交通事故で鎖骨骨折した場合の後遺障害等級・慰謝料・示談までの流れを解説!

「交通事故で鎖骨を骨折したけれど、後遺症は残るの?」

「慰謝料や後遺障害等級は、どれくらいになるのか知りたい」

このような不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

鎖骨骨折は、治療中の記録の残し方や示談の進め方しだいで受け取れる賠償額が数百万円単位で変わることがあるケガです。

鎖骨は肩と胸をつなぐ細長い骨で、バイクや自転車の転倒、シートベルトによる圧迫などで折れやすい部位です。

骨がついたあとも、肩の動かしにくさや骨の変形が残るケースは少なくありません。

こうした症状が後遺障害等級に認定されるかどうかで、補償額は大きく変わります。

本記事では、交通事故による鎖骨骨折の後遺障害等級と慰謝料の相場を解説します。骨折の種類や治療期間の目安、治療中から準備しておきたいことも整理しました。

保険会社とのやり取りに不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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この記事の目次

交通事故の鎖骨骨折とは?骨折の種類・治療法・回復期間の目安

鎖骨骨折は、交通事故のケガのなかでも発生しやすい骨折のひとつです。

折れた位置やずれの大きさによって、治療法や回復までの期間が変わります。

後遺症が残るリスクも骨折のタイプで異なるため、まずはご自身の骨折がどれに当たるかを確認しましょう。

鎖骨骨折の多くは手術をしない保存療法で治療しますが、骨のずれが大きいと手術が選ばれます。

ここでは、骨折の種類・治療法・回復期間の目安を順に解説します。

診断直後に確認したい鎖骨骨折の3つの種類(骨幹部・遠位端・近位端)

鎖骨骨折は、折れた位置によって「骨幹部」「遠位端」「近位端」の3種類に分けられるのがポイント。

鎖骨は、胸の中央(胸骨)から肩先(肩峰)までをつなぐS字状の骨。

中央部分の「骨幹部」、肩側の「遠位端」、胸側の「近位端」のどこが折れたかで、治療の進め方が変わってきます。

種類折れた位置特徴治療の傾向
骨幹部骨折鎖骨の中央部分鎖骨骨折で最も多いタイプ保存療法が中心。ずれが大きいと手術を検討
遠位端骨折肩に近い外側靭帯の損傷を伴いやすい骨が安定しにくく、手術になることもある
近位端骨折胸に近い内側発生はまれCTなどで周囲の血管・神経への影響を確認

診断書やレントゲンの説明で「骨幹部」「遠位端」などの言葉が出てきたら、この表と照らし合わせてみてください。

遠位端骨折は肩関節に近いため、肩の動かしにくさが後遺症として残りやすい点に注意が必要です。

どの種類かわからない場合は、次回の受診時に主治医へ確認しておくと安心です。

骨折の種類は診断書にも書かれていますよ。わからないときは、遠慮せず主治医に聞いてみましょうね。

治療方針を決める段階で知っておきたい保存療法と手術療法の違い

骨のずれ(転位)が小さければ保存療法、大きければ手術が検討されます。

治療法は、骨のずれの大きさや骨が細かく割れていないか、神経・血管への影響などから医師が判断します。

項目保存療法手術療法
方法鎖骨バンド(8の字型の固定具)や三角巾で固定するプレートやスクリューで骨を固定する
主な対象ずれが小さい骨折ずれが大きい骨折・粉砕骨折・骨が皮膚を破った開放骨折など
入院原則として不要必要になることが多い
注意点固定を守らないと、骨がずれたままくっつくおそれがある後日、プレートを抜く手術(抜釘)を行うことがある

