子どもがネットいじめにあったらどう対処する?加害者にも被害者にもしないための対策

子どもがネットいじめにあったらどう対処する?加害者にも被害者にもしないための対策

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スマホやSNSの登場とともに、ネットいじめが問題視されるようになっています。ネットいじめはどの子でも被害者・加害者になる可能性があるため、兆候を見逃さず対処することが大切です。

この記事では、子どもがネットいじめに遭ったときの対応を解説します。

ネットいじめとは

ネットいじめとは、不特定多数の子どもから特定の子どもに対する、SNS等を利用したインターネット上でのいじめです。

2013年(平成25年)に施行された「いじめ防止対策推進法」では、インターネットを通じて行われるいじめもいじめの1つとして定義されました。

ネットいじめは、

  • SNSに悪口を書き込んだり仲間外れにする。
  • 裏サイトで誹謗中傷する。
  • 個人情報やプライバシーに関する写真を勝手に投稿する。
  • なりすまし

など、リアルのいじめと違い、精神的にダメージを与えるものが多いのが特徴です。

リアルのいじめと異なり、学校のない日や自宅にいるときでもいじめ行為を受けるので、被害者は精神的に追い詰められやすいのが特徴です。

 最近では、中高生だけでなく、小学生でもスマホの普及率が中学年で5割、高学年で7割に達しており、ネットやSNSが身近な存在になるとともにネットいじめの件数も増加傾向にあります。

SNSのもつ匿名性から簡単に悪口などが書き込めてしまう上、周囲の大人たちも子どものネット利用について十分に把握できていないため、子どもたちが簡単に被害者にも加害者になってしまいます。

ただ、未成年のSNS上でのいじめやトラブルは、学校の友達であったり、特定のグループのメンバーだったりと加害者の目星がつけやすく、多くの場合は誰がやったのか相手が分かりやすいという特徴もあります。

そのため、いじめの事実が公になれば、加害者が被害者から法的措置を取られる可能性もあります。

ネットいじめの問題点

ネットいじめには、通常のいじめとは異なる、ネットやSNSならではの特徴があり、それがさらに子ども達を苦しめる原因になっています。

陰湿化・エスカレートしやすい

ネットいじめはリアルのいじめと比べて、陰湿でエスカレートしやすい特徴があります。

ネット上のいじめは匿名での書き込みが可能で、ライングループのように特定の人しか見られない空間で行われます。さらにInstagramのストーリーのように一定の時間で削除される機能を利用したり、加害者が投稿を削除してしまうこともできるため、証拠も残りにくくなっています。

 ネット上の投稿は不特定多数に拡散されやすく、被害が拡大しやすい傾向があります。

物理的に距離を置こうとしても逃げられない

ネットいじめは時間帯や物理的な距離に関係なく行われます。今の小中高生にとって、スマホは一日中、肌身離さず持ち歩いているといってもいいアイテムです。そのため、24時間どこにいてもいじめの被害に遭う可能性があります。

リアルでのいじめなら、多くの場合、いじめられるのは学校にいる間だけですから、いじめから逃げるため、最終手段として登校を辞めることもできます。しかし、ネットいじめではスマホなどネットにつながる機器があれば、学校以外でもいじめが行われるため、逃げ場所がなく、追い詰められる原因になります。

親御さんのなかには「ネットのことなんて気にしなければいい」と思われる方もいるかもしれませんが、今の子どもたちにとって、スマホは友達とコミュニケーションをとるための大切なツールでもあるため、スマホを手放したり見ないようにするという選択肢はなかなか取り辛いといえます。

発覚しにくい

ネットいじめは外部から見えない空間で行われるため、親や教師など周囲の大人がいじめの事実を把握しにくくなっています。また、多くの子どもが、いじめの事実を誰にも相談することができずにいる傾向があります。

あるサイトで女子中高生を対象に行われたアンケートでは、「いじめられてる事を誰かに相談したか」の質問で最も多かったのは、「誰にも相談できなかった」という回答でした。

