Facebookの誹謗中傷の書き込みは削除できる?方法や削除されない場合にとるべき対策

Facebookの誹謗中傷の書き込みは削除できる?方法や削除されない場合にとるべき対策

削除請求の訴求バナー

世界中で幅広いユーザーに利用されているFacebookは、本名や顔出しが普通という他にない特徴をもったSNSです。

そのぶん、誹謗中傷の被害を受けると、知り合いへの拡散やビジネスへも影響を与える恐れも。

この記事では、Facebookの悪い書き込みの削除方法や対処法を解説します。

Facebookとは

Facebookは全世界28.9億人が利用している世界で最も利用者の多いSNSです。日本国内でも2600万人が利用しています。

Facebookでは、実名でのやり取りが基本という匿名アカウントが多いSNSやネットにおいては珍しい形態をとっていて、自分の顔写真を載せたり、出身地や居住地、出身校、勤務先などを公開することも多くなっています。

ネットを介して知らない人と新しい関係を広げられるだけでなく、同級生や職場の人などリアルでの知り合いともつながれるのがFacebookの大きな特徴です。

日本では、10代や20代が中心になっている他のSNSと違い、利用者の大半が30代から40代と比較的高い年齢層に利用されており、購買力の高い層での利用者が多いため、フリーランサーや会社役員など、顔と実名を出して仕事をしている人がFacebookを利用してビジネス展開するケースも多いです。

また、Facebookページと呼ばれるビジネス用アカウントの作成もできるので、企業や個人の店舗で集客に利用されることもあります。

Facebookの歴史

Facebookは、もともとマーク・ザッカーバーグ氏がエドゥアルド・ザベリン氏などとハーバード大学時代に立ち上げた大学内の交流サイトでした。その後、2004年からFacebookとしてサービスを開始。

2006年以降は13歳以上であれば誰でもアカウントをもつことができるようになり、利用者はアメリカだけでなく、世界中に拡大していきました。

現在、Facebookはアメリカの会社である「Meta Platforms, Inc.」とアイルランド子会社の「Facebook Ireland Limited」の2社によって運営されています。

 しかし、ユーザー数の増加とともに、Facebookでも他のSNS同様、誹謗中傷や名誉毀損、風評被害などによる問題も発生するようになりました。

Facebookでの誹謗中傷の影響

Facebookで誹謗中傷を受け、悪い書き込みが拡散してしまうと、本名や顔写真など個人情報が公開されているため、家族や知り合いにも悪いうわさが広まって、広く周囲に悪影響を与える可能性があります。

ただ、本名公開が基本のFacebookでは、悪質な行動や書き込みをすると家族や知人、勤務先の同僚や上司にもそれがバレてしまいます。その結果、誹謗中傷の犯人自身も評判を落とすことになるため、他のSNSと比べると無責任な書き込みや誹謗中傷は少なめといわれています。

しかし、全くないわけではありませんし、一度悪い書き込みをされると他のSNSやネット掲示板などに伝播して拡散する恐れがあります。

また、企業用のアカウントであるFacebookページは、検索に強いことで知られており、YahooやGoogle検索などで上位表示されやすいため、ビジネスや集客に有効といわれています。

しかし、悪い書き込みがあるとこれが逆効果になる可能性があり、Facebookページの悪質なコメントなどが検索でやってきたユーザーにも書き込みを見られて、それが拡散されてしまうことも考えられます。

結果、売り上げに悪影響を与えたり、会社の信用低下など損害を被る恐れもあります。

Facebookの書き込みによる影響

それでは、実際にFacebookではどのような誹謗中傷が行われ、それによってどんな影響が出るのか、書き込みによる影響の事例を紹介していきます。

コメント欄での誹謗中傷

Facebookのコメント欄に「過去に犯罪を犯した」「●●と不倫している」などありもしないことを書き込んだり、住所や勤務先などプライバシー侵害になる情報を書き込まれるケースです。

公開設定になっていると、コメントは他のユーザーにも閲覧可能になるため、書き込みを本気にしてあなたへの信頼低下につながったり、自宅や勤務先へのイタズラ電話のように個人情報を悪用される恐れもあります。

 特に、Facebookはリアルでの知り合いとつながっていることも多いので、家族関係や交友関係にも悪影響を与えることも考えられます。

他人になりすまして悪質な投稿を行う

Facebookでも、他のSNSと同じく、本人の名前をかたり、本人の顔写真などを勝手に使ったなりすましアカウントが作成されることがあります。

なりすましアカウントがあなたのフリをして他人への誹謗中傷や嫌がらせを行えば、周囲からはあなたのした行為だと思われて信用を損なうことになります。

POINT
こうしたなりすましは、あなたの友人・知人に友達申請を行ってお金をだまし取ろうとすることもあります。結果、人間関係を破綻させるだけでなく、勘違いで警察に訴えられたり、様々なトラブルにつながりかねません。

