「追突されただけなのに、なぜ自分にも過失があると言われるの?」
「玉突き事故で真ん中だった場合、賠償金はどうなるの?」
玉突き事故では、追突した側に一方的な注意義務違反が認められるため、後方から追突された車両は原則として過失なし(被害者)として扱われます。
ただし複数台が関与するぶん、保険会社から「あなたにも過失がある」と説明される場面も少なくありません。追突された事実だけで過失が決まるわけではなく、位置関係や事故の経緯によって結論は大きく変わります。
- 車両の位置(先頭・中間・最後尾)によって過失割合の原則が異なる
- 急ブレーキや車間距離不保持など、前方車両に過失が生じる例外パターンがある
- 保険会社の提示が原則と異なる場合、交渉・異議申し立てができる
玉突き事故の過失割合に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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この記事の目次
玉突き事故の過失割合:基本的な考え方と原則
追突されただけなのに「あなたにも過失がある」と言われ、納得できずにいる方は少なくありません。その感覚は、法的な原則に照らしても正しいケースが大半といえるでしょう。
玉突き事故には、裁判例や保険実務で確立された基本原則があります。自分が先頭・中間・最後尾のどの位置にいたかで、過失割合の考え方は大きく変わります。
- 玉突き事故がどのような事故を指すのか
- なぜ最後尾の車両が原則として全責任を負うのか
- 押し出された中間車両や先頭車両の過失はどう判断されるのか
ここでは、玉突き事故の定義から、最後尾が全責任を負う理由、押し出された車両の扱いまで順に解説します。
玉突き事故とは何か
最後尾の車が前の車に衝突し、その衝撃で前の車がさらに前の車へ追突する形で被害が連鎖するのが特徴です。2台の追突事故と違い、玉突き事故では「加害者でもあり被害者でもある」立場の車両が生まれます。
この二面性が、過失割合の判断を複雑にする最大の要因。中間の車の運転者は、自らの意思で前の車に追突したわけではなく、物理的に押し出された結果として衝突しています。
この「意図しない衝突」をどう評価するかが、玉突き事故の過失割合を考えるうえで重要となります。
最後尾の車が原則100%の責任を負う理由
この原則の背景にあるのが、道路交通法が定める「前方注意義務」と「車間距離保持義務」です。前の車が急停止しても安全に停まれる車間距離を保つことは、すべてのドライバーに課された法的義務。
最後尾の車がこの義務を怠ったことが、連鎖衝突全体の原因と評価されます。
- 日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準(通称「青本」=損害額の算定基準をまとめた実務書)」
- 損害保険料率算出機構が整理する過失割合認定基準

押し出された車両の責任はどう考えるか
物理的に押し出された衝突は、運転者の意思や注意義務の違反ではなく、最後尾車両の衝突による不可抗力の結果と評価されるためです。一方で、次のような状況では押し出された車両にも一定の過失が認められることがあります。
- 車間距離が極端に短く、押し出された際の衝突力が過大になった場合
- 急ブレーキや不必要な急停車など、後続車の追突を誘発する運転行為があった場合
- 整備不良(ブレーキの故障など)が衝突の被害を拡大させた場合
これらはあくまで例外であり、追突されただけで自動的に過失が生じるわけではありません。保険会社から過失を主張されたときは、根拠となる具体的な事情を必ず確認してください。
車両の位置別・台数別の過失割合パターン
玉突き事故では、車両の位置によって過失割合の考え方が大きく異なります。自分の車がどの位置にあったかで、請求できる相手も請求される内容も変わってきます。
- 先頭車両:原則として過失ゼロ(被害者の立場)
- 中間車両:「追突された被害者」と「前車への追突加害者」の二面性を持つ
- 最後尾車両:追突の起点として最も重い過失を負う
- 4台以上:基本の考え方は同じだが、中間車両の責任分担が複雑になる
ここでは3台の基本パターンを軸に、4台以上のケースまで順を追って解説します。
先頭車両(被追突側)の過失割合
後方から追突を受けた被害者であり、自ら事故を引き起こした要因がない限り、損害賠償責任は発生しません。ただし、この「原則ゼロ」が適用されるのは、先頭車両が適切な位置に停車・走行していた場合に限られます。
急ブレーキや車線変更で後続車が回避困難な状況をつくった場合は、別の判断になります(詳しくは例外的に前方車両に過失が認められるケースで解説します)。
実務上、先頭車両の損害は最後尾車両の保険会社が補償するのが一般的。ただし複数の保険会社が関与すると、どの会社がどの範囲を負担するかの調整に時間がかかることもあります。

