はてなブログとは
はてなブックマークなど様々なwebサービスを提供している「株式会社はてな」が運営するブログサービスです。
自分なりのブログデザインを選択したり、写真や動画、Twitterの引用などをボタン1つで貼り付けられたりと自由度が高く、誰でも簡単に個性的なブログを作れるのが魅力です。ライブドアブログやFC2ブログなど、他のブログサービスと同じく、会員登録すれば無料で利用できます。
FacebookやTwitterなどSNSとの連携に優れており、スマートフォンやタブレットにも対応。いろいろなところから手軽に読め、読んだ人は気軽にコメントできる形式になっています。
検索に強いはてなブログ
はてなブログはブログには、検索にヒットしやすく、万一誹謗中傷などの被害に遭ったときには情報が拡散しやすい傾向にあります。
はてなブログは、ブログ開設の初期段階でSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)の設定が簡単にできることでも有名です。SEOの対策がしっかりしていると、GoogleやYahoo!などで検索したとき、他のブログやwebページと比べて上位表示されやすくなる可能性があります。
通常、検索を利用するユーザーは、1ページ目や2ページ目など上位に表示されているサイトしか見ないため、はてなブログは多くに多くのユーザーから閲覧される傾向があるといえます。
さらにSNSとの連携や使いやすいコメント機能なども手伝って、注目度の高い記事はすぐに拡散される傾向にあります。この特徴は、アフィリエイトなどで収益化している人にはとても魅力的といえるでしょう。
はてなブログへの書き込みによる影響
実際に、はてなブログで悪い書き込みの被害に遭った場合に考えられる影響を紹介します。
ブログへの誹謗中傷のコメント
自分のブログに記事の内容や作者自身を誹謗中傷する口コミコメントを書き込まれると、それを見た他の読者がコメントを信じてしまい、ブログの閲覧者が減ってしまったり、あなたへのイメージダウンにつながることがあります。
いわれのない誹謗中傷は名誉毀損などの犯罪行為に該当する可能性があり、過去にはネットやSNSの投稿が原因となって名誉毀損で逮捕されたケースもあります。
飲食店へのネガティブな投稿
「あの店の接客は最悪だった」「ひどい味。全然おいしくなかった」など飲食店に対するネガティブな内容の記事を投稿したり、店舗紹介の記事にクレームのようなコメントを書き込むと、風評被害により実際にその店舗の客足が悪くなり、営業妨害につながる可能性があります。
こうした書き込みは、内容が誇張されていたり、事実無根であるケースも多く、悪質な投稿を繰り返す場合は、名誉毀損や業務妨害など犯罪に該当することも考えられます。
プライバシー侵害の書き込み
実名や住所など個人を特定できる情報はもちろん、例えば前科情報など他人に知られたくない情報をブログなどに書き込むのもプライバシーの侵害にあたります。
ネット上には、犯罪事件の容疑者や加害者、不祥事を起こした企業の情報などをまとめたブログも存在していますが、こうしたブログもプライバシー侵害につながりやすいといえます。犯人の住所や名前、家族の情報などを知っていて、ブログのコメント欄に書き込んで情報提供するのも同様です。
はてなブログで禁止されている行為
はてなブログで誹謗中傷の書き込みやコメントによる被害を受けた場合、ガイドラインに違反しているかどうかが削除判断のポイントになります。
はてなブログで禁止されている行為については、「はてな利用規約」や「はてなブログのガイドライン」「はてな情報削除ガイドライン」に記載されています。
禁止事項としては、
- 著作権など知的財産権を侵害する行為
- プライバシー侵害
- 名誉毀損行為、侮辱行為や他者の業務妨害となる行為
- 詐欺行為
- 犯罪予告
- 人種、民族、性別、社会的身分、居住場所、身体的特徴などによる差別的表現行為
- ポルノなど倫理的に問題のある有害、下品な行為
- 迷惑行為、嫌がらせ
- なりすまし
などがあります。
誹謗中傷も禁止行為に含まれているため、こうした書き込みやコメントであれば削除の対象になるといえます。
はてなブログの書き込みの削除方法
続いて実際に、はてなブログの書き込みを削除する方法を解説します。はてなブログでの削除申請については「はてな情報削除の流れ」に詳しく記載されているため、まずはこちらに目を通しておきましょう。
