仕事中や通勤中に起きた労災による交通事故で指にしびれの後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級の認定はどうなるのでしょうか。
適切な後遺障害等級認定を受けるためにできること
労災の交通事故で後遺障害の認定を受けるとさまざまな補償金が支給されるようになりますが、そのためには、労働基準監督署にきちんと後遺症の存在を認めてもらわなければなりません。
適切な後遺障害等級認定を受けるため、申請の際に注意したいポイントについて解説します。
申請には後遺障害診断書が大切
申請の際、重要になるのが医師の作成する後遺障害診断書です。認定を受けるには、障害の存在や事故との因果関係を医学的に証明する必要があります。後遺障害診断書はその際に大きな役割を果たす書面で、医師にしか書けない決まりとなっています。
しかし、なかには診断書を書きなれていなかったり、重要性をよく理解していなかったり、あまり書きたくないと考えている医師もいます。
診断書以外の証拠も収集する
後遺障害認定では、診断書のほかにも障害の存在を証明できる証拠を多く集めるのが重要です。特に、指のしびれのような神経症状は外見からだとどの程度の障害なのか分かりづらく、証明するのが難しくなります。
時効に注意する
労災の補償金には申請の時効があり、障害補償給付の場合、症状が治癒(症状固定)した日の翌日から5年と決められています。時効を過ぎると後遺障害が認められたとしても給付金を受け取れなくなってしまうため注意が必要です。
労災の後遺障害とは
「労災」とは「労働災害」の略で、業務中や通勤中に事故などが原因で労働者がケガや病気になったり、死亡したりするケースを指す言葉です。
従業員を1人でも雇用する会社は、労災保険に加入する責任があり、労災が発生すればパートやアルバイトなどの雇用形態にかかわらず補償を受けられるようになっており、仕事中や通勤中に起きた交通事故も労災に含まれます。
労災で受けられる補償
「労災保険」は、労災認定を受けた労働者やその遺族に対して、給付を行う保険制度です。労働基準監督署への申請を行い、認定を受けた場合、以下の補償をもらえるようになります。
休業補償給付 | 労災により働けなくなった期間の給与に対する補償。 |
---|---|
療養補償給付 | 労災によるケガや病気の療養費に対する補償。 |
障害補償給付 | 労災のために何らかの後遺症が残った場合の補償。 |
遺族補償給付 | 労災で本人が死亡した場合の遺族に対する補償。 |
介護補償給付 | 労災による障害で介護が必要になった場合の補償。 |
交通事故で労災が認められると病院の治療費を自己負担しなくて済み、ケガで仕事を休業した場合も給与などの補償を受けられます。ただし、自賠責保険と労災保険の両方から二重でお金を受け取ることはできず、どちらかが限度額を超えた場合にのみ、もう一方からの支払いが行われる形式がとられます。
労災による交通事故の後遺障害
労災の「後遺障害」とは、労働災害の結果、治療後もケガなどが治りきらずに何らかの症状が残ってしまった状態です。労災による交通事故でも、通常の交通事故と同様、後遺症に対しては後遺障害の認定を受けられるようになっています。
後遺障害は1級~14級までの等級に分かれており、数字が小さくなるほど症状が重く、補償も手厚くなり、後遺障害でどのような補償を受けられるかは認定される等級が重要です。
労災の障害等級表
第1級 | 1、両眼が失明したもの。 2、咀嚼及び言語の機能を廃したもの。 3、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。 4、胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。 5、削除 6、両上肢をひじ関節以上で失ったもの。 7、両上肢の用を全廃したもの。 8、両下肢をひざ関節以上で失ったもの。 9、両下肢の用を全廃したもの。 |
---|---|
第2級 | 1、一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの。 2、両眼の視力が0.02以下になったもの。 2の2、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。 2の3、胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。 3、両上肢を手関節以上で失ったもの。 4、両下肢を足関節以上で失ったもの。 |
第3級 | 1、一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの。 2、咀嚼又は言語の機能を廃したもの。 3、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。 4、胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。 5、両手の手指の全部を失ったもの。 |
第4級 | 1、両眼の視力が0.06以下になったもの。 2、咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの。 3、両耳の聴力を全く失ったもの。 4、一上肢をひじ関節以上で失ったもの。 5、一下肢をひざ関節以上で失ったもの。 6、両手の手指の全部の用を廃したもの。 7、両足をリスフラン関節以上で失ったもの。 |
第5級 | 1、一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの。 1の2、神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの。 1の3、胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの。 2、一上肢を手関節以上で失ったもの。 3、一下肢を足関節以上で失ったもの 4、一上肢の用を全廃したもの。 5、一下肢の用を全廃したもの。 6、両足の足指の全部を失ったもの。 |
第6級 | 1、両眼の視力が0.1以下になったもの。 2、そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの。 3、両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの。 3の2、一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 4、脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの。 5、一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの。 6、一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの。 7、一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの。 |
第7級 | 1、一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの。 2、両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 2の2、一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 3、神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。 4、削除 5、胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。 6、一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失ったもの。 7、一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの。 8、一足をリスフラン関節以上で失ったもの。 9、一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。 10、一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。 11、両足の足指の全部の用を廃したもの。 12、外貌に著しい醜状を残すもの。 13、両側のこう丸を失ったもの。 |
第8級 | 1、一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの。 2、脊柱に運動障害を残すもの。 3、一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失ったもの。 4、一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの。 5、一下肢を五センチメートル以上短縮したもの。 6、一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの。 7、一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの。 8、一上肢に偽関節を残すもの。 9、一下肢に偽関節を残すもの。 10、一足の足指の全部を失ったもの。 |
