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弁護士は、相談者から債務整理の依頼を受けると、まず始めに債権者に対し、「受任通知」を送付します。
受任通知を送付することにより、債権者は債務者と直接連絡を取ったり、取り立てを行うことを停止することが一般的ですが、受任通知とはそもそもどのような意味をもつ通知なのでしょうか。

また、弁護士が受任通知を迅速に作成できるように、債務者側が準備すべき書類などはあるのでしょうか。

そこで今回は、債務整理の受任通知とは何なのか?という点を中心にわかりやすく解説していきます。

1 受任通知とは?

相談者から債務整理の依頼を受けた弁護士は、まず始めに、「受任通知」という書面を債権者に送付します。
この「受任通知」は、以下のように、極めて重要な機能をもった書面なのです。

(1)受任通知とは?

「受任通知」とは、弁護士が債務整理を依頼された際に、債務者の代理人として債務整理業務を開始することを債権者に知らせる通知のことをいいます。
債務整理には、主に、任意整理・個人再生・自己破産の3つの手続きがありますが、受任通知は、どの手続きを行うかを問わず、債権者に送付することになります。

受任通知を債権者に送付することにより、それ以降は、直接債務者に取り立てを行うことを停止し、債務者の代理人となった弁護士との間で、債務者に関する借金問題について交渉していくことになります。

(2)受任通知の記載内容

受任通知には、主に、3つの事項が記載されます。

具体的には、債務者の代理人として債務整理業務を開始すること、債務者の債権者に対する支払いを停止すること、そして、債務者から直接取り立てることを禁止すること、の3点です。
このほかにも、受任通知の中で債務者と債権者にかかる取引履歴を開示するよう求めることが一般的です。

受任通知に記載される事項

■債務者の代理人として債務整理業務を開始すること
■債務者の債権者に対する支払いを停止すること
■債務者から直接取り立てることを禁止すること

また、債権によっては、消滅時効の成立が間近である債権が存在するケースもあります。
その場合、受任通知を送付することが「債務の承認」にあたり、消滅時効は中断したと言われないように、受任通知の中で「受任通知の送付は債務を承認する趣旨ではない」という旨を念のために記載することもあります。

受任通知に記載される主な事項は以上のようになり、さらに、債務者の代理人となる弁護士の氏名や法律事務所の所在地・連絡先、そして、債務者の氏名や生年月日、住所などを記載することになります。

(3)受任通知の効力は?

受任通知は、以上で見たように、弁護士が債務者の代理人として債務整理業務を開始することを債権者に知らせることを主な目的として送付する通知ですが、受任通知を送付することの意義はこれだけではありません。

受任通知がもつ意義の中でも、最も大きいといえるのは、債権者が債務者に直接連絡を取ることができなくなるという点です。

具体的に、弁護士が債権者に受任通知を送付すると、それ以降、クレジット会社や消費者金融などの債権者は、債務者の代理人となった弁護士を通すことでしか、債務者と連絡を取ることができなくなります。

この場合、債権者は債務者から直接貸金などを取り立てることもできなくなります。

受任通知が有するこのような効力は、事実上認められている効力ではなく、貸金業法等に関する特別措置法により認められている法的な効力であるため、これに違反して、債権者が直接債務者から貸金などを取り立てた場合には、違法な取り立てということになり、刑事罰や行政処分の対象となる可能性があります。

もっとも、受任通知を受け取った債権者が裁判を起こし、その中で貸金などの回収を図ることまでは禁止されていませんので、その点は注意が必要です。

債務者は、弁護士に債務整理を依頼するまでは、債権者への返済が延滞していたり、返済そのものが不可能な状態に陥っていることがほとんどであるため、債権者から毎日のように連絡が入るなど、執拗な取り立てにより精神が参っていることが多いといえます。

弁護士による受任通知の送付により、債権者から直接連絡が入ったり、郵便物が届いたり、家に訪問されるということがなくなるため、債務者は平穏な生活を取り戻すことができ、その間に弁護士と蜜に連絡を取り合いながら、借金問題に向き合うことができるようになります。

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2 債務整理に必要な書類

日々の取り立てにより精神的に参っている債務者からすれば、一刻も早く債権者から逃れたいと考えるのが通常でしょう。

そのためには、弁護士がスムーズに債務整理業務に着手できるように、債務者において、きちんとした事前準備をすることが大切になってきます。そうすることで、弁護士は債務整理業務の着手にあたり必要な情報をいちはやく把握でき、迅速に債権者に受任通知を送付するなどの対応を取ることが可能になります。

債務者において、事前に準備しなければならないことは、債務整理の手続きによって、以下のように異なります。

(1)任意整理

「任意整理」とは、債務者が負担する借金について、その減額や支払方法を債権者との間で直接交渉する手続きのことをいいます。
弁護士に任意整理を依頼するにあたり、最低限必要となる書類は「債権者一覧表」です。

