誹謗中傷にあたる言葉や表現の種類とは?どんな書き込みが該当するのか

誹謗中傷にあたる言葉や表現の種類とは?どんな書き込みが該当するのか

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最近では社会的な注目も大きくなっているインターネット上での誹謗中傷

普段、何気なく行っているような書き込みも、実は誹謗中傷にあたり、犯罪行為になってしまう可能性があります。

この記事では、誹謗中傷と判断される言葉や表現の種類について解説していきます。

誹謗中傷の定義

最初に、誹謗中傷がどういったことを意味しているのか、言葉の定義から確認しましょう。

誹謗中傷とは、「誹謗」と「中傷」という2つの言葉が合わさってできた単語で、「誹謗」は「他人の悪口を言う行為」、「中傷」は「根拠のない悪口で他人の評価や名誉を侵害する行為」という意味があります。

近年では、この2つを合成して「根拠のない悪口で他人を攻撃する行為」として「誹謗中傷」の言葉が使われるようになりました。

特にインターネットやSNSを使って匿名で行われるものが問題になっており、社会的な関心を集めるようになっています。

誹謗中傷にあたる言葉や表現の種類

ひとくちに誹謗中傷といっても、この言葉が指す範囲はとても広く、様々な言葉・表現が該当する可能性があります。

そこで、ここからは誹謗中傷にあたる言葉や表現を、いくつかの種類に分けて解説していきます。

抽象的な悪口

まず、誹謗中傷にあたる代表的なものに「バカ」「カス」「きもい」「死ね」などの抽象的な悪口が上げられます。
こうした単純な悪口は侮辱罪に該当すると考えられ、

  • 「○○みたいにバカなやつ他にいないよ」
  • 「○○するなんてきもすぎ」
  • 「お前なんか死ねばいいのに」

といった発言をすると侮辱罪に問われる可能性があるといえます。なお、侮辱罪は、不特定多数の人が認識できる状況で、相手の中傷的な悪口を言った場合に成立する犯罪です。

容姿を否定する悪口

他人の見た目や容姿を貶めたり、否定した発言も誹謗中傷と判断される可能性が高いです。

  • 「○○の顔ってホントブサイク」
  • 「○○さんって太ってるうえに 禿げててきもい」
  • 「○○さんってなんか汚いですよね。お風呂とか入ってますか?」

など、顔や体形、服装など見た目に関することで相手を攻撃するのも誹謗中傷にあたり、侮辱罪と判断される可能性が高いと考えられます。

嘘の情報による悪口

他人に対して誤った情報を流して、悪口を言う行為もこれに該当します。

  • 「○○さんは、前に万引きで捕まったことがあるらしい」
  • 「○○さんには多額の借金があるみたい」
  • 「○○さんって課長と不倫してるらしい」
  • 「あそこのラーメン屋のスープ、自家製って言ってるけど、実は業務用だよ」
  • 「○○社のサプリメントって全然効果ないんだって。詐欺商品だよ」

過去の犯罪や不倫など個人に対するもののほか、このタイプの誹謗中傷では商店や企業、販売している製品がターゲットにされることもあります。

POINT
こうした悪口は名誉毀損や虚偽の情報で社会的な信用を低下させる信用毀損罪、商店や企業の場合には業務妨害罪にもあたる可能性があります。

発言や行動に対する悪口

実際に本人が口にした発言や過去の行動をもとにした悪口も、誹謗中傷にあたる場合があります。

  • 「そんなこと言うなんて、お前がバカな証拠だよ」
  • 「○○はなにやっても失敗ばかりのダメ人間だ」
  • 「そういう考え方する人って頭が悪いんですよね」

など、例え発言や行動自体は事実であったとしても、行き過ぎれば名誉毀損などに問われると考えられます。

名誉毀損は、相手の社会的な評価を貶めるような発言をした場合に適用される犯罪です。侮辱罪とよく似ていますが、名誉棄損には条件の一つとして事実の摘示があります。

事実の摘示とは何らかの具体的な物事をもとに相手を誹謗中傷しているかどうかを指していて、具体性のない「バカ」「死ね」などの単純な悪口には侮辱罪が適用されます。

そして、名誉毀損では、この具体的な内容が本当か嘘かまでの指定はありません。

 そのため、嘘をついて相手を貶めた場合はもちろん、たとえ本当のことを言っていたとしても、それが相手の社会的な評価を侵害するものであれば名誉毀損罪が成立するので注意が必要です。

