交通事故の示談交渉にかかる期間の目安は?弁護士に依頼し早期解決!

交通事故の示談交渉にかかる期間はどのくらい?弁護士に依頼すると早くなるのか

交通事故の示談交渉は、弁護士の力を借りると期間が短くできる可能性があります。

示談が成立するまで慰謝料を含む賠償金は受け取れません。弁護士に依頼して、長引きがちな示談交渉をスムーズに進めましょう。

豊川先生
この記事では示談交渉にかかる期間や短縮するための具体的な方法を解説します。

示談交渉にかかる期間

交通事故が起きてから示談成立までにかかる期間は、1年以上など長期に渡ることもあります。軽傷、後遺障害が残る場合、重傷、死亡、4つの例の目安を比較してみましょう。

軽症(捻挫・打撲・打ち身など・後遺障害なし)の場合

・治療期間 2週間~1か月
・示談交渉 2~3か月程度

示談交渉にかかる期間:2~4か月

むちうち(軽症・後遺障害あり)の場合

・治療期間 2~3か月
・後遺障害等級認定 1~2か月
・示談交渉 2~3か月程度

示談交渉にかかる期間:5~8か月

骨折(重症・後遺障害あり)の場合

・治療期間 半年~1年
・後遺障害等級認定 1~2か月
・示談交渉 2~3か月程度

示談交渉にかかる期間:9か月~1年5か月

死亡事故の場合

・治療期間なし 四十九日法要後に示談交渉開始 
・示談交渉 2~3か月程度

示談交渉にかかる期間:4~5か月

交通事故の示談交渉を開始するタイミングは、治療期間終了後がおすすめです。入通院中から相手方の保険会社と治療費に関して連絡をとることはあります。しかし基本的に交通事故の交渉期間は治療期間に左右され、ケガの治療に時間がかかるものほど期間も長くなります。なので、治療期間が終わってから開始するほうが効率的に交渉を進められます。

 示談交渉の期間はケースバイケースです。比較的スムーズに終わることを想定していますが、加害者と揉めたりすると3か月以上と長期にわたることもあります。

交通事故の示談交渉って何?

交通事故の被害者と加害者が法律的な争いを裁判によらず双方の交渉によって解決する方法を「示談」といい、この話し合いを「示談交渉」といいます。事故が発生したときに受け取る治療費、慰謝料など損害賠償の金額は、加害者側との交渉によって決定されます。

示談で賠償金の金額を決める

示談交渉の大きな目的は互いの合意により、損害賠償などを合わせた「示談金」の額が決めることです。

示談が成立すると「示談書」と呼ばれる書面を作成し、約束を取り交わします。示談書には法的な効力があり、示談で決まった金額はきちんと支払わなければなりません。反面、一度示談が成立すると後から覆すのは難しく基本的に示談で決まった以上の額を請求することはできなくなります。双方が納得したうえで、示談書にサインすることが、トラブルを避ける方法にもなります。

交通事故の損害賠償は、交渉次第で大きく変わり、同様の事故でも受け取れる金額に差が出るケースも存在します。そのため、示談交渉ではきちんとこちら側の主張を相手に伝え、自分のケガや損害に合った適切な額の損害賠償を請求する必要があります。

示談交渉の期間は長引くことがある

示談交渉の期間は案件により異なりますが、交通事故での交渉自体は1~3か月程度が目安です。ただ、被害者のケガの治療が終わってから示談交渉をはじめるため、治療期間によって示談成立までの期間も長くなります。

また、場合によっては双方の主張が食い違い、示談交渉の期間が半年から1年以上の長期におよぶケースもあります。保険会社はきるだけ損害賠償を低くしたいと考えます。支払う金額が増えるほど保険会社としては損をすることになりますので、知恵をしぼり被害者側が不利になるような条件を提示してくることがあるのです。被害者側としてはあまりひどい条件は呑めないとなってしまいますので、示談交渉の期間が長引いてしまいがちなのです。

事故の示談交渉は、被害者個人でも行えます。しかし早く解決したいのであれば、弁護士に依頼するのが良いでしょう。交通事故に慣れている弁護士であれば、スムーズに示談交渉を進めてくれます。さらに賠償金が増額される可能性もあり、個人で対応するよりもメリットがあります

