個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)なら自宅は残せる?

弁護士相談

個人再生を検討しているが、自宅を失うようなことになると生活すらままならなくなるなどと心配になり、手続きに踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、個人再生が住宅ローンに及ぼす影響や住宅を残す方法について解説します。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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1 個人再生をすると住宅ローンはどうなる?

個人再生は、任意整理とは異なり、借金を整理する対象(債権者)を選ぶことができないため、借金のすべてが手続きの対象となります。たとえば、住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローンも個人再生の手続きの対象となります。

そのため、個人再生をすると、住宅を手放すことになるのでは?と心配になる方もいらっしゃると思います。
このような事態になるのを避けて、住宅を手放さずに住宅ローン以外の借金についてのみ整理することが可能となるのが、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を定める個人再生手続き」です。

個人再生において、住宅ローン自体は減額の対象とはなりませんが、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用し、住宅ローンの支払いを遅滞している場合には、期限の利益を復活したり(期限の利益回復型)、再生計画に住宅ローンの支払いの一部繰り延べ(リスケジュール型)を内容とする条項を定めることが可能です。

このように、個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することにより、住宅を残したまま、借金を整理することが可能なのです。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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2 個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは?

個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することにより、住宅を手放すことなく借金を整理することが可能です。この点は、住宅を含む一定の財産を処分されることになる自己破産とは大きく異なります。

ここでいう「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」とは、住宅ローンを従来通り支払い続けることにより住宅を手元に残し、それ以外の借金を圧縮してもらうための条項のことをいいます。

この場合に、圧縮の対象となる借金は、住宅ローン以外の借金についてのみであるため、住宅ローンの残高や月々の住宅ローンの支払額は、今までどおりである点に注意が必要です。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用した再生計画が認可されると、住宅ローン以外の借金については毎月の支払額が減額されるため、結果として、住宅ローンの支払いが楽になります。

このように、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)は、債務者にとって大きなメリットとなるため、利用条件は以下のように厳しいものになっています。

(1)住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が利用できる条件

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用するためには、主に、以下の3つの条件を満たしていることが必要です。

①個人再生の要件を満たしている
個人再生は、言葉のとおり、債務者が「個人」でなければ、手続きを利用することはできません。
また、およそ3年~5年(原則3年)にかけて借金を返済していくことになるため、債務者において、継続的に安定した収入が得られる見込みがあることが条件となっています。
さらには、住宅ローンを除く借金額が5,000万円を超えていないことが必要です。

②「住宅」のためのローンである
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用するためには、その対象が「住宅」のためのローン(住宅資金貸付債権)であることが必要です。
ここでいう「住宅」とは、以下の3つの条件を満たしていなければなりません。

  • 債務者が所有している
  • 債務者が居住している
  • 建物の床面積について、2分の1以上の部分が債務者の居住の用に供されている

たとえば、そもそもは親が所有していた住宅を相続により債務者が取得していた場合は、個人再生を申立てる時点で、債務者が所有している住宅といえるため、住宅ローンを引き継いでいる場合には、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用できます。

③住宅に住宅ローンによる担保以外の担保権がに設定されてない
住宅ローンを組むと、銀行等の金融機関は、その支払いを担保するために、住宅に抵当権(担保権)を設定することが一般的です。

もっとも、銀行等の金融機関が住宅ローンの支払いを担保するために設定する抵当権とは別に、他の債権を担保することを目的とした担保権が設定されていることがあります。

このように、住宅ローン以外の債権を担保するために、住宅に担保権が設定されている場合、原則として、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することはできません。

このような場合に住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用しても、住宅ローン以外の債権のために他の担保権が実行されてしまうと、結果として、債務者は、自宅を失うことになるため、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する意味がなくなってしまいます。

 住宅ローン以外の債権を担保するために、住宅に担保権が設定されている場合、原則として、住宅資金特別条項は使えません。

(2)保証会社が代位弁済をしている場合

住宅ローンを組む際には、保証会社をつけられることが一般的です。住宅ローンの滞納が一定期間続くと、銀行等の金融機関は残りの住宅ローンを一括で支払うように債務者に対し請求できるようになります。

それでもなお、債務者が支払いをしないと、銀行等の金融機関は保証会社に対し、残りの住宅ローンを一括で支払うよう請求し、保証会社が残りの住宅ローンを債務者に代わって支払うことになります(「代位弁済」といいます。)。

ここで注意しなければならないのが、以上のように、保証会社が代位弁済をしてしまうと、原則として、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することができなくなるということです。

