名誉毀損とは?判例を紹介しつつ認められる基準を弁護士が解説

名誉毀損の判例を確認し、名誉毀損の知識を深めよう
執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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インターネット上などで誰かに名誉を傷つけられたと感じても、実は名誉毀損に当たらない可能性はあります。名誉毀損を成立させる要件を満たしているか確認する必要があり、自身の被害が名誉毀損に該当するのかひとりで判断するのは難しいと言えるでしょう。

”豊川弁護士”
どのようなケースが名誉毀損に当たるのか確認できるよう、本記事では過去に起きた名誉毀損と判断された事件の判例を職場やSNSなどケース別に紹介します。

名誉毀損と判断された5つの判例を紹介

実際に起きた名誉毀損の判例を5つ紹介していきます。1つの1つの事例は職場であったり、ネットの書き込みが原因であったりと、私たちの日常生活においても起きる可能性があるものばかりです。

過去の判例からどのような行為が名誉毀損に該当するのか確認してください。

判例1:職場内のメールが名誉毀損と判断された事件

2005年4月20日に東京高裁にて、ある保険会社のサービスセンターで起きた部下を叱咤するメールのやり取りが名誉毀損と判断された判例です。

センター所長のAさんは部下であるエリア総合職の課長代理Bさんの仕事ぶりに以前から不満を感じていました。Bさんの案件処理状況が他の社員と比べると明らかに劣ると思えため、AさんはBさんを叱咤する目的で以下のようなメールを送ります。

「やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います。当SC(サービスセンター)にとっても、会社にとっても損失そのものです。」「あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の実績を挙げますよ。……これ以上、当SCに迷惑をかけないで下さい。」

さらに、このメールはBさん本人だけでなく、職場の同僚ら十数人にも同時に送信されていました。

メールにはBさんに対する侮辱的な表現退職勧告と取れるような内容が含まれており、Bさんは名誉毀損およびパワハラとしてAさんを不法行為で訴えました。

 裁判の結果、パワハラは認められませんでしたが名誉毀損は認められ、Aさんに対し5万円の損害賠償支払いが命じられています。

この判例では他の社員にもメールを送信した行為により名誉棄損が成立したといえます。

名誉毀損が成立する条件の1つに「公然性」があります。たとえ悪口であっても、多くの人が見たり聞いたりできる状態でなければ名誉毀損には該当しないのが通常であり、Bさんとの1対1でのやりとりであれば結果は変わっていた可能性があります。

”豊川弁護士”
慰謝料は少額ですが、職場内のメールでも名誉毀損罪と判断される判例があります。

判例2:SNSでの同級生に対する誹謗中傷の事例

兵庫県神戸市内の大学生が高校の同級生だった男性になりすまし、X(旧Twitter)上で卑猥な内容を投稿した事件の判例です。

X(旧Twitter)のアカウントを共同で管理していたAさんとBさんは大学在籍時に高校時代の同級生だったCさんを名乗り、性的で卑猥な内容や薬物依存症をイメージさせる内容を何度も投稿しました。しかもCさんの画像も添付していました。なかには96万人ものフォロワーがいるアカウントに返信するかたちで投稿されたものもあり、大勢のユーザーの目に触れる状態でした。

 2019年、Cさんはなりすまし投稿による名誉毀損の被害を受けたとして2人を訴えました。結果、2021年5月、AさんとBさんに対し慰謝料合計55万円の支払いを命じる判決が出されました。

問題のX(旧Twitter)アカウントは2人で管理していたもので、投稿者の一方は自分には関係ないと主張しました。しかし、判決では投稿内容を知りながら削除せず放置したと認定され、損害賠償は2人で支払うとの命令が下されています。

裁判では2人の投稿はCさんが公の場で卑猥な発言をする人間のようなイメージを与え、社会的な信用を低下させ名誉を貶めるものだったという趣旨の判断がされています。

この例では第三者になりすまし作成したアカウントでの投稿も、名誉毀損に問われる可能性があることがわかります。

POINT
最近ではスマホを持つのが当たり前になり、誰もがSNSに触れる機会が多くなりました。結果、他人名義での投稿が原因で名誉毀損罪に問われるケースは増えています。

判例3:ラーメン店に対するSNSでの名誉毀損事件

福島県郡山市で人気のラーメン店に対しSNSやインターネットで事実無根の書き込みを行い、店の評判を害したとして名誉毀損が成立した判例です。

加害者はもともと客の1人だったAさんで、SNS上に繰り返し誹謗中傷の書き込みをされるようになりました。被害は1年以上にわたって続き、店の評判や信用を傷つけられたと考えた店主のBさんは2019年7月、110万円の損害賠償を請求する裁判を提起しました。

AさんはSNSやグルメサイト等に多くの口コミを投稿しており、最初はBさんの店には好意的な投稿をしていました。しかし、BさんがAさんのアドバイスに従わなかったことから関係が悪化します。Aさんはネット上に、