中間車両(真ん中)の過失割合
後方から追突されている点では被害者ですが、その衝撃で前の車に追突している点では加害者でもあるためです。「結局いくら払って、いくら受け取れるのか」を整理すると、中間車両は先頭車両へ自分の過失分を賠償し、自分が受けた損害は最後尾車両へ請求する形になります。
- 前の車(先頭)に対して:加害者として一定の過失を負う
- 後ろの車(最後尾)に対して:被害者として損害を請求できる
3台の玉突き事故における中間車両の過失割合は、おおむね10〜20%の範囲とされるケースが多く見られます。ただし車間距離の取り方・速度・道路状況によって変動するため、この数値はあくまで参考です。
「自分は追突されただけなのに、なぜ過失があるのか」と感じる方も多いはず。前車への追突という結果が発生している以上、車間距離の不保持や速度超過などの要因が問われるためです。

最後尾車両の過失割合
玉突き事故の起点となった追突を行った側だからです。最後尾車両の保険会社は、先頭車両・中間車両の両方に対して賠償責任を負うのが原則。
ただし中間車両に一定の過失が認められた場合は、その分だけ最後尾車両の負担が軽減されます。
- 中間車両の車間距離不保持
- 急ブレーキによる先頭車両の過失
被害者側(先頭・中間)は、こうした反論に備えてドライブレコーダーの映像や現場写真といった具体的な証拠を準備しておきましょう。

4台以上に増えた場合の考え方
変わるのは、中間車両の数が増えることで責任の分担が複雑になる点です。
- 先頭車両:原則として過失ゼロ
- 最後尾車両:起点として最も重い過失を負う
- 中間車両(複数):それぞれが「前車への追突」という事実を持ち、個別に過失割合が算定される
たとえば4台の玉突き事故では、2台の中間車両がそれぞれ前の車との関係で過失を評価されます。衝突の衝撃や車間距離の状況が異なれば、同じ中間車両でも過失割合に差が出ます。
台数が増えるほど保険会社間の交渉も複雑になります。提示を受けた直後はその場で合意や署名をせず、「確認のための時間をいただきたい」と伝えて回答を保留しましょう。
例外的に前方車両に過失が認められるケース
玉突き事故では、最後尾の車両が前方車両に追突した場合、その責任は最後尾が負うのが原則です。前方で停車していた車両や、後ろから押し出されて前方車両に接触した中間車両には、原則として過失は生じません。
とはいえ、一定の条件がそろうと前方車両にも過失が認められることがあります。保険会社から過失を主張されたときは、その理由が下のどれに該当するかを把握することが交渉の第一歩。
- 急ブレーキや不必要な停車など、後続車が予見できない挙動があった場合
- 高速道路や凍結路面など、特殊な道路環境での事故
- 車間距離不足が事故の一因と認定された場合
- 違法な駐停車中に追突を受けた場合
ここでは、例外が生じる4つのパターンと、それぞれの判断ポイントを解説します。
急ブレーキや不必要な停車があった場合
ただし「急ブレーキ」と認定されるには条件があり、単に強めのブレーキをかけただけでは足りません。後続車が通常の注意を払っていても回避できなかったほどの、急激な減速である必要があります。
- 前方に障害物がないにもかかわらず突然急停止した
- 道路上で駐車に近い形で長時間停止していた
- 後続車に対して何の合図もなく急減速した
一方、歩行者の飛び出しや信号の変化に対応したブレーキは「正当な急ブレーキ」とみなされ、前方車両の過失にはなりません。
急ブレーキを理由に過失を主張された場合は、そのブレーキに正当な理由があったか、ドライブレコーダーや目撃者の証言など客観的な証拠で確認できるかを確かめてください。
高速道路や凍結路面での事故
速度が高く停止距離が長いぶん、前方車両の行動が後続車に与える影響が大きくなるためです。高速道路上でとくに問題になりやすいのが、故障や燃料切れによる停車。
停止表示板や発炎筒の設置は道路交通法上の義務であり、これを怠ると前方車両側の過失が大きく認定されることがあります。
凍結路面では、路面状況に応じた速度調整と車間距離の確保が双方に求められる点にも注意しましょう。前方車両のスピンや急停止であっても、原因が過度なスピードや急ハンドルであれば、前方車両にも過失が加算されます。
- 高速道路上での停車:停止表示の有無が過失判断の鍵
- 凍結路面での急停止:速度や操作ミスが過失の根拠になることがある
- いずれにも共通:「後続車が予見・回避できたか」が判断の中心軸
こうした特殊環境での事故を一般的な追突事故と同じ基準で考えると、誤った判断につながります。
保険会社から過失を主張された場合は、停車の状況や警告措置の有無について具体的な根拠を確認してください。