はてなブログでの書き込み削除には、他人のブログでの記事やコメントを削除するケースと自分のブログに誹謗中傷コメントが書き込まれたケースで対応が異なります。
他人のブログの書き込みを削除する場合
他人のブログの書き込みやコメントを削除する場合は、運営である「はてな」に削除の申立を行い、はてなの判断により処分の方法が決まります。
申立から処理までは、以下のような各種フェーズに分かれています。
- はてなによる申立の受理
- はてなによる調査
- はてなによる処理
それぞれの詳細を見ていきましょう。
申立者がはてなに対して削除の申立を行い、はてなが内容に不備がないことを確認し受理するまで。申立は文書、メール、FAXのいずれかの手段で行うことができます。
メールによる送付先:cs@hatena.ne.jp
FAXによる送付先:075-241-9949
はてなブログにはお問い合わせフォームもありますが、削除申請には上記のメールアドレスを利用するほうがいいでしょう。
申立には、
・住所
・氏名
・連絡先
・侵害情報に関する各情報(URL、書き込みの内容、侵害されている権利、侵害されている理由の4つ)
・ 送信防止措置を希望する意思表示
・ 発信者への氏名開示の可否
・ 申立内容の公開の可否
などの情報を不足なく添付する必要があります。
はてなでは、連絡先からの本人確認や侵害情報の確認を実施し、受理するかを判断します。申立者が確認できない、侵害情報が見つけられないなど、内容に不備があった場合、はてなは5営業日以内に判断の理由を付して再度の申立を要請します。
申立が受理されると、その内容に基づき、はてな運営が依頼を受けている情報について他人の権利を侵害しているか、はてなの利用規約に反するものかを判断します。
申立のあった情報が他人の権利を侵害しており、利用規約にも反していると判断されると、はてなは該当の情報に関して送信防止措置を実施します。送信防止措置を行う場合、はてなは書き込みを強制的にプライベートモードに固定するとともに、投稿者に削除を促すなど自発的な方法を要請します。
反対に、送信防止措置をとるべきと判断できなかった場合、はてなは投稿者に対して照会を実施します。照会を行った日から7日以内に投稿者から送信防止措置に同意しない旨の申立がなかった場合や反論に明らかに根拠がないと考えられる場合、はてなは該当情報の送信防止措置をとり、申立者と投稿者の両方に通知します。
もし7日以内に投稿者から反論があり、それが明らかに根拠のないものと思われない場合、はてなは申立者と投稿者の意見仲介や両者の直接交渉により、当事者間での自主的な問題解決を促します。
双方の連絡先は、はてなから伝えられると思われますが、その後の交渉は基本的に個人間でのやり取りになり、相手に書き込みを削除してもらうのは難しいと考えられます。
自分のブログについてコメントを削除する場合
続いて、自分が管理しているブログで読者に誹謗中傷のコメントを書き込まれた場合の対応です。はてなブログのガイドラインでは、自分が作成しているブログ内のコンテンツは、記事本文だけでなく、コメント欄についても管理は自身の責任で行うものとされています。
自分のブログに、スパムコメントや自分および第三者の権利を侵害するコメントが投稿された場合、自分自身で責任をもって削除や非表示の対応をとる必要があります。
ブログ管理者は、自分のブログに投稿されたコメントの削除や表示・非表示の設定、承認制の適用のほか、特定の投稿者をブロックすることもできます。
こうした判断は管理者が自由に行え、投稿者が異議を唱えたりすることはできません。つまり、自分のブログであれば誹謗中傷のコメントが書き込まれてもすぐに削除や非公開、コメント欄の閉鎖等の処置がとれます。
はてなへの申立による削除ができなかった場合
はてなブログに削除申立を行ったものの、受理されなかったり、調査の結果、削除できないと判断されてしまった場合には、裁判所に削除仮処分の申立を行い、法的手段により書き込みの削除を行うことができます。
仮処分とは、裁判所が行う暫定的な処置で、判決と同様の効果をもち、裁判よりも早く結果が出るのが特徴です。通常の裁判であれば判決が出るまでに半年から1年ほどかかるところ、仮処分なら1~2か月と非常に短期間で済みます。
削除できた場合にも注意が必要!! Googleの検索結果を消す方法