企業や商品に対する誹謗中傷

「あの店の料理はまずい」「あの会社の商品を買ったら不良品だった」「あそこの店員の対応は最悪」など店舗や会社、商品に対する誹謗中傷です。

特に、企業や店舗などが運営するFacebookページのコメント欄などに書き込まれると、他の多くのユーザーの目にも触れるため、売り上げの低下や会社・店舗の信用、イメージダウンなど悪影響が大きくなる可能性があります。

リベンジポルノ

FacebookをはじめとするSNSで増えているのが、本人の許可を得ないままポルノ画像などを投稿するリベンジポルノの被害です。

特に、Facebookは実名など個人情報を開示しているアカウントが多いため、こうした写真から本人を特定されてしまうリスクも高く、こうした画像がリアルの知り合いの目に触れる恐れもあります。

Facebookで禁止されている行為

ここからは、Facebookで誹謗中傷の書き込みをされたとき、どうすれば削除してもらえるのかを解説していきます。最初にFacebookで禁止されている書き込みとはどのようなものかを見ていきましょう。

Facebookで削除対象になる書き込み

Facebookの利用規約では、表現の自由を何よりも大切にすると謳っていますが、同時に、公共の利益や人権を侵害するコンテンツに関しては、表現に制限をかける場合があるとしています。

Facebookで禁止される行為には、下記のようなものがあります。

違反行為
・いじめや嫌がらせなど、他者に屈辱を与えたり、誹謗することを意図したコンテンツ
・ポルノなど性的なコンテンツ、児童ポルノ
・リベンジポルノなど同意なくシェアされた性的な画像
・プライバシー侵害
・なりすましなどの偽アカウント
・暴力や過激な描写、暴力行為の扇動
・薬物など違法な商品の取引
・詐欺
・ヘイトスピーチ
・テロや犯罪組織など危険な団体や人物に関するコンテンツ
・スパム
・フェイクニュース
・著作権、商標権など知的財産権を侵害するコンテンツ

問題の書き込みがこうした違反行為に当てはまっている場合には、削除できる可能性が高いといえます。

Facebookで誹謗中傷を受けたときにするべきこと

では、Facebookで誹謗中傷を受けた際、書き込みを削除するためにとるべき対応にはどのようなものがあるでしょうか。

書き込みの証拠保全

悪い書き込みをされると一刻も早く消してもらいたいところですが、その前に、書き込みがあったことを後から証明できるよう、証拠を残す必要があります。

誹謗中傷で深刻な被害を受けた場合、犯人を法的に訴えることもできますが、その際、証拠がないと被害を証明するのに苦労するかもしれません。

書き込みは削除してしまうと残らないので、最初の証拠保全が重要になります。保全といっても大袈裟なものではなく、投稿したアカウントが分かる状態で書き込みと一緒にスクリーンショットを撮るなど情報を保存できれば十分です。

ユーザー名や写真などは後からでも変更できるため、ページのURLがわかるようにスクリーンショットをとるようにしましょう。

他にも、URL付きでページをプリントアウトする、スマホのカメラで写真をとるといった方法でも構いません。書き込み単体で誹謗中傷になるかが分かりづらい場合には、前後の文脈がわかる部分も残すようにしてください。

相手のアカウントをブロックする

誹謗中傷の書き込みをするユーザーは何度も繰り返し同様の投稿を行う傾向があります。そのため、被害を受けた場合には、相手のアカウントをブロックして書き込みができないようにしましょう。

ブロックすると、相手は投稿を見たり、DMを送ることもできなくなります。小さな被害の場合には、相手とのつながりを切ることでトラブルが解消することもあります。

しかし、相手によっては新たなアカウントを作って誹謗中傷を繰り返すこともあるため、そうした場合には別の対策も必要になります。

メッセンジャーを使って相手と交渉

少し不確実な方法ですが、誹謗中傷してきた相手と直接交渉して書き込みの削除を求めることも可能です。

Facebookメッセンジャーはユーザー同士がメッセージをやり取りできるアプリです。これを使って書き込みをした相手にメッセージを送り、書き込みの削除や今後同様の投稿をしないよう説得・交渉を行います。

