Googleサジェストとは
ユーザーが検索ボックスに入力した文字列に基づいて、検索しようとしている事柄をリアルタイムに予測し、検索窓の下部に予測キーワードを表示する機能です。現在はGoogleオートコンプリートと呼ばれています。
例えば、ダイエットについて調べたいとき、検索窓で「ダイエット」と入力すると、入力した語句の下側に「ダイエット 食事」「ダイエット サプリ」など、ダイエットに関連する語句が一覧になって表示されます。
Googleサジェストが表示される仕組み
予測候補はランダムに決まるわけではありません。実際に行われた検索を基に予測キーワードが決定されます。
具体的には、過去に検索された数、現在注目されているトレンドなど、様々な要因が考慮されます。多くのユーザーが検索するキーワードを候補として表示して、Google検索を便利にしています。
一方で、検索候補の語句は独自のアルゴリズムが自動生成で表示しているため、人の手によって操作できず、表示される語句が事前にチェックされることもありません。検索された数や検索ニーズを重視しているため、語句の内容が適切・不適切かまでは考慮されないのです。
ですので、時には予測候補にネガティブワードが表示される「サジェスト汚染」が発生することもあります。
Googleサジェストの順位が決まる要素
Googleサジェストにはどのような語句が優先的に表示されるのでしょうか。サジェストの順位が決まる要素についてそれぞれ解説します。
検索ボリューム
検索ボリュームとは、世の中のユーザーが入力しているキーワードの検索回数を指します。実際にたくさん検索されている語句をサジェストに表示させることで、ユーザー需要が高い言葉を素早く検索することができます。
検索された回数
検索ボリュームだけでなく、そのキーワードがよりたくさんの人によって検索されているかも重要になります。
サジェストに表示される単語が検索ボリュームのみで決定してしまうと、同一ユーザーが大量に検索した語句のサジェスト順位が上がってしまい、他のユーザーの検索ニーズを満たせなくなります。そのため、同一デバイスが複数回検索を行っても、IPアドレスを識別することで、サジェスト順位を上げれなくする仕組みを採用しています。
このように、よりたくさんの人に検索されているキーワードを表示させることで、世の中のユーザーの検索ニーズを満たすことができます。
トレンドのキーワード
トレンドとは、ニュースやイベントなど、リアルタイムで話題になっている出来事です。
Googleサジェストは、基本的には長期的に検索されるキーワードが表示されます。一方で、一時的に検索数が急増しているトレンドに関しても、検索ニーズが高いと判断されるためサジェストに表示されるのです。
キーワードを含むサイトの数
検索キーワードを含んだWebサイトや記事、コンテンツの数が十分に存在している必要があります。そのため、いくら検索ニーズの高いキーワードであっても、ユーザーの疑問を解消してくれるサイトの母数が少なければサジェストには表示されないということです。
検索エンジンを利用しているユーザーの使用言語や現在地
検索エンジンがユーザーの位置情報をIPアドレスやGPS情報から読みとることで、ユーザーの使用言語や場所にあった予測候補が表示されることがあります。
例えば、日本語でキーワードを入力した場合、表示されるサジェストは日本語かつ国内に存在するものが大半を占めることになります。また、東京で「カフェ」と検索すると、東京都に実在するカフェの名前が予測候補にあがることがあります。
ユーザー個人の検索履歴
過去に検索エンジンで入力した語句は優先的にサジェストに表示されます。以前に検索したキーワードはユーザー固有の関心事であり、再度検索される可能性が高いと判断されるからです。
個人の検索履歴に応じて予測候補を「パーソナライズ」することで、そのユーザーが頻繁に調べる情報に素早くアクセスできるのです。
Googleサジェストのメリット・デメリット
サジェスト機能のメリットとデメリットについて解説します。
サジェストのメリット
サジェストによるメリットは以下の通りです。
サジェスト機能の主な役割は「入力補助」です。入力した語句と関連のあるキーワードが表示されるので、幅広い予測候補の中から情報を調べることができます。
また、少ない文字数を打つだけでも予測候補が表示されるため、キーワードの入力する手間が省けて非常に便利です。誤字・脱字などの入力ミスをする心配もありません。
サイト作成する側は、サジェストに表示される単語を多く含んだwebサイトを作成することで、SEO対策ができます。SOE対策とは、Googleなどの検索エンジンによる検索結果で、より上位に表示し自社サイトへアクセスを増やす手法です。
サジェストに表示されるキーワードは検索ニーズにマッチしている言葉ですので、サジェストワードを多く含んでいるサイトはアクセスされやすくなります。
