誹謗中傷の示談金はいくら?ネットトラブルの慰謝料相場や示談の流れを解説

誹謗中傷の示談金はどのくらい?相場や示談の流れについて解説
執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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SNSや掲示板などインターネットネット上での誹謗中傷は、加害者が被害者に示談金を支払い解決する方法があります。刑事や民事による裁判で解決を図る方法もありますが、当事者間の話し合いにより、示談金で和解するケースが増えています。

”豊川弁護士”
この記事では、誹謗中傷で示談金により和解した事例を紹介し、示談金の相場やお金が支払われるまでの流れを弁護士が解説します。

誹謗中傷で示談になりやすいケース

示談や和解とは加害者と被害者が話し合いでトラブルを解決する行為です。ネットの誹謗中傷で示談になりやすいのは、刑事事件化したくない、損害賠償額や裁判費用を抑えたいといったケースです。

示談とは何か

示談は民事や刑事の紛争を裁判所に訴えることなく、当事者間の話し合いにで解決する方法です。通常は双方が弁護人を立て示談交渉を行います。

示談が成立すると、基本的には加害者が被害者に示談金として金銭を支払います。被害者は示談金を受け取った代わりとして、加害者と下記のような取り決めを行います。

  • 相手と裁判を起こさない
  • 告訴を取り下げる
  • 事件のことを家族や第三者に話さない

示談金の額に上限はなく、双方の合意があればいくらになっても構いません。ただ、あまりに相場とかけ離れた金額は適正ではないと判断され、後に示談が無効になる恐れがあるので注意が必要です。

示談が成立すると証拠として、示談書といわれる書面を作成し取り交わします。口頭の約束だけでも効力はありますが、後で約束を反故されたり、問題を蒸し返されたりするリスクが生じるため「示談書」の作成を行うのが一般的です。

示談に似た手続きに簡易裁判所で執り行われる調停があります。調停は当事者同士だけでなく中立な第三者である調停人を立て合意を目指すもので、どちらか一方だけ不利な条件になることはほぼありません。

和解とは何か

和解は双方の話し合いによる紛争の解決法です。法律上、示談は和解契約に当たります。

和解には裁判所を介さず当事者同士で話し合う和解(和解契約)と、裁判中に双方が譲り合い合意する和解(裁判上の和解)の2種類があります。

和解が成立すると和解契約では示談書、裁判上の和解では和解調書が作成されます。和解調書は判決と同じ効力を持ち、一度調書が出されると同じ問題による裁判で異なる判決を得ることはできなくなります。

POINT
示談ないし和解は裁判によらず、当事者同士の合意によって問題を解決する方法です。裁判で認められる結果とほぼ同じ意味を持っているため、一旦和解すると後から納得できないとなっても再び争うことはできなくなります。

示談が成立しやすいケース

ネット上の誹謗中傷で示談が成立するのは、裁判よりも示談のほうが双方にメリットがあるケースです。

”豊川弁護士”
示談のメリットや示談での解決が選ばれる理由を解説します。

早く費用をかけず解決したい

示談は裁判と比べると費用を抑えられ、時間がかからず早く結論を出すことができます。

裁判は判決が出るまで半年以上かかるのは普通で、数年かかることもあります。早く解決できれば、係争中の精神的ストレスも軽減するでしょう。また、相手に慰謝料などの損賠賠償を請求する裁判を提起すると、裁判所手数料や書類を郵送する郵便代などを支払いが発生します。弁護士を依頼すれば、裁判の期間が長くなるほど弁護士費用もかかってしまいます。

スピーディーにトラブルを解決できるのは被害者にも加害者にもメリットになりますし、できるだけ費用をかけずに示談金を受け取れるのは被害者にとってのメリットになると言えます。

刑事事件にしたくない

加害者側としては、示談は刑事事件化されずに済むメリットがあります。

被害者が誹謗中傷を受けたとして刑事告訴に踏み切ると、加害者は警察の捜査を受け、場合によっては逮捕・起訴される可能性があります。刑事裁判で有罪になれば前科が付いてしまいます。