保存療法は手術を避けるための妥協策ではなく、医師が適応を判断して選ぶ正規の治療法。

一方で、固定を自己判断で外すと、骨がずれたままくっつく「変形癒合」につながるおそれがあります。

手術を勧められて迷う場合は、仕事内容や生活で肩をどれだけ使うかも含めて医師に相談してください。

手術をするかどうかは、お仕事の内容によっても判断が変わることがありますよ。気になることはメモして、診察で聞いてみてくださいね。

仕事復帰を考える方向けの回復期間の目安と療養中の注意点

回復までの期間は、骨折の程度・治療法・年齢によって大きく変わります。

一般的には、数週間ほど固定したあと、レントゲンで骨のつき具合を確認しながらリハビリへ移ります。

痛みが引いても骨がついたとは限らないため、仕事や運転の再開は医師の許可が出てからにしましょう。

デスクワーク中心の方は、固定したままでも早めに部分的な復帰ができる場合があります。

重い物を持つ仕事や腕を上げる作業が多い方は、骨が十分についてからの復帰が基本。

休んだ期間の収入減は休業損害として請求できるため、勤務先に休業の証明をもらっておくことも大切です。

固定中に避けたい動作
  • ケガをした側の腕を頭より高く上げる(高い棚の物を取る、洗髪など)
  • ケガをした側の手で重い物を持つ・引っ張る
  • 固定具を自己判断で外す
痛みが落ち着くと動かしたくなりますが、骨がつくまでは焦らないことが大切ですよ。

鎖骨骨折で認定される可能性がある後遺障害等級

治療を続けても症状が残った場合、後遺障害等級の認定を受けると、後遺障害慰謝料や逸失利益(後遺症で将来減る収入の補償)を請求できます。

後遺障害等級とは、自賠責保険で後遺症の重さを1級から14級に区分した制度のこと。

鎖骨骨折では、主に「肩の動かしにくさ」「骨の変形」「痛み・しびれ」の3つが等級の対象となります。

鎖骨骨折で問題になりやすい等級は、8級6号・10級10号・12級5号・12級6号・12級13号・14級9号の6つ。

ここでは、症状ごとの認定基準と等級の一覧を解説します。

症状固定後も肩が上がりにくい方向けの可動域制限の等級(8級6号・10級10号・12級6号)

肩の可動域制限は、ケガをした側(患側)と反対側(健側)の動く範囲を比べて判断されます。
等級認定基準(自賠責の後遺障害等級表)目安
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの肩関節がほとんど動かない(健側の1割程度以下など)
10級10号一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの患側の可動域が健側の2分の1以下
12級6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの患側の可動域が健側の4分の3以下

「三大関節」とは、肩・ひじ・手首の3つの関節を指す言葉。

鎖骨骨折では、このうち肩関節の動きが問題になります。

可動域は、症状固定(治療を続けてもこれ以上よくならない状態)の時点で医師が測定し、後遺障害診断書に記載します。

ただし、可動域制限が認められるには、レントゲンやMRIなどで動きが悪くなった医学的な原因を示さなければなりません。

「痛くて上がらない」という訴えだけでは、等級が認められにくい点に注意してください。

測定のときに無理をして腕を上げる必要はありませんよ。ふだんどおりの状態で測ってもらいましょうね。

症状固定時に骨の変形が残った方向けの12級5号(変形障害)

鎖骨の変形は、裸になったときに見た目でわかる程度であれば12級5号に該当する可能性があります。

12級5号の認定基準は「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」です。

レントゲンでしか確認できない程度の変形は、原則としてこの等級の対象になりません。

骨がずれたままくっついた「変形癒合」や、骨がつかずに関節のように動く「偽関節」が典型例。

変形障害は見た目の問題として扱われるため、仕事への影響が争点になりやすい点に注意が必要です。

逸失利益への影響は、後述の「鎖骨骨折の逸失利益と変形障害で争われやすいポイント」でくわしく解説します。

変形している部分の写真を撮っておくと、申請のときに役立ちますよ。

骨がついたあとも痛みやしびれが続く方向けの神経症状の等級(12級13号・14級9号)

