しくは後述しますが、もし任意整理で和解が成立しなかった場合、別の方法も検討すべきでしょう。

和解が成立しなかった場合、別の手段としては大きく分けて以下の3つがあげられます。

  • 特定調停
  • 個人再生
  • 自己破産

特定調停

特定調停とは、簡易裁判所を通して債権者との和解を目指す手続きです。
任意整理と比べると、和解交渉に時間がかかったり、利息はカットできても遅延損害金はカットできなかったり、過払い金が出たときは返済金に充当されず、別途手続きが必要になるなどの違いが出てきます。

手間はかかりますが、費用は任意整理よりも安く済むので、依頼料をどうしても安く抑えたいなどの理由がある方は特定調停を検討してもいいかもしれません。

特定調停は専門家に依頼せず、自分で和解する方法になります。

個人再生

個人再生とは、裁判所に再生計画の認可を受け、借金総額を大幅に減らす手続きです。
返済総額が大きかったり、任意整理では解決できないときに選択されることが多いです。

再生計画が認可されれば、借金総額をおおよそ100万円、または5分の1〜10分の1にまで減額できます。
住宅ローン特則を使えば、マイホームを残しつつ借金を減らすことも可能です。

その分、自己破産よりも要件が厳しいとされているので、認可を受けるために要件を確認しておくとよいでしょう。

自己破産

自己破産とは、裁判所に免責許可をもらうことで、借金の返済を免責(免除)してもらう手続きです。

借金が0になりますが、最低限生活できる必要以上の財産をほとんど手放すことになるため、最終手段といえるでしょう。
また、一部の士業や職業で制限がでるため、対象の職業に就いている方は自己破産を選択すること自体が難しいケースもあります。

和解が成立しなかった場合、どのような手続きにすすめばよいか、担当弁護士としっかり相談し最適な手段を選びましょう。

個人再生と自己破産では借金が大幅に減額できる可能性があります。
任意整理の返済が現実的に難しい場合は、これらの手段を提案されるでしょう。

任意整理で必要な書類

ここまで、任意整理の全体的な流れを確認してきました。
では実際に手続きに必要な書類はどんなものがあるでしょうか。

必要書類は大きく2つのタイミングで必要となります。

弁護士に依頼するとき

まず、弁護士へ依頼をするときにいくつか必要な書類があります。

●本人確認書類

運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類は必須です。
弁護士が依頼者の本人確認時に使用します。

●印鑑

弁護士と依頼契約を結ぶときに必要です。
シャチハタでなければ、三文判などの認印でも問題ありません。

●利用中のクレジットカード、キャッシュカード

手続きを始めると、任意整理の対象としたクレジットカードはすべて使えなくなります。
また、新たな借入もできなくなるため、現在契約しているクレジットカードは揃えて弁護士へ提出しましょう。

手続きを進めるとき

上記の書類以外で、任意整理をすすめる中で必要になる書類が出てきます。
例えば、以下のような書類です。

●借入先の金融業者一覧

 借入先が複数ある場合は、取引のある金融業者の名称、住所、借入額などを一覧にまとめます。
 通常は依頼後に担当弁護士で作成しますが、分かる範囲で事前に調べておくとよいでしょう。

●借入時の契約書、借入明細や残高がわかる書類、返済時の領収書

 借入当時の契約書が手元にあれば提出しましょう。
 また、依頼時点での借入残高がわかる書類や、返済した時の控えがあれば、あわせて準備しましょう。

●収入に関わる書類

 自分の収入状況が確認できるもので、代表的なものとして給与明細や、源泉徴収票などがあげられます。
 給与明細は直近2〜3ヶ月分、源泉徴収票は直近1〜2年のものがあるとよいでしょう。

●預金通帳

 預貯金を確認するために利用します。
 紛失している場合は再発行したり、状況により過去明細の発行を指示されることもあります。
 
上記にあげたもの以外にも、弁護士から指示された資料を準備することもあります。

基本的には、担当弁護士の指示に従いながら揃えるとよいでしょう。

書類の準備は難しいというより手間がかかるものです。依頼した弁護士に聞きながら資料を集めましょう!

任意整理の手続きにかかる期間と費用

任意整理の全体的な流れと、必要書類を確認したところで
手続きにかかる期間と費用も抑えておきましょう。

弁護士への依頼から返済開始までの期間

任意整理の手続きにかかる時間は、おおよそ3ヶ月程度、長くて半年ほどといわれています。
個人再生、自己破産と比較すると手続き完了までの期間は短くすみます。

受任通知の送付に即日〜3日程度、
取引履歴の開示請求で情報がそろうまでに数週間〜3ヶ月程度、
利息の引き直し計算に1〜2週間といったイメージです。

例えばここに、過払い金請求などの手続きが追加されたり、そもそも任意整理の対象が多い、などの理由で3ヶ月よりも期間を要するケースもあることを認識しておきましょう。

弁護士費用の相場はどれくらい?