Web上における他者との競争でリードするためには、自社名や商品名、サービス名が世間に知れ渡っている必要があります。そこで、検索ワードとともに自社の社名、商品名、サービス名などをサジェストに表示させることができれば、自社のブランドを多くの人に知ってもらえます。
また、コンテンツやブログ記事に含まれるキーワードがサジェストされることで、webサイトにアクセスするユーザーを増やすことができるでしょう。
サジェストのデメリット
デメリットは「サジェスト汚染」が発生し、サジェストワードにネガティブな言葉が表示されるおそれがあることです。サジェスト汚染が起こると、キーワード検索を行った検索ユーザーに悪い印象を与えてしまいます。
例えば、タレント名を検索したときに、「タレント名 不倫」「タレント名 逮捕」などの悪いイメージの言葉が表示されると、その人の社会的信用が低下してしまいます。
さらに、企業名を検索すると、「企業名 ブラック」「企業名 過労死」などと表示されることがありまが、これらの語句を見たユーザーは、その企業に対して悪いイメージを持ってしまいます。また、就活生がこれらのキーワードを見てしまうと、その企業への応募を取りやめてしまうかもしれません。
Googleサジェストを削除する方法
基本的にサジェストキーワードはGoogleのアルゴリズムによるものなので、容易に削除できるものではありません。しかし、プライバシーの侵害や名誉毀損などの権利侵害にあった場合は、正しい手順を踏むことで削除申請が可能です。削除申請の方法は以下の通りです。
専用フォームから削除請求する
Googleの公式サイトには「法律に基づく削除に関する問題を報告する」というフォームが設けられています。このフォームを使うことで、法律に違反するサジェストの削除申請が可能です。
申請の際は、居住国、戸籍上の氏名、所属する会社名、連絡先メールアドレスを記入します。さらに、権利侵害にあたるコンテンツに関して、検索キーワード、サジェストに表示された不適切な語句、コンテンツが表示される国、サジェスト表示が違法になる理由を詳しく記入します。
最後に、検索画面のスクリーンショットとデジタル署名をすることで削除申請を送信できます。
検索画面から報告する
手軽に削除申請する方法として、Googleの検索画面から通報する方法があります。
まず、Googleの検索窓に表示されるサジェスト一覧の最下部にある「不適切な検索候補」というリンクをクリックします。次に、「不適切とされる検索候補」と理由についてチェック欄がありますので、当てはまるものを選択してフィードバックを送信します。
元の記事を削除する
ネガティブなワードが含まれている記事を削除することで、サジェスト表示を防ぐ方法です。問題の記事が削除されることで、ネガティブなコンテンツへのアクセスを防ぎ、根本的なトラブル解決につながります。
ネット上の記事を削除する方法は以下の通りです。
サイト管理者に削除依頼する
サイト管理者に直接コンタクトをとって削除依頼する方法です。削除申請用のフォームが用意されている掲示板やSNSでは、必要事項を記入して削除申請することで元記事の削除対応をしてもらえる場合があります。
プロバイダに削除依頼する
プロバイダに送信防止措置依頼書を送付して記事を削除してもらう方法です。
まず、サイトの管理者やプロバイダに削除依頼書を郵送します。次に、サイトの管理者やプロバイダが、発信者に対してその書き込みを削除して良いか尋ねます。発信者から7日間以内に反論がなければ記事は削除されます。
また、発信者から反論があった場合には、サイトの管理者やプロバイダが「権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由」の有無を判断し、削除対応の是非を決定します。
裁判所に仮処分申立てする
裁判所に仮処分申立てすることで、裁判所側からサイト側に記事の削除命令を出してもらう方法です。仮処分とは、本裁判の手続きを経ることなく、裁判に勝訴したときと同様の状態を確保できる手続きです。
通常の裁判は半年から1年ほどの期間がかかりますが、仮処分は申立てから通常2週間~2か月程度で結果が出ます。裁判官と面談(審尋)し、主張が認められれば記事を削除してもらえます。
仮処分命令は裁判所が発令するため、ほとんどのサイトは削除命令に従います。一方で、仮処分申立ては裁判手続きですので、法律知識が必要になります。
まとめ
Googleサジェストは検索ボリューム、多くの人によって検索された回数、トレンド、キーワードなどの情報から独自のアルゴリズムによって生成されます。
サジェストがされることで検索が便利になるメリットがある反面、サジェスト汚染されるデメリットもあります。削除依頼する方法にはいくつかありますが、簡単な手続きのものは対応してもらえない場合も多くあります。
そのため、確実に削除対応してもらいたい場合は、法律の知識を持つ弁護士など専門家の力を借りて手続きをすすめましょう。