車間距離不足が認定されるケース
たとえばA→B→Cという3台の玉突き事故で、BがAに追突しつつCにも追突された場合、BはCに対しては被害者、Aに対しては加害者という立場になります。ここでBがAとの車間距離を十分に保っていなかったと判断されると、Bの過失割合は増えます。
一方、Bが完全に停車していたのにCに追突されてAへ玉突きした場合、BのAへの追突についてはCの責任が問われる構造。中間車であることだけを理由に過失が認定されるわけではありません。
- 渋滞中に前方車両への接近が過度だったと判断された場合
- ドライブレコーダーの映像で車間距離が明確に短いと確認できる場合
- 追突の衝撃が軽微で、前方車両への追突がなければ玉突きに至らなかったと認定される場合

違法駐停車中に追突された場合
道路上に違法に駐停車していた車両が追突された場合、追突した側の過失が大きいことは変わりませんが、駐停車していた側にも一定の過失が認められます。
道路交通法上、交差点付近・バス停・横断歩道上など駐停車が禁止されている場所での停車は明確な違反。交通事故の過失割合に関する実務的な指針でも、違法駐停車の有無は重要な判断要素として位置付けられています。
- 駐停車禁止場所への停車(標識・法律上の禁止区域)
- ハザードランプや停止表示板など、後続車への警告がなかった
- 夜間や視界不良時に無灯火で停車していた

- ①自車が完全停車していたか
- ②押し出された経緯があるか
- ③相手の違反行為が記録されているか
例外パターンを理解したところで、次は保険会社の提示に納得できないときの動き方を確認します。
保険会社の提示に納得できないときの対処法
保険会社から提示された過失割合に「おかしい」と感じたら、まずその根拠を確認してください。玉突き事故では、中間車両が前方車両に接触してしまった事実が過失として評価されることがあります。
ただし後方車の追突が直接の原因であれば、過失割合の修正を求める余地は十分にあります。感情的な反論ではなく、事実と根拠を整理したうえで異議を申し立てることが、交渉で自分を守る基本姿勢です。
- 保険会社の提示はあくまで交渉の出発点であり、変更できる余地がある
- ドライブレコーダーや目撃証言など、証拠の活用が交渉の鍵になる
- 複数の保険会社から連絡が来た場合は、対応の順序と窓口の整理が重要
- 示談書にサインする前に確認すべき項目がある
提示内容は示談が成立するまで確定しません。納得のいかないまま署名すると原則として変更できないため、署名前の段階での行動が重要になります。
過失割合は交渉で変わることがある
停車中に追突された場合や、前方車両の急ブレーキに正当な理由がある場合など、個別の事情が認められるケースでは修正の余地が生じやすいとされています。保険会社が提示する過失割合は、「別冊判例タイムズ」などの実務書にもとづく基準値に沿っていることが多いもの。
ただし事故には個別の事情があり、基準値をそのまま当てはめることが適切とは限りません。異議を申し立てる際は、「なぜその割合が妥当でないか」を具体的に示すことが効果的です。
- 事故の状況(停車中だったか、どのような経緯で接触したか)
- 手元にある証拠(ドライブレコーダー映像・目撃証言など)
- 類似する判例や基準
- 特約に加入している:弁護士に交渉の対応を委任する方法が選択肢になる
- 特約がない:初回無料相談を設けている事務所が多く、異議申し立てが有効かを費用をかけずに確認できる