はてなブログへの申立が認められた場合や仮処分による削除で書き込みが消されたとしても、それだけではまだ安心できません。記事やコメント自体は削除されても、Googleの検索結果から消えるにはしばらく時間がかかるため、その間、検索したユーザーの目に触れる恐れがあります。
これは、検索エンジンにはキャッシュが残ってしまうことが原因です。この場合、対処法は2種類考えられます。
1つは自然に消えるのを待つ方法。時間が経てば、いずれGoogleのクローラーがページの削除を検知し、検索結果からも該当の書き込みは削除されます。しかし、いつ消えるかは分かりませんし、長い場合には半年以上かかるともいわれます。
削除された書き込みが少しでも他人に見られるのが嫌だという場合にはもう1つの方法として、Googleサーチコンソールを利用し、Googleに「古いコンテンツの削除」を依頼することで削除を早められます。
Googleサーチコンソールの削除の項目から「新しいリクエスト」を選び、削除したいページのURLを入力してGoogleにリクエストを行います。承認されるとGoogleから該当ページのキャッシュとスニペットの削除が実施されます。
はてなブログの投稿やコメントが削除されない場合の対処法
はてなブログの投稿やコメントははてな運営に削除依頼しても、すべての書き込みが削除されるわけではありません。しかし、放置すると、誹謗中傷にあたる投稿が半永久的に残り、はてなブログ以外にも拡散する可能性があります。
そのため、悪い書き込みに対しては早急に対策をとらなくてはいけません。投稿の削除が認められなかった場合の対処法を解説します。
投稿が削除されないときは弁護士に相談を
はてなの規約に違反していないと判断された場合には削除してもらえない場合もあります。そうしたとき、削除仮処分のような法的手段を利用して削除する方法もあるのですが、知識のない一般の方には手続きが難しくなっています。
そのため、仮処分を検討している方は、一度、弁護士など法律の専門家に相談してみてください。
悪質な投稿には法的措置の検討も
はてなブログの誹謗中傷で著しい被害を受けた場合には、法的措置をとることも検討しましょう。ネットの書き込みとはいえ、なかには刑法上の犯罪に該当するケースも存在します。
はてなブログで書き込みの投稿者を特定する
はてなブログで書き込みやコメントの投稿者は、プロバイダ責任制限法第4条による発信者情報開示請求によって特定することができます。通常、相手を特定するためには2回の開示請求が必要になります。
1度目は、はてな運営に対して投稿者のIPアドレスなどの開示を請求し、これをもとに相手の利用しているプロバイダを特定します。任意で開示してもらえない場合には、ここでも裁判所に仮処分を求めることになり、開示仮処分の申立を行います。
2度目の請求はプロバイダに対して行い、氏名や住所など投稿者の個人情報開示を求めます。プロバイダへの請求も多くの場合は拒否されるため、法的手続きが必要になります。こちらは仮処分ではなく、正式な裁判で開示を求めるため、判決が出るまでに8~10か月程度の期間を要します。
プロバイダへの訴訟では、プロバイダが保有しているアクセス記録の保存期間が決まっており、裁判が長引くと情報が消去されて勝訴しても開示ができなくなる可能性があります。これを防ぐため、プロバイダに対するアクセス記録削除禁止仮処分を求めておくと安心です。
投稿者の法的責任の追及
投稿者を特定した後、相手の法的責任を追及することが可能になります。法的責任には、民事と刑事の2種類があります。
民事責任……名誉毀損や業務妨害など不法行為に対する損害賠償・慰謝料の請求。
刑事責任……刑法上の犯罪行為。はてなブログへの投稿では、具体的な事実に基づいた誹謗中傷なら名誉毀損罪が、嘘の情報で信用を傷つけられた場合には信用毀損罪などの罪が当てはまります。
まとめ
はてなブログは誰でも手軽にブログ作者になれる人気のサービスですが、なかには、誹謗中傷など悪い投稿やコメントが書き込まれることもあります。SEO対策のできるはてなブログは検索にも強く、放っておくと他のサイトやSNSにも拡散してしまう危険があり、早めの対策が求められます。
はてな運営への依頼で削除してもらえないものに関しては、削除仮処分で削除を求める必要がありますし、悪質なものについては法的措置の検討も必要です。複雑な法律手続きには専門知識が求められるため、個人で行うのは難しい可能性があります。
はてなブログの投稿にお悩みの方は、弁護士など法律の専門家に相談し、今後の対応を検討するようにしてみてください。