第9級 | 1、両眼の視力が0.6以下になったもの。 2、一眼の視力が0.06以下になったもの。 3、両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの。 4、両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの。 5、鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの。 6、咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの。 6の2、両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 6の3、一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの。 7、一耳の聴力を全く失ったもの。 7の2、神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。 7の3、胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。 8、一手の母指又は母指以外の二の手指を失ったもの。 9、一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの。 10、一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの。 11、一足の足指の全部の用を廃したもの。 11の2、外貌に相当程度の醜状を残すもの。 12、生殖器に著しい障害を残すもの。 |
第10級 | 1、一眼の視力が0.1以下になったもの。 1の2、正面視で複視を残すもの。 2、咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの。 3、十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの。 3の2、両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの。 4、一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの。 5、削除 6、一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの。 7、一下肢を三センチメートル以上短縮したもの。 8、一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの。 9、一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの。 10、一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの。 |
第11級 | 1、両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの。 2、両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの。 3、一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの。 3の2、十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの。 3の3、両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの。 4、一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの。 5、脊柱に変形を残すもの。 6、一手の示指、中指又は環指を失ったもの。 7、削除 8、一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの。 9、胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの。 |
第12級 | 1、一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの。 2、一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの。 3、七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの。 4、一耳の耳かくの大部分を欠損したもの。 5、鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの。 6、一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの。 7、一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの。 8、長管骨に変形を残すもの。 8の2、一手の小指を失ったもの。 9、一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの。 10、一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの、又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの。 11、一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの。 12、局部にがん固な神経症状を残すもの。 13、削除 14、外貌に醜状を残すもの。 |
第13級 | 1、一眼の視力が0.6以下になったもの。 2、一眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの。 2の2、正面視以外で複視を残すもの。 3、両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの。 3の2、五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの。 3の3、胸腹部臓器の機能に障害を残すもの。 4、一手の小指の用を廃したもの。 5、一手の母指の指骨の一部を失ったもの。 6、削除 7、削除 8、一下肢を一センチメートル以上短縮したもの。 9、一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの。 10、一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの、又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの。 |
第14級 | 1、一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの。 2、三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの。 2の2、一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの。 3、上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの。 4、下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの。 5、削除 6、一手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの。 7、一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの。 8、一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの。 9、局部に神経症状を残すもの。 10、削除 |
症状固定とは
交通事故で後遺障害の認定を得る際にポイントとなるのが「症状固定(治癒)」です。医学上で一般的に認められる治療法を続けてもこれ以上は症状の改善が見込めないと判断される状態を「症状固定」といいます。痛みなどが治療によって一時的に良くなっても、また元通りになってしまう状態などは、症状固定と診断される原因となるタイミングといえるでしょう。
労災認定において、症状が完全に治った状態を「完治」、症状固定の状態を「治癒」と呼んでいます。病状固定(治癒)の診断を受けると、労災保険から「休業補償給付」や「療養補償給付」の支給は受けられなくなり、治療は終了します。
労災で生じた指のしびれの後遺障害等級は?
