債務整理を検討しているけど、費用って頼むところによって違うの?
毎月の返済も苦しいのに、債務整理の費用まで払えるか不安・・・
債務整理の中でも、任意整理という手続きは裁判所を介さず直接交渉できるため、個人再生や自己破産よりも書類や手続きが比較的カンタンとされています。
そんな任意整理ですが、手続きにかかる費用はどれくらいなのでしょうか?
この記事では任意整理の基本情報、費用の目安を解説していきます。
任意整理に掛かる費用の相場は?
任意整理ではどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
任意整理でかかる費用で代表的なものは、弁護士や司法書士への依頼料でしょう。
依頼料は特別いくら、と決まっていないため各事務所で自由に設定されています。
着手金、減額報酬、解決報酬金などのその他項目がありますが、
おおよそ5万円〜15万円ほどが相場といってよいでしょう。
任意整理にする社数や、過払い金の有無によっても料金が変わる可能性があるため、詳細については依頼する弁護士・司法書士事務所へあらかじめ確認しておくと安心です。
費用が払えない場合の対処法
相談したくとも「依頼料を払えるほど余裕がない」という方もいるでしょう。
依頼料が一括で用意できない場合は、どのようにすればよいのでしょうか?
分割払いで依頼する
法律事務所によっては、分割払いに対応しているところもあります。
ただし、分割回数が2〜4回と決められているケースも多く、分割回数も一般的には自由に決められないところがほとんどです。
事務所によっては、無料相談会を実施しているところもあります。
心配であれば、そういった相談会を使って支払い方法や回数を確認しておきましょう。
法テラスで相談する
法テラスとは、国によって設立された法トラブルを解決するための総合案内所です。
そこでは経済的余裕がない方が法的トラブルを無料で相談できたり、弁護士・司法書士費用の立替えを行う民事法律扶助業務を依頼することができます。
ただし、民事法律扶助制度に該当するかどうかを確認する必要があります。
以下の項目です。
a月収が一定額以下である
b保有財産が一定額以下である
2)勝訴の見込みがないとはいえないこと
3)感情的な報復、宣伝、権利濫用的な利用ではないこと
詳細は法テラス公式HP:民事法律扶助業務のページでご確認いただけます。
そもそも任意整理とは?
ここで改めて、任意整理がどんな手続きなのか抑えておきましょう。
先に述べたとおり、任意整理とは裁判所を介さず債権者と債務者が直接交渉により利息や遅延金をカットすることで、借金総額を減らすことができる手続きです。
手続き後は、原則3〜5年で完済を目指します。
任意整理のメリット、デメリット、手続きをするための条件はどんなものがあるのでしょうか。
任意整理のメリット
任意整理のメリットは大きく3つあります。
- 裁判所を通さないため、他の手続きより比較的簡易、迅速、柔軟な対応ができる
- 財産を処分せずにすむ
- 任意整理の対象となる債権者を選べる
個人再生や自己破産手続きと異なり、裁判所を通さないため手続きに必要な書類や時間が少なくてすみます。
また、A社は任意整理対象にするがB社は対象としないなど、個別に対象者を選ぶことができる点もメリットです。
こういった柔軟な対応が可能なため、残しておきたい財産を処分せずにすみます。
さらに他の手続きと違って、任意整理は手続きをしても官報に掲載されません。
そのため第三者に任意整理手続きをしたとバレるリスクも低いといえるでしょう。
任意整理のデメリット
それでは、任意整理にはどんなデメリットがあるのでしょうか?
大きく分けて、以下のとおりです。
- 原則として元本のカットは対象外のため、大幅な減額が見込めない
- 手続きをしてから一定期間、新たなローンやクレジットカードが作れない
- 法的効力がないため、債権者が交渉に応じない可能性もある
任意整理は債権者と直接交渉ですすめるため、法的効力はありません。
また、一般的に交渉の対象となるのは利息や遅延損害金であるため、
借入元本自体は減額対象とならないケースがほとんどです。
例外として、法律で制限された上限を超えて払いすぎた利息を取り戻す過払い金請求手続きがありますが、それ以外で元本の大幅な減額は見込めないでしょう。
また、債権者との交渉で任意整理手続きが成立すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
これはいわゆるブラックリスト状態のため、この情報が削除される一定期間は新たな借入ができなくなる点も注意が必要です。
任意整理をするための条件
任意整理を行うための条件は、大きく3つあります。
- 安定した収入があること
- 原則3〜5年で完済できる見込みがあること
- 今後も返済し続ける意思があること
任意整理は36回ほどで完済できるかどうかが、一つの判断基準となります。
そのため、収入に対して返済総額が大きすぎたり、毎月の収入が不安定な場合、相手方に受け入れてもらえない可能性が高くなります。
また、任意整理はあくまで交渉であるため、必ずしも自分の希望が通るわけではありません。
分割払いに応じてもらえなかったり、借入金額の返済実績がないなどで、そもそも交渉に応じてもらえないケースもあります。
任意整理を検討する際は、上記の条件に該当するかしっかり確認しておきましょう。
任意整理以外の債務整理
任意整理を希望していても、借入金額が大きかったり収入が不安定な場合はどうすればよいのでしょうか?