骨がついたあとも痛みやしびれが続く場合は、神経症状の等級を検討しましょう。
等級認定基準(自賠責の後遺障害等級表)目安
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの画像や検査で症状を医学的に証明できる
14級9号局部に神経症状を残すもの証明まではできなくても、治療経過から症状を説明できる

鎖骨の近くには、腕や指先へつながる神経の束(腕神経叢)が通っています。

骨折のときにこの神経が傷つくと、骨がついたあとも腕や指のしびれが残ることがあります。

2つの等級の違いは、症状を検査や画像で「証明」できるか、治療経過から「説明」できるかという点。

14級9号の認定では、事故直後から一貫して症状を訴え、継続して通院しているかが重視されます。

受診のたびに、しびれの場所や強さを具体的に医師へ伝えておきましょう。

しびれはつい我慢しがちですが、カルテに残っていないと証明が難しくなりますよ。

出典:国土交通省「自賠責保険(共済)の支払基準」(後遺障害等級表)

鎖骨骨折の慰謝料相場|自賠責基準と弁護士基準の比較

交通事故の慰謝料には、治療に対する「入通院慰謝料」と、後遺症に対する「後遺障害慰謝料」の2種類があります。

どちらも、計算に使う基準によって金額が大きく変わる点がポイント。

基準内容金額の水準
自賠責基準法律で定められた最低限の補償最も低い
任意保険基準各保険会社が独自に定める基準(非公開)自賠責基準と同程度〜やや高い
弁護士基準(裁判基準)過去の裁判例をもとにした基準最も高い

保険会社が最初に提示してくる金額は、自賠責基準か任意保険基準で計算されていることがほとんどです。

提示された金額にサインする前に、どの基準で計算されているかを確認してみてくださいね。

ここでは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場を基準ごとに解説します。

治療中の方が受け取れる入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料は、入院・通院した期間と日数をもとに計算するのが基本。

自賠責基準では、1日4,300円に「対象日数」を掛けて計算します。

対象日数は、治療期間と実際に通院した日数の2倍のうち、少ないほうが基本。

弁護士基準では、入院・通院の月数ごとに金額を定めた算定表(通称「赤い本」)を使います。

骨折の場合は、むち打ちなどの軽傷向けより金額が高い「別表Ⅰ」を使うのが一般的。

治療期間弁護士基準(別表Ⅰ)の目安
通院3か月73万円
通院6か月116万円
入院1か月+通院3か月115万円
通院3か月(実通院40日)の場合、自賠責基準の慰謝料は4,300円×80日=34万4,000円。弁護士基準(73万円)との差は、約39万円にもなります。

自己判断で通院をやめたり間隔をあけたりすると、慰謝料が低く計算されるおそれがあります。

治療が続いているうちは、医師の指示どおりに通院を続けることが大切ですよ。

後遺障害が認定された方向けの後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、認定された等級によって金額が決まります。
等級自賠責基準弁護士基準
8級331万円830万円
10級190万円550万円
12級94万円290万円
14級32万円110万円

自賠責基準は、2020年4月1日以降に起きた事故に適用される金額です。

表のとおり、同じ等級でも弁護士基準は自賠責基準の約2.5〜3.5倍の水準。

鎖骨骨折で問題になりやすい12級では、両者の差は196万円にもなります。

弁護士基準での支払いは、弁護士が交渉に入ることで認められやすくなるのが実情です。

等級が1つ違うだけで、慰謝料が数百万円変わることもあるんですよ。

出典:国土交通省「自賠責保険(共済)の支払基準」、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』

鎖骨骨折の逸失利益と変形障害で争われやすいポイント

後遺障害が認定されると、慰謝料とは別に「逸失利益」も請求できます。

逸失利益とは、後遺症によって働きにくくなり、将来減ってしまう収入の補償のこと。

金額が大きくなりやすい一方で、鎖骨の変形障害では保険会社と争いになりやすい項目でもあります。

逸失利益は、慰謝料より高額になることもある大事な項目なんですよ。

ここでは、逸失利益の計算方法と、変形障害で争点になりやすい理由を解説します。

後遺障害が認定された方が知っておきたい逸失利益の計算方法

逸失利益の計算式は「基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数」。
等級労働能力喪失率
8級45%
10級27%
12級14%
14級5%

