ホストラブ(ホスラブ)は、水商売系の情報を扱う電子掲示板です。ホストラブはローカルな話題が多く、誹謗中傷もよく見受けられます。
ホストラブ(ホスラブ)とは
ホストラブ(ホスラブ)とは、水商売系や風俗系の情報を扱う口コミのネット掲示板です。サイトの情報によると、利用者は月間約200万人になります。
全国の各地方ごとで掲示板が設定されており、ホストクラブ、キャバクラ、風俗など様々なジャンルで区分けされています。地域別に10の掲示板に分かれているため、ローカルな話題が多く、実際の店名や人名を冠したスレッドもよく立てられます。
ホストラブは、匿名性が高いだけでなく、アンダーグラウンドな話題が多いため、激しい口調でのレスが繰り広げられることが多く、特定人物への誹謗中傷などの問題も多く見受けられます。
中には、実名、住所、連絡先などプライバシーに関わる情報が暴露されるなど、私生活で深刻な被害が出るような誹謗中傷も発生しています。
ホストラブでの誹謗中傷の事例
ホストラブの誹謗中傷は具体的にどのようなものでしょうか。ここでは、掲示板内で書き込まれる誹謗中傷の事例を紹介します。
従業員に対する誹謗中傷
ホストラブにおける誹謗中傷で、最も一般的なのはお店で働くスタッフに対する誹謗中傷です。具体例としては、「風俗嬢の◯◯は性病持ち」などの根も葉もない噂を書き込んだり、本名や住所などの個人情報を書き込んだりすることがあげられます。
お店の客に対する誹謗中傷
ホストラブでは、お店のスタッフだけでなく、お店に通う客に対する誹謗中傷も存在します。例えば、風俗店で働くスタッフが「この前、〇〇社の社長が来たけど、とんでもなく下品でけち、不倫もしているらしい」などと、利用者に対する誹謗中傷があります。
お店自体に対して
特定の人物だけでなく、お店に対する悪評が書き込まれることもあります。
例えば、「あそこのホストクラブはホストが暴力をふるう」や「あのキャバクラはスタッフの顔面偏差値が低い」といった内容を書き込むなど、お店自体に対する誹謗中傷も一定数存在します。
ホストラブで禁止されている投稿
ホストラブでは「利用規約」が定められています。この規約に反する投稿は、利用者の承諾を得ることなく書き込みが削除され、サイトへのアクセスが制限される場合があります。
ここからは、利用規約が定めている禁止行為と、書き込みの削除基準を定めた「削除依頼ガイドライン」について解説します。
利用規約で禁止されている行為
ホストラブでは運営会社が利用者の義務や責任を定めた利用規約があります。
利用規約の中では、サイト内での禁止行為が規定されており、禁止行為にあたる投稿については、利用者の同意を得ることなく投稿が削除される場合があります。利用規約での禁止行為は以下の通りです。
- 公序良俗に反する行為、日本国の法律で禁止されている全ての行為
- 第三者の知的財産権、その他の権利を侵害する行為又は侵害する恐れのある行為
- 性器の露出、性器を描写した画像の掲載等を行う行為
- 虚偽または故意に誤解を与える発言
- 同一内容の投稿を繰り返す行為
- 本サイトの目的及び開設されたテーマとは無関係な発言
- 本サイトが禁止を明示した発言または削除した発言と同一または類似する内容の発言
- 第三者の個人情報を無断で収集、開示する行為
- 第三者に対する誹謗中傷または名誉毀損、もしくは他者に対して不利益または不快感を与えるおそれのある発言、など
その他にも、サイト側が不適切と判断した全ての行為が禁止行為にあたります。
削除依頼ガイドライン
ホストラブは、利用規約の他に「削除依頼ガイドライン」を規定しており、誹謗中傷やプライバシー侵害にあたる投稿の削除基準を詳しく記載しています。
削除依頼が認められるケースだけでなく、認められないケースについても定められています。そのため、人の名誉やプライバシーの侵害にあたる投稿を削除依頼する際には、削除依頼ガイドラインを一度確認しておきましょう。
削除依頼ガイドラインの具体的な内容は以下の通りです。
個人名、住所、電話番号、所属などの個人情報は、書き込まれた趣旨の説明や公益性がなく、誹謗中傷するために書き込んでいる場合は削除対象になります。電話番号は、一部の数字を隠している場合であっても、原則として全て削除対象になります。
一方で、情報価値や公益性がある投稿については削除されません。また、元々インターネットサイトや全国のマスメディアで公開されている情報についても削除対象には含まれません。