債務整理には他にも、個人再生と自己破産手続きがあります。
どんな特徴があるのかみていきましょう。
個人再生
個人再生とは、裁判所に再生計画の認可を受け、借金総額を大幅に減らす手続きです。
一般的に、任意整理では借金問題を解決できない人が使う手続きです。
個人再生の特長としては、大きく3つあげられます。
・再生計画に則り3〜5年で返済する
・住宅ローン特則で、住宅ローンの支払いを条件にマイホームを残せる
デメリットとしては、
・自己破産よりも要件が厳しい
・手続きが複雑で、長期化しやすい
ということがあげられるでしょう。
裁判所によっては申立人の返済能力があるかを確認するため、6ヶ月ほど弁済額を支払い続ける「履行可能テスト」を行うケースもあります。
要件は自己破産よりも厳しいですが、借入金元本を大幅に減らしながらもマイホームなどの大きな財産を手元に残せるのは大きなメリットといえるでしょう。
自己破産
自己破産とは、裁判所に免責許可をもらい、借金の返済を免除(免責)してもらう手続きです。
債務整理ときいて、一番に自己破産という言葉を思い浮かべる方も少なくないでしょう。
特徴としては以下の3つがあげられます。
・職についていない状態、生活保護を受けている状態でも対象となる
・自由財産と呼ばれる生活に最低限必要な財産は手元に残る
自己破産では手元に一切お金が残らない、と思われがちですが、
自由財産といって数ヶ月生活するのに必要な現金や生活用品は手元に残ります。
ドラマであるような、借金も財産も0になって路頭に迷う、なんてことはありません。
自己破産のデメリットは主に以下の3つです。
・原則として財産のほとんどが処分される
・一部の職業や資格制限がある
個人再生と同じく、官報に事故情報が載るため第三者に知られてしまうリスクは多少なりとも出てきます。
また弁護士、司法書士、税理士などの士業や、会社の取締役などの会社役員、生命保険募集人、警備員などの一部の職業が制限されてしまいます。
したがってこういった職業を続けたい場合は、自己破産を選択することが難しくなってしまいます。
任意整理の手続きの流れ
任意整理をする際、どのような流れで手続きが進むのでしょうか。
仮に、弁護士へ依頼したケースをみてみましょう。
専門家への依頼
まずは自身の借入状況、収入などを伝え、任意整理可能かどうか弁護士へ相談しましょう。
ヒアリング内容から、任意整理が適切かなどアドバイスをもらいます。
相談の際は、借入先の数や返済状況などをまとめたり、源泉徴収などの自身の収入状況がわかる書面などを用意しておくとスムーズに話をすることが出来ます。
弁護士事務所によっては、無料相談を設けているところもあるので上手に活用するとよいでしょう。
受任通知の送付と取引履歴の開示請求
弁護士へ依頼し正式に委任契約を結ぶと、弁護士から借入先に受任通知が送付されます。
受任通知とは、それを送った弁護士が代理人であるということを債権者たちへ知らせるもので、
この通知を受けた債権者は、債務者本人への取り立てを停止しなくてはなりません。
よって、依頼者は和解成立まで返済を停止することができます。
また、受任通知送付と同時に債務者の取引履歴の開示請求を行います。
取引履歴は、過去の返済で法的な上限金利を超えた利息を払いすぎていないか、現在の借入残高や返済状況などを確認する際に使用されます。
受任通知は弁護士と委任契約が締結されてからおよそ数日で発送、
その後やりとりする取引履歴は、業者により異なりますが数週間から長くて3ヶ月程度で開示されます。
引き直し計算と過払い請求
取引履歴が開示されると、それに基づき弁護士が引き直し計算と呼ばれる利息の再計算を行います。
上限金利を超えて払いすぎた利息があれば、ここで過払い金が発生しているかどうかがわかるのです。
過払い金があれば、過払い金請求を行うことで払いすぎた利息を取り戻すことができます。
引き直し計算〜過払い金請求までの期間は、一般的に1〜2週間が目安となります。
和解案を作成し交渉
先のステップまでで計算した金額をもとに、弁護士が和解案を作成します。
和解案とは、弁護士が債務者の返済能力や借入残高を総合的に判断し、返済期間や借入金の利息や遅延損害金のカットなど、債務者が無理なく計画的に返済できる返済計画をまとめたものです。
この和解案をもとに、債権者と弁護士で交渉を行います。
一般的に、和解交渉は3ヶ月ほどかかるといわれています。
和解契約を締結後、返済開始
弁護士との交渉の結果、合意に至った場合は和解成立となり、合意された返済計画に基づき返済開始されます。
返済期間は一般的に3〜5年程度になることが多いです。
債務者は、返済計画に則り計画通り返済しなくてはなりません。
もし返済が滞ると、期限の利益が喪失され分割払いができなくなり一括で返済しなくてはいけなくなります。
返済が遅れないように、毎月の返済期日をしっかり守って支払いしていきましょう。
弁護士費用や手続きの流れについてはこちらの記事も参考にしてください。
任意整理を依頼する専門家の探し方
任意整理は専門家を通さずに自身でも手続きすることが可能です。
自身で手続きすれば、その分弁護士や司法書士への依頼料をおさえることもできます。
しかし、和解交渉に慣れていなかったり書類作成や手続きの煩雑さを踏まえると、
やはり専門家に依頼する方がよいでしょう。
個人で行う場合、和解交渉が成立しないケースや、そもそも借入先が交渉に応じないケースも考えられます。
とはいえ、どうすれば専門家に会えるのでしょうか?
