交通事故のけがで3ヶ月通院した場合の慰謝料は?むちうちの場合の相場

交通事故に遭い、3か月通院した場合に請求できる慰謝料はどれくらいでしょうか。事故の被害者は加害者に慰謝料を請求でき、その金額は算定基準や治療期間によって変わります。

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この記事では、むちうちのケースを例に慰謝料やもらえるお金の相場がいくらになるのかを解説します。

交通事故で3ヶ月通院したら慰謝料はどれくらいになる?

交通事故の被害者になったときには、加害者に対して慰謝料を請求できます。慰謝料とは、民法710条に規定されている賠償金で、他人の身体や財産などを侵害したときに受ける苦しみや悲しみといった精神的苦痛を補償するものです。

精神的苦痛は目に見えるものではありませんが、法律ではこれを金銭で賠償すると定めています。慰謝料の金額は主に治療期間によって決められ、どれくらい病院に通っていたかでもらえるお金が変わってきます。

では、交通事故で3か月通院したら慰謝料はどれくらいになるのかについて、これからみていきたいと思います。

通院3か月でもらえる慰謝料

はじめに、交通事故でもらえる慰謝料にはどのようなものがあるのかを解説します。慰謝料は大きく分けて、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類があります。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

事故のため、ケガを負ったり、病院に通わなくてはならなくなったりしたことへの精神的苦痛に対する慰謝料です。傷害慰謝料とも呼ばれ、どれくらい医療機関に通院していたかでもらえる金額が決まります。

入通院慰謝料はケガの程度に関係なく1日の受診からでも受け取ることができ、後遺症の有無とも関係ありません。通院3か月であれば、3か月分の金額を請求できます。

後遺障害慰謝料

交通事故により、後遺症が残ってしまった場合に請求できる慰謝料です。通院3か月であれば、ケガの度合いとしては軽症に含まれますが、それでも追突事故などであればむちうちなどの後遺症が残ってしまう可能性はあります。

どのような後遺症でも認められるというわけではなく、慰謝料を請求するには、審査を受けて後遺障害の認定をとる必要があります。

POINT
後遺障害の認定には、1級から14級までがあり、1級が一番重く、下に行くほど軽い後遺症になります。
通院3か月程度ですと、後遺障害等級も比較的軽いことが多く、むちうちでは12級または14級が認められる場合が多いです。

慰謝料以外にもらえるお金

交通事故の被害者になったときには、慰謝料以外にも治療にかかる費用などいろいろなお金を相手方に請求できます。慰謝料以外に請求できるお金には主に以下のものがあります。

治療費

交通事故では、病院での治療にかかった費用を加害者に払ってもらえます。請求は実費で行うため、必要な治療費はすべて相手方に立て替えてもらうことが可能です。病院でもらった領収書などはきちんと保管しておくようにしてください。

しかし、どんな費用でも認められるわけではなく、支払ってもらえるのは「必要かつ相当な費用」のみです。治療費を請求できるからといって、必要もないのに頻繁に病院に通ったりしていると、医学的に必要性・合理性のない過剰診療とみなされて相手の保険会社が支払いを渋る可能性があります。

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通院は医師の指示に従い、適切な頻度を守るようにしてください。

休業損害

事故でケガをしたため、仕事を休まなくてはならなくなった場合には、休業損害(休業補償)として収入の減少分を相手方に請求できます。

会社員であれば直近3カ月の給与から、個人事業主なら確定申告をもとに計算されます。会社員の方は、有給休暇をとった場合でも請求できますが、給料が減額されなかった場合や労災保険から休業補償給付を受けた場合は請求できません。

また、就業により収入を得ているわけではない専業主婦であっても、ケガのために家事ができなくなった場合には休業損害を受けとることができます。専業主婦の収入は、政府の統計調査から出される賃金センサスの女子労働者の全年齢平均賃金をもとに計算されます。

ほかに、学生であってもアルバイトをしている場合には、損害賠償を請求できまし、派遣社員や契約社員であっても休業した場合には損害賠償請求が出来ます。

また、有給休暇を取得して通院した場合には給料は会社から出ていますが、「事故のために有給休暇を使わざるを得なかった」ということで、有給利用分も休業損害として請求が出来ます。

