自己破産が連帯保証人へ与える影響と対策方法について

個人再生

一般的に「連帯保証人にはなるべきでない」と言われますが、具体的な理由は何なのでしょうか。この答えは、債務者が自己破産をした場合に、顕著に現れます。

そこで今回は、自己破産が連帯保証人に与える影響とその対策などについて、詳しく解説していきたいと思います。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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自己破産による連帯保証人への影響

連帯保証人は、債務者が自己破産をすることにより、以下のような影響を受けることになります。

(1)自己破産された業者は債権をどこに請求する?

自己破産を申立て、裁判所から免責の許可を受けると、債務者は借金の返済義務を免除されることになるため、債権者は貸し付けたお金を債務者から回収できなくなります

しかし、連帯保証人がついている場合には、債務者本人から回収することを諦め、連帯保証人からお金を回収しようとします。
そのため、債務者が自己破産をした場合、債権者は連帯保証人に借金の返済を請求することになります。

(2)保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人は、債務者の借金を保証する点では同じですが、権利の有無や責任の範囲において違いがあります。
具体的に、保証人には、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の3つの権利が認められていますが、連帯保証人には、これらの権利が認められていません

「催告の抗弁権」とは、借金の支払いについて、債務者に先に請求するよう主張できる権利です(民法452条本文)。
そのため、保証人は、催告の抗弁権を行使することにより支払いを拒否することができます。他方で、催告の抗弁権が認められていない連帯保証人は、債権者から返済を求められると、返済しなければなりません。
ただし、単なる保証であっても、主たる債務者が①行方知れずであるとき、または②「破産手続開始の決定」を受けたときには、この権利を主張することはできません(民法452条但書)

保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない(民法453条)。これを「検索の抗弁権」という。

そのため、保証人は、債務者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、支払いを拒否できます。

他方で、検索の抗弁権が認められていない連帯保証人は、債権者から返済を求められた場合は、債務者の資力を問わず、借金を返済しなければなりません。

「分別の利益」とは、複数の保証人がいる場合に、保証人の頭数で割った範囲でしか返済義務を負わないことをいいます。
たとえば、200万円の借金について、保証人が2人ついている場合、各保証人は、200(万円)÷ 2(人)=100万円の範囲でしか返済義務を負いません。

この例では、100万円を超えた部分の返済を求められた保証人は、その超えた部分について返済を拒否することができます。

他方で、分別の利益が認められていない連帯保証人は、連帯保証人の人数に関わらず、借金の全額を返済する必要があります。

保証人と連帯保証人の間には、以上のような違いがありますが、債務者が自己破産をして免責の許可を得ると、債務者は返済しなくてよくなります。
そのため、保証人はこれらを主張できなくなります(分別の利益を除く)。

 また、保証人が複数いれば、分別の利益が認められるため、保証人の数に応じた範囲でしか返済義務を負いませんが、保証人が一人しかいない場合は、実質的に連帯保証人と変わらないことになります。
執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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(3)連帯保証人に対する請求は一括

民法や契約の約款上、債務者が「破産手続きの開始決定を受けたとき」は、期限の利益を喪失すると定められています(民法137条1号)。
ここでいう「期限の利益」とは、債務者と債権者の間で決めた期限までは返済しなくてもよいとする債務者に認められる利益のことです。期限の利益を喪失した場合、債務者は、原則として、残債を一括で返済しなければなりません。

そのため、遅くとも、債務者が破産手続きの開始決定を受けた時点で、債務者は期限の利益を喪失し、連帯保証人は、一括での支払いを請求されることになります。

連帯保証人は、保証債務を負っていることから、債務者が滞納している借金を全額返済する義務を負っています。そのため、債務者が自己破産した場合はもちろんのこと、自己破産をしていない場合であっても、債権者から返済を求められれば、借金を返済しなければなりません。

一括請求を受けた連帯保証人ができる対応

一括請求を受けた連帯保証人がとることのできる対応として考えられるのは、以下のとおりです。

(1)借金を肩代わりして支払う

連帯保証人に一括で支払えるだけの余裕があれば、借金を返済して、保証債務を消滅させることができます。

本来、連帯保証人が債務者に代わって借金を肩代わりすると、連帯保証人は、債務者に対して、肩代わりした分を返還請求する権利を取得します(「求償権」といいます)。
しかし、債務者が自己破産をした場合、連帯保証人は求償権も免責の対象となる債権であるため、求償権を行使することはできません。したがって、肩代わりした分の返済を受けることはできません。

(2)債務整理をする

連帯保証人が借金を肩代わりするできない場合は、債務者と同様に債務整理を検討する必要があります。
この場合、連帯保証人の債務や収支の状況に応じて、任意整理や個人再生、自己破産といった債務整理の方法から適切な方法を選ぶことになります。

以上からもわかるように、債務者が自己破産をした場合に、連帯保証人にできることは限られています。借金を一括で支払える資力があれば、借金を肩代わりして保証債務を消滅させることができます。
ですが、連帯保証人に資力がなければ、最悪の場合、債務者に続いて、連帯保証人も自己破産をすることを余儀なくされるのです。

連帯保証人が先に自己破産した場合

連帯保証人が保証債務のほかにも借金を背負っていて、その借金を返済できなくなったことによって、自己破産をしてしまうようなケースがあります。
この場合、債務者はどのような影響を受けるのでしょうか。

債務者への請求は今まで通り?

先に見たように、債務者には期限の利益が認められています。期限を守ってきちんと返済し続けているかぎり、債務者は期限の利益を喪失しないため、連帯保証人が自己破産をしても、一括請求を受けるといった事態にはなりません

また一般的に、金銭消費貸借契約(借金をする際に締結する契約)において、「連帯保証人が自己破産したとき」という定めが期限の利益の喪失事由とされることはほとんどありません。

代わりの連帯保証人を求められる場合も

連帯保証人が自己破産をしてしまうと、債権者は、債務者への貸付けに対する担保を失うことになります。そのため、債権者によっては、新たに別の連帯保証人をつけることを求めてくる可能性があります。

連帯保証人が自己破産をしたとしても、それにより、債務者に与える影響は比較的小さいといえます。
債務者は、期限に遅れることなく借金を返済してさえいれば、連帯保証人が自己破産をしたとしても、特段大きな影響を受けることはないでしょう。

連帯保証人まとめ

債務者が自己破産をした場合に、連帯保証人に与える影響は極めて大きいです。当然ではありますが、安請け合いするものではありません。

また、連帯保証人に十分な資力があれば問題ありませんが、債務者が自己破産をしたことで、連帯保証人自身も自己破産を検討すべきケースもあります。自己破産をすると場合によっては住宅や車などを手放さなければならず、クレジットカードなどが作れないなどのデメリットもあります。

債務者が自己破産の危機に陥ってしまった場合には、連帯保証人の方は可能な限り早めに対策を講じることが大切です。

あまた法律事務所は、法律相談は無料となっています。ぜひお困りの場合は一度ご相談ください。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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