Twitterに発信者情報開示請求を行う流れ
Twitter上での投稿に対して発信者情報開示請求を行うときの流れを解説します。Twitterの場合、プロバイダへの開示請求を行う前に、Twitter社を相手として投稿者のIPアドレス開示を求める仮処分を請求します。
準備
投稿された記事を保存しておきます。
また、ツイッター社の資格証明書とその翻訳文が必要ですが、アメリカへ取り寄せると数か月かかるので、用意できない場合は、国内で販売している法律事務所や業者から取り寄せませす。
申し立て
裁判所に対して、IPアドレスの開示に関する仮処分の申し立てを行います。
Twitterは日本国内の企業ではなく、Twitter社の日本法人は開示請求に関して権限をもっていないとされているため、管轄が定まらない場合となり、開示請求においては東京地裁が管轄の裁判所になります。
債権者面接
裁判所で申し立てが受理されると、債権者面接が行われます。
債権者とは申し立てを行ったあなた自身のことを指し、債権者が裁判所に出頭して裁判官と訴訟内容について面談します。
申し立てから1日は間隔を開けないといけないことになっているため、翌々日から数日以内に行われることが多くなっています。通常は30分ほどで終わり、電話で実施される場合もあります。
呼出
Twitter社をアメリカから呼び出す手続きを行います。
EMS(国際スピード郵便)を利用して呼び出し、双方審尋期日が設定されます。通常は、呼び出し期間は2~3週間ほどになります。
2021年現在、新型コロナの影響により、EMSによる呼び出しが難しくなっているため、呼び出しの手続きに関しては特殊な方法がとられています。
Twitter社の代理人を務める弁護士に対して、申立書等を送付して受け取ってもらえるか、委任状を提出できるかの確認を行います。同意をもらえたことを裁判所に伝え、代理人との間で期日調整を行います。
双方審尋出
決められた双方審尋期日に両者が裁判所へと出頭し、お互い主張と反論を行います。
1~2週間ごとに申立者とTwitter社側が交互に主張を実施します。遠方に住んでいる場合は、申請すれば電話での参加も認められます。期間は2週間から長くて1か月半ほどかかる場合もあります。
この段階で裁判官からの心証言い渡しがあれば、開示が認められそうか、おおよその見当がつきます。
発令
尋問終了後に裁判所が決定を行い、情報開示が認められることになった場合は、仮処分命令が発令されます。
このとき、Twitter社は担保を求めないので、Twitter相手の仮処分では基本的に供託金を納める必要はありません。申立人が裁判所に上申書と目録を提出することで仮処分が発令され、Twitter社の弁護人に向けて裁判所から決定正本が送付されます。
IPアドレス開示
仮処分発令後、1週間以内にTwitter社からIPアドレスの開示に関するメールが届きます。
メールは英語で書かれており、リンク先からアカウントごとに約2か月間のログイン時IPアドレスがわかるファイルがダウンロードできます。
IPアドレスが開示された後の流れ
仮処分が認められ、アドレスが開示された場合のその後の手続きを解説します。
プロバイダへの発信者情報開示請求を行う
IPアドレスの開示が行われたら、Whois検索を利用して経由プロバイダ(ISP[携帯のキャリアなど])を特定し、発信者情報開示請求を行います。
プロバイダは投稿者に連絡して開示の可否を尋ねることになりますが、多くの場合、相手は拒否するでしょうし、その後は開示を求めて訴訟を実施することになるでしょう。
削除請求を行う
本訴訟を行う前に、書き込みの削除やアクセス記録の保存を求める仮処分を申し立てる場合もあります。
削除請求はTwitter社に求めることもできますが、この場合、削除するかどうかはTwitter社が決めることになるため、削除してもらえない可能性もあります。
そこで、裁判所に削除の仮処分を求める方法があります。削除に関する仮処分の申し立ては、開示請求の仮処分と同時に行うこともできますが、削除申請に関しては、住所地の裁判所が管轄となるため、東京23区以外に住んでいる場合は申し立てを2回行うことになります。
削除に関しても仮処分の流れは変わらず、申し立てから債権者面談、呼出、双方審尋出の順に進みます。
ログ保存の請求を行う
プロバイダが保管している投稿者のアクセス記録は一定期間が経つと削除されてしまうため、ログ保存を申請しておかないと投稿者を特定することができなくなります。
まとめ
Twitterは誰でも簡単に投稿ができる便利なSNSですが、その反面、最近ではTwitterにおける誹謗中傷事件も増えています。
Twitterの投稿に対しても発信者情報開示を請求することが可能ですが、Twitter社が外国企業のため、一般的な仮処分申立ての手続きと少し違っている部分があります。
Twitterの投稿への開示請求を行う際は、手続きの流れをきちんと把握しておくとともに、法律に関する知識も必要になります。そのため、手続きが問題なく行えるよう、できる限り弁護士など専門家に相談したほうがよいでしょう。
こうした案件に強く経験も豊富な弁護士に相談すれば、開示請求だけでなくその後の訴訟についても相談に乗ってくれて心強い味方になってもらえるはずです。