親が自己破産したら、子供にどんな影響があるのか?

親が自己破産したら、子供にどんな影響があるのか?
と、心配になる方もいるでしょう。

実際に親が自己破産した場合、子供にどのような影響が出るのでしょうか。

この記事では、
・親の自己破産により、子供に影響が出ないこと
・親の自己破産により、子供が影響が出ること
・親の自己破産により、将来的に子供に不利益はあるか
について解説していきます。

親の自己破産により、子供に影響が出ないこと

自己破産とは、裁判所に破産したことを書面で提出し、「免責許可」をもらうことで借金を0にするという手続きです。
自己破産をすることで、家族や子供に将来、社会的な不利益が起こらないかと不安になり、相談したくてもできない・・・という人もいるでしょう。

しかし、親が自己破産しても子供には原則として影響はないといえます。
具体的な例を5つあげました。
詳しく確認していきましょう。

よく勘違いされる、実は影響のない具体的な例を挙げていきます!

ケース1)進学や就職、結婚に影響はない

親が自己破産しても、子供の進学や就職、結婚に影響はないでしょう。
子供の進学・就職先で親の自己破産を理由に断られることは、ないでしょう。
結婚についても、親の自己破産は一般的には重視されないでしょう。

ケース2)子供が親の借金を返済する必要はない

ドラマやマンガなどで、「両親の借金取り立て人が、子供に返済を迫る」というシーンをみて「実際にそうなるのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、親の借金はあくまで親のもの。
例え家族や子供であっても、保証人、連帯保証人や連帯債務者になっていなければ、代わりに返済する義務はありませんし、貸金業者から返済を迫られることもありません。

ケース3)子供の財産は処分されない

親が自己破産をした際、99万円以下の現金、20万円以下の預貯金、査定額20万円以下の車や家財道具を除き、ほとんどの財産を処分しなくてはいけません。
これは、差押えた土地、持ち家、家財道具などを売却して金銭に換え、債権者(貸金業者)の返済に充てるためです。

しかし、そこに家族や子供名義の財産は含まれません。

例えば、査定額が20万円を超える車を親名義と子供名義でそれぞれ所有していた場合、
子供名義の車は原則として処分対象にならないため、そのまま所有できます。

ケース4)住民票や戸籍に記載はされない

自己破産をしたら住民票や戸籍に記録され、家族や子供に影響が出てしまうのでは?と不安に思う方もいるでしょう。
しかし、そういったことはありません。
仮に子供の住民票や戸籍を調べたとしても、そこに親が自己破産したことは載りませんのでご安心ください。

ケース5)子供本人の名義であればクレジットカードは作れる

自己破産をすると、破産者本人の情報は信用情報機関に載ります。
いわゆるブラックリスト化するため、5〜10年ほどは自分名義のクレジットカードが作れないと言われています。※ただし、必ずしも5〜10年ほど作れないというわけではありません。
しかし、親が自己破産しても子供の信用情報には影響はありません。
ですから、子供が一定の年令に達していれば子供名義のクレジットカードを作ることが可能です。

また、2022年4月以降は民法改正で成人年齢が18歳となり、親権者の同意書も原則不要になります。
そういった面でも、親が自己破産をしても子供名義のクレジットカードを作ることに関しては、影響が少ないといえるでしょう。

子供の信用情報は子供個人のものなので、親の影響はありません。成人年齢が引き下げられたことで、一段と影響は少なくなったと言えるでしょう。

親の自己破産により、子供に影響が出ること

ここまで、親の自己破産で子供に影響が出ないことについてお伝えしてきましたが
逆に影響が出てしまう事例について、確認していきましょう。

ここからは状況によって影響が出てしまうことがある具体例を挙げていきます。

ケース1)子供が親の連帯保証人になっている→親の借金を一括で返済しなくてはならない

成人している子供が親の連帯保証人の場合、親が自己破産すると子供が親の代わりに借金を返済しなくてはなりません。
これは自己破産により、債務者である親本人の返済が免責されても、連帯保証人である子供は返済の義務があるためです。
また連帯保証人は、分割で支払うという権利を失うため、借金を一括返済しなくてはなりません。
一括返済が難しい場合は、子供も債務整理を検討しなくてはならないでしょう。