 もし交渉だけで合意できなかった場合は、裁判所に訴えを起こし、民事裁判に移行して解決を図ります。裁判をすると、示談成立までの期間がさらに伸びることになります。

交通事故の示談交渉の流れ

実際に交通事故が起きてから示談交渉がはじまり、示談が成立するまでの具体的な流れを見ていきましょう。
・被害者がケガをした人身事故(入通院事故)
・被害者が死亡する死亡事故
・被害者にケガはなく車などが損傷する物損事故

以上、3つのケースを説明します。

入通院事故の場合

被害者がケガをした人身事故では、被害者が医療機関に入院や通院をして、治療が済んだ後で示談交渉を行います。

1、事故発生

交通事故の直後は、できる限り冷静に行動するようにしましょう。事故など日常的に起きるものではなく、気が動転してしまうことが多いと思われます。あせってしまうのは仕方がありません。落ちついて対応するためにも、やるべきことを知っておくことは大切です。

警察へ通報する

交通事故が起きたら、示談交渉する前に警察に通報するようにしてください。警察への通報は道路交通法72条1項に定められている運転者の義務ですから、勝手に通報なしで済ませることはできません。

警察にきちんと通報しないと、「自動車安全運転センター」から発行される「交通事故証明書」をもらうこともできません。人身事故として処理されなくなるので、示談交渉で不利になる可能性があります。もし加害者に警察に通報しないように頼まれたとしても、無視してかまいません。

 通報義務を怠ると、道路交通法119条1項10号の定めにより、3年以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられる可能性があります。警察への通報は事故当日でなくても、後日届け出ることも可能なので、事故に遭ったときは必ず行ってください。
相手の連絡先を聞く

交通事故の加害者の氏名や連絡先などを教えてもらいます。同時に加害者が加入している保険会社についても確認しておくと、示談交渉をしやすくなります。

警察が事故を起こした当事者の身元確認を行いますし、保険会社は後日むこうから連絡がくることが多いです。しかし、相手がなにも言わずに事故現場を立ち去ってしまう可能性もないとはいえません。交渉相手がどこの誰だかわからないと、賠償金が請求できず泣き寝入りとなることもあるので気を付けましょう。

警察による実況見分に立ち会う

交通事故の現場に警察が到着すると、事故の状況を確認する捜査である実況見分が行われます。お互いがどのように運転して事故が発生したかなどの確認は、双方が示談交渉で過失割合を決める上でも重要になります。些細なことでも大切な証拠になる場合もありますので、「これくらいならいいか」と思わずに事実は警察に伝えましょう。

実況見分の内容は実況見分調書として書面に残るので、あとで加害者と意見が食い違ったときも大切な証拠になります。ケガで一刻も早く病院に行かなければいけない場合などは仕方がありませんが、できる限り立ち会うようにしてください。

女性
ケガで当日の実施が難しい場合は、後日実況見分を行うこともあります。

事故当日は必ず病院へ行く

交通事故に遭ったときは、必ずその日のうちに医療機関で診療を受けるようにしてください。自分で病院へ行けないケガを負っている場合は救急車を呼びましょう。病院では、医師に事故によるケガであることをきちんと伝えてください。

ケガが軽いので、自分で勝手になんともないと思って病院に行かない人もいますが、事故のケガは後から出てくることもあるので放置するのは危険です。数日後に「頭が痛い、首が痛い、腕や足がしびれる」となることは珍しくありません。大したことがないと感じる打ち身や捻挫でも、医師に診断をしてもらいましょう。

 事故後、時間が経過してから病院で診断してもらっても、本当に事故によるケガなのか、因果関係を証明するのが難しくなりますし、大したケガではないと思われて示談交渉で不利になる恐れがあります。
示談は交通事故の現場ではしない

交通事故の現場で、示談はしないようにしましょう。相手がその場で示談をもちかけてきても、応じないようにしてください。損害賠償はケガの治療などがすべて終了しないと正確な損害賠償が導けないため、事故当日に適正な賠償金を決めるのは不可能です。

