名誉毀損は他人の社会的評価を下げるという意味を持ちます。SNSや匿名掲示板などインターネット上で増えている誹謗中傷の中でも、何らかの事実を提示し相手の評価を落とす行為は名誉毀損に当たります。


2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。 ▶︎柔軟な料金設定
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この記事の目次
名誉毀損とは
名誉毀損は公然と事実を摘示し人の名誉を毀損する行為で、刑法230条で規定されている犯罪の一つです。他人の名誉を侵害した時に適用されます。
名誉毀損罪として成立すれば刑事事件や民事事件として扱われ、それぞれの責任を問われることになります。SNSや掲示板などネット上の書き込みのほか、リアルで話した内容も該当します。
名誉毀損が成立する3つの要件と認められない3つの条件
名誉毀損の定義として3つの要件があり、さらに特例として3つの条件が定められています。
名誉毀損と認められる3つの要件
名誉毀損の定義として条文には以下3つの要件が定められており、全てを満たすと名誉毀損罪と認められます。
1、公然と事実を摘示
1つ目の要件は公然と事実を摘示していることです。
「公然」は不特定または多数の人が見たり聞いたり認識できる状況を意味します。大勢の人の前で悪口を言ったり、ネットの掲示板やSNSに誹謗中傷を書き込む行為は公然性を満たしていると判断できます。

「事実」は実際に起きた出来事を指すのが一般的ですが、名誉毀損の事実とは何らかの具体的な事柄という意味になります。そのため、嘘の内容だとしても事実と判断される可能性があります。
「摘示」はわかりやすい言葉で言うと提示です。つまり、事実の摘示とは何らかの具体的な内容を提示し名誉を侵害した状態です。
2、名誉を毀損している
2つ目の定義は他人の名誉を毀損していることです。
罪が成立するかは社会的な評価が傷ついているかが焦点です。名誉毀損罪によって保護される「名誉」は他人や社会的な評価である外部的名誉であり、プライドや自尊心といった名誉感情は関係ありません。
大人と比べれば自尊心が未成熟と考えられる子どもや赤ちゃんでも社会的な評価が貶められれば名誉毀損が成立しますし、侵害された名誉が本人の実力以上の名声を受けている「虚名」でも保護されます。
また、名誉毀損の対象になるのは特定の人です。

3、事実の有無はかかわらない
3つ目の要件が名誉毀損は摘示した事実の有無にかかわらず適用されることです。そのため、発信された内容が真実でも嘘でも関係なく罪に問われることになります。
名誉毀損は外部からの社会的評価を侵害すると適用される罪のため、内容が真実か否かは成立要件に関係ないのです。
名誉毀損が認められない3つの条件
名誉毀損には認められない3つの条件が存在しており、他人の評価を低下させる内容であっても正当との判断がなされるケースがあります。
1、公共の利害に関する事実
指摘した事実が公共の利害に関するもので、真実かつ正当な根拠があると証明されれば名誉毀損は成立しません。
公共の利害は一般の人が関心を寄せるのに正当と考えられる事柄です。例えば、事件の逮捕された容疑者の氏名を新聞などのメディアが報道しても名誉毀損にならないのは、公共の利害に当てはまるからと言えます。
また、個人が転職サイトに以前に勤めていた会社の悪い口コミを投稿するケースでは、名誉起訴に当たらないと判断されやすいです。マイナスの内容でも他の転職者にとって有益と感じる情報は、公益性があると見なされるためです。