交通費

通院のために必要となる交通費で、こちらも実費で請求できます。治療費と同じように必要と認められる範囲のみで、たとえば、歩けるほどの軽いケガなのにタクシーを利用して通院していた場合には、認められない可能性があります。

バスや電車など公共交通機関のほか、自家用車で通院したときはガソリン代や高速料金、駐車場代なども支払われます。ガソリン代は燃費に関わらず1キロ15円で計算されますが、高速や駐車場代の請求には領収書が必要になるため、利用した際はきちんと残しておくようにしましょう。

ほかに、付添やお見舞いに来てくれた人の交通費も請求できる場合があります。また、基本的に請求できるのは治療のための交通費だけですが、ケガのため会社や学校に行く際にタクシーの利用が求められる場合には通勤・通学交通費も請求の対象になり慰謝料が増額されます。

付添費

被害者がケガのため、自分1人で通院や普段の生活で必要なことができなくなった場合に付添人に支払うための費用を請求できます。通院付添費や自宅付添費、通学付添費などがあり、付添人が家族か専門の職業人かで金額が変わります。

逸失利益

事故で後遺障害の認定を受けた場合に受け取れるお金です。将来仕事などで得られたであろう収入が後遺症のため失われたことに対する賠償金で、以下の式で計算されます。

計算式
逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×就労可能期間に対するライプニッツ係数
  • 基礎収入額……事故に遭う前の収入。
  • 労働能力喪失率……後遺症がどれくらい仕事に支障をおよぼすか。
  • 就労可能期間……健康であれば将来どれくらい期間働けたか。通常は67-年齢で計算される。
  • ライプニッツ係数……将来の損失を現在の価値になおすために使われる係数。

たとえば、年収400万円の35歳男性が12級の後遺障害の認定を受けた場合の逸失利益は、

基礎収入額400万×14%(12級の労働能力喪失率)×20.389(就労可能年数67-35=32年に対するライプニッツ係数)=1141万7840円
となります。

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逸失利益も休業損害と同様に専業主婦や失業中の方であっても請求が可能です。

示談金と慰謝料の違いは?

交通事故で加害者から支払われるお金として示談金という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。示談とは裁判によらず、双方の話し合いで紛争の解決を行うことであり、示談金はその際に支払われるお金を指します。

交通事故では、特に人身事故の場合、そのほとんどが示談によって解決しています。慰謝料と示談金はよく似ているようですが、実は慰謝料は示談金の一部でしかありません。

POINT
示談金には、慰謝料をはじめ、これまでに説明した治療費や休業損害、交通費、逸失利益など他の賠償金も含まれており、これらを総合して加害者側から支払われるお金を示談金と呼んでいます。

年齢によって慰謝料やもらえるお金は変わる?

ここまで、交通事故で請求できる慰謝料やその他の賠償金を解説してきましたが、事故に遭った人の年齢でこれらの金額が異なることはあるのでしょうか。もし、被害者が専業主婦や子ども、高齢者だった場合はどうなるでしょうか。

基本的に、慰謝料は被害者の年齢によって請求額が変わることはありません。入通院慰謝料は治療期間によって決められており、後遺障害慰謝料は認定される等級によって決まります。

そのため、これら慰謝料の額が職業や年齢により変化することはないのです。働き盛りの大人であっても、子どもや高齢者であっても変わりはありません。

慰謝料請求で注意すべきなのは、年齢よりもむしろ、下で説明している3つの算定基準です。

慰謝料以外にもらえるお金に関しても、年齢や職業によって大きく違いはありませんが、一部注意すべき点もあります。

 18歳未満でアルバイトなど就労もしていない子どもであれば、休業損害を請求することはできません。
また、高齢者で事故時に無職であり、年齢等の関係から将来も職に就く可能性が低いと判断されると後遺障害逸失利益は認められないことが多いです。ただし、年金を受給していると思われますので、年金の逸失利益は認められます。

病状固定と慰謝料の関係

病状固定とは、まだ症状は残っているものの、治療やリハビリを続けてもこれ以上の改善が見込めないと判断された状態です。

事故で負ったケガは本来なら完治するのが望ましいのですが、何らかの症状が残ったまま病状固定となる場合もあります。いつ病状固定にするかの判断は医師のみが決められます。

病状固定は入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の額を決める大切な役割を果たし、病状固定前が傷害分、固定後が後遺障害分と区分されています。ですから、入通院慰謝料を請求できるのは、病状固定前の分だけです。