相手の発言や行動に対しては、違いが分かりにくいものとして、よく「批判」が挙げられます。

批判もなんらかの事実に基づいて相手の意見などを否定する行為で、一見すると名誉毀損と似ているようにも見えます。

しかし、批判はあくまでも発言や行動に対する評価であり、常に相手を攻撃するわけではなく、プラスの評価を下すこともある点が異なります。

厳密な線引きは難しい面もありますが、相手を貶める意図で行われた書き込みは、例え実際の発言や行動に基づくものであったとしても、批判とは判断されない可能性が高いでしょう。

他人に知られたくない情報を用いた悪口

他人に知られたくない情報とは、つまり、個人情報やプライバシーのことを指します。こうした情報を第三者にむやみに開示されない権利は「プライバシー権」と呼ばれています。

住所や氏名、電話番号、家族構成などはもちろんですが、

  • 「○○さんの年収は××万円らしいよ」
  • 「○○さん、最近、彼女と別れたんだって」
  • 「○○さんって、過去に破産したことがあるみたい」

など、過去の出来事から交際している恋人の存在、年収といった情報も本人が公開を望んでいないなら、知られたくない情報にあたります。

 こうした情報をみだりに公開して、それをもとに悪口を言ったりすれば、民事上でプライバシー権侵害として慰謝料を請求される可能性があります。

誹謗中傷の書き込みをしたかも…どうすればいい?

ここまで、どんな発言や書き込みが誹謗中傷になりえるのかを説明してきました。明確な悪意がなくても、何気なく書き込んでしまいそうな言葉のなかにも、該当するものが多くあることがわかります。

なかには、過去にネットでこうした書き込みを投稿してしまったという心当たりのある方もいるかもしれませんが、その場合どう対応すればいいのでしょうか。

誹謗中傷は犯罪にあたる可能性がある

あなたにとっては何気なく書き込んだ投稿でも、犯罪行為にあたる場合があります。誹謗中傷と判断される場合、具体的には、以下のような罪名が考えられます。

名誉毀損

何らかの事実に基づいて他人の社会的評価を低下させることで、成立すれば3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金に処せられます。

侮辱罪

「バカ」「死ね」などの単純で抽象的な悪口に適用され、名誉毀損のようになんらかの具体的な事柄を示す必要がありません。
成立すれば拘留(30日未満の拘置)または科料(1000円以上10000円未満)に処せられます。

信用毀損罪

嘘の情報を流すことで他人の経済的信用を低下させる行為で、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

業務妨害罪

嘘の情報で他人の業務を妨害する行為であれば偽計業務妨害罪となり、殺人予告や爆破予告など威力を用いたものは威力業務妨害罪になります。信用毀損罪と同じく3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

POINT
もし、被害者が訴えを起こせば、民事で不法行為にもとづく慰謝料を請求される可能性があるほか、刑事告訴によって逮捕・起訴されることもあり、場合によっては上で説明されているように懲役や罰金刑を受ける可能性も出てきます。

判断に迷ったら専門家に相談を

誹謗中傷にあたる書き込みをしてしまったと気づいたら、まずは自分の書き込みを削除してください。投稿者の側から書き込みを削除できないサイトもあるので、そういったところでは管理者に削除依頼します。

ですが、例え投稿を削除しても、その前に相手が書き込みを印刷したりスクリーンショットをとっていれば証拠が残ります。

投稿した事実までが消えてくれるわけではないので、書き込みの削除だけでは依然として被害者から訴訟を起こされるリスクは残ります。

過去に何気なくやってしまった誹謗中傷が原因で、高額な慰謝料を請求されたり、犯罪者として逮捕されたり、刑務所に入らなくてはならなくなるかもしれないのは怖いことだと思います。

ただ、誹謗中傷にあたる書き込みについては線引きが曖昧な部分もありますし、内容によって損害賠償や刑罰が軽くなるケースもあるため、自分だけで判断してしまうのは避けたほうがいいでしょう。

もし、過去の投稿に関して不安に思うことがあれば、一度、弁護士など法律の専門家に相談するようにしてみてください。弁護士であれば、専門家の視点からあなたの投稿が誹謗中傷になるかどうかを判断してくれます。

今後の対応に関するアドバイスをもらうこともできますし、万一、被害者から訴訟を起こされた場合でも弁護を依頼しやすくなるでしょう。

まとめ

誹謗中傷にあたる言葉には様々なものがありますが、多くに共通しているのは根拠のない悪口です。

ネット上に真実でないことを書き込んで他者を攻撃する行為は誹謗中傷にあたりますし、もし過去にこうした投稿を行った心当たりのある方がいれば、被害者から訴訟を起こされることも考えられます。

自分の書き込みが誹謗中傷にあたるのか、あたるとすればどんな対応をとればいいのか、不安な方は、一度、弁護士など専門家に相談するようにしてみてください。

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