借金が増えると、返済するのが苦しくなり、滞納をしがちになります。
しかし、借金を滞納すると、債権者から裁判を起こされたり、給料を差し押さえられたりといったように、債務者にとってはデメリットしかありません。
1 借金を滞納すると裁判になる?
債務者が借金を滞納し続けると、以下のような流れで、最終的には債権者から裁判を提起される可能性が高いといえます。
(1)電話による支払いの催促
債務者が返済期限日までに借金を返済しない場合、ほとんどの債権者(貸金業者など)は、債務者に電話をかけて、状況確認や支払いを催促します。債権者によっては、毎日のように電話をかけてきて、支払いを催促してくる業者もいます。
この時点で、返済期限日までに返済ができなかった理由をきちんと説明したうえで、再度債権者との間で決めた返済日までに借金を返済すれば、借金の滞納を解消することができます。
(2)郵便での催促
債権者からかかってくる電話を無視し続けると、郵便により、返済を催促する旨の書面が届くことがあります。
また、債権者によっては、電話と郵便のいずれも用いて、催促してくる債権者もいます。
書面には、返済額と返済期限だけが書かれていることもあれば、単に「ご連絡をください」とだけ書かれている場合もあります。
電話で支払いの催促を受けた場合と同様に、この時点において、書面に書かれている返済期限日までに借金を返済するか、もしくは、連絡を入れて、再度債権者との間で決めた返済日までに借金を返済すれば、借金の滞納を解消することができます。
(3)一括請求
電話や郵便による催促を無視し続けると、内容証明郵便で督促状が届くことがあります。電話や郵便による催促を受けた時点では、返済が遅れている金額(分割金)を返済することで借金の滞納を解消することができます。
しかし、内容証明郵便で催促される段階にまで来ると、債権者は借金の残高を一括で返済するよう請求してくることがほとんどです。
この場合、残っている借金に加え、未払いとなっている利息、遅延損害金についても、一括での支払いを請求してきます。
また、内容証明郵便には、「期限までに返済がない場合は、法的措置をとります。」と書かれていることが多いです。
ここでいう「法的措置」とは、基本的には裁判のことを指しますが、裁判を起こされ判決を取られてしまうと、強制執行(給料の差し押さえなど)をされる可能性すらあります。
(4)代位弁済
「代位弁済」とは、保証会社が債務者に代わって借金を返済することをいいます。
消費者金融等から借り入れをする場合、保証会社が付くことはないため、代位弁済が問題となることはありません。
しかし、銀行等から借入をする場合には、保証会社が付くことが一般的です。
そのため、内容証明郵便により借金の残高を一括で返済するよう求めたにもかかわらず、債務者が返済しなかった場合には、保証会社が債務者に代わって、残りの借金を一括で返済します(代位弁済)。
(5)裁判、差押え
内容証明郵便による催促や保証会社による催促を無視し続けると、債権者から裁判を提起される可能性が高くなります。
債権者から裁判を提起された場合、債務者の住所宛てに裁判所から書類が届きます。
裁判所から届く書類の中には、訴状のほか、(裁判)期日の呼出状も同封されているため、受け取った後に放置するようなことだけは絶対に控えるようにしましょう。
債務者は、呼出状に記載されている期日に裁判所に出廷する必要がありますが、お金がないということを理由として借金を滞納している場合は、勝ち目はありません。
そのため、分割で支払うことを内容とする和解が成立するか、もしくは、判決という形で裁判は終結します。
2 借金を滞納することのデメリット
これまで見てきたことも、借金を滞納することにより生じるデメリットとして挙げることはできますが、そのほかにも、以下のようなデメリットがあります。
(1)ブラックリストに情報が載る
長期にわたり借金を滞納すると、その旨が信用情報機関に登録されてしまいます。この状態がいわゆる「ブラックリストに載る」ということを意味します。
ブラックリストに載ると、その間(滞納解消後およそ5年間)は、借り入れやクレジットカード発行の申し込みをしても、その審査に通る可能性は極めて低くなります。
(2)裁判の提起・強制執行(差し押さえ)の申立てをされる可能性
借金を滞納し続けると、最悪の場合、給料や預貯金口座等を差し押さえられることになります。
給料等を差し押さえられてしまうと、借金が完済となるまでの間、毎月の給料から4分の1に相当する金額が天引きされ、借金の返済に充てられるため、債務者にとっては、生活はもちろんのこと、精神的にも多大なダメージを受けることになります。また、勤務先に借り入れの事実を知られてしまいます。
3 長期の滞納はもう安心?意外な落とし穴に注意
長期にわたり借金を滞納すると、当初は毎日のように催促の連絡をしてきていた債権者から連絡が入らなくなる場合があります。
借金は、最後の返済日から5年が経過すると、時効の成立によって消滅する可能性があります。
そのため、滞納期間が長くなると、借金を返済することを忘れて、安心する債務者がいます。もっとも、そこには意外な落とし穴がありますので、注意が必要です。
(1)時効の成立直前に裁判を起こされる可能性がある
貸金業者等の債権者は、債権者一人一人について、時効の成立時期を管理しています。
そのため、時効が成立する直前になって、時効の更新を目的として、裁判を起こしてくる可能性があります。
ここでいう「時効の更新」とは、それまで進行してきた時効期間がリセットされ、新たに時効が進行を開始することをいいます。
債権者から裁判を起こされ、判決が言い渡されると、時効が更新され、時効期間は、判決の確定日から10年に更新されることになります。
(2)自分で時効を援用するリスク
借金が時効によって消滅するには、時効期間が経過したことに加え、時効を援用することが必要です。
ここでいう「時効の援用」とは、時効の成立により生じる利益を受ける旨の債務者による意思表示のことをいいます。時効の援用は、個人が自分で対応することもできますが、方法を誤ると、債務者にとっては不利益に働く場合があります。
たとえば、時効が成立していると勘違いして、時効を援用してしまった場合、それまで長い間連絡を取っていなかった債権者から再び返済の催促を受ける可能性があります。
4 どのタイミングで債務整理を検討するべき?
生活が行き詰まり、借金を滞納するようになった場合には、その時点で弁護士などに相談することをお勧めします。
借金を滞納し続けると、先に見たとおり、事態は悪化する一方であり、最終的には、債権者から裁判を起こされたり、給料等を差し押さえられる事態にまで発展します。
早期に弁護士などに相談することにより、債務整理の中でも「任意整理」で解決することが可能になるなど、解決策の幅は広がります。
しかし、相談するタイミングが遅くなればなるほど、解決策の幅は狭くなり、「自己破産」をするしかなくなる場合もあります。
5 まとめ
借金を滞納し続けることは、債務者にとってはデメリットでしかありません。
早い段階で滞納を解消することが必要であり、それが難しい場合には、その時点で債務整理を検討し弁護士などに相談するべきでしょう。
事態を楽観視して、滞納している状態をその後も続けてしまうと、債権者から裁判を起こされ、最悪の場合、給料や預貯金口座等の財産を差し押さえられてしまいます。
借金について悩まれている方は、相談料無料の当事務所にご相談いただくことをお勧めします。