病状固定を行うと保険会社からの医療費の支払いは打ち切られ、休業損害なども請求できなくなります。

リハビリの場合
入通院慰謝料はリハビリでも受け取ることができますが、病状固定前であっても慰謝料算定の通院日数にカウントされるのは、リハビリの治療効果が認められる場合に限ります。病状固定後のリハビリに関しては、治療費や交通費などの支払いを受けることはできません。

もちろん、この後も後遺障害慰謝料を請求できるのですが、そのためには、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。逆に、病状固定をする前には後遺障害の認定や慰謝料、後遺障害逸失利益の請求を行うことはできません。

相手方保険会社のなかには、早めに病状固定するよう勧めてくるところもありますが、治療費の打ち切りやその他の賠償金を最低限に抑えることが目的の場合がほとんどですので、こうした誘いには乗らないようにしましょう。

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病状固定は慰謝料額にも影響する非常に大切なものですから、決定に関しては、必ず医師の判断に従うようにしてください。

むちうちで3ヶ月通院した場合の慰謝料の計算方法

それでは実際に、交通事故で3か月通院した場合の慰謝料の相場と計算方法を紹介していきます。
後遺障害認定されるためには、これ以上治療しても症状が改善しない「症状固定」という状態になる必要があります。症状固定と認められるためには3ヶ月では足りない可能性がありますが、むちうちで後遺障害認定を受けた事例をみていきましょう。

むちうちの慰謝料を計算するための基準

交通事故の慰謝料計算には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準があり、どれを適用するかでもらえる慰謝料額が大きく変わってきます。最初に慰謝料算定の3つの基準から解説します。

自賠責基準

すべての自動車が加入を義務付けられている自賠責保険に基づいた算定基準です。どのドライバーでも入っている保険ですから、事故に遭ったときは自賠責基準での慰謝料なら必ず受け取ることができます。

反面、自賠責保険はケガに対する最低限の補償をすることが目的のため、もらえる慰謝料の額は安く、3つの基準のなかで最低額になります。1日あたりの通院によってもらえる額が決まっているので、相手方と交渉によって慰謝料額が変わることはありません。

自賠責保険には金額の上限がありますが、もし制限を超えてしまった場合でも加害者やその家族が加入している任意保険があれば、そこから慰謝料を受け取ることができます。

任意保険基準

加害者が加入している任意保険会社の基準による慰謝料算定方法です。計算基準は会社によって違い、通常は非公開とされているため、外部のものが正確な計算方法を知ることはできませんが、一般的には自賠責保険よりやや高額といわれています。

保険会社との交渉でもらえる金額が変わるのも自賠責基準と異なる点です。

しかし、任意保険基準の問題は、保険会社が営利企業であるということ。保険会社といえども、利益を出すのが目的の民間企業であるため、慰謝料額や治療費はなるべく低い金額に抑えようとするのが普通です。また、算定基準もはじめから、それほど高額の慰謝料を払わなくて済むように設定されているとみるべきでしょう。

 交渉で慰謝料額が変わってしまうこともあり、保険会社のいわれるままに進めていると、本来もらえる額よりも低額の慰謝料しかもらえない可能性もあるため注意が必要です。

弁護士基準

3つのなかで極めて高額な慰謝料を受け取ることができる算定基準です。裁判所基準とも呼ばれ、交通事故の慰謝料に関する裁判を起こしたときや弁護士に依頼したときに適用されます。

弁護士基準では、公益社団法人「日弁連交通事故相談センター」が発行している「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)や東京支部が発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称:赤本)などを参考に慰謝料を算定します。

弁護士に依頼すれば裁判所に訴えなくても弁護士基準を適用することができ、この基準を使うだけで自賠責基準や任意保険基準と比べて2倍以上の金額を受け取ることができる場合もありメリットが大きいです。

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弁護士基準の慰謝料こそ、本来交通事故の被害者が受け取るべき金額といえるでしょう。

慰謝料は今後の治療や生活にも必要となる大切なお金です。事故に遭ってしまった際は、軽症だと感じてもまずは弁護士に相談して、弁護士基準での慰謝料請求を検討してみてください。