 周囲が気づきにくく、子どももSOSを発しにくいため、いじめの発見が遅れて深刻な被害が出てしまう可能性があります。

誰もが被害者・加害者になる可能性がある

小学生から多くの生徒がスマホを保有し、ネットやSNSにアクセスできるようになった現在、子どもたちの誰もがネットいじめの被害者と加害者、どちらにもなる可能性があるといえます。

低年齢の子どもだとネットリテラシーもまた十分ではないため、軽い気持ちで行った書き込みが大きな事件にに発展してしまうこともあります。スマホを持たせなければ良いという考えもありますが、今の時代に子どもに全くスマホを使わせないのは現実的とはいえません。

POINT
2020年に東京都で発生したネットいじめでは、学校から配布されたタブレットが悪用された可能性が指摘されており、スマホがなければいじめの被害に遭わない、または加害者にならないとは言えなくなっています。

自殺に追い込まれてしまうことも

ネットいじめの被害を受けた結果、最悪の場合、いじめを苦にして自殺に追い込まれてしまう可能性もあります。過去には実際に、ネットいじめが原因になったとみられる生徒の自殺事件も起きており、被害者から加害者への訴訟が起こされたケースも存在します。

安易な気持ちで行われることも多いネットいじめですが、誹謗中傷は名誉毀損など犯罪行為に該当する可能性があり、場合によっては最悪の結果をもたらしてしまうこともあり、決して軽くみていい行為ではないといえるでしょう。

ネットいじめの具体的な事例

実際に、ネット上ではどのような場所でいじめが行われているのか具体的なに挙げていきます。

学校裏サイト

特定の学校に関する話題を扱う非公式のコミュニティサイトです。学校が公式に作ったものではなく、その学校に通う生徒らが独自に立ち上げたもので、多くの場合、無料の掲示板などが利用されます。生徒のほとんどが裏サイトの存在を知っていて、利用しているというケースも多いです。

しかし、サイトを見るには専用のパスワードが必要になるため、親や教師が確認しにくくなっています。スマホが普及する以前のガラケー時代から存在しており、サイト内では特定の生徒に対する誹謗中傷が書かれることもあり、ネットいじめの温床になってきました。

ライン外し

メッセージアプリのLINEが、メールの代わりに普及した頃から、LINEによるいじめも問題になりました。ライン外しはラインのグループ機能を利用したいじめで、対象の生徒を除いたライングループを作り、仲間外れにした子どもの悪口や誹謗中傷を書き込みます。

なりすまし

他の子どもの名前や写真などを使ってアカウント作成し、本人が言っているように見せかけて他人の悪口を書き込んだり、個人情報や見られたくない写真などを勝手に投稿したりといった本人の評価を下げる嫌がらせを行います。

個人情報を載せられたために他人から電話やDMが届いたり、悪い評価が広まることで周囲に嫌われたり、学校に行きにくくなったりする可能性があります。

 また、直接誹謗中傷を受けるのとは違い、親や先生も被害の状況を上手く掴めないといった問題も考えられます。

メールによるいじめ

相手に直接、誹謗中傷のメールを繰り返し送信したり、同じ学校に通う複数の生徒にメールを送って特定の子どもの悪口をクラス中に広めたりといった事例があります。

チェーンメール

不幸の手紙のメール版で、受け取った人に同じ内容のメールを複数の相手に送信するよう促します。特定の生徒の誹謗中傷を書いたチェーンメールを同じ学校の複数の生徒に回すといった方法がとられ、ターゲットへの誹謗中傷が学校全体に広まってしまうこともあります。

匿名掲示板・ブログ・プロフ

学校裏サイト以外でも、5ちゃんねるや爆サイのような匿名掲示板やアメブロなどのブログサイト、プロフィールサイトなど他の匿名性が高いサイトへ誹謗中傷が書き込まれるケースがあります。

