事実の情報でも名誉毀損になる?不法行為と認められた悪口の例も紹介

正しい事実を指摘しても名誉毀損になる?不法行為になる要件や民事上刑事上の扱いについて
執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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事実の情報だったとしても、悪質な悪口などの誹謗中傷は名誉毀損に該当する可能性があります。

”豊川弁護士”
この記事では、不法行為として名誉毀損に該当する要件・該当しない条件、名誉毀損と認められたときの民事・刑事上の責任について、弁護士が解説します。

名誉毀損が成立する3つの要件

名誉毀損は刑法230条に定められている犯罪で、成立の要件として3つが規定されています。

誹謗中傷は誹謗と中傷という2つの言葉を合わせた単語で、「中傷」には根拠のない発言で他人の名誉を傷つけることという意味があります。ただし、法律上の視点ではたとえ内容が事実であっても悪質な発言は名誉毀損になるリスクはあります。

1公然と事実を摘示

1つ目は「公然性と事実の摘示」です。

公然は不特定多数の人が見たり聞いたりできる状態を指します。インターネット上のサイトやSNSでの書き込みは、通常、誰でも見ることができるため、「公然性」の要件は満たすと考えられます。

”女性”
会員制の掲示板や「鍵アカ」と呼ばれる一部の人しか見られない投稿であっても、複数の人が閲覧できる状態であれば、当てはまると言えます。

事実の摘示」でいう事実は、何らかの具体的な事柄を指しています。

例えば、「○○は過去に犯罪を犯したことがある」「○○は上司と不倫している」といった具体的な内容を示し他人の社会的な評価を低下させる書き込みは事実の摘示に当てはまり、名誉毀損の成立要件を満たすと考えられます。

一方、「バカ」「死ね」「きもい」といった悪口は具体的な事実は提示していないため名誉毀損とはいえません。抽象的な悪口は名誉毀損罪ではなく、侮辱罪(刑法231条)が適用される事例が多くなっています。

2人の名誉を毀損する

名誉毀損は他人の名誉を貶める内容が該当します。

「人」とは特定の誰かを指しており、「日本人」や「●●県民」のような大きなくくりは要件を満たしません。

また、名誉毀損で守られるのは「外部的名誉」である他人から見た評価です。世間の評価を落とすような投稿であれば、赤ん坊のように相手が投稿内容を理解できなくても該当しますし、個人だけでなく商店や企業などの法人も該当します。

3事実の有無にかかわらない

誹謗中傷の内容は事実か嘘かに関係なく名誉毀損が成立します。

「○○は上司と不倫している」という発言であれば、本当に○○さんが不倫していてもしていなくても名誉毀損になる可能性があります。

 自分は真実を言っているのだから名誉毀損にはならないという考えは間違いですので注意しましょう。

名誉毀損に認められない3つの条件

一般的には犯罪になるような投稿であっても、3つの条件のいずれかを満たせば名誉毀損に該当しない特例が存在します。

1死者の名誉に関する発言

すでに亡くなっている相手に関しては、虚偽の情報によって名誉を毀損した場合のみ名誉毀損が適用されます。死者に対しては、発言が事実を示していれば犯罪にはなりません。

2公共の利害に関する事柄

内容が公共の利害に関する事柄は、真実であると証明できれば罪になりません。

公共の利害とは、一般の人々が関心を寄せるのが適切と認められる事柄です。例えば、逮捕された犯罪の容疑者を実名で報道するのは公共の利害に関する事柄ともなされ、名誉毀損になりません。

3公益を目的としている

公益とは社会一般の利益を指しています。公益を目的とする真実の証明があれば罪になりません。

”豊川弁護士”
転職サイトの口コミに在籍していた会社の悪い点を書き込む行為は、内容が事実であればその会社へ就職を考えている人にとっては有益な情報を与えていると言えます。そのため、公益性があると判断できるでしょう。

名誉毀損が認められた実際の書き込み

実際に名誉毀損罪として認められた書き込みを紹介します。

東名高速あおり運転事故を巡るデマ投稿

2017年6月に起きた東名高速でのあおり運転による事故では、全く関係のない建設会社を加害者の勤務先とするデマをインターネット上に書き込んだ11人が名誉毀損の罪で書類送検されています。

そのうち、有罪判決で罰金30万円が言い渡された男性は、他の容疑者が「○○(加害者)の親が××区で建設会社社長してるってマジ?」と書き込んだあとに「これ違うかな」と会社の住所や電話番号の載ったURLを貼り付けてた投稿をしていました。

POINT
本人が事実かどうかの確信はなく推測で行った投稿でも、名誉毀損と判断された事例です。

女性ジャーナリストへの名誉毀損の事例

女性ジャーナリスト伊藤詩織さんが東大大学院元特任准教授の大沢昇平氏からX(旧Twitter)上で名誉毀損されたとして、損害賠償を求める訴訟を起こした事例です。

2020年6月、大沢氏は「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」というコメントと、伊藤さんと同姓同名の通称を使用している外国人の破産手続きに関する情報が掲載された官報の画像を投稿しました。他にも伊藤さんが名誉毀損で別の人物を提訴していた事実に対し、「全く支持できない」「よりセコく見えちゃいますね」といった投稿をしていました。