弁護士費用を気にされる方もいると思いますが、もし加入している自動車保険に弁護士特約がついていれば、弁護士への相談や依頼の際に保険会社から弁護士費用を支給してもらうことができます。

POINT
弁護士特約は家族でも使用できる場合が多いため、事故に遭ったときは家族の加入している保険に弁護士特約がないかも調べてみてください。
また、自動車保険を選ぶときにも弁護士特約がついているかどうかを選択の基準にしてみると良いでしょう。

むちうちの入通院慰謝料の相場

上の3つの基準それぞれで通院3か月の慰謝料がどれくらい変わるかを解説します。まずは入通院慰謝料からです。

入通院慰謝料は、完治または病状固定までに病院に入院や通院した期間・日数に応じて金額が決まります。今回は治療期間3か月で実通院日数が1月あたり10日(週に2~3日)の場合をみていきます。

自賠責基準の場合
自賠責保険では、1日あたりの入院または通院につき4300円と決まっており、実際に病院に入通院していた日数で慰謝料が決まります。

自賠責基準の計算方法は2種類あり、
①4300×通院期間
②4300×実通院日数×2

のうち金額の低いほうが実際に支払われる慰謝料になります。

今回のケースは通院期間3か月(90日)・実通院日数30日(10日×3か月)なので、上の式に当てはめてみると、
①4300円×90日=38万7000円
②4300円×30日×2=25万8000円

となり、金額の少ない②の25万8000円が適用されます。

任意保険基準の場合
任意保険基準は保険会社によって算定基準が異なるため、正確な金額を知ることはできません。そこで、参考として以前に全保険会社共通の基準として使われていた「旧任意保険支払基準」をもとに金額の目安をみていきます。

旧任意保険支払基準をもとにした通院による慰謝料算定表
通院期間0か月1か月2か月3か月
慰謝料012.625.237.8

単位:万円

任意保険基準は実通院日数ではなく、治療期間により計算されます。今回は通院3か月ですから、もらえる慰謝料額は37万8000円になります。

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自賠責基準と比べれば、確かに高いものの、差額は10万円程度であり、次に紹介する弁護士基準ほど大きく変わるわけではありません。

弁護士基準の場合
弁護士基準も任意保険基準同様、治療期間をもとに決まり、算定には専用の算定表が用いられます。弁護士基準の算定表には重症用と軽症用の2種類があり、3か月程度の通院であれば、通常は軽症用が使用されます。

弁護士基準軽症用算定表
通院期間0か月1か月2か月3か月
慰謝料0193653

単位:万円

この表から、通院3か月の場合の慰謝料は53万円になります。自賠責基準、任意保険基準よりもともに遥かに高額になっていて、自賠責基準と比べると約2倍の差があります。

POINT
このように、交通事故の慰謝料はどの基準を適用するかでもらえる金額の相場に大きな差が生じるため、できる限り弁護士基準での慰謝料請求を行うのが望ましいといえるでしょう。

むちうちの後遺障害慰謝料の相場

今度は後遺症による慰謝料の相場の違いをみていきます。医師から病状固定と判断された時点で症状が残っていた場合に申請を行うと後遺障害の認定を受けられるケースがあり、その場合に後遺障害慰謝料を請求できます。

病状固定とは、それ以上治療を継続しても症状の改善等が見込めない状態をいいます。上でも説明しているように、むちうちで認定される可能性のある後遺障害の等級は12級または14級です。以下に自賠責基準と弁護士基準での慰謝料の相場を紹介します。

後遺障害慰謝料の相場
後遺障害等級自賠責基準任意保険基準弁護士基準
12級94100290
14級3240110

単位:万円
(※任意保険基準の金額は推定になります)

後遺症への慰謝料でも適用する算定基準によって慰謝料額は大きく変わり、自賠責基準と弁護士基準では200万円近い差も生まれているのが分かります。後遺障害慰謝料でも、請求の際は弁護士基準を用いるべきといえるでしょう。

交通事故によるケガで慰謝料を請求する流れ

次に、交通事故に遭ってから、実際に慰謝料を請求するまでの流れを説明していきます。

事故直後はショックのため冷静な行動ができなくなっていることもあるかもしれませんが、後の示談交渉等をスムーズに行うため、ここに書いてあることは最低限できるように心がけてください。