また、口頭で示談交渉をすると証拠が残らないので、「言った、言わない」と後から揉める原因になってしまいます。

2、ケガの治療

交通事故後によるケガを治療します。入院または通院によってケガの完治を目指しましょう。ケガの治療をする場合は、医師のいる外科もしくは整形外科を選んでください。

接骨院・整骨院が良いという人もいるのですが、医師がいませんので示談交渉のさいに治療とみなされず、保険会社から治療費が支払われない恐れもあります。

継続して治療をする

交通事故によるケガの治療は継続して行い、特に通院時に自分の勝手な判断でやめてしまうことのないようにしましょう。

仕事が忙しかったり、家庭の事情があるといった理由で勝手に回数を減らしたり、病院へ行くのをやめてしまうと、大したことのないケガだと思われて示談交渉で不利になり、治療費や慰謝料が減額される要因になります。

治療費を請求する

交通事故によるケガの治療費を、加害者に請求しましょう。

事故の示談交渉はケガの治療が終了してから始めるものなのですが、治療費は交渉開始以前に保険会社から支払いを受けられる場合が多いです。治療費は病院に通っている間から必要ですし、被害者の中には経済的に余裕のないケースもあります。最初に請求しておくと、治療費の心配をする必要がなくなるのでおすすめです。

3、完治・病状固定

交通事故のケガは、医師から完治または病状固定と診断されると治療は終了となります。「病状固定」はこれ以上、治療をしても症状が改善しない状態を指す言葉です。完治または病状固定と診断されると保険会社からの治療費の支払いは終了します。

「病状固定」なんて言葉は通常ではあまり使用しないため、聞き慣れないかもしれません。しかし示談交渉や慰謝料の金額を決めるさいには重要なものといえるでしょう。

豊川先生
ケガに対する慰謝料である「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」や、事故によるケガで仕事を休んだことへの補償である「休業損害」も、病状固定と判断されると請求できなくなります。

保険会社からの治療費打ち切りには応じない

交通事故によるケガが治る前に、保険会社から治療費の打ち切りを提案されることがありますが、治療が必要ならば応じる必要はありません。

保険会社は治療期間が長くなってくると、完治や病状固定にして治療費を打ち切るための手段を使うことが多いのです。しかし通院期間が長いほど、受け取れる傷害慰謝料の金額も多くなります。それに病状固定後の後遺障害認定も受けやすくなります。早期の打ち切りに応じると、損をする可能性が高くなってしまうでしょう。

慰謝料をしっかりもらうためにも、保険会社の言いなるのは避けたいものです。保険会社との話し合いが上手く行かないときは、法律に詳しい弁護士に依頼すると解決しやすくなります。

POINT
保険会社が「そろそろ病状固定にしましょう」と言ってきても、医師の診断を受けるまでは途中で治療をやめないようにしてください。もし、治療費を打ち切られてしまっても、自分のためにも健康保険を使ってきちんと最後まで治療を続けるようにしましょう。

4、後遺障害認定

交通事故でケガをして後遺症が残った場合は後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害等級の認定を受ける

交通事故で後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害として認定を受けなければなりません。

医師に後遺障害診断書を書いてもらい、「損害保険料率算出機構」へ申請します。1~2ヶ月の調査期間の後、後遺症が認められれば、1級から14級までの後遺障害等級の認定を受けられます。1級が一番重い障害で、14級が一番軽く、等級ごとに請求できる金額が決まっています。

また、後遺障害認定を受けると慰謝料だけでなく、後遺症がなければ将来得られるはずだった利益に対する補償である「後遺障害逸失利益」も請求できます。

女性
交通事故ではむちうちでも、後遺症が残ることはよくあります。ケガ自体が軽くても、後遺障害慰謝料を請求できるケースは多いと思って良いでしょう。

5、示談交渉開始

交通事故の示談交渉を開始します。

ケガの治療や後遺障害の認定が終わると、損害賠償の正確な計算ができるようになり、相手方との本格的な示談交渉できるようになります。

どのタイミングで示談交渉を始めるという決まりはありませんが、早い段階から交渉を開始しても具体的な金額が決まらないので、スムーズな話し合いにはなりにくいです。示談交渉は手間も時間もかかりますしとても面倒です。早く済ませたいと思うかもしれませんが、急ぎ過ぎてもよくないんですね。

 相手方から不当に低い額の慰謝料を提示される恐れもあるので、あまり早くから交渉をはじめるのはやめたほうがいいでしょう。交渉開始は「ケガが完治したとき(後遺障害がない場合)」または「後遺障害等級の認定を受けたとき(後遺障害がない場合)」のどちらかのタイミングがおすすめです。
決着がつかない場合は訴訟へ