匿名掲示板では被害者の実名が晒されたり、殺害予告など過激な書き込みが投稿されることもあり、いじめがエスカレートしやすいといえます。

オンラインゲーム

コロナ禍で子どものネットゲーム利用時間が増加するとともに、オンラインゲーム上でのトラブルも増えています。チャットで暴言を吐いたり、特定の誰かを仲間外れにして一緒に遊ばないようにしたり、一緒にプレイしているメンバーでボイスチャットが使えない子どもがいると、その子の悪口をいったりといった事例があります。

同じ学校のメンバーで遊んでいると、こうしたトラブルが学校生活にまで持ち込まれてさらなるいじめにつながることも考えられます。

ネットいじめの兆候を察知するには

ネットいじめは周囲から実態が見えにくいため、気づかないうちに大きな問題に発展してしまう可能性もあります。ネットいじめを見逃さず、早めに対処する方法はないのでしょうか。

子どもの異変に気づく

わかりにくいもののネットいじめにも兆候はあります。たとえば、次のような異変に気付いたら注意が必要です。

  • 笑顔が減った。浮かない顔、暗い顔をしていることが多い。
  • 集中力がなくなり、常に何かを考えているように見える。
  • 友達とあまり遊ばなくなった。
  • SNSをしょっちゅう気にしている。
  • スマホに着信音が鳴っても無視するようになった。
  • 電話がかかってきても出ようとしない。
  • スマホのネット接続を切っている。
  • 親にスマホの画面を見られると隠そうとする。
  • スマホの通信料が異様に増えた。
  • 深夜にスマホでネット利用している。

これらの特徴の中には、子どもが被害者になった場合のものもあれば、加害者になっている場合に当てはまるものもあります。普段から子どもの様子を注意深く見守り、何かおかしなところに気づけば、学校でなにかなかったか尋ねてみたほうがいいでしょう。

ただ、無理に聞き出そうとすると、子どもも却って打ち明けにくくなってしまいます。

あまりプレッシャーをかけないよう、子どもが話しやすい雰囲気を作り、自分が子どもの味方だということを伝えてあげましょう。

ネットいじめが発覚したときの対処法

子どもがネットいじめに遭っていると判明したとき、親ができる対処法にはどのようなものがあるか紹介します。

問題点を共有と証拠保全

まずは、子どもにネットいじめの事実を確認し、どういった被害を受けているのかなるべく詳しく話してもらい、親と子どもで問題点を共有します。

また、証拠保全も最初にやっておく必要があります。SNSや掲示板に書かれた誹謗中傷の投稿やメールなどを保存したり、スクリーンショットに撮ったり、スマホのカメラで撮影して証拠を残します。

こうした証拠は、学校に被害を説明するときにも役立ちますし、加害者を特定する場合や法的手段を取る場合など後々まで有効に活用できます。

 逆に、証拠がないといじめの被害を立証するのが難しくなることも考えられますので、早い段階で必ず証拠を確保するようにしてください。

学校に相談

次に、子どもから聞いた内容や証拠をもって担任の先生に相談し、学校にもいじめの事実を報告します。

ネットいじめのなかに誹謗中傷のように名誉毀損など犯罪に当たると思われる行為もありますが、いきなり警察に届け出たり、法的手続きをとるのではなく、やはり一度学校に相談したほうがいいでしょう。

相手の親との話し合い

加害者が判明した場合には、相手の親にいじめの事実を伝え、いじめをやめるよう子どもを説得してもらえるよう話し合いを行います。相手の親が注意してくれたことでいじめが解消する可能性もあります。

しかし、加害者の親と話し合っても進展がなく、学校の対応も不十分だと感じた場合には、外部機関への相談や法的手続きを検討します。

公的機関への相談

ネットいじめを含めたいじめの相談は、警察や行政による窓口や子ども用の相談窓口などで行うことができます。代表的な窓口には、以下のようなものがあります。

・法務省「子どもの人権110番」
法務省が開設している子ども用の窓口で、いじめや学校、家庭の悩みを電話やメールで相談できます。

・警察の少年相談窓口 
各都道府県警察に設置されている窓口で、いじめなどの問題で悩む子どもや家族からの相談を受け付けています。

・24時間子供SOSダイヤル 
文部科学省の主導により、全都道府県の指定都市教育委員会で実施している窓口で、子どもや保護者から24時間相談の電話を受け付けています。