指のしびれの多くは神経症状として12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」または14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当します。
労災による交通事故で手や足の指にしびれの後遺症が残った場合、後遺障害として保険を受給できる可能性があり、補償を受けるには後遺障害等級の認定が必要となります。後遺症として指のしびれが出る場合、事故の衝撃により首付近に損傷が残る「むちうち」や椎間板ヘルニア、脊髄損傷、脳の損傷などのケースが考えられ、症状もさまざまです。後遺障害では、これらの症状を等級ごとに分類しています。
指のしびれに対する後遺障害等級の補償金額はいくら?
12級と14級、それぞれについて、指のしびれについて後遺障害の認定を受けられた場合の補償金額はいくらになるかをみていきましょう。認定を受けると労災保険の障害補償給付から次のような補償金を受給できるようになります。
障害補償年金
障害補償年金 | 後遺障害等級1〜7級で年金として受け取れる補償。 1回に限り前払いを受けられる「前払一時金」制度がある。 |
---|---|
障害補償一時金 | 後遺障害等級8〜14級で一時金として一括で支給される補償。 |
障害特別支給金 | 後遺障害等級1~14級の認定を受けた際、一時金として支給を受けられる補償。 |
障害特別年金 | 後遺障害等級1~7級で年金として受け取れる補償。 賞与額を基礎に支給され、前払い制度は存在しない。 |
障害補償一時金 | 後遺障害等級8~14級で一時金として一括で支給される補償。賞与額を基礎に支給される。 |
後遺障害認定を受けると、障害補償給付(障害給付)を受けとれるようになる代わり、療養補償給付(療養給付)の受けとりはなくなります。以下、それぞれの補償について詳しくみていきましょう。
障害補償年金
等級ごとに支給される日数が決まっており、金額は直近3か月の給与をもとにした「給付基礎日額」から計算されます。
後遺障害等級 | 給付日数 |
---|---|
1級 | 313日分 |
2級 | 277日分 |
3級 | 245日分 |
4級 | 213日分 |
5級 | 184日分 |
6級 | 156日分 |
7級 | 131日分 |
給付基礎日額は、事故が起きる直前3か月のボーナスなどを含まない給与額を日数で割ったもので、4月に事故が起きて1~3月までの給与が30万円だったとすると、
(30万円×3か月)÷(31日(1月)+28日(2月)+31日(3月))=90万円÷90日=1万円
となります。
給与基礎日額1万円の方が7級に認定された場合に支払われる金額は、
1万円×131日=131万円
となり、1年を6期に分けて年金として支給されます。
障害補償一時金
こちらも給与基礎日額をもとに算出され、以下のように決められた日数分支給されますが、年金ではなく一時金として支払われ、受け取れるのは1度のみです。
後遺障害等級
後遺障害等級 | 給付日数 |
---|---|
8級 | 503日分 |
9級 | 391日分 |
10級 | 302日分 |
11級 | 223日分 |
12級 | 156日分 |
13級 | 101日分 |
14級 | 56日分 |
給与基礎日額1万円の方が12級に認定された場合の金額は、
1万円×156日=156万円
となり、14級なら、
1万円×56日=56万円となります。
障害特別支給金
後遺障害認定を受けるとどの等級でも支給される補償金で、等級によって金額が異なります。
後遺障害等級
後遺障害等級 | 支給額 |
---|---|
1級 | 342万円 |
2級 | 320万円 |
3級 | 300万円 |
4級 | 264万円 |
5級 | 225万円 |
6級 | 192万円 |
7級 | 159万円 |
8級 | 65万円 |
9級 | 50万円 |
10級 | 39万円 |
11級 | 29万円 |
