発信者情報開示請求に係る意見照会書はいつ届く?回答後の対応も解説

発信者情報開示請求は発信者にいつ届くかですが、数週間程度が一般的な期間です。ネット上の名誉毀損などで権利侵害をした投稿者の情報開示を求める手段の発信者情報開示請求を行うとと、プロバイダから投稿者に対し意見照会書が送られます。

”豊川弁護士”
この記事では、

    ・プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見書はいつ届くのか
    ・発信者情報開示請求に係る意見照会書の回答が届いたときの対処法

を解説します。

発信者情報開示請求はプロバイダに行う

発信者情報開示請求の意見照会書は、コンテンツプロバイダアクセス(経由)プロバイダから届く2つのケースがあります。

コンテンツプロバイダからの場合

ポータルサイトやニュースサイト、匿名掲示板やSNS等インターネット上で様々なコンテンツを提供しているプロバイダを、コンテンツプロバイダといいます。

誹謗中傷などインターネットサイト上で権利侵害が起きると、被害者は最初にコンテンツプロバイダの運営者に発信者の情報開示を求めます。

意見書が投稿者にいつ届くかですが、任意請求であればコンテンツプロバイダが発信者情報開示請求を受けてから数週間です。仮処分であれば、仮処分申し立てから1週間~2週間程度が目安です。

しかし、通常、コンテンツプロバイダの管理者や事業者は投稿者の名前や住所、メールアドレスといった情報は所有していません。被害者は各パソコンやスマホに割り当てられているIPアドレスの開示を求め、それをもとに経由プロバイダを特定します。そして、アクセス(経由)プロバイダへの発信者情報開示請求を行う流れになります。

そのため、コンテンツプロバイダから意見照会書が届いたときは、請求者が経由プロバイダへ請求する前段階の時期であることが多いと考えられます。

コンテンツプロバイダの例
X(旧Twitter)やインスタグラム、LINEなどのSNE、5チャンネルなどの掲示板、ブログなどインターネット上のコンテンツを提供する事業者

アクセス(経由)プロバイダからの場合

コンテンツプロバイダがIPアドレスを開示すると、発信者情報開示請求者は加害者が契約しているインターネットプロバイダ等のアクセス(経由)プロバイダに対し開示請求を行います。

実際にインターネット回線を繋いでいる事業者を経由プロバイダと言います。最近はスマートフォンからのアクセスが増えたため、携帯会社が経由プロバイダになるケースが増えている現状があります。

経由プロバイダは投稿者の氏名や住所といった個人情報を持っています。経由プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書が届いた段階は、手続きがより進んだ状態です。

意見書が加害者にいつ届くかですが、申立てがあってから1週間~4週間程度が多くなっています。

経由プロバイダの例
ドコモ、au、ソフトバンクなどの携帯キャリア、OCNやニフティなどのインターネット接続サービスを提供している事業者
 発信者情報開示請求に係る意見照会書が投稿者に届くまでは数週間程度ですが、実際に情報が開示されるまでは9か月~1年程ともっと長い期間を要します。また、届く期間はプロバイダや状況によっても異なり、あくまで目安の期間になります。

改正プロバイダ責任制限法が施行

発信者情報開示請求をもっと簡単に行えるようにと、改正プロバイダ責任制限法が2022年10月1日から施行されました。

発信者情報開示命令事件の手続きにより、2段階の開示請求をひとつにまとめてできるようになったのがポイントです。投稿者の情報が開示されるまで、4か月~6か月程度と期間の短縮を実現しています。

ただ、これまでの2段階方式の開示請求方法がなくなったわけではなく、改正前と改正後の2通りから選べるようになっています。どちらが自身によいか迷うときは、インターネット関連のトラブルに強い弁護士に相談し決めるがおすすめです。

発信者情報開示請求の回答が届いたときの対応

発信者情報開示請求に係る意見照会書には回答書が同封されており、投稿者がどのように回答するかにより対応が異なってきます。

回答があった場合

発信者情報開示請求に係る意見照会書には情報開示を承諾するかどうかを回答する回答書が同封されており、投稿者は受け取ってから14日以内に返答する必要があります。

「同意する」を選べば個人情報が請求者に開示がなされるため、情報を晒したくなければ「同意しない」を選ぶことになります。自身に誰かを侮辱した覚えはない、誹謗や中傷の事実はないといったときは同意しないを選択すると思われます。

回答書を受け取った側は開示を拒む理由や自分の正当性を示す根拠などの内容を記載すれば、同意に応じなくても構いません。投稿者関する開示請求の条件はある程度厳格に定められているため、同意しなければ基本的に情報が開示されるリスクは少ないでしょう。

ただ、開示請求をした側は投稿の削除や謝罪を望んでいるのはもちろんですが、損害賠償の請求など視野に入れ法的処置を検討している状況がほとんどと思われます。もし拒否されても、プロバイダに開示を求める訴訟を起こせます。裁判所への手続きで請求者側が勝訴すれば、ほぼ例外なく情報は開示されます。

”女性
同意を拒否する旨の回答が提出されても、最終的に情報開示は可能です。

回答を拒否された場合

発信者情報開示請求に係る意見照会書は、法務的に回答の義務はなく拒否することはできます。いきなり書面が届きどう対応すればいいのかわからず、無視したり放置されてしまう事例はあり得ます。

しかし、回答がなければ期限の14日を過ぎた時点で投稿者の情報が開示される可能性が高いです。

”豊川弁護士”
もし情報の開示が確認できなく不安な時は、発信者情報開示請求が発信者に届いているか弁護士に問い合わせてもらいましょう。

回答があれば弁護士に相談しよう

発信者情報開示請求に係る意見照会書の回答が届いたら、訴訟の段階に進むことが多いと思われます。法律の知識がない個人で全て対応するのは大変ですから、弁護士に相談して解決するのがおすすめです。

「同意しない」との回答を認めたプロバイダが情報開示の必要なしと判断すると、発信者の情報を得ることはできません。情報開示するには、プロバイダに対し法的措置を取り開示を求めます。

「同意する」の回答があれば、民事や刑事事件として責任を追及する法的措置に入ります。民事では慰謝料を含む損害賠償請求を行い、刑事では刑事告訴を行います。どちらも裁判になれば、法律に詳しい弁護士のサポートがないとスムーズな手続きは難しいでしょう。

また、訴訟を提起する前に、相手が示談を持ちかけトラブルを解消したいとする可能性があります。示談交渉も個人が対応するのは簡単ではなく、弁護士に任せるのが安心です。示談金にしても、弁護士なら正当な金額を受け取れるようにしてくれます。

”豊川弁護士”
発信者情報開示請求の手続きは、ネットでの誹謗中傷問題に詳しい弁護士にアドバイスを受けるのが良いでしょう。


参考:プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律(概要)

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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まとめ

発信者情報開示請求はコンテンツプロバイダとアクセス(経由)プロバイダを通して行われます。

開示請求をしてから数週間程度で意見照会書が発信者に届くと思われますが、数か月かかるケースもあります。

いつ届くのか、届いたのか確認したいときは、弁護士に相談し対応してもらってください。法律相談を無料で行っている事務所なら、気軽に相談できます。

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