ドライブレコーダーや目撃証言の活用
- ドライブレコーダーの映像:事故の状況を客観的に証明できる最も有力な証拠のひとつ
- 目撃者の証言:映像がない場合の補完材料として機能する
- 警察の実況見分調書:過失割合の根拠として参照できる
ドライブレコーダーの映像がある場合は、まず自分でその内容を確認してください。追突された瞬間の状況、車間距離、ブレーキのタイミングが記録されていれば、保険会社への提示資料として活用できます。
映像の保存期間は機種によって異なるため、事故後はできるだけ早く別メディアへ保存しておきましょう。SDカードを本体から取り出してパソコンにコピーしておく方法が一般的です。
目撃証言については、事故直後に周囲にいた人の連絡先を控えておくのが理想的。時間が経つと記憶が薄れるため、早い段階で書面化しておくと後の交渉で活用しやすくなります。

複数の保険会社から連絡が来た場合の対応
玉突き事故では複数台が関与するため、複数の保険会社から同時に連絡が来ることがあります。とくに中間車両の場合は、前方・後方それぞれの保険会社から連絡が入りやすくなります。
- 各保険会社は自社の被保険者の利益を守る立場で交渉してくる
- 窓口を整理しないまま対応を続けると、発言の不一致が生じるリスクがある
- 自分が加入する保険会社に一元的な対応を依頼することが基本
各社が異なる主張をしてくることもあるため、やり取りの内容は必ず記録に残してください。自分で直接複数社と交渉すると、言葉の取り方しだいで不利な発言として扱われるリスクがあります。
対人賠償保険に未加入の場合や、等級への影響を避けたいために自分の保険を使いたくない場合など、自分の保険会社が交渉を代行できないケースもあるでしょう。そうした状況では、弁護士への相談を通じて対応方針を整理する方法が有効です。

示談前に確認しておくべきこと
- 提示された過失割合の根拠が明示されているか
- 後遺症の可能性がある場合、症状固定の診断が出ているか
- 物損と人身の示談が分けて行われているか
身体的な損害がある場合は、治療が完了して症状が固定してから人身部分の示談を行うのが基本です。「症状固定」とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めないと医師が判断した状態のこと。
症状固定の前に人身示談を済ませてしまうと、後から後遺症が判明しても追加請求が難しくなります。過失割合の根拠についても、「どの基準に基づいているか」を担当者に確認しておきましょう。

保険会社への対処法が整理できたところで、次はどのタイミングで弁護士に相談すべきかを見ていきます。
弁護士への相談を検討するタイミング
保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合、弁護士への相談が有効な選択肢になります。提示された数字はあくまで交渉の出発点であり、絶対的なものではありません。
- 弁護士が介入することで交渉の構図が変わり、過失割合の修正や賠償額の増額につながるケースがある
- 相談自体は無料で受け付けている事務所が多く、費用負担なく自分のケースを確認できる
- 依頼が確定するわけではなく、状況を整理するだけでも判断の精度が上がる
玉突き事故では、中間車の過失割合や後続車の責任範囲など判断が難しい論点が多く、専門家の視点が役立つ場面が少なくありません。ここでは、弁護士相談を検討すべき具体的な状況と、依頼によって何が変わるかを整理します。
弁護士相談が有効なケースの目安
- 追突された側(先頭車・中間車)なのに、一定の過失割合を求められている
- 中間車として「前後両方に責任がある」と説明されたが、根拠が不明確
- 保険会社の担当者との交渉が進まず、提示内容が変わらない
- 相手方の保険会社から連絡が来ているが、自分の保険会社が対応してくれない
自分の保険会社は、原則として自分の過失部分についてしか交渉に動きません。相手方との交渉を有利に進めるには、自分で動く必要がある局面があります。
具体的には、相手が「被害者にも前方不注意があった」「車間距離が不十分だった」と主張してきた場面。こうした主張の妥当性を判断するには法的な知識が必要であり、反論の根拠を整理するうえで弁護士の関与が有効といえるでしょう。
治療費や修理費が高額になるケースでは、過失割合が数ポイント変わるだけで賠償金額が大きく動きます。提示を受けた直後の段階で相談することが、解決の糸口になることが多いとされています。