「アホなラーメン専門店、反社会勢力を使うのではなく当たり前のように業務用スープを使っていたからだ、犯罪に手を貸したのも明白になってるのに?」「作ってるのに店に匂いがしないなど作ってない証拠だ。(中略)いい加減、虚偽するのは止めたらどうか」「作ってもいないのに、一から作っているような虚偽を公表し、犯罪まで犯し謝罪もなにも無しに営業している最低のラーメン屋」

など、事実とは全く異なる内容の攻撃的な書き込みを投稿するようになりました。

Aさんの口コミは、常連客が来なくなるといった客離れにつながりました。

 2020年7月の判決ではAさんの名誉毀損を認め、Bさんに対し損害賠償11万円の支払いを命じています。

請求額に対し実際の賠償額がかなり低く思えますが、Aさん個人の発信力が限られており社会的影響力は低かった点が考慮されたためです。もしAさんが有名人であったり、フォロワー数が多ければ慰謝料も上がった可能性があります。

Bさんは裁判ではなく直接Aさんに書き込みを止めてもらうよう頼もうかと考えたそうです。しかし、「ラーメン屋が謝りに来た。やっぱり業務用スープを使っていたんだ」といった悪意のある投稿をされると思い、訴訟という手段を選んだとのことです。

名誉毀損をした相手に反省を促したり、当事者間での話し合いにより解決するのは難しいのが現状であり、早く解決するには法的措置が良いケースと言えるでしょう

”豊川弁護士”
飲食店に対するあまりに行き過ぎた口コミ投稿は、名誉毀損に該当し損害賠償の対象になる可能性があります。

判例4:あおり運転デマ投稿の事例

2017年10月に起きた東名高速道でのあおり運転事件に関し、全く無関係の建設会社をあたかも加害者の勤務先であるかのようなデマの書き込みを行った事件の判例です。

 投稿者Aは書類送検され2021年5月、福岡高裁で30万円の罰金支払いが命じられました。

この事例では掲示板に犯人の親が建設会社を経営しているという書き込みがあった直後に、Aさんは「これ違うかな?」と全く関係ない会社のURLを投稿していました。

裁判で弁護士側は投稿者自身に確信はなく確認をとるための投稿だったとして無罪を主張しましたが、認められませんでした。

POINT
最近では、事件の加害者や関係者の個人情報をネットに書き込むケースが増えています。加害者が本当の情報だと信じているいないに関わらず、相手の名誉を傷つける内容であれば名誉毀損が成立する可能性があります。

判例5:女性研修医によるトイレへの中傷ビラ貼り付け事件

2017年5月、奈良県内の公立病院に勤務する女性研修医Aさんが、知人の男性Bさんを実名で誹謗中傷する内容のビラを大阪市内の病院トイレに貼って回った事件の判例です。

「Bは最低最悪の人間です。存在価値がありません」と書かれたビラが複数のトイレに貼られました。病院関係者からの連絡でビラの存在を知ったBさんは、警察に相談し被害届を提出しました。

警察による捜査の結果、防犯カメラの映像などから特定されたAさんは、2017年6月に名誉毀損の容疑で逮捕されています。

大勢の前で悪口を言ったり、中傷ビラを撒く行為には公然性があるとみなされるため名誉毀損が成立します。

 SNSやインターネットだけでなく、リアルでの行為も名誉毀損の対象になります。この事例では後に示談が成立したためAさんは不起訴になりましたが、名誉毀損で警察に逮捕されるケースがあることがわかります。

名誉毀損が認められるかの判断

名誉毀損が認められるかの判断は3つの要件が焦点になります。

  • 具体的な事実を摘示している
  • 社会的な評価を低下させている
  • 不特定多数の第三者が認識できる公然性のある状態

名誉毀損罪は相手の名誉を傷つける行為をすると成立します。悪口や店舗の口コミ、デマなど形を問わず、相手の社会的評価を下げ誹謗中傷する内容であれば当てはまります。

そして、公然性があるかという条件がありますので、誹謗中傷が大勢の人の目に触れたり聞かれたりする状態であるかもポイントです。

”女性”
自分と相手にしか見えない聞こえない1対1のような状況は名誉毀損になりません。

ただ、本来はプライベートなやり取りであるメールでも、職場の全員に送信したなど多数の人が閲覧できる状況であれば公然性が認められます。また、誹謗中傷の内容が真実か嘘かに関わりなく成立するため、本人がデマか事実かわかっていなくても罪になります。
参考:刑法第230条

名誉毀損に該当するかの判断は難しい

名誉毀損は個々の事例により基準は異なり、普通の人には判断が難しいと言えます。自身が受けた誹謗中傷の被害が名誉毀損に当たるかお悩みであれば、法律に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。

弁護士は投稿の削除をはじめ、加害者に対して名誉毀損罪としての告発や損害賠償請求など、それぞれの状況に応じた対応ができるよう、適切なアドバイスをしてくれます。

ただ、SNSや掲示板に掲載されているコメントは、一定の期間を過ぎると通信記録が削除されてしまい犯人の特定が難しくなります。投稿者が分からないと訴訟ができないなどできることが限られてしまいますので、早めに弁護士に依頼し解決を図りましょう。

初回の相談料が無料の弁護士事務所なら、費用を気にせず気軽に相談できます。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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