ネットやSNSでの誹謗中傷の書き込み内容はどんなもの?代表的な事例を解説

ネットやSNSでの誹謗中傷の書き込み内容はどんなもの?代表的な事例を解説

誹謗中傷の書き込みが発覚すると、様々な罪に問われるおそれがあります。

実際に問われた罪の内容や、インターネットで誹謗中傷の書き込みをされたときの対処法を紹介するので、誹謗中傷の書き込みに心当たりがある方は参考にしてください。

誹謗中傷の書き込みの事例

実際に誹謗中傷の書き込みの事例を見ていきましょう。ここであげる例はほんの一例ですので、異なる内容の書き込みであっても、他人を貶める書き込みをすれば誹謗中傷にあたるおそれがあるので注意しましょう。

木村花さんの事例

フジテレビ系のリアリティー番組である「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんは、SNSで誹謗中傷を受けたことにより、自らの命を絶ちニュースでも大きく取り上げられました。

番組内で木村さんがある男性出演者と口論になったことがきっかけに、SNS上で多くのバッシングを受けたことが自殺の理由とされています。

書き込み内容は、「顔面偏差値低いし、性格悪いし、生きてる価値あるのかね」などがありました。木村さんへの誹謗中傷の書き込みをおこなった20代の男性が、侮辱罪で略式起訴され、東京簡裁は科料9000円の略式命令を出しました。

はあちゅうさんの事例

作家でブロガーのはあちゅうさんは、大学時代にブログを開設して以来、誹謗中傷の被害を受けてきました。

大学一年生のときに名前と年齢、大学名、顔写真を明かしてブログ活動を始めると、一つの記事に400件もの「ブス」など容姿を非難する悪口が書かれました。第1子妊娠を公表した際には「流産しろ」という誹謗中傷を受けていたことを明かしています。

また、息子と遊んでふざけ合っている様子をインスタに投稿すると、記事を見た人が「児童虐待だ!」と警察に通報し、「息子を何時間も放置していた」というデマと一緒に情報が拡散されました。

現在、はあちゅうさんは「有名人は叩かれても我慢するべき」といった従来の風潮に正面から向き合い、過去に誹謗中傷してきた多くの投稿者を相手に裁判の準備をおこなっています。

2020年6月には、ブログで発信者情報開示請求が認められたとの報告がありました。

川崎希さんの事例

元AKB48のメンバーでタレント・実業家の川崎希さんは数年前からネットの匿名掲示板などで、自身や家族に対する悪質な嫌がらせを受けていました。

川崎さんは本人のブログで、妊娠発表後に「嘘つくな」「流産しろ」といったメッセージが毎日届いたり、インターネット上に自宅の住所を晒されるなどの被害を受けたりしていました。

その後、川崎さんは誹謗中傷の書き込みについて弁護士に相談し、裁判所を通じて発信者情報開示請求を行いました。

その結果、加害者の名前と住所を特定した上で刑事告訴することに成功。加害者の女性2人は侮辱罪の容疑で書類送検されました。

誹謗中傷の書き込みをした人はどんな罪に問われた?

誹謗中傷の書き込みをするとどのような罪が成立するのでしょうか。実際に問われた罪名と罪の成立要件をいくつか紹介します。

名誉毀損罪(刑法230条)

公然と事実を摘示し、他人の名誉を傷つけ、社会的評価を下げた場合に成立します。

「公然と事実を摘示」とは、不特定多数が認識できる状態で、具体的な事実としてその内容を広めること。真実かどうかは問われません。「他人」とは、団体や法人も含まれます。

 例えば、インターネット上で「◯◯は結婚しているにも関わらず▲▲と不倫している」という書き込みをした場合、名誉毀損罪が成立するおそれがあります。

侮辱罪(刑法231条)

事実を摘示しなくても、不特定多数が認識できる状態で、他人を侮辱した場合に成立します。「バカ」、「アホ」など具体的事実を伴わない表現、「チビ」「デブ」などの身体的特徴に関する暴言などが含まれます。

 例えば、インターネット上で「〇〇はバカ」「▲▲はハゲ」などの書き込みをした場合は、侮辱罪に問われるおそれがあります。

脅迫罪(刑法第222条)

生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、害を加えることを相手に告知し、脅迫すること。対象は、人間であり、会社のような法人は対象となりません。

「害悪の告知」は、一般に人を畏怖させるに足りる程度であれば成立します。

 例えば、「〇〇を殺す」などネット上での殺害予告は、脅迫罪に該当するおそれがあります。

誹謗中傷への対処法

ネット上で誹謗中傷の被害を受けたときの対処法としては、運営サイトへの該当する書き込みの削除要請や、加害者への民事・刑事裁判による損害賠償請求、ならびに刑事責任追及があげられます。

運営サイトに削除要請をする場合

サイトの利用規約に従って「削除申請フォーム」から申請を送ることで、該当する書き込みを削除してもらえる場合があります。

ただし、削除の判断は運営側に委ねられるので、削除請求が認められないケースもあります。

損害賠償請求をする場合

投稿者に対して損害賠償請求をする場合、投稿者の身元特定が必要です。

まず、コンテンツプロバイダ(インターネット掲示板などのサイト運営者等)にIPアドレスの開示請求をおこないます。任意で開示を行わない場合、インターネット掲示板などのサイト運営者等に対し、発信者情報の開示の仮処分を裁判所へ申し立てをします。

さらに、経由プロバイダ(ISP[携帯のキャリアなど])に対して情報開示請求の訴訟をします。併せて、履歴が消されないように、発信者情報消去禁止の仮処分も行います。

加害者を特定した後に、内容証明や訴訟で、損害賠償請求をしていきます。

刑事責任追及をする場合

誹謗中傷の被害にあった場合、警察に相談をします。警察が動いてくれなければ、発信者情報開示請求で身元を特定してから、再度警察に相談します。

 投稿者を、名誉棄損罪や侮辱罪等の罪に問うことができる可能性があります。

個人で手続きを進めるのが難しい場合

芸能人でも一般人でも、このような手順で手続きをおこないます。ただし、これらの手続きは決して簡単なものではなく、個人で進行するには難しいケースもあります。

個人で対処を進めるのが難しいときは、弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。例えば、匿名の発信者を特定するには、IPアドレスと氏名、住所を開示請求する必要がありますが、これらは裁判上の手続きになります。

一人で訴訟を提起することもできますが、手続きが複雑で高度の専門知識を要します。

POINT
弁護士に依頼すると、情報開示請求などの法的手続きをスムーズに進められます。不明な点や気になる点についても相談することができるので、誹謗中傷の被害で困ったときは弁護士などの専門家に頼るのがおすすめです。

まとめ

誹謗中傷に当たる書き込み内容は「ブス」「気持ち悪い」など、ネット上でよく見かける言葉も含まれます。

これらの書き込みをされたときは、法的手続きにより加害者を特定し、名誉毀損罪などの罪に問える場合があります。

ただし、裁判には専門的な知識が必要ですので、不明なことが多いと思います。そのようなときは、一人で抱え込まずに弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。

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