「債権者一覧表」とは、債務者に対して債権を有する者を一覧にしたものをいいます。


先に見たように、債務整理の依頼を受けた弁護士は、まず始めに、受任通知を債権者に送付することになります。
受任通知は、債務者から申告を受けた債権者に対し送付することが一般的であるため、債務者があらかじめ任意整理の対象となる債権者を一覧表にまとめておくことで、弁護士は受任通知を迅速に送付することができます。

さらに、債権者が債務者に対し債権を有することを証明できる借入時の契約書や明細などがあれば、過払い発生の有無についても、およその判断が可能になります。

(2)個人再生・自己破産

個人再生や自己破産の手続きを行う場合にも、最低限「債権者一覧表」が必要となるのは、任意整理の場合と同じです。
そのほかにも、不動産や退職金などといった資産を保有している場合には、不動産にかかる全部事項証明書や退職金の見込額がわかる証明書などを準備しておくと、よりスムーズに手続きを進めることができます。

以上のように、弁護士に債務整理を依頼する場合には、債権者による直接の取り立てをいちはやく停止させるためにも受任通知を送付する必要があります。

そのためには、受任通知を送付する対象となる債権者が特定している必要があるため、最低限「債権者一覧表」だけは事前に必ず準備するようにしましょう。

3 債務整理にあたり求められる条件

先に見たように、債務整理には、主に3つの手続きがありますが、それぞれには解決方法などに違いがあるため、手続きを行ううえで必要とされる条件も異なります。

(1)任意整理

任意整理では、債権者と合意した内容にしたがって、4年~5年にかけて借金を返済していくことが一般的です。
そのため、長期にわたり借金を返済していけるだけの安定した収入が必要になってきます。

返済期間が4年~5年と長くなるため、根気強く借金を返済していく必要があります。
仮に、途中で返済ができなくなってしまうと、最悪の場合、自己破産に手続きを移行せざるを得なくなり、それまで返済してきたことが無駄になってしまいます。

このように、任意整理を行う場合には、安定した収入があることが条件となります。

(2)個人再生

個人再生には、「給与所得者等再生」「小規模個人再生」という2つの手続きがありますが、いずれの手続きにおいても、裁判所から認可された再生計画(返済計画)にしたがい、3年~5年にかけて借金を返済していくことになります。

そのため、任意整理と同様、継続して返済していけるだけの安定した収入が必要になってきますが、個人再生手続きでいう「安定した収入」は、任意整理の場合よりも裁判所を通す分、厳しく審査されます。

たとえば、継続して返済していくには「十分」な収入とまではいえない場合であっても任意整理を行うことは可能ですが、個人再生では、継続して返済していけるだけの「十分」な収入があることが必要となります。

さらに、個人再生を申し立てる場合には、負担する借金の金額が5,000万円以下であることも条件となります。

また、過去に給与所得者等再生を申し立てている場合には、その手続きにおける再生計画(返済計画)の認可決定から7年が経過していないと、新たに給与所得者等再生を申し立てることはできません。これは、自己破産の免責許可決定を7年以内に受けている場合も同じです。

(3)自己破産

自己破産をするための条件として、まず挙げられるのが、「返済不能」の状態にあることです。
「返済不能」とは、債務者の収支や借金の返済額などからして、継続的に借金を返済していくことが不可能な状態にあることをいいます。
たとえば、債務者の収入が月30万円、月々の支出(食費や家賃など)が20万円である場合、借金の返済額が月15万円であると、毎月5万円が不足していることになるため、返済不能の状態にあるといえます。

また、債務者に「免責不許可事由」に該当する事実がないことが条件となります。「免責不許可事由」とは、免責許可の決定が受けられなくなる事情のことをいいます。

自己破産手続きは、借金の支払義務を免除してもらうこと(=「免責」といいます。)を最終的な目的としています。そのため、債務者に免責不許可事由に該当する事実が認められる場合、免責の許可が下りない可能性があります。

たとえば、ギャンブルや浪費などにより借金を作った場合には、免責不許可事由に該当する可能性があります。

さらに、過去に自己破産を申し立てている場合には、その手続きにおける免責許可決定の確定日から7年が経過するまでは、2回目の自己破産を申し立てたとしても、免責不許可となる可能性があります。

これは、破産法において、直近の免責許可決定の確定日から7年以内に免責許可を申し立てることが、免責不許可事由に該当するとされているためです。

4 まとめ

弁護士に債務整理を依頼すると、まず始めに、弁護士は債権者に受任通知を送付することになります。受任通知を送付することにより、債権者は債務者に直接連絡を取ることを停止しますので、債務者は平穏な生活を取り戻すことができます。

このように、受任通知を送付することには、極めて重要な意義があるため、債務者側においても、弁護士がスムーズに債務整理業務に着手できるように、必要な事前準備などをしておくことが大切です。

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