スマートフォンの普及とともにライン(LINE)やTwitterなどのSNSはさらに身近なものになりました。
その反面、SNSやWEB掲示板等を利用した誹謗中傷も増えており、LINEもその1つです。
この記事の目次
誹謗中傷の相談先はどこ?LINEで相談できる?
誹謗中傷を受けたとき、相談を受け付けてもらえる窓口には、国の相談窓口、民間の窓口、法律事務所や弁護士の相談窓口の3つがあります。
この記事では、特にライン(LINE)のサービスを利用して誹謗中傷に関する相談ができるところを中心に紹介していきます。
国の相談窓口
官公庁や地方自治体、警察など国や関係機関が開設している相談窓口のなかから、LINEでの相談ができるところを中心に紹介します。
国の機関自体がLINE相談を行っているケースは少ないですが、人権相談を行っているNPO法人などでは、特に相談者のメンタルヘルスをケアする目的でLINEでの相談に対応しているところもあります。
厚生労働省ホームページのSNS相談のページでは以下の団体が紹介されています。
SNSによる自殺防止の相談を行っているNPO法人で、公式アカウント「生きづらびっと」(ID検索@yorisoi-chat)からLINE相談を受け付けています。
lINEやTwitterなどSNSで相談を受け付けている団体で、他の公的機関やNPOへの紹介も行っています。
「こころのほっとチャット」(ID検索@kokorohotchat)からLINE相談ができます。
10代20代女性のためのLINE相談を行っています。
その他、各地方公共団体でもライン(LINE)を利用した人権相談を行っているところがあります。
なお、法務省の人権擁護機関では、東京法務局及び名古屋法務局において令和元年からライン(LINE)による人権相談を受け付けていましたが、令和3年3月22日(月)以降、当分の間、相談を中止しています。
民間の相談窓口
民間企業の有志によって設立された団体が相談窓口を運営している場合のほか、IT企業のなかには有料の誹謗中傷対策サービスを行っているところもあります。
代表的なところでは、IT企業有志によって運営されている「一般社団法人セーファーインターネット協会」による誹謗中傷ホットラインが挙げられます。誰でも無料で相談でき、内容によってはプロバイダ等へ適切な対応を行うよう促してもらえます。
その他、IT企業やwebマーケティング会社による逆SEO対策があり、これはネガティブな情報を検索上位に表示されないようにするものです。
法律事務所や弁護士の相談窓口
法律事務所や弁護士など法律の専門家でもSNSでの誹謗中傷に関する相談に乗ってもらうことができます。
法律相談所や弁護士による相談窓口の特徴は、相談だけでなく、実際の削除申請や相手の特定、訴訟などその後の手続きに関しても対応してもらえることです。
通常は各事務所に直接足を運ぶか、電話やメールでの相談になりますが、なかにはライン(LINE)で相談できる場合もあります。
・LINE弁護士相談
LINE公式が提供しているサービスで、LINE上で弁護士ドットコムや日本法規情報などと提携し、LINEで法律相談が受けられます。
無料Q&Aで様々な悩みを投稿できたり、1000名以上の弁護士の中から地域や得意ジャンルでマッチングする弁護士を検索することができます。
・弁護士事務所のLINE相談
法律事務所のなかには、電話やメールだけでなく、LINEでの相談を実施している事務所もあります。
いつでもどこでも手軽に弁護士への法律相談ができ、事務所によっては、刑事事件や事故など相談内容によって独立したアカウントになっているところもあります。
LINE相談はどのようにはじめればいい?