基礎収入は原則として事故前年の年収で、専業主婦(主夫)の方も平均賃金をもとに請求できます。

労働能力喪失率とは、後遺症によって失われた働く力の割合のこと。

ライプニッツ係数は、将来の収入を一括で受け取る分の利息を差し引くための係数です。

計算例:年収400万円・40歳・12級の場合
400万円×14%×18.327=約1,026万円 ※就労可能年数27年(67歳まで)、法定利率3%のライプニッツ係数で計算

実際の金額は、労働能力を失う期間をどう見るかで大きく変わります。

出典:国土交通省「労働能力喪失率表」

収入のない学生さんや主婦の方でも、逸失利益を請求できる場合がありますよ。

12級5号(変形障害)の認定を受けた方が注意したい逸失利益の争点

鎖骨の変形障害では、保険会社から「仕事に影響はない」として逸失利益を否定・減額されることがあります。

鎖骨が変形していても、肩の動きに問題がなければ働く力は落ちていない、という考え方があるため。

その結果、労働能力喪失率を14%より低く見積もられたり、喪失期間を短く区切られたりするケースがあります。

一方で、変形に伴う痛みや肩を使う仕事への支障を具体的に示せれば、逸失利益が認められる余地は十分にあります。

保険会社の提示額をそのまま受け入れる前に、弁護士に確認することを検討してください。

仕事でどのような動作がつらいのかを、具体的にメモしておくことも大切です。

逸失利益の交渉で役立つ資料
  • 職場での具体的な支障(重い物を持てない、腕を上げる作業ができないなど)のメモ
  • 変形している部分の写真
  • 事故前後の収入がわかる書類(源泉徴収票・確定申告書など)
変形障害の逸失利益は、交渉の進め方しだいで結果が変わりやすいところなんですよ。

適正な等級認定を受けるために治療中からできること

後遺障害等級は、提出した書類と画像をもとに審査されます。

つまり、治療中の記録の残し方が、そのまま認定の結果を左右するのです。

等級の審査は、加害者側の自賠責保険会社を通じて損害保険料率算出機構が行う仕組み。

症状固定の前から準備しておくと、申請でつまずきにくくなりますよ。

ここでは、通院中から症状固定、申請までにやっておきたいことを解説します。

通院中の方がやっておきたい受診記録と画像の残し方

症状は受診のたびに医師へ伝え、カルテに残してもらうことが基本です。

事故直後の受診では、交通事故によるケガであることを必ず伝えましょう。

痛みやしびれ、肩の動かしにくさは「我慢できる程度」でも、毎回具体的に伝えてください。

診察で伝えていない症状はカルテに記録されず、あとから証明するのが難しくなります。

レントゲンやCT、MRIの画像は、申請時に医療機関から取り寄せる必要があります。

途中で転院する場合は、前の病院の画像も忘れずに取り寄せておきましょう。

通院中に記録しておきたいこと
  • 痛み・しびれの場所と強さ(日付つき)
  • 肩の動かしにくさで困った日常動作(着替え、洗髪など)
  • 保険会社とのやり取りの日時と内容
スマホのメモに日付と症状を書くだけでも、立派な記録になりますよ。

