ホストラブの発信者情報開示請求をしたい!必要な手続きについて

ホストラブの発信者情報開示請求をしたい!必要な手続きについて

削除請求の訴求バナー

ホストクラブなど夜業界を専門に扱うネット上の掲示板サイト「ホストラブ」。

ホスラブの愛称で知られる便利なサイトですが、お店やスタッフへの誹謗中傷や風評被害となる内容が書き込まれることもあります。

この記事では、ホスラブの書き込みに開示請求を行い、投稿者である犯人を特定する方法を解説します。

発信者情報開示請求とは

ホスラブで誹謗中傷の書き込みを受けた際、加害者を特定するには、「発信者情報開示請求」といわれる制度を利用します。ネット上での誹謗中傷の書き込みは、民法上の不法行為にあたり、さらに名誉毀損など刑法上でも犯罪に該当する可能性もあります。

しかし、インターネットの掲示板やSNSでは匿名での投稿が一般的になっています。そのため、普通は書き込みの投稿者が誰であるか分からず、相手を訴えることができません。

そこで利用されるのが発信者情報開示請求です。

発信者情報開示請求は、「プロバイダ責任制限法第4条」に基づき、投稿者が利用しているプロバイダに対して、相手の氏名や住所など個人情報の開示を請求できる制度です。

請求が認められれば、加害者が特定できるため、相手を訴えたり、警察に告訴できるようになります。

開示請求を利用することで、匿名の相手からの誹謗中傷に対しても、泣き寝入りする必要がなくなります。

発信者の特定には時間がかかる

開示請求には、いくつかの問題点もあり、その1つが相手を特定するまでに時間がかかることです。加害者を特定するには、書き込みがあったサイトと相手が利用しているプロバイダの両方に開示請求する必要があります。

このとき、相手が開示を拒んだ場合は、裁判手続きによって開示を求めることになり、多くの場合は半年以上、長ければ9か月程度かかることもあります。

アクセスログには保存期間がある

投稿者の特定に時間がかかることで起きてくるもう1つの問題が、プロバイダが保存している「アクセスログ」に保存期間があるため、特定が終わる頃には記録が消されてしまっている可能性があることです。

アクセスログとは
プロバイダの利用者がいつ、どのサイトに接続やログインしたかなどを記録したデータで、削除されると発信者を特定するのが難しくなります。

しかし、多くのプロバイダにおいて、アクセス記録の保存期間は3か月から半年、長くても1年ほどです。保存期間に法的な規定はなく、各事業者に委ねられています。

短いところだと3か月でデータが消えてしまうため、あまり時間的な余裕がありません。発信者の特定に半年以上費やしていると、例え裁判に勝ってもデータ自体が存在しないため、開示を受けられない可能性もあります。

そのため、プロバイダにデータを削除しないよう請求し、応じてくれない場合には、裁判所に対して、アクセス記録の保存を求める「削除禁止仮処分」の申立を行います。

仮処分とは緊急性が認められるときに民事保全法に基づいて実施される暫定処置で、迅速さが重視されているため、通常の裁判よりも早く結果が分かるのが特徴です。

裁判所から仮処分命令が出されればアクセス記録が消える心配もなくなります。

このように、発信者情報開示請求は全体的に時間との戦いであるといえます。

ホストラブの書き込みの発信者は特定できる?

ここまで、誹謗中傷の加害者を訴えるためには、発信者の特定が不可欠であることと時間的な制約があることを説明してきました。

では、実際にホストラブでの誹謗中傷に対して、発信者を特定するときの手順はどうなっているのでしょうか。

ホストラブで禁止されている書き込み

ホストラブの利用規約では、禁止行為として14項目が定められています。

そのなかには、

  • 虚偽または故意に誤解を与える発言
  • 第三者に対する誹謗中傷または名誉き損、もしくは他者に対して不利益または不快感を与えるおそれのある発言
  • 公序良俗に反する行為

が規定されているため、誹謗中傷の書き込みも禁止行為にあたると考えられます。

ホストラブでの削除依頼方法

ホストラブで書き込みの削除依頼をする場合は、削除依頼フォームから、

  • スレッドのURLにある14桁の番
  • レス番号
  • 削除理由

を入力して送信してください。

申請が認められると、96時間以内に対象の書き込みが削除されます。レスだけでなく、スレッド全体に対して削除請求を行うことも可能です。

ホストラブの削除ガイドライン

削除ガイドラインでは削除の対象になる書き込みについて具体的な決まりが書かれています。

このなかに誹謗中傷についての規定もあり、「個人を特定する情報」を伴っているものはすべて削除対象とされている(公益性があるものは除く)ほか、「私生活やプライベートに関する情報」は一律削除対象になっています。

