犯罪歴があると就職できない?逮捕や前科が与える影響を弁護士が解説

犯罪歴があると就職できない?前科による生活への影響とは

犯罪歴は就職に影響することがあります。前科は重大事件ではなく日常生活の軽微な犯罪でも付くものです。通常は周囲に知られることは考えにくいですが調査されれば判明しますし、犯罪歴がばれると社会生活に悪い影響を与える可能性があります。

”豊川弁護士”
本記事では、犯罪歴が就職をはじめ社会生活に及ぼす影響と、前科が付かないよう罪が確定する前にできる方法を弁護士が解説します。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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前科がつくとはどういうこと?

前科は逮捕され有罪判決を受けるとつきます。

前科とは

「前科」は刑事裁判で有罪判決を言い渡され刑が確定すると付きます。

ただし、法律上の明確な定義はありません。刑事上の罰則には懲役や禁錮などいくつか種類がありますが、前科は刑の重さは関係なく罰金や科料のような軽い刑罰でも有罪になれば前科にされます。

”女性”
簡易な裁判手続きの略式起訴や、執行猶予付きの判決でも前科は免れません。

前科と前歴の違い

前歴」は警察や検察など捜査機関によって捜査の対象にされたことを指します。警察に逮捕された時点でつくことが多いため、「逮捕歴」とも呼ばれています。

前科は有罪判決を受けると付きますが、逮捕や勾留のみ、不起訴、有罪判決を受けていなくても被疑者として捜査の対象になったのであれば「前歴」に当たります。前歴は前科よりも広い意味をもつ言葉と言えるでしょう。

ただ、前歴は法律上の定義は決められていません。たとえば、警察で始末書を書いたとします。この場合、捜査対象ではないため前歴に含まれないケースもあれば、身元引受人に警察に来てもらったため刑事事件として立件され前歴に含めるといったケースがあるなど、線引きが曖昧なのが現状です。

前科はばれることがある?

一度ついた前科は捜査機関や行政機関などに記録として残ります。しかし、犯罪歴のような情報が一般の人に知られる可能性は非常に低いと言えます。

警察には捜査対象に関する捜査資料が残りますし、検察庁のデータベースには前科に関する情報が記録されます。本籍地である市町村では「犯罪人名簿」に本人が死亡するまで名前が記載されます。

このようなデータは二度目に罪を犯した際に量刑の参考にしたり、行政上の資格制限の確認に使われます。通常、一般の人が閲覧・照会することはできません。

”豊川弁護士”
一般的には、知り合いや職場に犯罪歴に関する情報を知られることは考えにくいです。

ただし、前科が知られてしまうリスクはあります。

前科を知られるケース

実名報道される

重大性や話題性の高い事件の犯人は新聞やテレビのニュースで実名報道されることが多く、逮捕が周囲に知られることになります。また、逮捕のため自宅に警察が来た時に、近所の人に知られてしまう恐れがあります。

インターネット上に実名が掲載される

SNSや匿名の掲示板などで、犯人が実名で掲載されるケースがあります。

誰かが勝手に行った書き込みは名誉毀損に該当し許されるものではありませんが、インターネット上の投稿は瞬く間に拡散され、不特定多数の目に触れやすいのは恐ろしい点と言えるでしょう。結果、犯罪歴が広く知られることに繋がります。

探偵事務所や興信所の調査

探偵事務所や興信所など民間の調査機関により、前科が判明する可能性があります。

探偵事務所が警察や役所のデータを見ることはできません。しかし、高い調査能力を持っており、特に重大事件の前科は発覚してしまう確率が高くなります。

犯罪歴はいつまで残るのか

前科など犯罪歴は逮捕や刑事裁判で有罪判決を受けた事実であり、基本的には時間が経過すれば消えるるものではありません。

ただ、刑法では一定の期間が経つと刑の消滅が行われ、資格取得などができるようになります。

  • 執行猶予付きの懲役や禁錮刑…問題なく執行猶予期間が経過した翌日に消滅
  • 執行猶予なしの懲役や禁錮刑…刑の執行が終了した翌日から罰金以上の犯罪がなく10年以上経過すると消滅
  • 罰金刑…罰金を収めた日から罰金以上の刑がなく5年経過すると消滅

例外として、新天皇即位の際などに恩赦として資格制限をなくす復権が実施される場合があります。また、刑の消滅に合わせ市町村の犯罪人名簿からも記録が削除されます。

例えば、医師法では「罰金以上の前科のある者には免許を与えないことがある」とされています。しかし、刑の効力が消滅した状態であれば制限はなくなり、問題なく免許を取得できるようになります。

