自己破産するとどうなるの?デメリットを徹底解説

自己破産は、デメリットがあるのと同時に、生活を立て直すための手段でもあります。
そのため、自己破産を検討する際には、デメリットが生活を立て直すうえで支障とならないか、他に解決できる方法はないかを総合的に判断して、自己破産を検討しなければなりません。
自己破産のデメリットが生活に与える影響は小さくないですが、一生這い上がれないというものでもありません。正しい知識を得ることが大切です。

自己破産をイメージで避けるのではなく、正しい知識を身につけましょう!

注意すべき自己破産後のデメリットとは?

自己破産には、一部例外を除く借金について、裁判所からその支払いを免除してもらうことができます。
もっとも、借金の支払いを免除される代わりに、以下のようなデメリットもあるため、注意が必要です。

官報に掲載される

自己破産をすると、その情報が官報に掲載されます。
ここでいう「官報」とは、定期的に国が発行する機関紙です。官報に載る以上、自己破産をしたことが官報から第三者にバレる可能性があります。
もっとも、日頃から官報を購読している人は、金融機関の従事者等ごく一部の人であるため、官報から自己破産をしたことが周囲に知られる可能性は決して高くはないでしょう。

自宅や車などの財産を処分しなければならない可能性

自己破産では、破産者が所有する財産のうち20万円以上の価値がある財産は、原則として処分されることになります。
たとえば、自宅や車などを所有している場合には、原則として、これらを手放さなければなりません。
もっとも、20万円以下の価値であれば、処分せずに手元に残せる可能性があります。

一方で、破産者の財産をすべて処分してしまうと、破産者は生活を立て直すことができなくなります。そのため、破産者は「自由財産」と呼ばれる財産については処分せずに手元に残すことができるようになっています。
「自由財産」とは、破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)、法律上差押えが禁止されている動産や債権(差押禁止財産)、99万円以下の現金のことをいいます。差押禁止財産としては、たとえば、寝具や衣類、タンスのほか、冷蔵庫、洗濯機といった家電などの生活必需品が挙げられます。

保証人に迷惑がかかる

自己破産は、裁判所を通す手続きであるため、任意整理のように整理する対象を自由に選ぶことはできません。
そのため、保証人が付いている借金があるとしても、裁判所に申告する必要があります。
主債務者が自己破産の手続きに入ると、債権者は主債務者から返済を受けることができなくなります。債権者はこのような事態になった場合、他の人から債権を回収できるように、保証人をつけています。
主債務者が自己破産を申立てた時点で残っている借金について、保証人に直接取立てを行います。
たとえ、主債務者が自己破産をして免責となった借金であっても、保証人の返済義務がなくなったわけではないため、債権者からの請求に対し保証人は返済をする必要があります。
支払うことができない場合には保証人も債務整理を検討することもあり、実際に保証人も一緒に自己破産をするというケースがあります。

就けない職種がある

自己破産をすると、一定の職業や資格は制限を受けることになります。
具体的には、弁護士や公認会計士、司法書士といった士業の職に就いている人は、少なくとも自己破産の手続きが終わるまでの間、資格を使って仕事をすることができません。
また、保険会社の外交や警備の職に就いている方は、自己破産の手続きが終わるまでの間、仕事をすることができなくなります。

ただ、資格をはく奪されるわけではないので、手続きの期間が終われば、再び元の職業に就くことができます。

新たな借り入れができない

自己破産をした場合、その情報が信用情報機関に掲載されることになります。これが、いわゆるブラックリスト状態です。
ブラックリストに掲載されると、経済的な信用を失うため、新たに借入れをしようと金融機関等に申込みをしても、審査に通る可能性は低いといっていいでしょう。
ブラックリストに掲載されている期間は、免責許可決定が確定してから5年から10年間といわれており、期間が終わると信用情報機関から自己破産をした情報が削除されます。

