任意整理とは
任意整理とは、借金の支払条件について、債権者と債務者が任意で交渉する手続きのことをいいます。将来利息のカットや、支払を長期に分割することについて話し合い、両者が納得する内容を決めていきます。
借金問題を解決する方法としては、任意整理以外にも個人再生や自己破産等がありますが、これらは裁判所を通して解決を図る手続きです。
しかし、任意整理はあくまで任意での話し合いとなります。このため、話し合いに応じない業者に対する強制力はありません。
個人再生は借金を返済していくことが前提となる点で任意整理と共通していますが、任意整理とは異なり借金を大幅に減額することが可能です。
自己破産は、借金の支払義務を免除してもらうための手続きですので、借金を返済していくことを前提とする任意整理とは解決の仕方において違いがあります。
なぜ借金を減額できるのか
任意整理は、将来利息のカットと長期での分割支払いを中心に借金の完済を最終目的として交渉が行われます。
将来利息をカットできれば、元金のみを支払っていくことになり、利息分を減らすことができるため、支払総額という点で考えると、借金を減額することができます。
また、取引期間が長い場合(2008年より前から借り入れ)は過払い金が発生している可能性もあり、その場合には、過払い金を元金に充当して借金を減額することができます。
また、手続き自体も比較的簡易であるため、個人再生や自己破産などと比べると短期間で手続きを終えることが可能です。
このほかにも、借金の整理対象を自由に選ぶことができます。また、任意整理では、個人再生や自己破産のように官報に掲載されることはありません。
一方で、デメリットがあることにも注意しておく必要があります。
任意整理をすると、いわゆるブラックリストに載るため経済的な信用を失います。ブラックリストに載っている間は、新たに借り入れをしたりクレジットカードを作ったりすることができなくなります。
このブラックリスト入りは自己破産・個人再生でも同様に起きることで、また、任意整理をせずとも借金を滞納している場合、既にブラックリスト状態となっていることもあります。
任意整理をおこなうための条件
任意整理では、長期分割による支払方法で和解することが一般的であり、支払期間は3年~5年になることが多いです。
完済という目的があるため、以下の条件を満たしていることが必要になってきます。
継続して収入があること
収入が不安定であると、途中で支払いが難しくなるおそれもあり、任意整理が失敗に終わる可能性があります。
任意整理は、3年~5年という長期にわたる支払期間になることが多いため、安定した収入を継続的に得られることが条件となります。
返済を続ける意思があること
任意整理では、債務者の収入や支出状況などに応じて無理のない支払方法で和解を目指します。
ですが、3年~5年という支払期間は思っている以上に長期戦です。生活サイクルの変化などを考えると、完済するためには返済を続けていくという強い意思が必要になってきます。
返済を続けるという意思が弱くなってしまうと、途中で挫折してしまったり、投げ出してしまったりする可能性があり、任意整理をした意味がなくなってしまいます。
あまた法律事務所の任意整理事例
実際にあまた法律事務所に任意整理を依頼して、借金問題を解決した事例について見てみたいと思います。
◆借金額200万→150万
◆毎月返済額10万→4万
大学を卒業後、好景気だったこともあり、結婚と同時に住宅ローンを組んで家を購入したAさん。奥様にもパートをしてもらいながら子どもを育てていましたが、奨学金の返済も重なり、みるみる貯金が減る一方で借入れは増えるばかり…。
しかし、任意整理をすることで、無理のないペースで返済ができるようになりました。
任意整理にかかる費用(あまた法律事務所の場合)
あまた法律事務所に任意整理を依頼した場合にかかる費用は以下のとおりです。
着手金
「着手金」は、弁護士に依頼する際にかかる費用のことをいい、1社あたり55,000円(税込)となっています。
報酬金
報酬金は、「減額報酬」があり、借金の減額に成功した場合にかかる費用です。
1社あたり22,000円(税込)が報酬金となります。将来利息がカットできてもこの報酬金はかかりません。
過払い成功報酬
債権者から過払い金を回収した場合には、過払い金の20%+税に相当する金額が「過払い成功報酬」としてかかります。
任意整理の流れ