弁護士に依頼した場合のメリット
保険会社の担当者は日常的に多数の案件を処理しており、交渉に慣れている場合が多いです。被害者が一人で交渉に臨むと、情報量や経験の差から不利な条件を受け入れてしまうケースもあります。
- 過失割合の根拠を法的な観点から精査し、不当な割合を修正できる可能性がある
- 相手方保険会社との交渉を代理で行うため、精神的な負担が軽減される
- 慰謝料の算定基準が「弁護士基準(裁判基準)」に切り替わり、増額になるケースがある
- 交渉が決裂した場合の訴訟対応まで一貫して依頼できる
たとえば中間車として過失割合を求められていたものの、弁護士が「前方車への追突は後続車の衝突による押し出し」と整理し直し、過失割合が大幅に修正された事例もあります。
費用面では、弁護士費用特約(弁護士費用保険)を自動車保険に付帯していれば費用の多くを保険でまかなえるため、まずは自分の保険証券で特約の有無を確認してください。
- 各都道府県の弁護士会が設ける法律相談センター
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 交通事故を専門とする弁護士事務所の無料相談

過失割合が確定した後は、違反点数や保険への影響という別の問題が生じます。次の章で、その具体的な内容を確認しましょう。
玉突き事故の過失割合が違反点数・保険に与える影響
過失割合は、示談金の計算だけでなく、違反点数の加算や保険料の変動にも直結します。玉突き事故では最後尾の車が追突の責任を負うのが原則であり、追突された先頭車や前方車両には基本的に過失が生じません。
中間車は後続車に追突された点では被害者ですが、前方車両へ押し出して追突した点では加害者側にもなります。そのため、前方への過失が目安として10〜20%程度認定されるケースがあります。
- 過失割合が0であれば、原則として違反点数は加算されない
- 被害者側でも保険を使うと、等級が下がり翌年の保険料が上がる場合がある
- 自分の過失が小さくても、保険会社の判断しだいで過失割合を高く算定される場合がある
ここでは、過失割合が違反点数と保険にそれぞれどう影響するかを整理していきましょう。
過失割合と違反点数の関係
交通事故で違反点数が加算されるのは、警察が「その事故の原因を作った側」と判断した場合です。玉突き事故で最後尾の車が追突したなら、追突した側のドライバーに点数が加算されるのが原則。
先頭車や中間車は、車間距離不保持などの過失が認定されない限り、点数加算の対象となる可能性は低いでしょう。ただし「加算されない」と断言できるわけではなく、事故の具体的な状況によって警察の判断は異なります。
中間車のように「被害者であり加害者でもある」立場では、前方車への過失が認定されれば点数加算の対象になることもあります。自分の立場を正確に把握したうえで、警察や保険会社とのやり取りを進めましょう。

被害者側でも保険を使う場合の注意点
過失割合が低い、あるいは0に近い被害者であっても、保険を使う判断には慎重さが求められます。保険を使うと等級が下がり、翌年以降の保険料が上がる可能性があるためです。
自動車保険の等級制度では、被害者側であっても自分の車両保険を使えば等級ダウンの対象になるのが一般的。1〜3等級程度のダウンで翌年の保険料が数割程度増加するケースもあるとされています。
- 相手方の保険から十分な補償が得られる場合は、自分の保険を使わずに済む可能性がある
- 弁護士費用特約を使う場合は、等級への影響がないケースが多い(保険会社によって異なる)
- 人身傷害保険は等級への影響が生じないことが多い一方、車両保険は等級ダウンの対象となるのが一般的
保険会社から「過失割合はこちらにも一定ある」と言われた場合、その割合の根拠を確認せずに受け入れると、不必要に等級が下がるリスクがあります。
- 保険会社から提示された過失割合の根拠が説明されない、または納得できない
- 自分は追突されただけなのに過失があると言われている
- 中間車の立場で、前後両方の相手方と交渉が必要になっている