子供が親の連帯保証人になっていれば、大きな影響がでてしまいます。

ケース2)子供が親名義の持ち家に住んでいる→持ち家には住み続けられない

持ち家は原則、換価処分の対象となります。
家は一定以上の価値がある財産のひとつであるため、手放さなくてはなりません。
先に述べたように、自宅を売却し、売却代金を貸金業者(債権者)の返済に充てるためです。

そのため、親名義の家に住み続けることはできません。
自己破産の手続き中に引っ越しが必要となるため、学区内に住まいが見つからない場合は子供が通っている学区が変わり、転校が必要になることもあります。

ケース3)子供が親名義のクレジットカードに付帯する家族カードを使っている→家族カードが使用できなくなる

親名義のクレジットカードに付帯する家族カードを子供が使っている場合、親が自己破産の手続きを始めると家族カードも使えなくなります。
クレジットカード契約者である親が自己破産すると、その情報が信用情報機関に登録され契約しているクレジットカード自体が使えなくなるためです。

子供が毎月の支払いで家族カードを使っていた場合は、支払いが滞ってしまうケースがあるため、事前に支払い方法を変えてもらうなどの対策をしておきましょう。

ケース4)親名義で解約返戻金が20万円以上の学資保険に加入している→学資保険は解約させられる

子供が産まれた時、将来の積立金として学資保険に加入したご家庭も多いでしょう。
しかしこれも、親名義で解約返戻金が20万円以上ある場合は、換価処分の対象となり解約しなくてはいけなくなる可能性があります。
こちらも解約返戻金を、債権者(貸金業者)の返済に充てなくてはいけないからです。

ただし、祖父母の名義で学資保険に加入している場合は対象外となります。
これは名義が祖父母のため、「祖父母の財産である」と考えるためです。

重要なのは支払先ではなく「名義人が誰か」です。
学資保険の名義人が誰になっているか、しっかり確認しておきましょう。

ケース5)子供名義の奨学金申請時、親に保証人をお願いしたい→自己破産した親は保証人になれない

奨学金は子供の名義で申請できるため、借入自体は可能です。
ただし、自己破産した親は保証人になれません。

その際は、保証人を配偶者や保証機関に依頼する、そもそも奨学金に頼らないよう貯金で備える、推薦制度を使うなど、事前に対策を考えておきましょう。

親の自己破産により、将来的に子供に不利益はあるか

ここまで、親が自己破産により子供に影響が出ないこと、影響が出ることをそれぞれ述べてきました。

親が自己破産をしても、子供の進学・就職・結婚には基本的に影響はなく、子供名義の財産が回収されたり、親の借金を代わりに返済する必要はありません。
子供名義であればクレジットカードを作ったり、奨学金の申請も可能です。

ただし、子供が成人しており親の連帯保証人になっている場合は、親の借金を一括で返済する必要があります。
また、親名義の持ち家に住んでいれば引っ越しをせざるを得なくなり、親名義の車や付帯する家族カードで毎月の支払いをしていた場合は、そういったものも使えなくなります。

移動手段として車を日常的に使っていたり、スマホ料金など生活費に家族カードを使っていた場合は支払いが滞ってしまうかもしれません。

さらに、子供名義で奨学金の申請はできても、親が自己破産してしまうと保証人になれないため、機関保証を利用する必要が出てきます。
機関保証を使うと、奨学金から毎月の保証金を差し引かれてしまうため、実際借りた額面よりも学費に回せるお金が少なくなってしまいます。

このように、親が自己破産すると生活スタイルによっては子供に少なからず影響が出てしまうでしょう。

自己破産以外の借金解決手段は?

借金の返済が本当に難しくなった時、自己破産以外にも解決できる方法はないのでしょうか?

