誹謗中傷問題を解決するための手段に時間制限はある?手段ごとの時間制限を詳しく解説

誹謗中傷問題を解決するための手段に時間制限はある?手段ごとの時間制限を詳しく解説

ネット上の投稿による誹謗中傷問題を解決するために様々な手段がありますが、それぞれの手段には時間制限があります。

この記事では、どのような時間制限があるのか、手段ごとに解説します。

誹謗中傷問題を解決するための手段に関する時間制限とは?

誹謗中傷問題を追及するために、民事上・刑事上の責任追及手段がありますが、それぞれについて、

  • 損害賠償請求における民法上の時間制限
  • 刑事上の責任追及における時間制限

という2つの法律上の時間制限が存在します。

ネット上における誹謗中傷の書き込みは、個人を傷つけ、権利を侵害する許されないものです。

そのため、投稿そのものの削除について時間制限は存在しておらず、いつでも削除請求を行うことができますし、発信者情報開示請求の手続きそのものについても時効はありません。

しかし、その後の民事・刑事における責任追及手段に関しては法律上の時効が存在しています。

 仮に情報開示請求で投稿者の個人情報を取得できたとしても、その後の責任追及手段に関して時間制限に引っかかってしまうと、問題解決や法律的な賠償請求、訴訟などが困難になってしまいます。

損害賠償請求の場合

誹謗中傷問題の責任追及における1つ目の時間制限が、民法の不法行為に対する損害賠償請求に関して定められている消滅時効です。

消滅時効とは

消滅時効とは、民法において、権利が一定期間行使されない場合、その権利自体が消滅してしまうという制度です。

民法709条は、他人から違法な行為による損害を受けた場合は不法行為に基づく損害賠償請求ができると定めていますが、一方で消滅時効も定められているのです。

不法行為による損害賠償の消滅時効

民法724条は、被害者が損害を受けたこと、または加害者を知ったときから3年間行使しない場合は時効によって権利が消滅すると定めています。

同様に、請求権が行使されることなく不法行為から20年が経過した場合も消滅時効を迎えるとされます。

つまり、被害者が、ネット上での投稿から20年が経ったとき、または、誹謗中傷および加害者を特定して3年経過しても民事訴訟を起こさなかった場合は、賠償請求自体ができなくなってしまいます。

ネットでの書き込みにおいて加害者を特定した場合とは、情報開示請求によって投稿者の住所や氏名が分かったときを指すと考えられます。

POINT
請求が認められて情報が開示されてから3年が民事訴訟における時効となるため、犯人の特定を済ませたら、速やかに訴訟手続きに移ることが望ましいといえます。

刑事上の責任追及の場合

民事における損害賠償請求の時効とは別に、投稿者に対して名誉毀損など刑事上の責任追及をする場合にも、刑法で定められた時間制限にかかる可能性があります。

刑事上の責任追及における時間制限には、告訴期間に関する時間制限と公訴時効の2種類があります。

告訴期間という時間制限

刑事告訴には、この期間を過ぎると告訴ができなくなる告訴期間というものが定められています。

名誉毀損等の犯罪は親告罪にあたるため、きちんと期間内に告訴を行わないと、刑事告訴ができなくなってしまい、警察も捜査を行えなくなります。

告訴期間は犯人を知った日から6か月と定められています。つまり、情報開示請求によって相手の個人情報を知ってから半年以内に告訴を行わない場合は、刑事上の罪に問うことはできなくなります。

ただ、書き込みが放置された状態にある場合は、時効の起算点が変わってくる可能性はあります。

公訴時効

刑事事件におけるもう一つの時効である公訴時効は、発生してから一定の期間が経過した犯罪行為について犯人を罪に問うことができなくするものです。公訴時効は、犯罪によって期間が変わり、

  • 名誉毀損 3年
  • 侮辱罪 1年
  • 信用毀損罪 3年
  • 業務妨害罪 3年

となっています。つまり、犯人が分からなくても、書き込みがあってから3年が経過すると、名誉毀損では告訴することができなくなるのです。

ただ、公訴時効に関しても、起算日は犯罪が終了したときからとされているため、告訴期間同様、書き込みが放置された状態にある場合、公訴時効が変わってくる可能性はあります。