玉突き事故の過失割合に関するよくある質問
玉突き事故では被害者と加害者の立場が同時に重なるため、自分の責任範囲をどう判断すればよいか迷う方が少なくありません。保険会社とのやり取りや、複数の当事者が絡む状況への対処にも不安を感じやすいものです。
ここでは、玉突き事故の過失割合をめぐって多くの方が抱く疑問に、順を追ってお答えします。
後ろから押し出されて前の車に追突した場合、自分の責任はどうなりますか?
後ろから押し出されて前の車に追突した場合、原則として自分に賠償責任は生じません。後続車に追突されて前方車へ押し出された衝突は、不可抗力とみなされるのが基本的な考え方です。
この場合、前方車への賠償責任を負うのは、直接の原因を作った後続車。
ただし、自分の急ブレーキが後続車の追突を招いた場合など、自らの行為が事故の一因となっているケースでは例外的に過失が認められることもあります。

玉突き事故で真ん中の車は被害者と加害者のどちらになりますか?
玉突き事故の中間車両は、後続車に対しては被害者、前方車に対しては加害者という二重の立場になる可能性があります。前方の車両を押し出してしまった場合に、加害者として責任を問われることがあるためです。
ただし自ら車間距離を詰めていたなどの事情がなければ、前方車両への賠償責任は原則として生じません。
実際の過失割合は、追突の状況や各車両の動き、停車・走行の別など個別の事情によって判断されます。

停車中に追突されて前の車に当たった場合も過失がありますか?
原則として、停車中に追突されて前の車に当たった場合、停車していた車両に過失は認められません。停車中の車両は衝突を回避する手段がないためです。
玉突き事故では、最後尾から追突した車両が100%の責任を負うのが基本的な考え方。
ただし、正当な理由のない急ブレーキや違法な駐停車が原因となっていた場合は、停車していた側にも一定の過失が認定されることがあります。

玉突き事故で保険会社に過失割合を認めてしまうとどうなりますか?
過失割合は一度認めると後から覆すことが難しくなるため、慎重な対応が求められます。提示に同意すると、その内容が示談の前提として扱われ、修正が認められにくくなるためです。
玉突き事故では複数の当事者が絡むぶん算定が複雑になりやすく、提示内容が必ずしも適切とは限りません。その場で即答せず、内容を確認する時間を取ってください。

玉突き事故で複数の保険会社から連絡が来た場合、どう対応すればいいですか?
まず自分が加入している保険会社の担当者に連絡し、状況を一元的に整理してもらうことが基本的な対応です。玉突き事故では複数の保険会社が同時に介入するため、個別に連絡が来て混乱しやすくなります。
どの保険会社からどのような内容の連絡があったかを伝え、対応の窓口を整理してもらいましょう。自分一人で並行して交渉を進めると、過失割合の認識がずれたまま話が進むリスクがあります。

高速道路での玉突き事故は一般道と過失割合が変わりますか?
高速道路での玉突き事故は、車間距離不保持が重く評価されるため、一般道とは判断基準が異なる場合があります。走行速度が高く、車間距離の確保が法的にも強く求められるためです。
そのため後続車として関与した場合、車間距離不保持を根拠に過失割合が高めに評価されるケースも少なくありません。一方、凍結や濃霧などの悪天候時には、前方車両の急停車・低速走行という事情も考慮され、前方車両側にも一定の過失が認定されることがあります。

玉突き事故の過失割合まとめ
玉突き事故では、後方から追突された車両は原則として過失なしと扱われます。連鎖衝突の起点となった最後尾車両が責任を負い、押し出された中間車両や先頭車両には原則として過失が生じません。ただし急ブレーキ・車間距離不保持・違法駐停車といった事情があれば、前方車両にも過失が認定されることがあります。
- 先頭車両は原則として過失ゼロ、最後尾車両は起点として最も重い過失を負う
- 中間車両は被害者と加害者の二面性を持ち、過失割合の目安は10〜20%前後
- 例外は「急ブレーキ・特殊環境・車間距離不足・違法駐停車」の4パターン
- 保険会社の提示は交渉の出発点であり、示談が成立するまで確定しない
保険会社から提示された過失割合に疑問があるなら、示談書に署名する前に必ずその根拠を確認してください。判断に迷ったときは、弁護士への無料相談で自分のケースを客観的に評価してもらうことをおすすめします。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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