クレジットカードなどが使えない

クレジットカードが使えなくなる理由は、新たな借入れができなくなる理由と同様です。自己破産時に持っていたクレジットカードは使えなくなります。
ブラックリストに掲載されている間は、新規でクレジットカードの発行を申し込んでも、審査に通る可能性は低いといえます。

誤解されやすい自己破産のデメリット

自己破産に伴う主なデメリットは、財産が処分される、保証人に迷惑がかかる、クレジットカード・新規の借入れが一定期間難しくなるという点です。

ただ、ネガティブなイメージを持って、誤解されていることも少なくありません。
自己破産にまつわる、間違いやすい疑問に答えていきます。

勤め先やアルバイトを解雇される?

自己破産をしたからといって、勤め先やアルバイトを解雇されるということはありません。
先に見たとおり、制限を受ける職業や資格はありますが、これらにあてはまらないかぎり、自己破産を理由として解雇されることはありません。通常業務の支障とならないにもかかわらず、自己破産を理由として解雇した場合には「不当解雇」にあたり、雇用側が罰せられる可能性があります。

家族や親族のローンや、クレジットカードにも影響がある?

自己破産は、あくまで破産者本人のみを対象とする手続きです。
そのため、家族や親族名義で組んだローンや、家族や親族名義で作ったクレジットカードが影響を受けることはありません。

ここでいう「家族や親族名義」とは、あくまで家族や親族が主債務者としてローンを組んだりクレジットカードの発行を受けていたりすることを意味します。

日本から出られなくなってしまう?

自己破産の手続中に、住居を移転する場合には、あらかじめ裁判所や破産管財人から許可を得ておくことが必要となります。これは、海外旅行するような場合でも同じです。
実務において、裁判所が許可をしないということはごくごく稀なことで、きちんと連絡を取ることができる状態にあれば、裁判所は許可してくれます。

また、このような制限は、あくまで破産手続中に限って課されるものであり、破産手続きが終われば、自由に住居を移転したり、海外旅行をできるようになります。

賃貸物件に住むことや、携帯電話の契約をできなくなる?

自己破産を理由に、住居や携帯電話を解約されるようなことはありません。
家賃や通信料をきちんと支払ってさえいれば、解約されることなく使い続けることができます。

もっとも、自己破産後に引越しをしたり、新たに携帯電話を購入したりする場合には注意が必要です。
先に見たように、自己破産をするとブラックリストに掲載されることになります。
仮に、引越し先の賃貸物件が、信販系の保証会社を付けることを条件としている場合には、審査に通らない可能性があります。
また、携帯電話についても、本体の購入代金を分割払いにすることは難しいでしょう。
本体の購入代金を分割払いにすることは、ローンを組むことと同じであるからです。

生活保護や年金が受けられなくなる?

自己破産をしたからといって、生活保護や年金を受給できなくなるということはありません。
そもそも、自己破産と生活保護・年金では、制度上目的が異なりますので、自己破産が生活保護や年金の受給に影響することはありません。

もっとも、生活保護を受給している間に、債務整理をする場合は注意が必要です。
生活保護費は、あくまで最低限の生活を維持するために支給されるものであり、生活保護費を借金の返済に充てることは禁止されています。
生活保護をもらいながら任意整理や個人再生のように、借金を返済していくことを前提とする手続きを利用することはできないのです。

自己破産は生活を立て直すための有効な手段

自己破産には、上記のようなデメリットが伴うため、できれば避けたい、と考えるのは自然なことです。
ですが、生活を立て直すためには、自己破産は効果的な手段であり、また、最終的な手段でもあるのです。

自己破産の制度としての目的

自己破産制度は、債務者を救済することに加え、債権者を救済することも目的としています。
債務者が半永久的に借金に苦しむことのないよう、借金の支払いを免除することで、債務者が生活を立て直す機会を与えています。
また、債務者が財産を所有していれば、その財産を換価し、平等に債権者に配当することで公正な解決を図ることができるのです。

自己破産は、破産法によって定められている手続きであり、債務者にとっては、法的に認められた、生活を立て直すための手段であるということがいえます。

自己破産が可能なケースとは?