また、書き込みが何罪にあたるかでも時効が変わってくるため、専門的な判断も求められます。

しかし、告訴期間・公訴時効ともに刑事訴訟上でもタイムリミットが設けられていることに変わりはなく、相手の告訴を希望する場合は早くから弁護士や警察に相談する必要があります。

プロバイダ等の記録保全期間にも注意が必要

誹謗中傷問題の責任追及手段に関してもう一つ、時間制限の問題が生じるのが、プロバイダ等の保有している投稿者のアクセス記録の保存期間の問題です。

こちらは法律で定められた時間制限ではないものの、一定の期間を過ぎると発信者の情報を知ることが不可能になってしまう可能性があるため注意が必要です。

プロバイダのアクセス記録には保存期間がある

通常、プロバイダではアクセスログの保存期間が決められており、多くのプロバイダでは半年から1年程度、携帯キャリアの場合は3か月程度のところもあります。

保存期間について法律の定めはなく、各プロバイダに委ねられています。この期間を過ぎるとアクセス記録が破棄されてしまい、投稿者を特定することが困難になってしまいます。

ですから、これ以上の時間をかけて情報開示請求を行っていると、たとえ裁判で勝ったとしても、データ自体が消えているため開示を受けられない可能性があります。

早く請求しないと間に合わないことも

通常、ネットで誹謗中傷を受けた場合は、まずサイトの管理者等のコンテンツプロバイダに投稿者のIPアドレスを開示してもらい、それをもとにインターネットサービスプロバイダ等の経由プロバイダに対して投稿者の氏名や住所といった個人情報の開示を求めます。

開示期間
コンテンツプロバイダからの任意開示には2~4週間程度、コンテンツプロバイダに対する仮処分命令の場合、2週間~2か月程度、経由プロバイダからの情報開示には6か月~1年程度かかるといわれます。

すぐに開示請求のために行動を開始しないと間に合わないことになります。

ネット上の書き込みによる被害を受けたときは、法律上の時効だけでなく、プロバイダの情報保全期間も大きな時効の壁となるため、タイムリミットを見据えた早めの行動が求められます。

アクセスログは保存することができる

とはいえ、上記のとおり、経由プロバイダから開示をしてもらうには1年程度かかる可能性があり、これでは例え裁判に勝ったとしても記録は消えてしまいます。

その場合、プロバイダのなかには、通信記録の保存に応じてくれるところもあります。

アクセスログの保存には、IPアドレスの特定からさらに1週間程度かかり、プロバイダが海外の企業であった場合はさらに時間がかかることもあります。ですが、プロバイダのアクセスログを保存することができれば、保存期間が来てもデータが消える心配はなくなるため安心できます。

中には保存に応じてくれないプロバイダもありますが、その場合は、裁判所に対してログ保存の仮処分を求めることができます。

しかし、裁判手続きには時間がかかりますし、すんなりとログを保存してもらえる場合でも、IPの特定を含めて少なくとも3週間はかかると考えておかなければならず、発信者情報開示請求は時間との戦いであるといえます。

まとめ

発信者情報開示請求には、民事における損害賠償請求の時効、刑事上の告訴期間・公訴時効という法律上の時間制限に加え、プロバイダのアクセスログ保存期間という時間制限が存在しています。

特にプロバイダのアクセス記録に関しては、放っておくと投稿者の記録自体が消えてしまい、相手の特定ができず、裁判で訴えることも不可能になってしまうため、被害に遭ったらすぐに行動を起こす必要があります。

民事や刑事における時間制限はこれと比べると長いようにも見えますが、様々な手続きが必要であることを考えると、時間的猶予は決して多いとはいえません。

もし、ネット上で誹謗中傷に遭ったときは、弁護士に相談するなどして、速やかにトラブルに対処することが大切といえるでしょう。

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