弊所に任意整理を依頼していただいた場合、手続きは以下のような流れで進めます。
弁護士への相談
相談者の収入や借金状況など、弁護士による聴き取りを行います。聴き取った情報を基に、相談者に合った解決策を決定します。
相談当日までに借金の状況(債権者名や借金額、取引開始時期など)をまとめていただけると、相談をスムーズに進めることができます。
委任契約の締結
弁護士に任意整理を依頼することが正式に決まると、その旨を内容とする委任契約を弁護士と締結します。
受任通知の送付
弁護士は、債務者の代理人として債権者に「受任通知」を送付します。受任通知により債権者は債務者から取立てることを停止し、弁護士との間で交渉を開始することになります。
依頼者は債権者から取立てを受けることがなくなり、和解成立後に支払いが始まるまでの間、返済を停止することになります。
取引履歴の開示
受任通知では、弁護士が依頼者の代理人に就任した旨が記載されるとともに、依頼者との取引履歴を開示するよう債権者に請求します。
これを受けて、債権者は依頼者との取引履歴を弁護士に開示します。開示されるまでには2~3週間程度かかることが一般的ですが、2~3ヶ月以上かけて開示してくる債権者もいます。
引き直し計算
弁護士が開示された取引履歴に基づいて、引き直し計算を行います。
ここでいう「引き直し計算」とは、利息制限法が定める利率に引き直して計算することをいいます。引き直し計算をすることにより、過払い金(払い過ぎた利息)が発生しているかどうかがわかるのです。
過払い金が発生していることが判明した場合は、債権者に対して過払い金を返還するよう請求します。
交渉の開始
弁護士は引き直し計算により算出した借金額を基に、和解案を作成します。
債務者の収支状況などを参考にしながら、債務者にとって無理のない支払条件になるよう和解案を作成します。
作成した和解案を債権者に提示し、弁護士が交渉を開始します。
合意書の作成
債権者との間で、支払額や支払方法などについて合意が成立すると、その内容をまとめた合意書を作成し、依頼者に確認いただいた後、双方ともに調印します。
支払いの開始
依頼者は、完済に向けて合意書に従った返済を開始します。
よくある質問
Q.任意整理のデメリットは何ですか?
A.任意整理をすると、事故情報として信用情報機関に登録されるため、新たに借金をしたりクレジットカードを作ったりすることが難しくなります。信用情報機関に登録されている期間は、借金を完済後およそ5年から10年間といわれています。
Q.任意整理をしたことが周囲にバレることはありますか?
A.基本的に周囲にバレることはありませんが、知人や会社などから借金をしている場合に、これらを任意整理の対象に含めてしまうと、当然ながら知人や会社に通知が行くため、任意整理をすることがバレてしまいます。
ただし、任意整理は、整理する対象を選ぶことができますので、バレたくない相手方を任意整理の対象から外すことが必要です。
また、家族や会社との関係では、借金に関係する書類を注意深く管理する必要があります。
任意整理を弁護士に依頼することで書類の郵送先が法律事務所になり、書類の管理を任せることができるため、バレるリスクを下げることができます。
Q.任意整理では、どの程度借金を減額することができますか?
A.任意整理では、将来利息をカットすることはできても、元金までを減額することはほぼできません。そのため、個人再生や自己破産のように大幅な減額は見込めません。
もっとも、2008年以前から取引をしている場合は、過払い金が発生している可能性があるため、借金を大幅に減額できるケースもあります。
Q.任意整理では、どれくらいの期間で返済していくことになりますか?
A.任意整理では、3年間の分割払いが原則といえますが、債務者の収支状況などを考慮して5年間やもう少し長期間の分割払いで和解することもあります。
Q.弁護士に任意整理を依頼してから、実際に支払いが開始されるまでどの程度の期間がありますか?
A.債権者によって、取引履歴の開示時期や交渉から和解に至るまでの期間に違いがあるため、バラつきはあるものの、依頼を受けてからおよそ半年後には支払いが開始されることが一般的です。
Q.任意整理をする場合、保証人に迷惑がかかりますか?
任意整理をすると保証人に請求が行くことになりますが、回避する方法はあります。
迷惑をかけないためには、任整整理の対象から保証人が付いている借金を外して、自分で支払い続ける方法が考えられます。