・チャイルドライン 
18歳までの子ども専用の電話相談窓口。チャットでの相談も可能です。電話すると受け手となるボランティアにつながります。

子どもが親や先生だけでなく他の大人の意見も聞きたいというときに利用すると良いでしょう。

いじめ通報サービス

子どもたちがいじめの情報をSNSやアプリに匿名で書き込み、報告できるサービスです。自分が受けたいじめだけでなく、身の回りで起こったいじめについても通報できます。民間企業が提供しているものですが、各地の自治体で導入が行われています。

導入した自治体ではいじめの相談件数が増加したという報告もあります。もし、こうしたサービスが利用できるようであれば、利用してみると良いでしょう。

弁護士への相談

窓口への相談だけでいじめ問題が解決しないときは、弁護士など法律の専門家に相談するのも1つの方法です。弁護士に相談することで、書き込みの削除請求や加害者に対する慰謝料請求など法的手続きを行えます。

ネットいじめには、このようにいくつもの相談窓口があります。学校だけに任せるのでなくいろいろな意見を聞き、状況を整理してどのような対処をとるのがベストなのか、解決策を検討していきましょう。

書き込みを削除する

匿名掲示板やSNSに投稿された誹謗中傷の書き込みは、放っておくと悪口がさらに拡散される可能性もあるため、早急に対応する必要があります。

書き込みの削除方法には、サイト運営者に直接削除を依頼する方法と裁判所への削除仮処分の申立の2種類があります。

1サイト管理者への削除依頼

サイト運営者への依頼は、削除フォームなどから行えます。運営が了承してくれれば最も早く削除してもらえる方法です。ただ、管理者によっては削除に応じてくれないところや依頼を出してもなかなか対応してもらえない場合もあります。

2削除仮処分

もう1つの手段として、裁判所に削除仮処分を求め、法的手続きにより書き込みの削除を行えます。仮処分とは裁判所が、判決が出るまで現状を放置すると被害者が不利益を蒙ると考えられる場合に認められる暫定的処置で、通常の裁判よりも早く結果が出るのが特徴です。

仮処分の申立は個人で行うこともできますが、手続きが非常に複雑になるため、弁護士など法律の専門家に相談するようにしてみてください。

いじめの加害者を特定する

もし、ネットいじめの加害者が判明していない場合には、書き込みを削除するとともに、発信者情報開示請求の手続きを行うことで、投稿者を特定することができます。

加害者の特定には、サイト管理者に対してとプロバイダ対して、2回の開示請求を行う必要があります。

サイト管理者への開示請求

サイト管理者に対して投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。サイト側がすんなりと開示してくれれば良いのですが、ここでも削除依頼と同様、拒否される可能性が高いです。その場合は、削除と同様に、裁判所に開示仮処分の申立を行います。

仮処分が認められれば、加害者のIPが開示されるため、それをもとに相手の利用しているインターネットサービスプロバイダ(経由プロバイダ)を特定できます。

プロバイダへの開示請求

特定したプロバイダに対し、加害者の氏名や住所など個人情報の開示を求めます。

開示請求を受けたプロバイダは加害者自身に書類を送付し、情報の開示を認めるかどうか尋ねます。ここで加害者が了承してくれればすんなり開示してもらえるのですが、自分から個人情報開示を認める人は少ないため、たいていは拒否されます。

また、プロバイダも基本的には個人情報の開示に消極的なため、法的手続きにより開示を求める必要があります。プロバイダへの開示請求では、仮処分ではなく正式な裁判を行う必要があります。

サイト管理者とプロバイダに対する開示請求の手続きにかかる期間は、裁判などを行った場合、半年から9カ月ほどを要します。そのため、加害者を特定するのにある程度の時間がかかると思っておく必要があります。