2、公益を目的としている
公益は公共の利益を意味します。通常、発言などが公益を図る目的とし、かつ真実であれば名誉毀損は認められません。
公益の事項は公共性の利害と同様であるともいえます。容疑者の実名報道や悪い口コミでも故意ではない事実であれば、公益にも当てはまります。
3、死者に対する真実の発言
すでに亡くなっている人に対し行われた名誉毀損は、内容が虚偽を用いた場面でのみ認められるのが原則です。
相手が死亡していれば、社会的な評価を落とす内容だとしても真実であれば名誉毀損にはならないということです。
名誉毀損と侮辱罪の違い
名誉毀損に似ていますが、刑法231条の侮辱罪は「事実を摘示しなくても公然と人を侮辱した者は拘留又は科料に処する」という定義があります。つまり、名誉毀損と違い事実を示していなくても該当するのがポイントです。
侮辱罪は名誉毀損罪より法定刑が軽かったのですが、インターネット上の誹謗中傷が増えたことにより法定刑の改正がなされました。2022年7月施行からは、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処すると罰則が引上げられています。
名誉毀損と認められた事例
どのようなケースが名誉毀損に当たるのか、確認できるよう4つの具体例を紹介します。
SNSでのなりすましによる名誉毀損の事例
2015年、加害者の男性がSNS上で他人のアカウントになりすまし、掲示板に他の利用者を罵倒する書き込みを行った事例です。
加害者はAさん別のSNSで使用していたプロフィールの顔写真などを無断で使用し、Aさんを装い「お前の性格の醜さは、みなが知った事だろう」など他のユーザーを攻撃する投稿を行っていました。
裁判所はなりすましや書き込みが被害者であるBさんの肖像権や名誉権を侵害したと判断し、加害者に損害賠償130万円の支払いを命じる判決を下しました。悪質な行為には個人でも高額な賠償金の支払い命令が生じる可能性が高いと分かる判例です。
社内メールによる名誉毀損の事例
ある保険会社の営業センター長であったBさんは、Cさんに向け「やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。当センターにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で事務職が何人雇えると思いますか。これ以上、迷惑をかけないで下さい」といった内容のメールを送りました。
発端は日頃から部下のCさんの働きぶりに不満を持っていたことでしたが、問題はメールがCさん本人だけでなく同じ部署の社員十数名にも送信されていた点です。
Cさんは名誉毀損としてBさんに100万円の損害賠償を求め、東京高裁は慰謝料5万円の支払いを命じる判決を出しました。

女性研修医によるトイレでの中傷ビラ貼り付けの事例
2017年6月、大阪市内の病院の女子トイレに知人男性Dさんを中傷するビラを貼ったとして女性研修医Eが逮捕された事件です。ビラにはDさんの実名が書かれ「Dは最低最悪の人間です。存在価値がありません」などと書かれていました。
この事件では、ビラの存在を知ったDさんの通報で警察が捜査に乗り出し、Eが名誉毀損で逮捕されています。
ネット上の投稿だけではなく、紙のビラや印刷物でも名誉毀損になるケースがあります。さらに、名誉毀損罪で逮捕される可能性があると分かる事例です。
女性アスリートへのわいせつ画像による名誉毀損の事例
2021年8月、元五輪選手である女性アスリートの加工・合成した画像をアダルトサイトに掲載した会社員の男性が逮捕された事件です。男性は複数のサイトを運営しており、多額の広告収入を得ていたとみられています。
名誉毀損は発言だけでなく、第三者の社会的評価を傷つれば写真や画像でも成立します。
名誉毀損は刑事や民事の責任を問われる
名誉毀損罪として認められると刑事上や民事上での責任を問われ、刑法上の罰則を受け前科が付いたり高額の損害賠償金が発生するリスクがあります。
刑事上や民事上での責任
名誉毀損は刑事上・民事上の2種類の責任が生じます。
名誉毀損罪は刑事上では刑法230条により、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に科されます。禁錮は刑務所に入るが懲役と違って労働はありません。
また、民事上では名誉を毀損された不法行為で精神的苦痛を受けたとして、被害者は慰謝料といった名目の金銭を加害者に請求できる権利があります。また、加害者に対し名誉を回復させるための措置を求めることも可能です。
逮捕や前科が付く可能性がある
名誉毀損は犯罪の1つであり、認められれば警察に逮捕される可能性があります。
ただ、名誉毀損は親告罪に分類されるため、被害者が刑事告訴しない限り警察が捜査に動くことはありません。いきなり家に警察が来て逮捕されるケースは考えにくいですが、悪質と判断されれば逮捕・勾留されるリスクがあり、実際に加害者が逮捕されたケースは少なくないのが現状です。

