
失業や入院などで収入が減少したり、他の金融機関からも借り入れをしてしまい毎月の返済金額が支払いできないレベルになってしまったなど、返済が出来なくなる理由は様々です。
今後、収入が増える予定も、退職金などのまとまったお金がない場合、一刻も早く対策を考えなければなりません。

債務整理の中でも自己破産は、どんなに借金が多くても、支払いが免除になるという方法です。長い時間苦しめられてきた返済地獄から抜け出し、人生を再スタートできる、いわば最終手段と言えるかもしれません。
しかし、破産した後の生活はどうなるのだろう?と不安に思い、なかなか一歩踏み出すことができない人も多いのです。
この記事では、自己破産をした後の生活はどうなるのか?どのようなデメリットが発生するのかについて詳しく解説しています。
自己破産した後のメリット・デメリットは?
自己破産をしたら借金の返済が免除になるという、大きなメリットがありますが、反面、他の債務整理方法と比較してデメリットも大きいと言われています。
自己破産することによるメリット
・借金の返済が免除される
自己破産をすることによるメリットで最大のものは、やはり借金の返済が免除されることでしょう。個人再生や任意整理といった他の債務整理方法では、返済金額が減少することはあっても、その後、数年間かけて返済を続けていかなければなりません。
また、個人再生は、借金の総額が5,000万円を超えてしまうと手続きを利用することができません。
・借金の取り立てがなくなる
自己破産の手続きを弁護士に依頼した場合は、弁護士が債権者に対して受任通知を送付した時点で、債権者からの督促や取り立てが止まります。弁護士に依頼しなかった場合ならば、裁判所に破産申し立てを行い、手続きが開始された時点で、債権者が取り立てを行うことができなくなります。
また、訴訟をされていても、破産手続開始決定があった場合、訴訟は中断されます。
借金の返済ができずに、毎日のように督促や取り立てに怯えていた生活から抜け出せるということも自己破産のメリットの一つになります。
・給与の差し押さえが止まる
破産手続開始決定があった場合、裁判所に上申書を提出することによって、給与の差押えが止まります。
管財事件の場合には、その後の給与は全額受け取れるようになります。同時廃止事件の場合には、免責決定が確定するまでは、会社は差押の金額を保管しておくか、供託することになり、免責決定が確定すると、全額を受け取れることができます。
自己破産することによるデメリット
・ブラックリストに載る
自己破産を行うと、信用情報機関のブラックリストに掲載されます。自己破産の場合、5年から10年くらい、新たな借り入れを行ったり、ローンを組むことが難しくなります。
また、アパートやマンションなどの賃貸物件を借りる場合、保証会社が信販系の会社の場合、入居審査に通りにくくなる可能性があります。
なお、個人再生や、任意整理を行った場合もブラックリストに掲載されるので、自己破産特有のデメリットというわけではありません。
・官報に掲載される
自己破産すると、国が発行する機関誌「官報」へ掲載されます。
官報は自己破産の情報だけではなく、法律・政令の制定や改正、国家試験の情報など、国からの様々な情報を掲載しており、行政機関の休日を除き毎日発行されるものです。
誰でも閲覧できるものではありますが、情報量がとても多く、平均して32ページ程度になること、普通の書店などでは取り扱いをしていないことから、官報をチェックするのは市町村役場の担当者や不動産業者、金融業者など限られた人になるため、掲載されたことで、知人や職場で破産したことが知られることはほぼありません。
・財産の処分
自己破産をすると、所有している財産は処分され、債権者への返済に充てられます。
その時に所有できるのは「新得財産」、「99万円以下の現金」と「差押えが禁止されている財産」です。また、自由財産の拡張が裁判所に認められれば、それらも手元に残せます。
家や不動産などの高額資産を所有している場合は、換価処分の対象となります。
・職種によっては仕事への影響
弁護士、司法書士、弁理士、公認会計士などの資格が必要となる職には破産者の身分では就けない職業があります。就業している職業が、それに該当している場合は、破産手続開始決定から免責許可決定までの間、仕事をすることができなくなります。
免責許可決定後は、制限がなくなるので、今まで通り仕事をすることが可能です。職業によっては、自己破産することで、登録が抹消されるものもありますが、手続き完了後に再登録を行うことで、仕事を再開できます。
・自由に移転できない
自己破産の手続中に、引っ越しなどを行う場合は、事前に裁判所の許可を取らなければいけません。長期の出張や海外旅行についても制限される可能性がありますが、手続き完了後に制限はなくなります。
・もう一度自己破産するのが難しくなる
自己破産をするのに回数制限はありませんが、前回の自己破産から7年経過していない場合は、破産が認められません。