ホスト情報は騙りの可能性があるものや悪意が明らかで攻撃を目的としているものが対象です。

POINT
個人情報に関しては、電話番号は一部が伏せ字になっているものや示唆するような文字列でも削除対象になりますが、個人名や住所は、マスコミ報道やインターネットに公開されているもの、電話帳に掲載されているものは対象外です。

ホストラブで投稿者を特定可能な書き込み

ホストラブで発信者の開示請求が可能になるのは、何らかの権利侵害を行っていると認められるケースです。

具体的には、名誉毀損や侮辱罪など何らかの罪にあたると考えられる場合や、個人の写真やHP、ブログの画像を無断転載するなど肖像権侵害になる場合、住所・氏名・電話番号など個人情報を無断で公開されプライバシーの侵害にあたる場合などです。

ただ、もしも本名や住所など個人情報や自分の写真を晒されている場合は、放置すると被害が拡大する恐れがあるので、開示請求よりも書き込みの削除を優先したほうがいいでしょう。

ホストラブでの発信者特定の手順

通常、インターネットでの誹謗中傷の加害者を特定しようとすると、2回の開示請求を行う必要があり、ホストラブの場合もこれは同じです。

ここからはホストラブでの発信者特定の手順を解説します。

  1. ホストラブへの開示請求
  2. 開示仮処分の申立
  3. プロバイダへの開示請求
  4. 発信者情報開示請求訴訟
  5. 加害者の特定→民事・刑事での訴訟が可能に

以下、それぞれを詳しくみていきます。

ホストラブへの開示請求

1回目は、書き込みがされたサイトやSNSに対して、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。今回は、ホストラブでの書き込みについての開示請求ですので、ホストラブの運営者が請求先になります。

ホストラブへの開示仮処分申立

開示請求には、大きく分けて「任意開示」と裁判所での手続きによる開示の2種類があります。

任意開示は、被害者からの求めに応じて、ホストラブ側が情報を開示することです。請求先が任意開示に応じてくれると手続きはスムーズに進み、かかる時間も少なくて済みます。

しかし、多くのサイトではIPアドレスの公開を拒む傾向があり、任意での開示が認められるケースは少なく、多くの場合は、「開示仮処分」の申立て手続きを必要とします。

被害者側の主張が認められ、仮処分命令が出されれば、ホストラブから情報の開示が受けられます。

仮処分による情報開示にかかる期間は1か月程度ですが、人によってはかなり長いと感じるでしょうし、後述するアクセス記録の問題もあるため、決して短い期間とはいえません。

プロバイダへの開示請求

ホストラブからIPアドレス等が開示されると、それをもとに、投稿者が利用しているプロバイダを特定できるようになります。

2回目の開示請求では、プロバイダに対して、加害者の氏名や住所といった裁判で訴えるときに必要な個人情報の開示を請求します。

プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟

こちらも任意で開示してくれればスムーズなのですが、そういったケースは稀です。請求を受けたプロバイダは、投稿者本人に情報の開示を認めるかを問う書面を送付するのですが、加害者は開示を拒む場合がほとんどといっていいでしょう。

プロバイダ自身も、多くの場合、個人情報の開示にはとても慎重な姿勢をとっています。そのため、今度も開示に裁判所での手続きを必要です。

ホストラブへの開示請求では仮処分の申立で開示が認められましたが、プロバイダの場合は発信者情報開示請求訴訟といわれる訴訟を起こす必要があります。

プロバイダがもつ投稿者の個人情報は契約関係にある限り、すぐに削除されるようなものではなく、緊急性は低いと考えられるためで、この場合は仮処分ではなく正式な裁判になります。

裁判にかかる期間は、半年程度のため、仮処分の手続きとあわせると、相手を特定するまでに7~9か月くらいかかると思っておく必要があります。

開示請求の手続きは非常に複雑で、時間的な制限もあるため、個人で行うと失敗してしまうことも考えられます。

そのため、開示請求を行う場合は、できる限り弁護士など法律の専門家に相談しながら行うほうがいいといえるでしょう。

ホストラブでの発信者特定にかかる費用

ホストラブでの書き込みに対して投稿者を特定するためにかかる費用を解説します。

開示請求の手続きは複雑なため、発信者の特定は弁護士など法律の専門家に依頼するのが一般的です。そのため、ここでは主に弁護士費用について説明します。

相談料 10000円~

最初に、弁護士に自分が受けた被害を相談し、今後取るべき対応について相談します。1時間1万円程度が相場ですが、初回相談無料の事務所もあるので調べてみてください。

印紙代など諸費用 数千円~

裁判所に開示仮処分の申立をする場合にかかる手続きの費用で、手数料の収入印紙代や相手への書類送達にかかる切手代などです。印紙代が2000円程度、切手代が1000円程度で金額的にそれほど高くありません。