交通事故の示談が成立すると2週間程度で相手方から損害賠償の支払いを受けることができます。しかし、揉めてしまい交渉に長期間かけても決着がつかないようなときは民事での提訴をし、裁判で決着をつけることになります。

豊川先生
裁判になれば、審理に多くの時間と労力を要し、賠償金の支払い期間も遅れます。可能な限り交渉での示談成立を目指すのが望ましいため、弁護士に相談するなどして解決するのがおすすめです。

死亡事故の場合

死亡事故ではケガの治療期間がないので、通常の人身事故と比べると早くから交渉をスタートできます。亡くなってしまった当事者は賠償金を請求できませんので、父親、母親、子どもなどの親族が対応することになります。

1、事故発生

死亡事故の場合、事故現場で死亡が確認される場合と重傷を負って病院に運ばれてから亡くなるケースがあります。病院で亡くなったときは、かかった治療費なども加害者に請求できます。

2、葬儀・四十九日法要

交通事故の被害者が亡くなった後は、示談交渉の前に葬儀および四十九日法要を執り行います。死亡事故の場合、葬儀費用に加えて四十九日法要の費用も加害者に請求できるので、通常、交渉をはじめるのは四十九日が済んでからになります。

 相手方の保険会社が早い段階で示交渉の開始を打診してきても、葬儀等で準備が整っていない場合は応じる必要はありません。

3、示談交渉開始

交通事故で被害者が死亡したケースでは、ケガの場合と比べて示談交渉を開始するまでの期間に余裕がありません。親族は法要などで慌ただしい日々を送ることになりますし、親しい人が亡くなった悲しみやショックもあります。憔悴している状況では、正直、示談交渉どころではない…と思ってしまうでしょう。

かといって適当に交渉してしまうと、適切な損害賠償を受け取れなくなる可能性が出てきてしまいます。早めに法律に詳しい弁護士などに任せるのがおすすめです。

物損事故の場合

交通事故では人身事故だけでなく、物損事故でも示談交渉は必要になります。

1、事故発生

交通事故が起きたときは物損のみの場合も、警察に連絡する、加害者の連絡先を聞くなど、人身事故の場合と同様の初期対応が必要になります。

2、損害額の見積もりをもらう

物損事故が起きたら、ディーラーや整備工場などで損害額の見積もりをもらいましょう。物損事故で請求できる費用は自動車の修理代や代車の費用になります。早めに損害額がわかれば、示談交渉もスムーズにすすみます。

3、示談交渉開始

物損事故は損害額が早くに確定しやすく、短期間で示談交渉を始められる傾向にあります。見積もりが出て損害額が把握可能になったら交渉をスタートさせましょう。

示談交渉の期間が長引くケース

交通事故の示談では、通常よりも交渉期間が長引いてしまうケースはあります。交通事故の状況や被害者・加害者の都合によっては、通常よりも交渉に時間を要するこがあります。賠償金はすぐにもらいたいものですが、受け取れるまで長期間かかることはあると覚悟しておくのが良いでしょう。

少しでもスピーディーに交渉を終わらせたいときは、弁護士に依頼するのがおすすめです。

相手側の保険会社が強気で示談交渉してくる

交通事故の示談を相手方の保険会社が強気で行ってくると、交渉期間が長引いてしまうことがあります。なかなか被害者が納得できる内容にならないのは、個人で交渉をしたケースに多く見られます。

個人が相手だと保険会社は賠償金の額を少なく見積もったり、こちらの過失割合を高くするなど、不利な条件を提示してくることが多くなります。保険会社には法律の知識がなければ、金額を少なくできる条件を提示しても文句は言ってこないだろう…という魂胆があるためです。しかし、法律の知識があり、交通事故の対応をいくつもこなしている弁護士には通用しません。保険会社は強気な態度は示しませんので、話は進みやすくなります。示談交渉をスピーディーに短期間で済ませたいなら、弁護士に依頼するのが良いでしょう。

女性
保険会社が強引な交渉をしてくるときは、弁護士への依頼を検討してみてください。

通院期間が長引いている

交通事故で重症のケガを負うなど治療に時間がかかると、示談交渉の期間が長引きやすくなります。人身事故の損害賠償はケガの治療が終了し、治療費や入通院慰謝料、後遺障害慰謝料などが確定しないと算定できないため、交渉のスタートが遅くなってしまうためです。

