自己破産で免責が許可される範囲は?免責後の生活への影響とは

債務整理

自己破産は免責を得ることで借金を返済する義務をなくすことができます。しかし、自己破産をすれば必ず免責を得ることができるというわけではありません。また、免責を認められたとしても免除されない借金もあります。
免責後の生活はブラックリスト状態となるため、新たにお金を借りることが難しいですが、借金もなくなっていますので、収入を自由に使うことができます。

この記事では免責が認められる借金と免責を得るために知るべきこと、免責を受けてからの生活について説明していきます!

自己破産における免責の範囲

自己破産を申立て、裁判所の免責許可決定を受けることができれば、免責の許可を与えられ、ほとんどの借金は返済する義務がなくなります。

ただし、自己破産を行えば、すべての借金が免責になるとは限りません。
裁判所が免責を認めない場合もありますし、裁判所が免責を認めたとしても税金などの非免責債権は支払わなければいけません。

自己破産における免責とは?

自己破産における免責とは、借金の支払い義務がなくなることを指します。
借金の支払い義務をなくすためには、債務者が裁判所に申立て、裁判所から免責許可決定を受ける必要があります。

なぜ免責制度があるのか?

免責制度が存在する理由は、債務者の経済的更生を実現するためです。

自己破産の手続きでは、債務者の自由財産以外の財産を換価処分し、それによって発生した金銭を債権者へ弁済、または、配当を行います。ただ、現実的に、財産を換価処分してもまだ債務が残ってしまい、その後返済を続けたとしても完済は難しいことがあります。

このような状況が続くとなると破産法の「債務者について経済生活の再生機会の確保を図る」という目的が果たされなくなってしまいます。

そこで、支払いきれなかった債務を免除することで、債務者の経済的更生を図ろう、というのが免責制度の目的です。

20年、30年と現実的に完済が難しい借金がある場合、人生が借金を返すためだけに使われてしまいかねません。そのような人に対して再生の機会を確保するために存在するのが免責制度ということになります。

免責が認められない免責不許可事由

免責制度において、借金の原因が免責不許可事由にあたる場合、免責を認められないことがあります。
免責不許可事由は借金の理由や返済の仕方、期間などで規定されていますので、注意しましょう。

不当に財産を減少させる

財産の処分が行われる前に、他人へ譲渡したり名義変更を行ったりすることや、財産を隠し持ったり、故意に物を破損させて価値を低くしたりなどの行為があげられます。
所有している財産を減少させると、債権者に配当すべき財産が減るため、債権者を害したと見なされます。

不当に債務を負担し、不利益な処分を行う

借金の返済を凌ぐために、著しく不利益な条件で債務を負担する、または信用取引で商品の買い入れを行い、明らかに不利益な条件で処分をする場合のことを指します。
身近な例では、クレジットカードで購入した商品をすぐに廉価で換金するなどの行為が挙げられます。

不当に特定の債権者のみに返済を行う

支払不能になっている状態にもかかわらず、特定の債権者のみに返済を行う行為です。
また、返済だけでなく担保の設定を行う場合も該当します。

恩のある人を優先して返済したいと善意から行ってしまいがちですが、特定の人を優先して返済することは偏頗弁済と呼ばれ、不許可事由に当たります。

浪費や賭博などが借金の主な要因になっている

競馬、パチンコなどのギャンブルによって借金を大きく作った場合や、生活レベルを超える散財が原因での借金と判断された場合です。

前回の免責決定から規定時間を経過していない

免責が認められる条件の一つに、以前免責許可や個人再生計画の認可を受けた場合は、7年以上過ぎていることが必要になります。
以前に免責を許可されていながら、7年が過ぎていなければこのケースに該当します。

免責不許可事由に該当しても免責を受ける方法

借金の理由が免責不許可事由に該当するからと言って、自己破産を諦めるのは早計です。

裁判所は、借金の理由が免責不許可事由に該当していても、免責を許可することが相当であると認める場合は、免責許可の決定をすることができます。

つまり、免責不許可事由のある借金であっても裁判所の判断次第では、免責される場合があります。これを裁量免責と言います。

この裁量免責を受けるためには、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情が考慮されることになりますので、明確な基準というものがありません。
ですが、裁量免責を得られないケースというのは決して多くないと言われていますので、経験のある弁護士と相談、協力していくことが大切です。

非免責債権

もし自己破産手続きが無事に完了しても、免責が認められない債権も存在します。
以下のようなケースは非免責債権の例です。

租税

滞納している税金や社会保険などが当てはまります。
これらの租税は、免責が許可された後も支払い義務が続きます。

損害賠償請求権

損害賠償の全てが対象ではありませんが、悪意を持って働いた不法行為による損害賠償の請求については、免責後も支払い義務が残ります。
不慮の交通事故などの損害賠償であれば免責とされるケースもありますが、飲酒運転や危険運転などによって生じた事故の場合は、損害賠償は免責と認められない可能性が高くなります。

また、この他にも婚姻費用や養育費、罰金なども非免責債権に当たります。

免責が認められるまでの期間と流れ

おおまかな手続きの流れとしては、
調査→裁判官による審尋→決定
という順序で進み、免責の決定までに必要となる期間は手続きの種類によっても異なります。
手続きは同時廃止事件、管財事件、少額管財事件の3つに分けることができます。