ただし、警察や検察で保管している情報は削除されず、裁判所では刑の重さにより1~100年の期間で裁判記録が保管されています。

 ニュースなどマスコミに報道された情報はネット上に残る可能性がありますし、人の記憶に残ることもあり、犯罪歴を完全に消すのは難しいでしょう。

前科がついた事例を紹介

重大な刑事事件だけでなく、日常生における軽い気持ちの行いでも刑事事件に発展し犯罪歴が付くことがあります。実際に犯罪になり前科がついた行動の事例を紹介します。

酒気帯び運転

某県立病院で看護師として勤務していたAさんは、自宅で発泡酒4本を飲んだ後、車でスーパーに買い物に行ったところ警察に捕まりました。現行犯逮捕されたAさんは「雨が降っていたため、つい乗ってしまった。軽はずみな行動だった」と話しました。

Aさんは簡易裁判所から罰金30万円の略式起訴命令を受け、さらに、勤務先の病院からは3か月の減給処分を受けました。

飲酒運転には酒に酔った状態で運転する酒酔い運転(5年以下の懲役または100万円以下の罰金)と、呼気の中に含まれるアルコールで判断される酒気帯び運転(3年以下の懲役または50万円以下の罰金の2種類があります。

POINT
最近は飲酒運転による重大事故が増えている背景から、事故を起こしていなくても罰金など刑事罰を受ける場合が多くなっています。万一、事故を起こせば実刑判決になる可能性が高いでしょう。

無免許運転

普段、通勤に車を利用していたBさんは、交通マナーが悪く違反を受けて罰金を支払うことがたびたびありました。パトロール中の警官に信号無視でつかまったBさんは、90日の免許停止処分を受けましたが、Bさんはバレないだろうと考え免停中も運転をやめることはありませんでした。

しかし、職場から帰る途中で交通検問に引っかかり、免停中に運転していたことが発覚します。免停中の運転は無免許運転になり3年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になりました。

”女性”
ばれないと軽い気持ちで免停中に運転するのは、取り返しのつかない事態に発展する恐れがあるため絶対にしてはいけません。

インターネットでの誹謗中傷

社会問題になっているインターネット上での誹謗中傷で前科がつく可能性があります。

女子プロレスラーの木村花さんがインターネット上での誹謗中傷を受け亡くなった事件では、「死ね」「きもい」などの書き込みを行ったとして男性2人が逮捕されています。

警察は2人を起訴し、それぞれ侮辱罪により科料9000円の略式命令が出しました。

調べに対し男は「誹謗中傷が多く投稿されているのを見て自分もやった」と話しています。軽い気持ちでの誹謗中傷が重大な結果を招いた事例と言えます。科料の金額は安く見えるかもしれませんが、前科がついたことには変わりありません。

POINT
ネット上での誹謗中傷は社会的関心の高まりを受け、法務省が厳罰化する方針を示しています。今後、懲役や罰金刑が導入される可能性はあります。

犯罪歴が就職に与える影響

犯罪歴があると就職や転職ができなくなるわけではありませんが、前科におちさまざまな不利益を受ける可能性があります。

履歴書の賞罰欄に記載する必要がある

一般に企業が求人に応募した者の前科を調査することはありません。ただし、履歴書には自分の名前や住所、学歴や職歴のほかの賞罰を記入する欄があります。

前科は罰にあたるため、犯罪歴があれば正直に記載しなければいけません。もし書かなければ経歴詐称にあたり、発覚すると解雇など不利益が生じる可能性があります。

ただ、最近の履歴書はそもそも賞罰を書く欄のないものが多く、こうした履歴書を利用すれば前科を知られずに済みますし、もし記載していなくても経歴詐称にはならないでしょう。

”豊川弁護士”
罰の内容は一般的に有罪判決以上とされているので、前歴(逮捕歴)は書く必要がありません。

面接で聞かれることがある

就職時の面接で前科があるかを尋ねられれば、正直に答える必要があります。

普通の就職面接で面接官にいきなり前科を聞いてくることは考えにくいですが、履歴書の職歴に不自然な空白があると理由を聞かれる可能性があります。

賞罰欄は記載する必要のない履歴書を使う方法がありますが、過去の懲役や禁錮刑による空白期間を嘘でごまかしたりすれば経歴詐称になります。

 もし犯罪歴が判明すれば採用に影響し、就職で不利になる可能性は大いにあります。

前科があると就けない仕事がある

前科があると就けない仕事は存在します。

たとえば、弁護士がその1つです。弁護士法では弁護士の欠格事由として「禁錮以上の刑に処せられた者」と定められています。そのため、禁錮以上の刑で有罪になると国家資格は剥奪となり再受験する資格も失います。

ほかにも、弁理士、教員など前科により免許の取り消しや停止などの処分が下る資格が存在します。

また、公務員も前科がつくと職を失い、執行猶予期間中や実刑を受けている間は公務員になることはできません。その後も犯した犯罪によっては採用試験で不利になる可能性があります。

POINT
民間企業でも金融業は身辺調査を厳格に行うとされています。警備員は刑の終了から5年以内は就くことができないと定められており就職は不利になります。

犯罪歴が与える生活への影響

犯罪歴は社会生活に影響を与える可能性があります。

パスポートの取得

前科があるとパスポートを取得できない可能性があります。

旅券法13条では執行猶予中や刑の執行を受けなければならない人間に対し、パスポートを発給しない場合があると定めています。前歴のみであれば取得制限もなく、パスポートが無効になることはありません。