それでは、実際にLINEで法律相談をはじめるにはどうすればいいのでしょうか。
法律相談といわれると緊張してしまいますが、やり方は普段、友達とLINEする場合とほとんど変わりません。
どの窓口も基本無料で相談を受け付けていますので、気軽に利用できます。
相談したい窓口のアカウントを公式ページのリンクやID検索、QRコード検索で見つけ出し、友達登録します。
友達追加できたら、通常のトークと同じように、相談したい内容を送信するだけです。
窓口によっては相談できる時間帯が決まっているところもあるので、あらかじめ確認するようにしてください。
いつでも相談できる窓口でも、土日や深夜の相談は回答に時間がかかる場合があります。
LINEでの誹謗中傷が増えている
近年、インターネットやSNSでの誹謗中傷が社会的な注目を集めるようになっており、Twitterなど他のSNS同様、ライン(LINE)による誹謗中傷の被害も増えています。
若い人たちを中心に、とても身近なツールになっているLINEですが、注意していないと自分が誹謗中傷の被害者や加害者になる可能性があります。
被害者になるケースでは、通常のトークはもちろん、グループラインやタイムライン、ラインリレー、知らないアカウントからメッセージが送られてくる場合など内容は様々で、なかにはLINEいじめのように複数のアカウントから攻撃されるケースもあります。
もしも、LINEで誹謗中傷をされたり、してしまったときには、決して1人で悩まず、上で紹介した相談窓口に相談してみるようにしてください。
ただ、公共の相談窓口は相談には乗ってもらえますが、実際の解決まではやってもらえないことが多く、誹謗中傷問題を個人で解決するのは大変です。
その場合は、弁護士など法律の専門家に依頼してみるのもひとつの方法です。弁護士なら、投稿の削除や相手の特定、訴訟に関する手続きなど、それぞれのケースにあわせて柔軟に対応してもらえます。
以下に、LINEでの被害に遭った場合と自分が加害者になってしまった場合の主な対応を説明します。
誹謗中傷された場合の対応
LINEで誹謗中傷の被害に遭った場合の対応は、まずLINE運営に対して投稿者のIPアドレス等の開示を求め、その後に書き込みの削除と並行して投稿者の特定を行い、民事での慰謝料請求や刑事事件として告訴するという流れになります。
発信者情報開示請求の制度を利用して、メッセージを送った相手を特定することができます。
LINEの場合は友達登録している知り合いから被害を受けることも多いため、相手の身元が分かっていれば、特定のプロセスは必要ない場合もあります。
情報開示請求は、まずLINE運営に対して行い、相手のIPアドレスなどを開示してもらいます。もし、LINEに拒否された場合は、裁判所に情報開示仮処分の申立を行います。
LINEには悪質なメッセージ、アカウントを運営に通報できる機能があります。
やり方は、トーク画面の右上にある設定の「その他」の中にある「通報」をタップし、通報理由を選択して送信します。
通報は、特定のメッセージを長押しして出てくるメニューからも行えます。通報すると、悪質なものに関しては運営からアカウント凍結などのペナルティを受けることになります。
もし、運営が対応してくれない場合は、裁判所にメッセージの削除仮処分の申立を行うことができます。
LINE運営から開示されたIPをもとにプロバイダを特定し、相手の氏名や住所など個人情報の開示を求めます。
こちらも、プロバイダが拒否した場合は、裁判所に発信者情報開示の訴訟を起こします。
加害者を特定した後は、民事における不法行為に対する損害賠償を請求できるほか、名誉毀損などの犯罪として刑事告訴することも可能です。
ただ、名誉毀損には要件の1つに「公然性」といわれるものがあり、誹謗中傷が不特定多数に見られるものでなければ罪に問えないことになっています。
そのため、LINEの場合、1対1のトークでは公然性がないとみなされる可能性もあります。
逆に、グループラインやタイムライン、ラインリレーのように、多くのユーザーの目に触れることが前提になっている場合は、こうした犯罪に該当する可能性が高いと考えられます。
誹謗中傷した場合の対応
逆に、自分の送ったメッセージが誹謗中傷にあたるかもしれないと思った場合には、まず書き込みを削除するようにしてください。
LINEではメッセージを長押しするとメニューが開くので、そのなかから「送信取消」を選びます。
メニューの中には「削除」の項目もありますが、こちらは自分の画面上で消えるだけで、相手のトークには残ってしまいます。その上、削除したメッセージは送信取り消しができなくなるので、間違って選択しないようにしてください。
ただ、間違って「削除」を押してしまった場合でも、パソコン版のLINEが使える環境があれば、パソコン版の方から送信取消できますので、万が一の時にはこのやり方を試してみてください。
そして、もし、メッセージが消せなくなってしまったときや削除しても相手に訴えられそうで不安なときは、弁護士など法律の専門家に相談してアドバイスをもらうようにしてください。
まとめ
近年では、LINEの利用者が増えるとともに、LINEを使った誹謗中傷も増加傾向にあり、いつでもあなた自身が被害者や加害者になる可能性があります。
もし、誹謗中傷をしたとき、されたときは、自分だけで悩んだり、解決したりしようとせず、LINEで相談できる窓口などを利用してみてください。
弁護士など法律の専門家に相談すれば、個々のケースにあわせたアドバイスや対応をしてもらえますので、お困りの方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。