12級 | 20万円 |
13級 | 14万円 |
14級 | 8万円 |
障害特別年金
障害特別年金は、支給日数は障害補償年金と同じですが、算定の基準として給付基礎日額ではなくボーナスなどの特別給与をもとにした算定基礎日額が使われます。
算定基礎日額は後遺障害が確定する前の1年間に支給された賞与等を365日で割ったものです。
例えば、ボーナスの額が60万円だった場合は、
60万円÷365日=1,643円
となります。
7級の認定を受けた場合の金額は、
1,643円×131日=21万5,233円
です。
障害特別一時金
障害特別年金と同様、こちらも日数は上記の表と同じで、算定基礎日額をもとに金額を計算します。
上の例と同様にボーナス60万円の方の場合、
12級の認定を受けると、1,643円×156日=25万6,308円
14級の認定を受けると、1,643円×56日=9万2,008円
となります。
12級・14級の認定で得られる補償金の事例
以上のそれぞれの補償金を合計して、後遺障害12級および14級の認定を受けた際の補償金額をみていきましょう。(給付基礎日額・算定基礎日額は上記の事例をそのまま使用しています)
等級 | 障害補償一時金 | 障害特別支給金 | 障害特別一時金 | 総額 |
---|---|---|---|---|
12級 | 156万円 | 20万円 | 25万6,308円 | 201万6,308円 |
14級 | 56万円 | 8万円 | 9万2,008円 | 73万2,008円 |
認定を受けると、極めて低い14級でも数十万円の補償金を受け取れるようになります。労災の交通事故において、後遺障害等級の認定を受けられるか否かがどれだけ重要であるかが理解できるでしょう。
認定結果に不服がある場合は?
労災の交通事故で後遺障害等級の申請を行ったものの、労災認定を受けられなかった場合やあるいは思っていたより低い等級で認定された場合など、結果に不満があるケースではどのような対応がとれるでしょうか。
審査請求
後遺障害等級の認定に不服がある場合、申請を行った労働基準監督署を管轄する「都道府県局」の「労働者災害補償保険審査官」に対して審査請求が可能です。審査請求には時効があり、不支給の決定を知った日の翌日から3か月以内と決められています。
審査請求を行ったものの、認められずに却下された場合や3か月間結果が出ない場合には、さらに次2つの対応が可能になります。
労災保険、雇用保険の不服審査を実施している「労災保険審査会」に対して不服申し立てを実施する方法です。そのため、申請内容としては審査請求の結果に対する不服申し立てではなく、はじめの後遺障害認定の結果に対する不服申し立てとなります。
裁判所に処分の結果取り消しを求める訴訟を提起する方法です。再審査請求が棄却された場合や結果に不満のある場合にも実施でき、期限は審査決定を知った日の翌日から6か月以内と定められています。こちらも、審査請求や再審査請求の結果取り消しではなく、労働基準監督署による原処分の取り消しを求める訴訟となります。
適切な補償を獲得するため弁護士に相談を
労災の交通事故における後遺障害等級認定には複雑な手続きが必要で、常に満足のいく結果が出るとは限りません。そのため、適切な補償を獲得するためには弁護士など、交通事故の後遺障害認定に詳しい者に相談することをおすすめします。
まとめ
業務中や通勤中に起きた労災の交通事故で後遺症が残った場合、障害補償給付を申請すれば支給される給付金の額が手厚くなります。しかし、給付を受けるには、後遺障害等級の認定を受ける必要があり、指のしびれのような神経症状は特に障害の証明が難しいため、認定を受けられなかったり、思っていた等級より低く認定されてしまったりする恐れもあります。
労災の交通事故で後遺障害認定に不安のある方は、適切な補償を獲得するため、ぜひ弁護士へ相談を検討してみてください。
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