ネットでの誹謗中傷が名誉毀損罪や侮辱罪として事件化された判例はあり、刑事責任を問われるよりも示談金を払う方が良いと考える加害者は多いでしょう。

”女性”
誹謗中傷事件で主に該当する名誉毀損や侮辱罪は親告罪にあたるため、被害者が訴えを取り下げれば刑事罰は問われず犯罪にはなりません。

慰謝料や損害賠償の金額を抑えたい

示談では慰謝料を含む損害賠償の金額を話し合いで自由に決定できるため、裁判よりも加害者が支払う賠償額が安く済む可能性があります。

また、被害者側には判決よりも加害者が慰謝料の支払いを履行してくれる可能性が高いというメリットが生じます。示談金はお互い納得した条件で合意するため、加害者の支払い能力を大幅に超える金額で示談が成立することは少ないためです。

誹謗中傷による示談金が支払われた例と支払われなかった例

実際に起きたネットでの誹謗中傷事件で示談が成立し示談金が支払われた事例、談金が支払われなかった事例を紹介します。

女優・春名風花さんのケース【示談金315万4000円】

女優の春名風花さんがX(旧Twitter)上で本人や両親に対する誹謗中傷を受けた事件です。

春名さんは投稿者の情報開示を求めるとともに名誉毀損として警察に刑事告訴を行っていましたが、示談金315万4000円で示談が成立しました。

加害者側から申し出があった金額ですが、名誉毀損による刑法上の罰金額は50万円であり示談金としてはかなり高額といえます。

 春名さんは当初、裁判できちんと判決を出してほしいと考え示談を拒否していました。しかし、実際のところ刑法上の罰金額のほうが低いため、示談に応じることを決めました。

松井一郎大阪府知事と新潟県知事のトラブル

2017年、当時の新潟県知事だった米山隆一氏に「異論を唱える人間を叩き潰して党への恭順を誓わせる」等とX(旧Twitter)に買い込まれた当時の松井一郎大阪府知事が名誉毀損として訴えたものです。

松井知事は550万円の損害賠償を請求し2018年9月、大阪地裁は33万円の支払いを命じる判決を下しましたが、後に2人の間で和解が成立し、お互いに今後は一切誹謗中傷しないことや双方とも賠償義務を負わないことで合意しました。

 一旦、賠償金の支払いを命じる判決が出たものの控訴がなされ、その後和解が成立し慰謝料の支払いが必要なくなる事例もあります。

誹謗中傷による示談金の相場

話し合いによる示談金と裁判の判決による慰謝料・損害賠償金はそれぞれ異なりますが、支払われる相場に大きな違いは見られないのが現状です。

示談金の相場

示談金の相場は被害者が個人であれば、多くても50万円ほどです。刑法で定められている名誉毀損の最高罰金額50万円が目安の1つになっているためです。

被害者が事業者や企業の法人、芸能人など社会的な評価に大きく影響される立場の人では、金額が高額になる傾向があります。50万円~100万円以上になる事例もありました。

示談金は双方が合意すれば公序良俗に反しない限り高額な金額にしても問題はなく、相場より高額になる可能性はあります。また、被害者が書き込みの削除や投稿者の情報開示にかかった費用が含まれることがあります。