1、事故が起きたら警察に通報

交通事故が起きたときは、必ず警察に通報して事故届を提出するようにしてください。ケガをしているときは、きちんと人身事故として処理されているかを確認します。

たまに被害者がケガをしていないときなど、加害者が警察に報告せずに済まそうとする場合がありますが、こうした誘いは絶対に断ってください。警察に通報するのは道路交通法にも定められている義務ですし、通報しないと人身事故として処理されず、警察による実況見分や調書作成も実施されません。

自動車安全運転センターから発行される「交通事故証明書」をもらうこともできなくなり、慰謝料や治療費等の示談交渉をする段階で不利になってしまう可能性があります。

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警察への届出は後日でもできるため、万一、事故当日に通報できなかったという場合は、後からでも良いので必ず警察に届けるようにしてください。

2、加害者の連絡先を確認

相手の氏名や電話番号など連絡先を確認しておきます。できれば、免許証を見せてもらって写真を撮らせてもらうといいでしょう。また、相手が加入している任意保険会社についても確認しておきましょう。

3、病院で治療を行う

ケガをしているなら、病院へ行って診断を受けます。自力で病院まで行けなさそうな場合には救急車を呼びましょう。

交通事故では、事故直後は特にケガをしていないように思っても後から痛みなどの症状が出てくることがあるため、事故当日は必ず一度は病院に行くようにしてください。

 もし、当日に病院に行かず、期間が空いてから痛みなどの異常が現れた場合、その時点で病院に行ったとしても事故との関連性を証明するのが難しくなり、慰謝料の交渉で不利になる恐れがあります。

4、通院~完治・病状固定

医師から必要があると判断された場合は、病院に入院したり、事故後の通院を続けます。

今回は3か月間通院したと想定します。3か月後、完治と判断された場合はそれまでの治療期間をもとに入通院慰謝料を請求します。病状固定後も、何らかの後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害等級の認定を申請して後遺障害慰謝料の請求を行います。

5、保険会社との示談交渉

加害者が加入している保険会社と慰謝料等の支払いに関する示談交渉を行います。通常は、治療費等の話もあるので、通院中に保険会社のほうから連絡がくるでしょう。

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示談は一度成立すると、後から覆すのは困難になるため、慰謝料額等で納得のいかないことがあれば、法律に詳しい弁護士などに相談するようにして安易に示談を決めないようにしましょう。

交通事故による通院3ヶ月の慰謝料請求で気を付けたいこと

基本的に交通事故の慰謝料請求では、一度示談が成立すると、後から金額の変更などはできません。ですから、請求の際には、慎重に納得のいく金額で慰謝料がもらえるようにする必要があり、その際に注意すべき点を解説します。

治療には正しい通院先を選ぶ

交通事故では通院先選びも大切です。治療は医師のいる病院を選び、担当医の指示に従って適切な頻度できちんと通院することを心がけてください。

通院する場合は、検査環境が整っており、整形外科のある医療機関を選ぶのと良いでしょう。接骨院に通われる方もいますが、接骨院でできるのは治療ではなく施術のため、診断を行ったり、診断書を発行したりすることができず、慰謝料請求で不利になることがあります。

POINT
診断書は医師だけが書くことができ、慰謝料の算定や後遺障害の認定を受ける際、非常に重要な役割を果たします。

通院は適切な頻度で続ける

通院をはじめたら、医師からこれ以上必要はないといわれるまで、決められた日にきちんと病院へ行くようにしてください。通院日数があまりに少ないと「本当は大したケガでないのでは?」と疑われて慰謝料を減額される恐れがありますし、なにより適切な治療を受けられません。

骨折で癒合を待つ間に通院期間が空いてしまうなど、特別な事情がある場合には配慮してもらえます。しかし、家庭の事情や仕事が忙しいからなどの理由で通院期間が少なくなると慰謝料も減額されることがあります。

逆に、より多く治療費を取りたいからと必要以上に病院へ行く方もいますが、医学的な必要性・合理性が認められない診療は「過剰診療」と判断され、保険会社が治療費の支払いを渋る原因になります。

POINT
通院日数は一般的に週に2~3日で月に10日以上とされています。
通院の際は、医師と相談した上で適切な頻度を守るようにしてください。

治療は完治・病状固定まで行う

治療は医師から完治または病状固定が言い渡されるまで止めないようにしてください。途中で保険会社が治療費の打ち切りを言い出してくることがありますが、まだ症状が残っている場合は応じる必要がありません。