 裁判では伊藤さんへの110万円の損害賠償を認める判決が出されています。

上司から部下への社内メールが名誉毀損になった事例

ある保険会社のサービスセンターで課長代理XさんXさんと職場の同僚十数名に対し、

「Xさんは処理件数が10件に過ぎず課長代理として全くの出力不足と言わざるを得ません」「やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。当サービスセンターにとっても、会社にとっても損失そのものです」「あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の実績を挙げますよ。……これ以上、当サービスセンターに迷惑をかけないで下さい」

といった内容のメールを案件処理状況に対し日頃から不満をもっていた所長のYさんが送信した事例です。

Xさんはメールの内容を名誉毀損の不法行為として提訴しました。

部下に対する指導の一環と言えるとしても、会社に対して不必要な人間であると主張するような内容であること、Xさんに対する退職勧告にも見えること、複数の同僚らにも一斉に送信した点などが考慮され、裁判では名誉毀損による慰謝料5万円の支払いが命じられています。

”豊川弁護士”
Xさんの業務能力は事実の部分があった可能性はありますが、メールの送信方法など行き過ぎた行為は名誉毀損になることがわかります。

ネット掲示板での子どもへの誹謗中傷

インターネット掲示板のスレッドで「アホ代表」などと6歳の子どもの顔写真付きで誹謗中傷を書き込んだ事件です。

犯人の男性は名誉毀損の疑いで警察に逮捕されており、子どもの父親とトラブルがあったということです。例え、相手がまだ子どもだったとしても名誉毀損が成立する事例です。

名誉毀損は民事や刑事上の責任が発生する

インターネット上での誹謗中傷が名誉毀損と認められると、被害者は相手に民事上や刑事上での責任を問うことができます。

加害者は民事・刑事両方で責任を取ることになります。被害者へ慰謝料を含む賠償金を支払う必要性が生じ、罰金や懲役刑などを受ける可能性もあります。

民事上は損害賠償金が発生する

民事上の責任は不法行為と呼ばれる他人の権利や利益を侵害する行為に対し、損害賠償を求めることができる制度です。名誉毀損による誹謗中傷は不法行為として、被害者は民事裁判で損害賠償や慰謝料の請求が可能です。

被害者が民事裁判を提起すると、敗訴した加害者は慰謝料などの損害賠償を支払う義務が生じます。

賠償額の相場は数十万程度ですが、高額になる判例はあります。有名人や企業など相手の社会的評価の低下が大きく影響すると判断されるケースなどでは、100万を超える判例もあります。

刑事上の責任は逮捕される可能性がある

刑事上の責任は刑法で定められている犯罪です。被害者の訴えがあれば警察の捜査が行われ、逮捕・勾留される恐れがあります。起訴されれば刑事裁判で法律に定められた刑罰を受け、前科が付いてしまいます。

誹謗中傷の加害者が名誉毀損罪で逮捕されるケースは増加しており、誹謗中傷に社会的な注目や批判が高まっている昨今では、警察が積極的に逮捕に動くことは考えられます。

病院のトイレに知人を中傷するビラを貼った女性研修医が逮捕された事例もあり、ネット上以外でも名誉毀損罪と判断され逮捕されることがあります。

 名誉毀損罪は刑法230条により3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

弁護士へ相談し解決しよう

インターネットでの名誉毀損は、被害者側は相手に民事・刑事での責任追及が可能になり、加害者側は刑事と民事両方の責任を問われることになります。

ただ、被害者側が加害者を訴えるためには、匿名の投稿者が誰かを特定する必要があります。該当の投稿を印刷するなど証拠を保存し、発信者情報開示制度で相手の個人情報の入手が必須です。

加害者は問題の書き込みを削除するなどの対処法がありますが、相手が納得してくれるとは限りませんし、後から取り消せない場合もあります。

法律の知識がないと対処するのは難しいのが現状であり、弁護士に相談するのがおすすめです。
ネットのトラブルに強い弁護士に依頼すれば書き込まれた投稿が名誉毀損に当たるのかを判断してくれますし、ケースに応じた最適な対処法をアドバイスしてもらえます。また、相手との示談交渉により、訴訟を回避できる可能性も出てきます。

弁護士費用が気になりますが、初回の相談や着手金は無料のサービスを実施している事務所なら気軽に利用できるので安心です。

”女性”
法律に関する手続きを正しく進め悩みを解決するためにも、早めに弁護士へ相談してください。

まとめ

名誉毀損は書き込みや発言の内容が事実でも事実でなくても成立する可能性があります。事実無根ではない指摘なら問題ないという考えは間違っており、名誉毀損と認められれば民事・刑事で責任を負う必要性が出てきます。

誹謗中傷されており名誉毀損罪で相手を訴えたい、また、自分の書き込みが名誉毀損に該当するか心配といった悩みや不安があるなら、弁護士に相談し対応を指南してもらいましょう。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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