症状固定を打診された方が確認したいタイミングとプレート除去

症状固定とは、治療を続けてもこれ以上の改善が見込めないと医師が判断した状態のことです。

後遺障害等級の申請は、症状固定のあとにしか行えません。

保険会社から「そろそろ症状固定に」と打診されても、判断するのは保険会社ではなく主治医。

まだ改善の余地があると感じる場合は、主治医にその旨を伝えて相談してください。

プレートで固定する手術を受けた方は、抜釘(プレートを抜く手術)を予定しているかどうかも確認が必要です。

抜釘のあとに肩の動きが変わることもあるため、症状固定をいつにするかは主治医とよく話し合いましょう。

治療費の打ち切りを言われても、すぐに同意せず、まずは主治医と弁護士に相談してみてくださいね。

症状固定後に申請する方向けの後遺障害の申請方法(事前認定と被害者請求)

申請方法は、保険会社に任せる「事前認定」と、自分で書類をそろえる「被害者請求」の2つ。
項目事前認定被害者請求
申請する人加害者側の任意保険会社被害者本人(弁護士への依頼も可能)
手間少ない書類集めが必要
提出書類の確認被害者側で確認しにくい自分で内容を確認・追加できる
保険金の受け取り示談成立後にまとめて認定後、示談前でも自賠責分を受け取れる

鎖骨の変形障害のように資料で結果が変わりやすいケースでは、被害者請求で資料を十分にそろえる方法が向いています。

後遺障害診断書には、可動域の数値、変形の有無、自覚症状を漏れなく書いてもらうことが大切です。

記載に不安がある場合は、提出前に弁護士に内容を確認してもらうと安心。

被害者請求の流れ
  • STEP1:主治医に後遺障害診断書を作成してもらう
  • STEP2:診断書・診療報酬明細書・画像などの書類をそろえる
  • STEP3:加害者側の自賠責保険会社に提出する
  • STEP4:損害保険料率算出機構が調査し、等級が通知される
  • STEP5:結果に納得できない場合は異議申立て(再審査を求める手続き)を検討する
被害者請求は手間がかかりますが、手続きを弁護士に任せることもできますよ。

保険会社との示談で損をしないために弁護士へ相談すべきタイミング

保険会社は、自社の基準で計算した金額を提示してきます。

提示額が適正かどうかを判断するには、等級や慰謝料の基準についての知識が欠かせません。

示談は一度成立すると、原則としてやり直しができない点にも注意が必要です。

示談書にサインする前なら、まだ見直しのチャンスがありますよ。

ここでは、示談のタイミングと弁護士に相談すべき場面、弁護士費用特約について解説します。

保険会社から示談を提案された方が知っておきたい示談のタイミング

示談は、後遺障害等級の結果が出て、損害の全体がわかってから行いましょう。

症状固定の前に示談すると、あとから後遺症が見つかっても補償を受けられなくなるおそれがあります。

保険会社から早めの示談を勧められても、その場で同意する必要はありません。

提示された金額は、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益・休業損害などの項目ごとに確認してください。

項目ごとに見ると、どこが低く計算されているかがわかりやすくなります。

なお、加害者への損害賠償請求には時効があり、後遺障害の部分は症状固定日から5年が原則。

急かされても焦らなくて大丈夫ですよ。納得できるまで内容を確認しましょうね。

治療中から示談前までの方向けの弁護士に相談すべきタイミング

弁護士への相談は、トラブルになってからではなく、早い段階ほど効果的。
弁護士への相談を検討したい場面
  • 保険会社から治療費の打ち切りや症状固定を打診されたとき
  • 肩の動かしにくさや痛み・しびれが続いているとき
  • 後遺障害の申請方法で迷っているとき
  • 提示された示談金が妥当かわからないとき
  • 過失割合(事故の責任の割合)に納得できないとき