また、仮処分や裁判は手続きが複雑になるため、個人で対応するのは難しく、弁護士など法律の専門家に相談する必要があります。

このように、開示請求には多くの手間と時間がかかります。ネットいじめでは、加害者がクラスメートなど身近な人物であるケースが多いため、他の方法で加害者を特定できるようであれば、そちらを検討したほうがいいかもしれません。

アクセスログ保存仮処分

各プロバイダが保存しているアクセス記録は、保存期間が半年から短いものだと3か月になります。ログが削除されてしまうと、たとえ開示請求が上手くいっても、加害者の特定が不可能になってしまいます。

そのため、開示請求に先立ち、プロバイダにアクセスログを消去しないよう依頼します。ここでも、プロバイダが要請を受け入れてくれない場合は、アクセスログの削除禁止仮処分を申立てます。

加害者への訴訟

発信者情報開示等で加害者を特定した後は、刑事・民事での法的責任の追及が可能です。ネットいじめのなかには、誹謗中傷のように名誉毀損罪など法律上の犯罪に当たるものもあります。刑事裁判と民事裁判はまったく独立したものなので、それぞれ別々の手続きが必要です。

民事事件では訴訟を起こすことも可能ですが、相手が未成年の場合は両親を相手方にすることも必要です。また、刑事事件では、捜査機関に告訴をすることになります。

POINT
裁判をするかどうかは検察が決めますが未成年の場合は少年法という法律により成人とは異なる手続きになります。いずれにしましても、被害者など一般人が刑事手続きにおいて自由に裁判を起こすことはできません。これが民事裁判と異なる点です。

刑事裁判

刑事で訴えるには、相手の行為が刑法上の犯罪に当たるものであることが条件です。ネットいじめでは、例えばSNSで誹謗中傷をされたのであれば、名誉毀損や侮辱罪といった犯罪に当たる可能性があります。

名誉毀損は何らかの具体的な事実に基づき誹謗中傷を行った場合、侮辱罪は「バカ」「消えろ」など相手を侮辱する発言に対して適用されます。また、「殺すぞ」といった書き込みのように、相手に危害を加える旨の投稿は脅迫罪に該当する可能性があります。

刑事で相手を訴える場合には、警察に被害届や告訴状を提出します。その後、警察による捜査が実施され、罪が認められれば、場合によっては加害者が逮捕されたり、起訴されて刑事裁判で有罪判決を受ける可能性があります。

 ただし、先のとおり、未成年の場合は少年法により成人とは異なり逮捕されないことが多く、法定で有罪判決という流れにはなりません。

民事裁判

刑事とは別に、民事で訴訟を起こし、加害者に不法行為に対する損害賠償・慰謝料を求めることができます。慰謝料の相場は加害者の行為の内容によって変わります。

  • 名誉毀損……10万~50万円
  • 侮辱罪……1~10万円
  • 脅迫罪……数万円~100万円

示談

法的な紛争に関して、当事者同士の話し合いによって解決する方法を示談(和解)といいます。示談では、示談金という形で加害者からの慰謝料支払いを受け、その代わりに相手に裁判を起こさないことなどを約束します。

条件については双方の合意で決められますし、示談金は裁判による慰謝料よりも高くなるケースもあります。

ネットいじめの加害者は同じ学校に通う生徒であることが多いため、法的措置をとれば、今後の学校生活にも影響を与える可能性があります(ただし、学校にばらすぞ、学校に行かせないようにするぞ、など迫ると違法行為となるので注意が必要です)。

そのため、裁判によらない解決方法の1つとして、示談も候補に入れてみてください。

ネットいじめを起こさないためにできること

ここまではネットいじめの被害者になった場合の対応を述べてきました。しかし、ネットいじめでは常に被害者側になるとは限らず、加害者になる可能性も十分に考えられます。

最後に、あなたの子どもがネットいじめの加害者にしないためのポイントを紹介します。

ネットリテラシーの教育

最も大切なのは、ネットリテラシーを育成していくことです。ネット上での安易な書き込みやいたずら半分で行った投稿が人を傷つけたり、場合によっては犯罪になるかもしれないことを易しい言葉で小さい頃から子供に教えます。