骨折であれば治療に半年から1年ほどかかることもありますが、完治・病状固定になるまで交渉は進められません。

後遺障害等級に納得いかない

交通事故によるケガの後遺障害等級に納得いかない場合、示談交渉の期間が長引くことが多いです。後遺障害等級では、まず申請から認定のために1か月~2か月かかります。

もし納得のいく結果でなかった場合、異議申し立てを行うことになります。

 異議申し立てにかかる期間は個別の案件ごとに異なりますが、なかには1年以上かかるケースもあります。

加害者が無保険

交通事故の加害者が任意の自動車保険に加入していないのも、示談交渉の期間が長引く要因になります。

交通事故では、基本的に相手方の保険会社が窓口になってくれますが、無保険だと、直接加害者と交渉することになります。示談交渉の経験がなければ、進め方がよくわからず交渉が滞ってしまう可能性があります。手続きにミスが生じる事態も考えられますし、解決まで長期間かかることが予想されるのです。

任意保険に加入していないのは経済的に余裕がないという理由が多く、賠償金の支払いにも消極的である可能性が高いといえます。

豊川先生
そのため、交渉にも積極的に応じてもらえず、連絡しても無視される、必要な書類を送らない、手続きをしようとしないなど誠意のない対応をされる可能性もあります。

車や自転車に受けたキズが大きい

交通事故のときに乗っていた車や自転車が大きく損傷していると、も示談交渉の期間が長期になることがあります。損傷が大きいと車の買い替えが必要になりますので、賠償金も高額になります。

相手は少しでも支払う金額を減らしたいと考え、本当に買い替える必要があるかどうか反論してくると考えられます。結果、話し合いが平行線になってしまい、長期間解決しないことにつながってしまいます。

過失割合に争いがある

交通事故の過失割合を決めるときに相手と揉めた場合も交渉が長引いてしまいます。過失割合とは、交通事故の発生に対して、どちらにどの程度の責任があるかの割合です。交通事故では、加害者が100%悪いとは限らず、被害者にもある程度はミスや過失があったと認められるケースが多いです。

過失割合は事故の状況によってある程度の類型が決まっているのですが、スピード超過や一旦停止の有無などで意見が食い違う場合もあります。

被害者に過失割合があると、割合に応じて損害賠償が減額されます。示談金を減らすために、加害者が自分に有利な過失割合を主張してくることは珍しいことではありません。

POINT
過失割合は直接、損害賠償の金額を左右するものです。お互いが納得できないと自分自身の主張を譲らず、交渉が長引きやすいです。

訴訟になる場合

交通事故の示談交渉が決裂し民事訴訟に発展すると、解決までには非常に長い期間がかかります。今までの交渉期間に加えて、さらに裁判にも時間がかかります。

交通事故による訴訟での平均審理期間は12.4か月で、全体の約4割は6か月以上1年以内に訴訟が終了しています。

豊川先生
訴訟になれば交渉での示談に比べて、さらに半年から1年ほどの期間がかかると考えておきましょう。

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するならどのタイミングがいい?

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すると、交渉にかかる時間を短縮できる、慰謝料が高額になるといったメリットがあります。弁護士には事故発生後、どのタイミングでお願いするのがベストなのかを解説します。

弁護士に依頼するメリット

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するのがおすすめです。慰謝料が増額されたり、示談交渉の期間を短縮できるなどのメリットがあります。

もらえる慰謝料が高額になる

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すると、弁護士基準が適用となり高額な慰謝料を請求できる可能性が高くなります。

慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの算定方法があります。

自賠責基準は、すべての自動車が加入を義務付けられている自賠責保険に基づく算定方法で、3つの中で一番低額の慰謝料しか受け取れません。

任意保険基準は加害者が加入している自動車保険の損害賠償計算に基づく算定基準です。

弁護士基準は、弁護士に依頼した場合と訴訟を起こしたときに適用される算定基準で、3つのなかで最も高額な慰謝料を受け取れます。

POINT
弁護士基準は自賠責基準と比べると2~3倍になるケースもあり、弁護士基準こそ交通事故の被害者が受け取るべき適切な慰謝料額といえるでしょう。

損害賠償の請求漏れがなくなる

交通事故の対応を弁護士に依頼することで、請求漏れを防止し、適切な損害賠償を請求できるようになります。

交通事故の損害賠償には、事故で仕事を休んだことに対する補償である休業損害や、後遺症によって得られなくなった利益への補償である後遺障害逸失利益など、知識がないと分かりづらいものがあります。個人で交渉していると、本来もらえるはずのお金を請求しないままにしてしまうことがあるので気を付けましょう。あとから「請求できるなんて知らなかった!」となっても遅いですよ。