同時廃止事件

債務者の財産が少額で、債権者に分配する原資が見込めない場合、この同時廃止事件という破産手続をとります。
期間は準備に最低1カ月から2カ月程度、長くかかるケースであれば半年程度の時間を要する場合もあります。そして、申立から免責までは3カ月から4カ月程度が目安の期間になります。

管財事件

ある程度は財産が分配可能と判断される際の手続きです。
裁判所から管財人が選ばれ、破産手続きの公平性を保ちながら、債務者の財産を換金して債権者に分配するという流れになります。
準備期間は最低1~2カ月から、長いケースであれば半年程度です。借入経緯の複雑性や、財産・債務額の内容に応じて長期になる可能性もあります。

少額管財事件

裁判所に納める必要のある予納金を、低く抑えられる破産手続きです。
管財事件で行われる裁判所の手続を、自己破産を依頼した弁護士にそのまま代行してもらうという内容です。
この少額管財事件は、予納金が高くつくことで破産手続きを行うことができない債務者を援助する目的があります。
準備期間は最低1~2カ月程度、長い場合だと約半年の時間が想定されます。
また、申立から免責までの期間は、目安として約4カ月から1年程度です。

免責手続きで必要になるものは?

破産手続きでは、破産手続開始・免責許可申立書、陳述書、債権者一覧表、財産目録などの書類が必要になりますが、免責手続きの書類もこの自己破産に必要な手続き書類の中に含まれています。
よって、免責手続きに対して何か別に用意することは特段ありません。

自己破産の手続きの流れはこちらの記事をご覧ください。

裁判所で免責を認めてもらうために注意すべき事

免責するかどうかは裁判所が決めるものですので、申立ての書類などに不備のないようにすることが大切です。
裁量免責を受ける場合には、免責不許可事由にあたる内容の程度や、破産者が反省しているかどうか、更生する意欲があるのかなども考慮して、判断されます。
判断内容の一つに、破産手続きに協力的であるかどうかも含まれます。
よって、免責審尋の際は、正直に真摯に質問へ返答する姿勢が大事と言えます。

裁判所での決定事例

2014年の日本弁護士連合会の調査によれば、免責の申立ての結果96%以上は免責許可となっています。
これは多くの事案に弁護士が代理人として付いていたという条件での調査ではありますが、裁判所が免責許可決定を出す可能性は極めて高いと言えるでしょう。

免責を受けたあとの生活への影響

免責が認められれば借金の多くを免除してもらい、新しく生活をスタートできると言えます。
しかし、経済的信用は失っていますので、新たな借金は難しい状態です。

ブラックリストへの掲載

まず考えられる影響として、信用情報がブラックになることが挙げられます。これが所謂、ブラックリストに載るという状態です。
ブラックリストに載ると、新規でのクレジットカードが作れなくなったり、ローンが組めなくなったり保証人になれなくなったりします。
しかし、これは一生その状態が続くということではなく、信用情報が回復すれば新規の借り入れやローン組みも可能になります。

信用情報がブラックとなっていますと、分割払いによる携帯電話やスマホの端末購入も難しくなります。
これは、分割払いでの購入がローンの一種となるからです。
中古品や型落ち機種を一括で購入するか、同じものを使い続けるなどして対応できます。
また、家を借りるときに保証会社をつけることがありますが、信販系の保証会社の場合審査に通らなくなります。

官報への掲載

自己破産をすると、その情報が官報に掲載されます。
ここでいう「官報」とは、定期的に国が発行する機関紙です。官報に載る以上、自己破産をしたことが官報から第三者にバレる可能性があります。
もっとも、日頃から官報を購読している人は、金融機関の従事者等ごく一部の人であるため、官報から自己破産をしたことが周囲に知られる可能性は決して高くはないでしょう。

職業制限がかけられる?

免責決定後に、職業制限がかかることはありません。
しかし、自己破産の手続き中に限って言えば、一定の資格や職業に対しては制限がかけられることになります。
例えば、弁護士や司法書士などの「士業」は資格が停止されます。
その他にも、警備業や旅行業、古物商、保険の外交の仕事なども自己破産手続き中はその職業に就くことができません。
免責を受けた後は復権され、以前と同じように働くことができるようになります。

免責を得られない場合の対処法は?

自己破産をしても免責が許可されないケースはもちろん存在します。
免責を受けられるかどうかは、まず債務整理の問題に実績のある弁護士へ相談することで回答を得られるでしょう。
免責が不許可となった場合の対処法として、以下の二つの方法が提案されると考えられます。

裁判所へ異議申し立てを行う

免責不許可決定に異論がある場合は、高等裁判所へ即時抗告を行うことが可能です。
これによって免責が許可されるとは断言できませんが、免責不許可の決定が覆る可能性があります。

他の債務整理方法に切り替える

自己破産以外の手段で借金を返済していく方法です。
例えば個人再生の手続きに切り替え、減額した借金を返済していくことなどが考えられます。

無料相談を実施している事務所も多いのでまずは弁護士に相談することが大切です。

まとめ

自己破産の手続きは、免責を決定するために様々な観点から検討が行われます。
免責不許可事由に該当していても、免責が許可されるケースがあるのも事実です。
また、免責後に与える生活への影響も限定的であり、例えばブラックリストに載っている状態であればクレジットカードの作成はできませんが、それは一生続くわけではありません。

もし免責が認められない場合でも、他の債務整理手段で借金を完済できる可能性もあります。
借金問題や自己破産でお困りのことがありましたら、債務整理に力を入れている弁護士へ、お気軽に相談してみてください。

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