もっとも、このような場合であっても、保証会社が代位弁済をした日から6ヶ月以内に個人再生を申立てれば、例外的に住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することができます。

さらに、住宅について競売手続が進んでいるような場合でも、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用して個人再生を申立てることが可能です。

具体的には、税金の滞納等がある場合を除いては、裁判所が、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を定めた再生計画について認可の見込みがあると認めた場合には、競売手続の中止命令を発してくれます。

(3)住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の注意点

住宅資金特別条項を利用する場合に、住宅がアンダーローンになっている場合には注意が必要です。

ここでいう「アンダーローン」とは、住宅ローンの残債と住宅の評価額(時価)を比較した場合に、後者が上回っている状態のことをいいます。

例えば、住宅ローンの残債が2000万円であるのに対し、住宅の評価額(時価)が3000万円である場合、差額の1000万円は資産としてみなされるため、最低でも1000万円以上を返済していかなければならなくなります(清算価値保証の原則)。

これに対し、1000万円の負債を抱えている人が個人再生をする場合において、住宅がアンダーローンの状態ではない場合、最低弁済額は5分の1にあたる200万円で済むことになります。

このように、住宅がアンダーローンの状態になっていると、場合によっては、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用するメリットがなくなってしまいます。

とはいえ、住宅を手放すことは、債務者にとってデメリットといえることが多いため、このような場合には、個人再生によるのではなく、住宅を残しつつ借金を整理できる任意整理を検討するほかないでしょう。

3 住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が利用できない場合に家を残す方法

住宅資金特別条項を利用するには、そのための条件を満たしていることに加え、先に見た住宅のアンダーローンのような問題点をクリアしていることが必要です。
それでは、これらの条件をクリアしていない場合には、家を手放すほかないのでしょうか。

このような場合でも、以下のように、家を残す方法は残されています。

(1)個人再生から任意整理に切り替える

先に見たように、債務整理の方針を個人再生から任意整理に切り替える方法が考えられます。

とはいえ、任意整理は、個人再生のように借金額を大幅に減額できる可能性は低く、減額できるのは、せいぜい将来利息にとどまります。

そのため、任意整理への切り替えを検討する際には、自分が負担する借金の総額と自分の収支とを突き合わせて、長期にわたり支払っていくことが可能かという観点から、慎重に検討する必要があります。

(2)リースバックを利用する

「リースバック」とは、不動産会社などに住宅を売却し、オーナーになった不動産会社などに対してリース料(家賃)を支払うことにより、その住宅に引き続き住むことを可能にする方法のことをいいます。

住宅を手放すことにはなるものの、同じ住宅に住み続けられるという点で、メリットが大きい方法であるといえます。

もっとも、リースバックを利用するためには、一定の条件をクリアしていることが必要です。そのなかでも、特に重要な条件が、住宅がオーバーローンの状態になっていないということです。たとえば、住宅ローンの残債が2000万円であるのに対し、評価額(時価)が1000万円だとすると、抵当権を解除することができないため、リースバックを利用することはできません。

そのため、先に見たように、住宅がアンダーローンの状態にあって、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用するメリットに乏しいような場合に適している方法であるといえます。

また、リースバックには、同じ住宅に住み続けられるという大きなメリットがある反面、以下のように、見過ごすことのできないデメリットもあります。

一つ目として、リースバックにおけるリース料(賃料)が高い傾向にあるということが挙げられます。具体的には、売却価格のおよそ10%に相当する金額が相場となっています。

たとえば、リースバックを利用して、2000万円で住宅を売却した場合、リース料(賃料)は、200万円(1年間あたり)となるため、月に換算すると16万円強ということになります。

そのため、住宅の売却価格が高くなればなるほど、月々のリース料(賃料)が高くなってしまうというデメリットがあります。

二つ目として、通常の売却に比べて、リースバックを利用した売却は、売却価格が低い傾向にあるということが挙げられます。

同じ住宅に住み続けられるというメリットを重視しすぎると、結果として、損失を被ることになる場合もあるため、リースバックを利用する際には、通常の売却価格などと比較するなどして、慎重に判断する必要があります。

4 個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)まとめ

個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)には、住宅を残しながら借金を整理できるという大きなメリットがあります。

もっとも、大きなメリットがある分、同条項を利用するための条件は厳しくなっており、また、場合によっては、同条項を利用することがかえってデメリットになる場合もあります。

そのため、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合には、その前提として、さまざまな要素を検討したうえで、利用することに問題がないかどうかを十分に確認しておくことが必要です。

あまた法律事務所では、無料法律相談を実施していますので、是非一度ご利用ください。


執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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