早期解決が期待できる

交通事故の示談交渉を弁護士に任せると、早期解決に結びつきます。

各種手続きや示談交渉がスムーズに進み、個人で行うよりも示談交渉の期間を短縮できます。

示談交渉のストレスがなくなる

交通事故の対応はすべて弁護士が行ってくれるので、示談交渉をするストレスを感じずにすみます。

慣れない個人が保険会社と交渉するのは心身に大きな負荷を与えてしまうものです。保険会社の中には強引に話を進めたり、被害者への配慮に欠ける担当者もいるため、嫌な気分になることは多いです。

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弁護士に交渉してもらうことで、ストレスを軽減できます。

相手の態度が軟化することがある

弁護士が交通事故後の交渉に当たることで相手方の保険会社が態度を軟化させるケースがあります。個人を相手にしていたときは強気な態度で不利な条件を提示していたのに、弁護士が登場したとたんにコロッと対応を変える保険会社もあるのが現状です。

 弁護士との交渉がこじれると、最終的に裁判に持ち込まれる可能性が高いため、保険会社も無理な交渉は控えるようになるでしょう。

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するなら治療終了時がベスト

交通事故で弁護士に示談交渉を依頼するときのベストなタイミングは、ケガの治療が終了したときです。

示談交渉で不利にならず、費用倒れにもなりにくいのが、治療が終わり完治または病状固定と診断されたタイミングだからです。

弁護士への依頼は事故後、いつでも可能です。早く慰謝料をもらいたいなら、早めに依頼するのが良いでしょう。しかし、弁護士費用が発生するため、費用の面が気になってしまうでしょう。もし交通事故の加害者からとれる損害賠償の金額が弁護士費用を下回った場合、赤字になってしまう「費用倒れ」のリスクも出てきてしまいます。

治療が終了した時点なら傷害慰謝料、後遺障害慰謝料などが算定できるようになるので、どれくらいの損害賠償を請求できるか見積もりが作れます。示談金が弁護士費用を上回るようなら費用倒れは起きにくくなりますので、弁護士に依頼するのがおすすめとなります。

豊川先生
弁護士に依頼するなら、治療が終わったタイミングですぐに相談できるよう、あらかじめ交通事故に強い弁護士を探しておくようにしてください。

交通事故の示談交渉を短期間で解決するには

交通事故の示談交渉の期間を短くするには、弁護士に相談するのがベストです。

弁護士なら手続きや交渉もスムーズに行えますし、依頼者の希望や主張をきちんと相手に伝えてくれるので、一方的に不利な条件で示談させられることもなくなります。

相手方の保険会社の言うことに反論せず、慰謝料や後遺障害についても言われるままの条件で示談するのなら交渉は早く終わるでしょう。しかしあなたにとって不利な条件で示談に応じることになるのは避けたいですよね。

示談金はケガの治療や今後の生活のために大切なお金ですから、適切な損害賠償を受け取る必要があります。ところが一般の方では知識や交渉の経験がないため、自分一人で交渉するのは難しく、個人で交渉すると長期間かかる上に損害賠償額も納得のいくものにならないこともあり得ます。

POINT
交通事故の示談交渉を早期解決し、納得のいく金額を受け取れるよう、弁護士の手を借りる方法を検討してみてください。

交通事故の示談交渉は弁護士に依頼しよう

交通事故の示談交渉は弁護士に依頼するのが良いでしょう。

示談交渉は損害賠償を決定する大切なものですが、個人で行うと長期間かかってしまったり、不利な条件に応じてしまうリスクがあります。弁護士に依頼すると、交渉をスムーズに進められ短期間で解決するうえ、受け取れる示談金も増額できます。

交通事故の示談交渉にお悩みの方は、ぜひ交通事故案件に強い弁護士への相談を検討してみてください。

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