掲示板の趣旨に則した公益性のある情報や、直接の関係者による事実関係の記述が含まれた投稿は削除されません。
一方で、元から身元が公開されているホストや有名人を除いて、個人を特定する情報を伴った誹謗中傷は全て削除対象です。
公益性の無い私生活情報や第三者の確認できないプライベート情報は、個人が完全に特定されなくても削除対象になります。また、その投稿に中傷が伴わなくても、一律削除対象になります。
ホストラブの誹謗中傷の書き込みは削除依頼できる
ホストラブには削除依頼用の投稿フォームが設置されており、この投稿フォームを利用して削除依頼をすることができます。
削除を依頼する場合は、削除理由の他に、スレッド番号(各スレッドを指すURLの14桁の数字)と該当する投稿のレス番号(番号が複数ある場合はカンマで区切る)を記載して削除申請します。
削除ガイドラインに該当することをわかりやすく書いて削除依頼をすると速やかに削除がなされることもあるため、このような整理能力、表現能力にたけた弁護士に依頼すると、より早く削除依頼することができるでしょう。
ホストラブに書き込んだ相手を特定、訴訟も可能
ホストラブで誹謗中傷を書き込まれた場合、犯人に損害を慰謝料を請求したいという方もいると思います。損害を賠償させるには、相手の身元を特定して民事訴訟で訴える必要があります。
ここからは、誹謗中傷の発信者を特定して法的に訴える手順を解説します。
はじめに、ホストラブに対して誹謗中傷を行った者のIPアドレスの開示を請求します。
ホストラブでは匿名で書き込みができるため、サイトの運営者も、書き込みを行った投稿者の住所や氏名などの情報は保有していません。その代わりに、投稿者のIPアドレスであればサイト側が記録しているため、そのログの開示請求ができます。
開示されなかった場合は、IPアドレス等の開示を求めて発信者情報開示の仮処分を行います。仮処分とは、本裁判をせずに裁判で勝った時と同じ状態を確保する手続のことをいいます。
一般的に、裁判は判決が下されるまでに1年前後の期間を要しますが、仮処分は、数日から数週間で手続が完了するのが通例です。
ホストラブなどの経由プロバイダは通信ログを保有してますが、ログの保存期間は3ヶ月〜6ヶ月程度になります。保存期間が経過してしまうと通信ログが削除されてしまうため、時間のかかる本裁判ではなく、仮処分をする必要があります。
発信者のIPアドレスを入手できたら、その情報をもとにインターネットサービスプロバイダを特定します。スマートフォン等の携帯回線であれば、NTTドコモ、au、ソフトバンクがインターネットサービスプロバイダにあたります。
そして、インターネットサービスプロバイダに対して、発信者の氏名や住所などの情報を開示してもらうよう請求します。インターネットサービスプロバイダが請求に応じて情報を開示してくれれば、誹謗中傷を行った者を特定することができます。
ただし、プロバイダが有する投稿者の情報は顧客の個人情報ですので、プロバイダに直接請求しても開示に応じてくれることはほとんどありません。
そのため、投稿者の情報開示を求めるには、通常の民事訴訟を起こす必要があります。この場合、訴訟を提起してから投稿者の情報が開示されるまでの期間は約6か月になります。
投稿を行った者の特定ができれば、その者の法的な責任を追及することができるようになります。
以上の手続を経ることにより、ホスラブに誹謗中傷の書き込みをした者を特定し、法的に訴えることができます。
しかし、発信者に法的な責任を追及するには、発信者開示請求だけで最低2回の裁判手続きを経る必要があり、その後も民事あるいは刑事訴訟を提起する必要があります。
書き込み削除の依頼であれば個人でもできますが、裁判手続きに関してはある程度の法律知識が必要になります。
まとめ
ホスラブはネット上における夜の掲示板として有名です。ここではローカルな話題が多く、個人やお店に対する誹謗中傷の被害も多く発生しています。
ホストラブは利用規約を定めており、禁止行為に相当する書き込みは削除してもらえる場合があります。しかし、削除依頼しても必ずしも削除対応してくれるわけではないですし、犯人を訴えることもできません。
誹謗中傷してきた犯人を特定して訴えたい場合は、個人ではなく弁護士など専門家に依頼することで、スムーズにトラブルを解決できるでしょう。