”豊川弁護士”
誹謗中傷による示談金の相場は被害者が個人か法人か、有名人かなどによって違ってきます。

訴訟における慰謝料請求の相場

損害賠償は民法上の不法行為に支払われる賠償金を指し、例えばケガの治療費なども含まれます。慰謝料は損害賠償のうち、精神的苦痛に対する賠償金を指す言葉です。

裁判で決定する名誉棄損の慰謝料・損害賠償の相場は以下のようになり、実際のところ示談金と大きく変わるわけではありません。

  • 個人の場合:10万円~50万円
  • 事業主・企業の場合:50万円~100万円

ただ、あくまでも相場であり、裁判での請求金額では数百万円が請求されるケースはあります。個人に対し100万円を超える支払いが命じられた判決も存在しています。

示談金が支払われるまでの流れ

ネット上での誹謗中傷で示談金が支払われるまでの流れを解説します。

書き込みを証拠として保存する

ネットで誹謗中傷の書き込みを見つけたら、証拠保全を行うのが重要なポイントです。削除依頼を出す前にURL付きで対象の投稿をプリントアウトするか、スクリーンショットや画面の写真を撮影し証拠を保存するようにしてください。

 書き込みが消されると証拠がなくなってしまい、示談でも裁判でも不利になリスクがあります。

IPアドレス開示請求

書き込んだ犯人を特定します。

示談や訴訟するにあたり、匿名アカウントの投稿者が誰なのか特定する個人情報が必要になり、入手するには二度の情報開示請求を実施します。一度目は投稿されているサイトやSNSの運営会社・管理者(コンテンツプロバイダ)に対し、投稿者のIPアドレスやタイムスタンプの開示を求めます。

しかし、利用者のプライバシーを保護する観点から任意では対応してくれる事例は少なく、拒否されたら裁判所に開示仮処分の申立を行います。

接続プロバイダへの情報開示請求

裁判所から開示の仮処分が下されIPが開示されたら、それをもとに相手の利用している接続プロバイダを特定します。そして、プロバイダ責任制限法第4条に基づき、発信者の情報開示請求を行います。

プロバイダは名前や住所など個人情報を開示しても良いか確認する書面を投稿者に送付します。期限までに回答がなかったり投稿者が情報開示に同意しなければ、裁判所に開示を求める訴訟を起こします。

裁判所が開示請求を認めると接続プロバイダに情報を開示するよう命令が出され、相手の氏名や住所といった個人情報が分かるようになります。

法改正により2022年10月には発信者情報開示を1度の手続きで行える新たな裁判手続き(非訟手続き)が制定されています。従来よりも迅速に情報を開示できるようになりました。また、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)が2025年4月1日に施行されています。

示談金を決定する

加害者を特定できたら、示談民事での慰謝料請求や名誉毀損などでの刑事告訴が可能になります。

加害者に民事・刑事上の責任を追及する気持ちがなければ、話し合いによる示談で決着を試みます。被害者は双方が合意した金額の示談金を受け取れます。

示談金の交渉は弁護士へ相談を

ネット上での誹謗中傷トラブルは、弁護士に相談し解決を図るのがおすすめです。

示談金の額を決めるには双方で示談交渉をする必要がありますが、自分だけで対処するのは難しいのが現状です。ケースにより示談金の金額も違ってきますし、双方の主張が食い違うことは少なくありません。被害者も加害者も納得する適正な金額を決定するためには弁護士に代行してもらうのが良いでしょう。

また、裁判になった際は法律の知識が必要になります。相手を訴えたい、訴えを取り消してほしいといった状況ならば、弁護士の力が必要になると言えるでしょう。裁判と示談どちらにすべきかの判断も弁護士がアドバイスしてくれます。

弁護士費用が気になりますが、初回の相談は無料のサービスを実施している弁護士事務所があります。費用はかかりませんので、気軽に相談できます。

”女性”
インターネット上の誹謗中傷では情報開示など複雑な手続きも発生します。一人で悩むよりも、弁護士のサポートを受け解決を図ってください。

まとめ

ネットでの誹謗中傷は当事者同士が話し合う示談交渉で示談金を決めることができます。

示談は裁判よりも早く決着できる可能性が高いですし、被害者側はコストを省ける、加害者は刑事事件化にせず済むといったメリットがあります。

示談金の相場は個人なら10万~50万円程度が相場ですが、ケースバイケースであり個人間で金額を判断するのは難しいと言えます。加害者も被害者もスムーズに解決するには、弁護士に相談するのが良いでしょう。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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