スマホやパソコンなどを子どもに与える以上、危険性を注意喚起し、やっていいことと悪いことを教えるのは親の責任でもあります。子どものリテラシーを高めるため、ネットやSNSを利用する上で、以下のような点に注意しないといけないことを教えてあげましょう。

1匿名だから何を書いてもいいわけではない

匿名だから何を投稿してもバレないわけではありません。ネットの書き込みも、リアルでの発言と同じく、人を傷つける可能性があり、投稿には責任をもつ必要があることを教えてあげてください。

2個人情報を無闇にネットに上げない

個人が特定できる情報は、自分のものはもちろん、友達の写真なども安易にネットに上げてはいけないことを教えます。

家の近くの風景から住んでいる場所が特定されることもあるので、写真をアップする前には「本当に大丈夫かな?」と考えさせるようにすれば、子ども自身の判断能力を養うことにつながります。

3信頼性の低い情報は投稿しない

本当かどうかわからない情報を安易に書き込むと、知らないうちに他人を傷つけて加害者になったり、炎上を起こして自分が被害者になるかもしれないことを教えます。

投稿の前に信用してもいい情報かどうかを考えさせ、嘘だと思ったら書き込みをやめられるようにしてあげてください。

こうした教育は、一度で終わりではなく、繰り返し、日常的に教えていくことが重要です。また、親子できちんとコミュニケーションがとれていないと、子どもも親の言うことを上手く聞いてくれません。

親子でいろいろなことを相談したり、話し合える関係性や家庭環境づくりは子どもをネットいじめから守ることにつながります。学校に入る前からこうしたリテラシーを育むことで、大きくなってからも自然とルールを守った行動ができるようになるでしょう。

ペアレンタルコントロールやフィルタリングを利用する

リテラシー教育だけで不安な部分があれば、子どものネット利用を制限するサービスを使うのも1つの方法です。

ペアレンタルコントロール

「親としての制限」という意味があり、ペアレンタルロックとも呼ばれます。キッズモードのあるスマホやセキュリティソフトで利用でき、有害なアプリやサイト、ゲームを利用できないようにしたり、決められた時間以外は接続できなくしたり、子どものネット利用を制限・監視できる機能です。

フィルタリング

有害・不適切なサイトやアプリ、キーワードなどへのアクセスをブロックする機能で、セキュリティソフトや携帯会社のサービスにより利用できます。

ネット利用のルールを決める

親子でネットを利用する際のルールをしっかり決めて守ることも有効です。ネットいじめの書き込みが行われるのは深夜が多いため、深夜のネット利用を制限すれば、他の生徒につられてネットいじめに加わってしまう可能性も低くなります。

子どもに与えるスマホを回線契約のないものにして、ネットは家のWi-Fiのみで使わせるようにするのも1つの方法です。無線ルーターの設定で深夜はWi-Fiを使えないようにしておけば、子どもの深夜利用を物理的に制限できます。

子どもがどんなSNSを使っているのか知っておく

子どもがどんなSNSやサイト、ネットゲームを利用しているのか、普段から気にかけて把握するようにします。LINEやTwitter、インスタグラム、Facebookなどでフォローしたり、友達になることで子どもがどんな風にSNSを利用しているのか、ある程度理解できるようになります。

子どもにとっても、親に見られていると思えば、おかしなことはできなくなりますし、抑止力にもつながります。

ここでもポイントになるのは、親子のコミュニケーションと良好な親子関係です。SNSで友達になりたいと言っても子どもが嫌がらないように、普段から信頼関係を築いておくことが大切です。

まとめ

匿名で行えるネットいじめは陰湿化・エスカレートしやすく、子どもが被害に遭うだけでなく、反対に加害者になるケースもあります。スマホやSNSの普及とともに、ネットいじめは今後も問題になっていくと思われます。

いじめの加害者にならないため、日ごろから家庭でしっかりとネットとの付き合い方を教えてあげるとともに、被害者になった際には、学校はもちろん、各種相談窓口や弁護士などにも相談し、法的措置を含めたベストな対処法を検討するようにしてください。

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