弁護士への依頼料がいくらになるかは、特に決まりがないため各事務所で自由に設定されています。
着手金、減額報酬、解決報酬金などの項目があり、対応社数が増えたり
過払い金請求などで金額がプラスされることもありますが、
おおよそ5万円〜15万円ほどが相場といってよいでしょう。

弁護士へ初回相談する際に、過去の事例などから依頼料の目安をきいておくと安心ですね。

任意整理で和解できないケース

任意整理は法的効力がなく、あくまで相手との交渉で今後の返済プランを決めていくものです。
ですから、和解交渉が成立しない可能性のあるケースもあります。

よくあるケースとしては、以下の4パターンが考えられます。

  1. 業者の要求に対して、返済能力が足りない
  2. 取引している期間が短い
  3. 2回目の任意整理である
  4. 専門家へ依頼せず、自分で手続きをする

詳しくみていきましょう。

①業者の要求に対して、返済能力が足りない

任意整理は一般的に、3〜5年での完済を見越して和解が成立しているケースが多いです。
したがって、その期間内に返済が見込めない場合、和解が難しいと考えられます。

例えば、収入が安定しなかったり、あまりにも少なかったりすると
債権者側から返済能力がないとみなされ、和解に至らないケースもあります。

収入に対して借入額があまりに大きい場合は、個人再生や自己破産など
他の債務整理手続きと比較検討しておきましょう。

② 取引している期間が短い

任意整理は、利息や遅延損害金のカットにより返済総額を減らすことを目指す手続きです。
取引期間が短く返済実績がなければ、貸金業者の立場としては
「借りるだけ借りて、もともと返済する気がなかったのでは?」
と疑ってもおかしくありません。

こういった点から、取引している期間が短いと和解が成立しないケースもあるのです。

この場合はまず返済実績を作ることが大切になります。

③ 2回目の任意整理である

2回めの任意整理、いわゆる再和解を求める場合は、交渉成立が難しいといえるでしょう。

再和解とは、初回の任意整理で決めた返済プランを守れず支払いが滞ってしまった場合に、債権者と再び直接交渉し、返済計画を見直してもらう手続きです。

再和解が成立すれば、現在の収入に見合った返済計画で分割払いができますが、一度目と比べると再和解成立の難易度は高いといわざるを得ません。

④ 専門家へ依頼せず、自分で手続きをする

任意整理は、個人再生や自己破産よりも比較的カンタンにすむため、専門家へ依頼せず自分で手続きを行う人もいます。
弁護士や司法書士に依頼しない分、依頼料などを節約できる点が最大のメリットです。

しかし、法律に関する知識が浅い人が交渉すると、自分の希望が通りにくかったり、
そもそも個人相手では交渉に応じないケースもあります。

減額効果が小さかったり、不利な条件で和解してしまったりということが考えられます。

任意整理を検討するときに抑えておきたい注意点

任意整理を検討する際は、この2点を踏まえた上で手続きに進むか結論を出すとよいでしょう。

ブラックリストに登録される

任意整理を含んだ、すべての債務整理に共通する点がブラックリストに登録されることです。
正確にいえば、信用情報機関に事故情報が登録されます。
そのため一定期間、新たなローンやクレジットカードが作れない状態になるのです。

これからマイホームや自動車をローンで購入する予定の方は、特に注意が必要です。

自分のライフプランを考え、ローンが必要な場合は家族の名義で組むなど解決方法を模索しましょう。

保証人への一括請求

任意整理の依頼が成立した際、貸金業者へ送られる受任通知ですが
法的効力があるのは本人への取立のみで、保証人に対する取立行為は禁止されません。

そのため、保証人がいる借金を任意整理の対象とすると、保証人へ一括請求を求められる可能性があります。
例えば、夫が組んだローンの保証人(または連帯保証人)に妻がなっているといったケースでは、夫が任意整理をすると妻へ一括請求がいってしまうのです。

もし保証人である妻が一括返済できない場合は、妻も債務整理を検討する必要が出てきてしまいます。
そうならないためにも、保証人がある借金を把握し、任意整理対象から外すことを検討しておきましょう。

任意整理を弁護士に依頼するメリット

任意整理は自身で手続きをすることも可能ですが、先に述べたとおり交渉が難航したり
そもそも交渉に応じてもらえないリスクがあります。
そのため、任意整理は弁護士に依頼することがおすすめです。

弁護士への依頼をおすすめする理由は、大きく3つです。

理由1:債権者とのやり取りをすべて任せられる

弁護士へ依頼すると、受任通知により本人への取立や催促がストップし
その後のやりとりがすべて弁護士経由になります。

任意整理は債務整理の中では比較的手続き期間が短いですが、
とはいえ日常生活を送りながら書類をそろえたり、債権者と交渉することは
非常に労力がかかります。

弁護士へ依頼することで、煩雑な手続きや交渉はすべて任せることができます。

理由2:任意整理の成功確率が上がる

和解が成立しにくいケースでも述べましたが、
個人で和解交渉を行うと、希望通りに交渉が進められなかったり
交渉に応じてもらえないケースもあります。

経験豊富な弁護士に依頼することで、交渉を有利にすすめることができます。

理由3:相談者の状況にあわせた適切なアドバイスがもらえる

弁護士に依頼する最大のメリットは、法律のプロの目線から
相談者の状況にあわせた最適なアドバイスがもらえる点です。

現在の収入や借入額はもちろん、今後マイホーム購入を検討している、などの未来の情報も含めて伝えることで、最適な債務整理の手段を提案してもらえるでしょう。
また、任意整理の和解交渉が成立しなかった場合のサポートも期待できます。

何より、借金問題で悩むあなたの力強いパートナーになってくれます。

まとめ:負担が減り、手厚いサポートが受けられる弁護士に依頼するのがオススメ

任意整理はおおよそ3ヶ月から、長くて半年ほどかかる手続きです。
債権者の要求に対して返済能力が低かったり、取引期間が短いため返済実績がないなど、
和解交渉が成立しにくいケースもあります。

また、依頼料などを抑える目的で個人でも手続きをすすめることは可能ですが、
交渉が難航したり、交渉に応じてもらえないリスクもあります。

弁護士へ依頼すると、確かに依頼料は発生してしまいますが、
法律のプロから状況に合わせた最適なアドバイスがもらえたり、
手続きのほとんどを任せることができたり、交渉を有利にすすめてもらうことができます。

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