実は、債務整理には自己破産以外の手段もあります。
自己破産は借金が0になる、いわば最終手段。
他の方法であれば、裁判所を通さず手続きも比較的簡単に済んだり、マイホームや家財道具、車などを手放さずに済んだりすることもあります。

他にどういった方法があるのか、メリットやデメリットとあわせて確認しておきましょう。

任意整理

任意整理は、交渉により将来かかる利息や遅延金をカットをすることで返済総額が減り、完済を目指せる方法です。
こちらは裁判所を通さず、債務者が債権者(貸金業者)と直接交渉することが可能です。
裁判所を通さないため、書類作成や手続きが比較的カンタンに済むことや、過払い金があれば元本の返済にあてられるという点がメリットです。

過払い金とは、法外な利率のまま債務者が払いすぎてしまった利息のことで、条件を満たせば払いすぎた利息の返還請求をすることができます。
長年借金を返済している方は、法改正前の高い金利(グレーゾーン金利)のまま支払い続けている可能性もあります。

一方、信用情報機関に事故情報が載るブラックリスト状態になるため、基本的に向こう5年間は新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ることができません。

また、任意整理は基本的に債権者(貸金業者)との「交渉」であり、近年では交渉に応じない貸金業者も確認されています。
大幅な借金の減額はあまり期待できないという点が、デメリットにあげられるでしょう。

個人再生

個人再生は、裁判所を通じて、3年〜5年の分割で返済が出来るよう支払い元本を大幅に減額する手続きです。

自己破産との大きな違いは、「財産の処分が必須ではない」という点です。
持ち家や車などを手放さずに、借り入れ元本を最大9割カットできるのは非常に大きなメリットでしょう。

一方、任意整理と同じくブラックリスト入りすることや、国が発行する官報に名前が載ってしまうこと、裁判所を通すため、書類などの準備の手間などのデメリットもあります。

個人再生には要件があり、例えば、給与所得のように安定的・継続的な収入見込みがあること、借入総額が5,000万円未満である必要があります。
また、再生計画を裁判所に提出しても、認可されなければ個人再生ができません。

状況次第では、自己破産するよりも難しい手続きとなるのです。

とはいえ、自己破産と違い、マイホームや車などの財産を手放さずに借金を大幅に減額できることは大きなメリットです。
自己破産を検討する前に、個人再生の申請を検討してはいかがでしょうか。

まとめ:自己破産以外に借金問題を解決する方法がある、借金問題に悩んだら弁護士に相談しよう

親が自己破産をしても、以下の事は子供に影響が出ないでしょう。

子供に影響がないこと
・進学や就職、結婚に影響はない
・子供が親の借金返済をする必要はない
・子供の財産は処分されない
・住民票や、戸籍から親の自己破産は調べられない
・子供本人の名義であれば、クレジットカードを作れる

ただし、以下のようなケースだと子供に影響を及ぼす可能性があります。

影響があるかもしれないこと
・成人した子供が、親の連帯保証人になっている
→子供が親の借金を一括返済しなくてはならない

・子供が親名義の持ち家に住んでいる
→持ち家から引っ越しが必要になる、学区変更により転校などの影響が出る

・子供が親名義のクレジットカードに付帯する家族カードを使っている
→家族カードが使えなくなる

・親名義で解約返戻金を20万円を超える、学資保険に加入している
→学資保険で積み立てたお金を子供に使えない

・子供名義で奨学金を申請しても、自己破産した親は保証人になれない
→保証人を別に探したり、機関保証に手数料を払って依頼することになる

特に、子供の進学時に奨学金を検討するご家庭は多いでしょう。
その際、親の自己破産により奨学金の機関保証を使うことになると、借りた奨学金より手数料が引かれ、学費に回せる金額が少なくなってしまいます。
奨学金の返済は、申請した子供が全額支払うことになります。

こういった不利益が出る可能性もあるため、借金問題で悩んだ時は法律のプロである弁護士に相談しましょう。

弁護士は、債務整理に関する相談、書面作成、起訴などのすべての手続きを代理で対応することができます。
相談者の状況を整理しつつ、どんな方法を取れば子供に影響が少ないのか、第三者の視点、法律のプロの視点からアドバイスをしてくれます。
そうすれば、借金問題解決に向けて大きく進むことが出来るでしょう。

弁護士は借金問題に悩み、不安になっている方の強い味方になってくれます。

自己破産以外の方法でも、借金問題を解決することは可能です。
まずはプロに相談してみましょう。

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