症状固定の前に相談しておくと、申請に必要な検査や書類について早めにアドバイスを受けられます。

弁護士が交渉に入ることで、弁護士基準に近い金額での解決を目指せるようになります。

保険会社とのやり取りを任せられるため、治療に専念しやすくなる点もメリット。

「こんなことで相談していいのかな」と思う段階でも、気軽に相談してみてくださいね。

弁護士に依頼する前に確認したい、ご自身やご家族の保険の弁護士費用特約

弁護士費用特約を使えば、弁護士費用の自己負担を抑えて依頼できます。

弁護士費用特約とは、交通事故の弁護士費用を自分の保険会社が負担してくれる特約のこと。

補償の上限額は、保険会社や契約内容によって異なります。

特約だけを使った場合、一般的に翌年の保険料の等級には影響しません。

自分の自動車保険だけでなく、同居する家族の保険や火災保険などに付いている場合もあります。

まずは保険証券を確認するか、保険会社に「弁護士費用特約は付いていますか」と問い合わせてみてください。

特約が付いていることに気づいていない方も多いので、ぜひ一度確認してみてくださいね。

交通事故の鎖骨骨折でよくある質問

最後に、交通事故で鎖骨を骨折した方からよく寄せられる質問をまとめました。

気になる項目から確認してみてください。

治療中の方へ|鎖骨骨折は後遺症なく完全に治りますか?

多くの場合、適切な治療とリハビリで日常生活に支障のない状態まで回復が期待できます。

ただし、骨のずれが大きい場合や遠位端骨折では、肩の動かしにくさや変形が残ることもあります。

症状が残っているのに治療の終了を迫られた場合は、主治医と相談のうえ判断してください。

違和感が残っているなら、遠慮せず主治医に伝えてくださいね。

「非該当」と通知された方へ|後遺障害が認定されないと慰謝料はもらえないのですか?

後遺障害が認定されなくても、入通院慰謝料や休業損害、治療費は請求できます。

後遺障害慰謝料と逸失利益は、等級が認定された場合に上乗せされる項目です。

認定結果に納得できない場合は、追加の資料をそろえて異議申立てを行うことも可能。

一度「非該当」になっても、異議申立てで認められるケースもありますよ。

プレート固定の手術を受けた方へ|プレートを残したままでも後遺障害は認定されますか?

プレートが残っていること自体は、後遺障害の認定対象ではありません。

認定で見られるのは、肩の可動域制限や骨の変形、神経症状が残っているかどうかです。

抜釘の予定がある場合は、抜釘後に症状固定とするかを主治医と相談しましょう。

抜釘のタイミングは、お仕事の予定と合わせて相談することもできますよ。

事故で仕事を休んだ方へ|休んだ分の収入は補償されますか?

事故で仕事を休んだことによる収入の減少は、休業損害として請求できます。

会社員の方は勤務先が作成する休業損害証明書、自営業の方は確定申告書などで収入を証明します。

専業主婦(主夫)の方も、家事ができなかった期間について請求が可能。

有給休暇を使って休んだ日も、休業損害の対象になりますよ。

通院中の方へ|治療費は自分で立て替える必要がありますか?

加害者側の任意保険会社が「一括対応」をしていれば、治療費は保険会社から病院へ直接支払われます。

一括対応がない場合でも、「第三者行為による傷病届」を出せば健康保険を使って治療を受けられます。

立て替えた治療費は、あとから加害者側の保険会社や自賠責保険に請求しましょう。

病院の領収書は捨てずに、まとめて保管しておいてくださいね。

交通事故の鎖骨骨折で適正な賠償を受けるためのまとめ

交通事故による鎖骨骨折では、肩の可動域制限・骨の変形・神経症状が後遺障害等級の対象になります。

等級が認定されるかどうか、どの基準で計算するかによって、受け取れる金額が数百万円単位で変わることも。

この記事のポイント
  • 問題になりやすい等級は8級6号・10級10号・12級5号・12級6号・12級13号・14級9号
  • 慰謝料は弁護士基準が最も高く、12級では自賠責基準との差が196万円
  • 変形障害(12級5号)は逸失利益が争われやすい
  • 症状固定は主治医が判断し、示談は等級の結果が出てから

保険会社とのやり取りや後遺障害の申請に不安がある方は、早めに弁護士へ相談してみてください。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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