自己破産制度は、誰もが利用できる制度ではありません。
自己破産をするためには、「支払不能」の状態にあることが必要です。
ここでいう「支払不能」とは、債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものについて、一般的かつ継続的に弁済をすることができない客観的状態にあることをいいます。また、支払能力を欠くとは、財産、信用、あるいは労務による収入によって債務を支払う能力がないことを意味します。
高い収入を得ていても、はるかにそれを上回る借金を抱えていれば、支払不能にあると判断される可能性はあります。そのため、借金額が○○万円以上ならできる、ということではなく、その人ごとに基準は異なります。
反対に、少額の借金であっても、病気などにより働けない場合には、支払不能にあると判断される可能性があります。

また、自己破産には「免責不許可事由」と呼ばれる概念があります。「免責不許可事由」とは、自己破産で免責を認められない可能性のある借金理由をいいます。たとえば、ギャンブルや浪費は免責不許可事由として定められています。
免責不許可事由が認められると、場合によっては、自己破産以外の解決方法を検討する必要があります。
自己破産では、裁判所から免責が許可されてはじめて、借金の支払いを免除されることになりますので、免責が不許可となってしまうと、借金の支払いは免除されず、自己破産をした意味がなくなってしまうのです。

ただし、免責不許可事由に該当する借金でも免責を許可することができる「裁量免責」という制度もあります。
このため、自分が自己破産できるかどうかは個人の状況による部分が大きく、複雑です。債務整理を扱っている弁護士に相談することで自分の状況を見て教えてもらうことができます。

自己破産のデメリットを恐れず、制度を活用するべき

借金問題を抱えている人にとって、何よりも大切なことは、いち早く生活を立て直すことです。自己破産に伴うデメリットを恐れ、何とかして自身で解決しようとしても、事態が好転する可能性は低いです。

捉え方を変えれば、自己破産は、生活を立て直すためのチャンスともいえます。
デメリットを恐れずに、制度を積極的に利用しようという思考も大事です。

自己破産以外の手段を検討する場合はどうする?

自己破産を検討する場合は、本当に自己破産をすることが自身にとって適切な解決方法なのかという観点からも検討することが必要です。
債務整理には、自己破産以外にも、任意整理や個人再生といった解決方法があります。
これらの手続きについて、解決の仕方やメリット・デメリットなどを十分に理解したうえで、自身にとって、適切な方法を選ぶことが大切なのです。

任意整理

「任意整理」とは、裁判所を通すことなく、債権者と任意で支払条件等の交渉を行う手続きです。将来利息をカットしてもらえる可能性はあるものの、元金の減額までは見込めません。
任意整理では、借金を減額できる可能性は低いため、その点を念頭に、借金を返済していけるかどうかを検討する必要があります。
また、返済期間は、一般的に3年~5年となることが多いため、継続的に安定した収入があることも条件の一つになるでしょう。

個人再生

「個人再生」とは、裁判所を通じて、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
持ち家を残しながら、借金を整理できるという大きなメリットがありますが、個人再生を利用するためには、継続的に安定した収入を得られる見込みがあることが条件となっています。
この条件については、任意整理についても同じことがいえますが、裁判所を通す分、厳しく審査されることに注意が必要です。

借金は、およそ5分の1にまで減額でき、減額後の借金を原則3年間で返済していくことになります。

過払い金の有無について

過払い金の有無については、債務整理全般にいえることです。
任意整理において、過払い金があれば、その分だけ借金を減額することができ、過払い金が債務額を上回れば、上回った分を返還するよう請求することもできます。

過払い金が発生している場合には、過払い金をすべて充当したうえで、最終的に残った借金額を基準として、方針を決定することが大切です。

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