自己破産すると借金はどうなる?
免責許可決定が出ると、借金の総額に関わらず、財産を処分して返済しても支払いきれなかったものについては返済の義務がなくなります。
しかし、破産しても返済の義務が残るものがあります。それが非免責債権というものです。税金の滞納や、養育費、慰謝料の支払、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、罰金などがこれに当たり、免責が認められても返済の義務は残るため支払いを行わなければなりません。
資産を処分されてしまい、手元に残る現金も少ないため、支払いが厳しいことが多いですが、税金の場合は役所に相談して、分割払いなどに切り替えてもらったり、養育費や慰謝料の場合は、相手方と交渉して減額してもらうなどの対応が必要になります。
よくある質問で、学生支援機構の奨学金はどうなるのか?というものがあります。
奨学金は借金なので、自己破産することによって返済の義務はなくなります。しかし、奨学金を借りるときに、保証人や連帯保証人をつけていたのであれば、保証人には残債の返済義務が残ります。
保証人への影響
自己破産によって返済の義務が消えるのは申立人本人のみです。借金をするときに保証人をつけていた場合、残った債務は全て保証人に請求されてしまいます。
保証人も支払えない場合には、保証人も債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)を検討する必要があります。
家族や親族への影響
自分が自己破産をすることで、子供の就職や結婚に影響が出るのではないか?ということを心配される方も多いですが、自己破産をすることで、子供や配偶者が何か制限されたりすることはありません。
親が自己破産したからと言って、保証人になっていない子供や配偶者が借金を返済する必要もありません。希に、債権者が法律上で返済の義務のない、同居の子供や配偶者に借金の返済を迫るケースがありますが、これは明らかに法律違反です。
脅迫罪や強要罪に該当する可能性がありますので、警察や弁護士に相談するのがいいでしょう。債権者が金融業者ならば、金融庁に通報して、取り立てをやめさせることができます。
このように、自己破産をしたことで影響がでるのは、あくまでも本人のみです。保証人になっていない家族や親族に影響が及ぶことはありません。
但し、一つだけ注意しなければならないのは、保証人になれないことです。子供や配偶者のローンや奨学金受給のために、保証人をお願いされても、ブラックリストに掲載されている期間が終了するまでは、保証人になることはできません。
仕事や勤務先への影響
自己破産をしても、基本的に裁判所から勤務先に連絡がいくことはありません。官報に掲載されますが、前述したように、官報を閲覧する業種は限られていますので、勤務先がそのような業種に該当していないのであれば、官報に掲載されたことから職場にバレることはまずないでしょう。

・会社から借金をしている
裁判所には債権者一覧表を提出する必要があるので、そこに会社を掲載していたのであれば、裁判所から債権者である会社に対して連絡がいきます。会社に知られたくないという理由で故意に、会社を債権者から外すことは免責不許可事由に該当しますので、絶対にやってはいけません。
・給与の差し押さえを受けている
自己破産自体がバレるわけではありませんが、自己破産の手続き前に、借金を滞納してしまい給与が差し押さえとなった場合は、借金をしていること、返済していないことが会社にバレてしまいます。
例外的に会社に知られてしまうことはありますが、上記のようなケース以外の場合は、ほとんど会社にバレることはありません。もし、自己破産したことが何らかの理由で会社にバレてしまったときでも、破産を理由に解雇することは不当解雇になるため、会社側からクビを言渡すことはできません。

自己破産という制度があることの意味
事業の失敗などで、多額の借金を抱えた人や、多重債務になってしまい、毎月利子分しか返済することができず、この先、何年、何十年支払続けても完済できない恐れがあり、残りの人生の全てが借金返済のためならば、何のために生きているのか?将来の希望を見いだせず絶望してしまうことになります。
自己破産は、そのような人達に、生活を再建するチャンスを与えてくれる国が認めた救済手段です。
お金を貸してくれた人に悪いからと思って、我慢している人も多いですが、自己破産は、債務者の財産を処分して、債権者に公平に配当するものです。
制度を利用しない場合、結局、債権者にとっても早いもの勝ち、強制措置を行ったもの勝ちとなってしまい、全くお金を回収できないで、泣き寝入りとなってしまう業者もいるのです。
将来的にお金が入る予定があるならば、そこまで我慢するのもいいですが、今の状態から先が全く見えないのであれば、この救済制度を利用して、今後の生活を再スタートするべきだと思います。
借金の理由がギャンブルや浪費など、免責不許可事由にあたる場合などもあるため、自分で判断するのではなく、弁護士事務所の無料相談を利用して、弁護士の話を聞いてみてください。
まとめ
自己破産は自分の財産を全て手放す代わりに、借金を帳消しにするというまさに最終手段です。
弁護士費用が払えないからという理由で自己破産を諦める方もいますが、弁護士が債権者に受任通知を送った時点で、取り立てができなくなるだけではなく、毎月の支払いがストップされます。その間、返済しなくてよくなった分を、弁護士費用に充てたり、破産後の生活のために貯金をしておくことができます。
弁護士事務所はどこも同じだと思われている方もいますが、事務所によって不得意分野、得意分野があります。
弁護士法人あまた法律事務所は、借金問題の解決に特に力を入れて来た法律事務所です。過去に借金で苦しむ5,000人以上もの人を救ってきた実績とプライドがあります。