プロバイダへの開示請求では通常の訴訟を行う必要があるため、手数料の金額は請求額によって変わります。開示請求の裁判では、通常、請求額は確定できないものとされ、一律160万円で計算され、印紙代はプロバイダ1社につき13000円です。

担保金

裁判所に仮処分の申立をする際、法務局に供託する費用です。金額は事例によって異なりますが、10万~30万円が相場です。

担保金は不当な訴えで相手方に損失が出るのを防ぐことを目的としており、通常は請求が認められると返還されます。

着手金、成功報酬

着手金は弁護士に依頼するとき、最初に払う費用で、成功報酬は依頼が成功したとき、裁判に勝ったときに弁護士に支払う費用です。

着手金は20万~30万円、成功報酬は10万~20万円あたりに設定している事務所が多いようです。この金額はあくまでも相場のため、相手が任意での開示に応じた場合に安くなったりすることがあります。

また、事務所によっては、着手金を安く設定していたり、成功報酬をとらないところもあるので、依頼する際は、費用をよく比較検討するようにしてください。

開示請求1件あたりの費用相場

まとめると、ホストラブでの書き込みに対する開示請求の費用は、相談料・印紙代等30000円+担保金30万円+着手金20万円+成功報酬30万円となり、合計で83万円が目安だと考えてください。

ただ、この例では担保金や着手金などの額を最大で計算していますし、個々のケースや依頼する弁護士事務所によっても金額は変わってきます。

実際にどれくらいの費用がかかるかについては、依頼の際、弁護士に相談してみてください。

ホストラブの書き込み発信者を特定したあとの対応は?

ホストラブでの書き込みで投稿者を特定した後は、相手に対して刑事・民事上での先人追求が可能になります。具体的には、警察に被害を届け出て告訴を行ったり、民事訴訟での損害賠償請求が行えます。

刑事での責任追及 加害者の告訴

刑事上の責任をとらせたい場合には、警察に告訴状を提出し、加害者を刑事告訴します。誹謗中傷で適用されることの多い名誉毀損および侮辱罪は、親告罪といわれ、被害者から訴え出ない限り警察が捜査を行ったり、加害者が起訴されることがない犯罪です。

そのため、相手を刑法で裁いてほしいと考えている場合には、警察への告訴が必要です。警察の捜査であなたの訴えが認められれば、加害者が逮捕されたり、刑事事件として立件されることになります。

 刑事裁判で有罪になれば、名誉毀損の場合は「3年以下の懲役または禁錮、50万円以下の罰金」、侮辱罪の場合は「拘留または科料」が罰則として課せられます。

民事での責任追及 損害賠償の請求

刑事上の責任とは別に、民事上の責任追及として、加害者に民事訴訟を起こし、不法行為に対する損害賠償・慰謝料の請求が可能です。

賠償金の相場
名誉毀損の場合は、被害者が個人であれば10万~50万円、お店や企業なら50万~100万円、侮辱罪の場合は、1万~10万円、プライバシー侵害の場合は、10万~50万円です。

専門家に相談しながら進めましょう

投稿者を特定しても、必ずしも相手を訴えなければならないわけではなく、相手からの謝罪を受け入れて示談する方法もあります。場合によっては、示談のほうが慰謝料が高額になるケースもあるため、どういう対応をとるのがいいのかは、弁護士など法律の専門家からアドバイスをもらったほうがいいでしょう。

加害者の刑事告訴や民事裁判を起こす場合にも、法律知識のない個人だけでは限界があるため、弁護士の助けを借りるべきといえます。

初回相談は無料の事務所もありますので、まずは問題の投稿を弁護士に見せて、相談するところからはじめてみてください。

緊急を要する場合は警察に相談を

もし、ホストラブの書き込みをもとに、誰かから脅迫を受けているなど緊急性を要する状況に直面している場合には、警察に被害を届けると対応してもらえる可能性があります。

こうしたケースでは、時間をかけて投稿者の特定を行っていると事態がさらに悪化することも考えられるため、先に警察に助けを求めたほうが良いといえるでしょう。

まとめ

ホストラブでの誹謗中傷の書き込みに対しては、発信者を特定して刑事や民事での責任追及が可能です。

ただ、開示請求には時間がかかるケースが多いため、個人情報などを晒す書き込みは削除を優先し、もし脅迫などを受けている場合は先に警察に相談するようにしましょう。

開示請求やその後の訴訟手続き、加害者と示談する場合の交渉などには、法律をはじめとする専門的な知識が求められるため、弁護士など法律の専門家と相談しながら進めるようにしてみてください。

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