外国への入国

旅行や仕事で海外へ行く際、国によっては前科の申告を求められるのは注意点です。

犯罪の内容によっては入国を拒否されたり、ビザの発給が受けられないといったデメリットが生じます。前科がついてから海外に行く必要があれば、事前に大使館などに問い合わせましょう。

結婚への影響

結婚の際に結婚相手や相手の実家が犯罪歴について知る機会はないでしょう。前科の情報は一般の人が照会はできず調べるのは難しいためばれる可能性は低いといえます。

ただ、常識的にこれから家族になる相手には犯罪歴を伝えておく必要があるとも言えるでしょう。

結婚前に犯罪歴が判明すると相手の両親が結婚に反対すると考えられます。また、すでに結婚後に犯罪歴が知られた場合、重大な犯罪でない限り法的に離婚理由としては認められにくいですが、相手から離婚を切り出されるケースはあります。

信用度が下がる

クレジットカードや住宅ローンを組み際の信用に関しては、信用情報に前科は掲載されないため影響は受けにくいといえます。

”豊川弁護士”
懲役等で服役中に支払いが滞りブラックリストに載ったため、クレジットカードやローン等の金融商品が利用できなくなる恐れはあります。また、出所後に就職が難しく収入が低く審査に通りにくくなることはあるでしょう。

家族への影響

前科は家族や子どもの生活に影響を与えるリスクがあります。

一般の人が他人の前科について知る機会はほとんどないといえますが、実名報道されれば周囲に知られたり、うわさ話が広がることは考えられます。

犯罪者の配偶者として職場や近所で居心地の悪い思いをする、子どもが学校でいじめを受け転校が必要になるといった事例はあります。

また、警察官などは三等身以内の家族に対する犯罪歴の調査が行われるなど、身辺調査が厳しい就職先では不利になる可能性があります。

インターネットに前科情報が残る

逮捕時に実名で報道されていれば、ネット上に情報が残り時間が経った後でも検索すればヒットしてしまうことが考えられます。

ネット情報を完全に削除するのは難しいのが現状です。いつまでも前科情報が残り続け、いつ誰に知られるか分からない不安を抱えても生活を強いられます。

前科を付けないための方法

前科は刑事裁判で有罪判決を受けると付きます。つまり、逮捕されても起訴されない方法を実践すれば、前科がつくことを避けられます。

被害者と示談する

相手方との示談交渉で告訴を取り下げるよう働きかければ、不起訴になり前科を防ぐことができます。示談は被害者に謝罪するとともに、示談金を支払い裁判によらずに紛争を解決する方法です。

基本的に示談が成立するのは民事訴訟ですが、相手が被害届を取り下げ警察の捜査が終了し検察に示談が評価され不起訴処分になることはあります。また、被害者側との取り決めで、示談書に加害者の刑事処罰を求めないと記すことも可能です。

POINT
示談が成立すれば裁判で起訴され有罪になる可能性は低くなり、犯罪歴を回避するには有効な手段です。

捜査機関に自首する

警察に逮捕される前に自首すれば逮捕される可能性は低くなります。自首は事件が発覚し警察の捜査で犯人が特定される前に、自ら出頭した犯人が犯罪事実を申告し自発的に処分を求めることです。

自首は逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば在宅での捜査になったり、罪が軽減するといったメリットが生じます。さらに、反省の態度があれば検察官に起訴猶予(不起訴処分)にしてもらえる可能性があります。起訴するは捜査機関の判断に委ねられるため、不起訴になれば前科がつくのを避けられます。

”豊川弁護士”
罪を犯した心当たりがあり後悔しているなら、自分から警察に出頭するのも1つの方法です。

自首は口頭でもできますが出頭した日時が曖昧になるため、自首報告書と呼ばれる書類を作成しておくと証拠を残せ確実です。自首報告書は刑事裁判での証拠にもなるため、弁護士に作成してもらうのが一般的です。自首する際にも弁護士に警察署まで同行してもらいます。

弁護士に相談しながらすすめる

犯罪歴を残したくなければ、弁護士に相談してください。

相手方と示談交渉するには法律の知識が必要になります。自首報告書は弁護士が作成した書面を提出するのが一般的です。一般の人が適正に対応するのは困難と言えるでしょう。

”女性”
犯罪歴の回避は逮捕・起訴される前に対処することが大切です。できるだけ早く弁護士に相談し今後の対応を検討してください。

まとめ

刑事裁判で有罪判決を受けた犯罪歴がばれると、就職や社会生活に不利が生じるだけでなく家族にも影響を及ぼすことがあります。

前科が付くのを防ぐためには、自首や被害者との示談が有効手段ですが、法律知識が必要になるため弁護士に一任するのが良いでしょう。

初回の相談は無料、着手金は無料といった弁護士事務所を選べば、弁護士費用を気にせず気軽に相談できます。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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