名誉毀損による慰謝料の相場
名誉毀損の慰謝料は被害者が個人なら10万~50万円、企業や商店など法人なら50万~100万円程度が相場です。
ただ、罰金50万円までと定められている刑法とは違い、慰謝料を含む損賠賠償金には上限がないため50万円をはるかに超える金額の支払いが決定する可能性は否めません。
名誉毀損をされたりしてしまったときの対処法
名誉毀損の心当たりがあるときは、被害者は犯人を特定し刑事や民事での責任を問うことになります。加害者は該当の書き込みを削除し、これ以上被害の範囲が広がらないようにすることが大切です。
名誉毀損の被害に遭ったときの対処法
名誉毀損の被害に遭ったら証拠を残しておきます。対象の書き込みをプリントアウトしたりスクリーンショットを撮るなどして、名誉を毀損されたことの証明が可能な状態にしておきましょう。
そして、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に基づき、サイトの運営者や管理者であるコンテンツプロバイダと加害者が利用している接続プロバイダに投稿者の個人情報開示を請求します。ネット上は匿名での投稿が基本ですが、誰が投稿したのか特定できないと刑事上や民事上の責任を負わせられないためです。
投稿者の氏名や住所などが判明したら、警察に被害を訴える、裁判で損害賠償金の請求を行ういった刑事裁判や民事裁判で法的な責任を問えるようになります。
参考:総務省・インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)
名誉毀損をしてしまったときの対処法
名誉毀損の心当たりがあれば、該当の書き込みを削除しましょう。
書き込みがネット上に残っている時間が長いほど、多くの人の目に触れ拡散され続けるリスクが生じます。仮に自身での削除ができない場合は、サイトの運営者や管理者に削除を依頼します。問い合わせフォームなどから連絡してください。
また、自身ではなく他者の投稿をリポストする行為が、名誉毀損に当たる可能性がありますので注意が必要です。
困ったら弁護士に相談
名誉毀損の被害者も加害者も、不安や悩みがあれば弁護士への相談を検討するのがおすすめです。
名誉毀損の意味を分かっているつもりでも、法律の知識がないと判断するのは難しいと思われます。自分のされたこと、やったことが名誉毀損に該当するのか、正しい判断を弁護士にしてもらいましょう。
名誉を毀損されているのであれば、被害者は加害者に刑事や民事での責任を問わせることができます。ただ、加害者の個人情報の開示や裁判の手続きなどは、手間がかかり個人で行うのは困難です。弁護士の力を借りながら進めると、スムーズに対応できます。
加害者は被害者から告訴され、逮捕や損害賠償の請求といった問題に直面する恐れがあります。
大事になる前に弁護士にアドバイスをもらうのが良いでしょう。当事者との間で示談交渉すれば警察沙汰を回避できたり、損害賠償の金額を低くできる可能性が出てくるため、示談を信頼できる弁護士に任せるのはおすすめです。
特に人権問題やネットのトラブル事案に強い弁護士なら、力強い味方になってくれるでしょう。

名誉毀損まとめ
名誉毀損とは他人の社会的な信用を傷つけるという意味です。公然と事実を摘示し名誉を毀損すれば発言が事実かにかかわらず成立しますが、名誉毀損に当たらないケースも一部存在しています。
名誉毀損罪は罰金や逮捕などの刑事上の罰や、損害賠償金の発生など民事上の責任が生じます。実際に罪に問われた事例も少なくありません。
名誉毀損されているのではないか、名誉毀損してしまったのではないかという悩みがあるなら、弁護士に名誉毀損に該当するかの判断をしてもらいましょう。そして、弁護士によるケースに合わせた対策で、スムーズなトラブル解決が見込めます。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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