ここでは専門家を探す方法を解説します。
近くの事務所を探す
一番わかりやすいのは、自身の生活圏内で事務所を運営している弁護士や司法書士へ相談することでしょう。
最寄りの弁護士・司法書士事務所が無料相談を行っていれば、そこで手続きを進めたほうがよいかアドバイスをもらうことができます。
懸念点としては、近くに事務所が見つからなかったり、その事務所が債務整理の経験がどれほどあるかわかりにくい点です。
弁護士、司法書士によって得意分野が異なるケースが多く、
特に取り扱う分野が幅広い弁護士はその傾向が顕著です。
債務整理の経験が乏しいと、対応が遅れたり自身の希望通りに交渉が進まないなど
思わぬトラブルがあるかもしれません。
そうならないように、相談する事務所の得意分野や実績をしっかり確認することがおすすめです。
インターネットで探す
最近では当たり前になっていますが、インターネットで探す方法も有効です。
事務所の公式サイトがあれば、どういう分野で実績を残しているのか、どういう部分にこだわりをもっているのかなど、事前に情報を得ることができます。
無料相談を行っていたり、24時間365日受付をしていたり、メール相談可など柔軟な対応を強みとしている事務所もあります。
また、着手金、報酬金などの相談費用を公開しているサイトもあるので
おおよその依頼費用がいくらになりそうか予想できる状態で選べるのもインターネットのメリットですね。
さらに、最近ですとSNSなどで発信している弁護士の方もいらっしゃいます。
人柄が気になる場合はそういったツールものぞいてみるといいかもしれませんね。
自治体が設けている債務相談窓口を活用する
いきなり弁護士事務所へいくのはハードルが高い・・・
こう感じていらっしゃる方は、お住まいのエリアにある債務相談窓口の活用もおすすめです。
自治体によっては、消費生活相談・債務相談窓口を設けているところがあります。
例えば東京では、都内消費生活センターを設けており、借金返済に悩む相談者を法律専門家や専門相談機関などにつなぎ、問題解決の道筋ができるまでフォローアップする「東京モデル」を実施しています。
参考:東京くらしWEB
実際の費用については、サイトでは明記されていないため
窓口で相談する際は費用がどれほどかかるのか確認を忘れないようにしましょう。
まとめ:任意整理の費用金額は事務所ごとに決まっているため、比較検討がおすすめ
任意整理は個人でも対応できる手続きで、利息や遅延損害金を交渉によりカットすることで借金総額の減額を目指します。
任意整理の流れは、おおまかに次のようなステップとなります。
②受任通知の送付と取引履歴の開示請求(数週間〜3ヶ月)
③引き直し計算と過払い請求(1〜2週間)
④和解案を作成し交渉(3ヶ月)
⑤和解契約を締結後、返済開始(3年〜5年)
個人再生や自己再生と比較すれば簡易な手続きといわれていますが、
それでも個人で行うには時間と労力がかかる上、最近だと個人では交渉にすら応じてもらえないケースもあります。
そういったリスクを避けるためにも、弁護士などの専門家に依頼しましょう。
任意整理の費用は特に決まりがなく、依頼する事務所ごとに変わります。
相場感としては5〜15万円が目安となります。
しかし、任意整理対象社数が増えたり、過払い金対応などを依頼するなどで金額がかわるケースもあるので、いくつかピックアップして比較検討することがおすすめです。
借金問題を確実に解決できるよう、自分にあった事務所をみつけましょう。