Facebookアカウントに対しては、DM(ダイレクトメッセージ)を送ることもでき、こちらでも同様に交渉が可能です。

ただ、どちらの場合も相手に無視されたり、真面目に取り合ってもらえない可能性があり、感情的になって問題をますますこじらせてしまったり、メッセージによるさらなる嫌がらせを受けることも考えられます。

相手の態度を慎重に見極めたうえで、難しそうだと思ったら交渉を打ち切り、他の対処法を検討したほうがいいでしょう。

Facebookに削除依頼する

自分で対応するほかに、Facebook運営に投稿の削除を依頼することも可能です。書き込みの内容がFacebookの利用規約に違反するものであれば、削除対応してもらえる可能性が高いです。

Facebookへの削除依頼は書き込みの付近に表示される「報告する」のリンクから行えます。ほかに、自分のFacebookページの「ヘルプとサポート」にある「問題の報告」から運営にメッセージを送ることができます。

メッセージには画像も添付できるので、先ほど保存した証拠を一緒に送ります。いずれも報告したユーザーの情報が投稿者に知られることはありません。

報告した投稿が規約に反していると判断されれば、該当の投稿は削除されますが、問題を報告してもすべての書き込みが削除されるわけではなく、判断は運営に委ねられます。

書き込みが削除されない場合の対応

Facebookに削除を依頼しても、運営が規約違反だと判断してもらえなければ、書き込みを削除してもらえない場合があります。ここからは、そうしたケースで法的手段を利用して書き込みの削除を行う方法を解説していきます。

運営に削除してもらえない場合は削除仮処分の検討を

Facebookに依頼しても削除してもらえない場合には、裁判所に削除仮処分を申請すると、投稿が削除できる可能性があります。

Facebook運営は表現の自由を重視しており、線引きが曖昧な書き込みなどは依頼しても削除してもらえないことも考えられます。そうしたとき、利用されるのが削除仮処分による書き込みの削除です。

仮処分とは
民事保全法に基づき裁判所から出される暫定的措置で、裁判による判決と同様の効力をもちます。通常の裁判が半年から1年ほどかかるのに対し、仮処分は1~2か月と短期間で結果が出るのが特徴です。
Facebook運営も裁判所からの仮処分命令が出されれば、これに従って削除に応じると考えられます。

仮処分の申請は個人で行うことも可能ですが、手続きには複雑なノウハウや法律知識が求められるため、弁護士など法律の専門家に依頼するのが一般的です。

削除仮処分での弁護士費用は20万~30万円程度が相場で、ほかに、手続き費用や弁護士の日当などが実費で必要になります。また、申請の際は、法務局に担保金(10~30万円)を供託する必要がありますが、こちらは仮処分決定後に還付されます。

細かな費用は弁護士事務所によって変わるので、依頼を検討する際は、事前にネットなどで費用を調べるようにしてください。

Facebookに対する仮処分の注意点

外国企業であるFacebookに対して仮処分申請を行うときに注意しなければならないのが資格証明書の取得です。外国企業に対する訴訟や仮処分を求める際には、裁判所に相手の資格証明書を提出する必要があります。

Facebookは現在、米国法人とアイルランドの子会社の2つで運営されていますが、アメリカとカナダ以外のユーザーは、子会社である「Facebook Ireland Limited」と契約することになっています。

そのため、資格証明書も「Facebook Ireland Limited」のものが必要になります。「Facebook Ireland Limited」の証明書は、「COMPANY REGISTRATION OFFICE」のサイトから取得することができます。

このサイトにアカウントを開設し、デポジットを支払った後、電子メールで資格証明書の請求を行います。削除仮処分のほか、次に述べる開示請求なども行う場合は、裁判所の管轄が異なることがあるため、資格証明書も複数必要になります。

POINT
ネットの削除案件に詳しい弁護士なら、こうした手続きも任せることができるので、そういった点でも弁護士に依頼するほうが安心といえます。

相手が誹謗中傷をやめない場合の対応

書き込みの削除が上手くいったとしても、それだけで相手からの誹謗中傷が止むとは限りません。悪質な書き込みを繰り返す相手にその都度、書き込みの削除を行っていても埒が明きませんし、誹謗中傷によってさらなる社会的な信用低下の被害を蒙る可能性もあります。

ここからは書き込み削除だけでは対応できない著しい被害を受けてしまった場合の犯人の特定や訴訟により法的責任を追求する方法を解説していきます。

著しい被害を受けた場合には犯人特定や訴訟の検討も

誹謗中傷によって大きな被害を受けた場合には、発信者情報開示請求による犯人特定や民事・刑事での訴訟も可能です。本名での登録が基本のFacebookでは誹謗中傷の被害が家族や知人など親しい人にも知られることもありますし、ビジネスの場合には会社の信用が傷つくこともあるでしょう。