むちうちの場合は形式的に通院3か月程度で十分と考えることが多く、治療費打ち切りを言い出してくる可能性が高いです。その場合は、治療期間が3か月以上かかることを主張して、保険会社と治療費の延長交渉を行うことが必要になります。医師にも治療を継続したい旨を訴えて、治療の必要性に関する「意見書」を書いてもらってください。

ただ、治療費の支払いは義務ではなく、保険会社のサービスのため、あなたが拒否しても打ち切られてしまうこともあります。その場合は、自分の健康保険を使って治療を続けるようにしてください。

途中で治療を止めてしまうと慰謝料が減額されたり、後遺障害認定に悪影響を与える可能性があります。なにより、症状が残ったままでは、今後のあなた自身の生活にマイナスの影響が出ることは確実です。

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治療は必ず、医師から完治か病状固定を言われるまで続けるようにしてください。

症状が残ったときは後遺障害等級認定を受ける

病状固定後も何らかの症状が残っている場合は、後遺障害等級の認定を受けて後遺障害慰謝料を請求します。医師から後遺障害診断書をもらい、自賠責損害調査事務所に後遺障害等級の申請を行います。

後遺障害の申請には、保険会社が手続きを行う「事前認定」と被害者自身が手続きする「被害者請求」の2種類があります。事前認定を利用すれば、保険会社に必要な書類を送るだけですべてやってもらえるので、手間を大きく省くことができます。

 しかし、保険会社は等級が上がるほど、支払う保険金が増えるので高い等級の認定にはあまり協力的ではありません。場合によっては不当に低い等級での認定しか受けられないことも考えられるため、後遺障害の申請はできる限り被害者請求とすることをおすすめします。

慰謝料は過失割合によって異なる

交通事故の慰謝料の請求で注意が欠かせない過失割合との関係です。過失割合とは、交通事故における被害者と加害者の過失の割合で、20対80や10対90などで決められます。被害者といえど、100%過失がないとはいえないケースもあります。

例えば、信号無視をして事故を起こした場合などは過失割合に大きく影響します。被害者側に過失があると、そのぶん慰謝料が減額されることがあり、これを過失相殺と呼びます。

上の項目では、通院3か月における慰謝料の相場を説明してきましたが、これはあくまでも相場であって、過失割合によっては慰謝料が減額されることもあると思っておきましょう。

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ただ、過失割合に関しては、保険会社の言いなりになっていると不利になることもあるため、不明な点があれば、法律に詳しい弁護士などに相談するようにしてみてください。

慰謝料の請求は弁護士基準で

上で解説したように、交通事故の慰謝料は算定基準によって金額が大きく変わり、なかでも弁護士基準がもっとも高額な慰謝料を受け取ることができます。弁護士基準の慰謝料こそ、交通事故の被害者が本来受け取るべき慰謝料額といえますし、請求は弁護士基準で行うのが望ましいといえます。

交通事故で慰謝料請求を行う際は、弁護士に相談して弁護士基準で請求することをおすすめします。その際、ポイントになるのが、交通事故に強い弁護士を選ぶこと。

弁護士基準には算定表がありますが、これはあくまでも目安であり、実際には示談交渉によって慰謝料額は変わります。交通事故の交渉に慣れた弁護士であれば、相場よりも高い慰謝料を受け取ることも不可能ではありません。

弁護士を選ぶときはホームページで何を得意としているかやこれまでの実績、評判などを確認するようにしましょう。

POINT
事務所によっては初回相談無料のところもありますし、加入している保険に弁護士特約があれば費用面の心配もなくなります。
交通事故で通院し、慰謝料を請求する際は、ぜひ交通事故に強い弁護士に相談するようにしてみてください。

まとめ

交通事故の被害者になり3か月通院した場合には、加害者に入通院慰謝料や後遺障害慰謝料などを請求することができます。慰謝料算定の基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があり、どの基準を適用するかで受け取れる金額に大きな差が生まれます。

慰謝料は今後の生活や治療のために大切なお金ですので、極めて高額で本来の慰謝料額といえる弁護士基準で請求することが望ましいといえます。交通事故の慰謝料でお悩みの方は、一度、法律に詳しい弁護士などに相談することを検討してみてください。

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