そうした著しい被害を受けた場合は、投稿者を特定して相手に法的な責任を問うことも検討してみてください。

発信者情報開示請求による投稿者の特定

発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法第4条による制度で、これを利用すると、相手の氏名や住所など個人情報を特定することができます。通常、犯人の特定には2回の開示請求が必要になります。

1度目はFacebook運営に対して行い、投稿者のIPアドレスやタイムスタンプを開示してもらって、相手が使っているプロバイダ(経由プロバイダ)を特定します。

2度目はプロバイダへの請求を行い、相手の氏名や住所、電話番号といった個人情報を開示してもらい、犯人を特定します。

ただ、どちらもすんなりと開示に応じてもらえるケースは少なく、その場合には、法的手続きが必要になります。Facebookへの開示では開示仮処分の申請、プロバイダへの開示では開示請求訴訟を行い、いずれも裁判所であなたの主張が認められれば開示を受けることができます。

こちらも手続きに関しては弁護士などに依頼するのが一般的になっており、かかる費用の相場は、開示仮処分・開示請求訴訟ともに着手金20万~30万円、成功報酬10万~20万円程度になっています。

事務所によっては着手金0円のところや成功報酬がかからないところもあるので、こちらも事前に料金等を調べておくといいでしょう。

法的責任の追及

犯人を特定した後は、相手に対して法的責任追及ができます。法的責任には、刑事責任(刑法上の犯罪)と民事責任(損害賠償請求)の2種類があります。法律上はそれぞれ独立したもののため、民事と刑事の両方で責任を追及することも可能です。

刑事責任

Facebook上での誹謗中傷の書き込みは、刑法における名誉毀損罪や信用毀損罪などの犯罪にあたる可能性があります。Facebookの書き込みで該当する可能性のある犯罪には主に以下のものが考えられます。

名誉毀損……具体的な事実に基づく誹謗中傷に適用される罪。3年以下の懲役または禁錮(刑務所等に収監されるが労働義務がない刑罰)もしくは50万円以下の罰金に処せられます。

侮辱罪……「バカ」「死ね」など具体性のない単なる悪口に適用される罪。拘留(30日未満の収監)または科料(1万円未満の罰金刑)に処せられます。

信用毀損罪……嘘の情報により社会的な信用を損ねた場合に適用される罪。業務に支障を来たした場合には業務妨害罪が適用されます。3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

警察に被害届や告訴状を提出することで捜査がはじまり、相手の行為が犯罪になると認められれば逮捕・起訴が行われ、刑事裁判で有罪判決を受けると懲役や罰金などの刑を受けることになります。

民事責任

民事では名誉毀損などの不法行為に対する損害賠償・慰謝料の請求が行えます。それぞれの被害に対する慰謝料相場は以下になります。

慰謝料相場
名誉毀損……10万~50万円 (こちらは個人の場合です。被害者が企業や店舗などの場合は金額が高くなる傾向にあり、50万~100万が相場になります)
侮辱罪……1~10万円
信用毀損罪、業務妨害罪……1~50万円

上記はあくまでも目安であり、細かな金額は被害の内容によって異なるため、詳しくは事前に弁護士にご相談ください。

身の危険を感じるときは警察へ相談を

Facebookは実名登録が基本のSNSですし、顔写真や居住地、勤務先などの個人情報を載せている場合も多いため、誹謗中傷の被害にもかなり悪質なケースがみられます。

たとえば、「殺してやる」「家庭をめちゃめちゃにしてやる」など自分や家族、知人に危害がおよびそうな書き込みです。こうした書き込みは、こちらに嫌がらせをしたり、からかっているだけの場合もありますが、相手が本気の可能性もありますし、簡単に見分けることはできません。

もし、こうした書き込みで身の危険を感じることがあれば、迷わず警察に相談するようにしてください。

まとめ

Facebookは実名での登録が基本で、個人情報を掲載することも多いため、誹謗中傷の被害に遭うと家族や知人、勤め先などにも拡散してしまったり、ビジネスに利用していれば、売り上げに悪影響を与える可能性があります。こうした悪い書き込みは削除しない限り、半永久的にFacebook上に残り続けることになります。

Facebookで誹謗中傷の被害に遭った場合は、削除依頼を行うとともに、運営に削除してもらえないときや犯人の特定・法的責任追及などを行う場合には、弁護士など法律の専門家に相談するようにしてください。

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