交通事故で全治10日と診断されたけれど、慰謝料がいくらもらえるのかわからず不安に感じていませんか?
保険会社から提示された金額が適正なのか、もっと多くもらえるはずなのに損をしているのではないか、軽傷だからといって少額で済まされてしまうのではないかと心配している方も多いでしょう。
慰謝料には3つの異なる基準があり、同じ怪我でも金額に大きな差が生まれるため、正しい相場を知らずに示談してしまうと、後悔することになりかねません。
交通事故の慰謝料は民法第709条の不法行為による損害賠償請求権と自動車損害賠償保障法に基づいて請求できる権利です。
この記事では、全治10日の交通事故における慰謝料の具体的な計算方法を3つの基準別に詳しく解説し、慰謝料以外にもらえるお金や増額するための具体的な方法、示談交渉での注意点まで、実務に役立つ情報を比較表や計算例とともにわかりやすくお伝えします。
この記事を読めば、あなたのケースでの適正な慰謝料相場がわかり、保険会社との交渉で損をすることなく、最大限の補償を受け取れるようになります。
この記事の目次
全治10日の交通事故で慰謝料はいくらもらえる?
交通事故で全治10日のケガを負った場合、慰謝料は適用される基準によって大幅に異なります。
交通事故の慰謝料には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判所基準)」の3つの算定基準があり、金額に大きな差が生まれます。

自賠責基準での慰謝料
自賠責基準は最も低い基準で、1日あたり4,300円が支払われます。
全治10日の場合、実際の通院日数によって金額が決まります。
| 通院パターン | 慰謝料金額 |
|---|---|
| 10日間毎日通院 | 4,300円×10日=43,000円 |
| 週3日程度(計6日通院) | 4,300円×6日×2=51,600円 |
これらの基準は、自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づいて定められています。
弁護士基準での慰謝料
弁護士基準(赤い本基準)は最も高額な基準で、全治10日程度の軽傷の場合、慰謝料相場は6万円程度となります。
通院期間や治療内容、ケガの程度によって具体的な金額が決定されますが、自賠責基準と比較すると2倍から3倍程度の金額になることが一般的です。
📝 弁護士基準のメリット
裁判所で認められる基準のため、最も公正で適正な慰謝料額を期待できます。
任意保険基準での慰謝料
任意保険会社が独自に設定する基準は公表されていませんが、一般的に自賠責基準と弁護士基準の中間程度の金額とされています。
全治10日の場合、5万円程度が相場とされています。

慰謝料増額のポイント
全治10日という軽傷であっても、適切な対応により慰謝料を増額できる可能性があります。
- 医師の診断を正確に受ける
- 治療経過を詳細に記録する
- 必要に応じて弁護士に相談する
- 弁護士基準での慰謝料獲得を目指す
特に相手方保険会社からの提示額が自賠責基準程度の低額である場合、交渉により増額できる可能性が高くなります。
全治10日の慰謝料相場を計算してみよう
交通事故によるケガで全治10日と診断された場合、受け取れる慰謝料は計算基準によって大きく異なります。
慰謝料の算定基準には「自賠責基準」(国土交通省)「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあり、それぞれ金額に大きな差が生じます。
一般的に「自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準」の順で金額が高くなり、弁護士基準が最も高額となります。
全治10日のケースでは、軽微な事故として扱われることが多いものの、適切な基準で計算すれば相応の慰謝料を受け取ることができます。
ここでは各基準での具体的な計算方法と金額を詳しく解説し、あなたのケースに当てはめて実際に計算できるようご説明します。

• 任意保険基準と弁護士基準の違い
• 実際の慰謝料額の比較
• あなたのケースに適用できる計算方法
自賠責保険基準での慰謝料金額
自賠責保険基準は、自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)により定められた最低限の補償基準です。
2020年4月の改正により、傷害慰謝料は1日あたり4,300円と定められています。
ただし、実治療日数の2倍の金額または治療期間の金額のうち、少ない方が適用されます。
📝 計算例(全治10日・通院5日)
全治10日で実際に5日間通院した場合の計算例を見てみましょう。
実治療日数の2倍は「5日×2=10日」、治療期間は「10日」となるため、同じ日数となります。
この場合の慰謝料は「10日×4,300円=43,000円」となります。

全治10日程度の軽傷では上限に達することは稀ですが、治療が長期化した場合は注意が必要です。
自賠責基準は最低限の保障であるため、他の基準と比較すると金額は低めに設定されています。
- 1日あたり4,300円の慰謝料
- 実治療日数×2と治療期間の少ない方を適用
- 月額上限129,000円
- 法定の最低補償基準
任意保険基準での慰謝料金額
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定する慰謝料算定基準です。
この基準は保険会社によって異なり、一般的に自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりは低い水準に設定されています。
多くの保険会社では旧任意保険支払基準を参考にしており、治療期間に応じて段階的に金額が設定されています。

📊 全治10日のケースでの金額比較
全治10日のケースでは、任意保険基準による慰謝料は概ね50,000円~70,000円程度となることが一般的です。
この金額は自賠責基準の43,000円と比較すると7,000円~27,000円程度高くなります。
ただし、保険会社によって基準が異なるため、提示される金額には幅があります。
| 基準種別 | 全治10日の慰謝料目安 |
|---|---|
| 自賠責基準 | 約4万円 |
| 任意保険基準 | 自賠責基準+a |
| 弁護士基準 | 約6万円 |
保険会社は営利企業であるため、できるだけ低い金額で示談を成立させようとする傾向があります。
提示された金額が妥当かどうかは、弁護士基準との比較により判断することが重要です。
弁護士基準での慰謝料金額
弁護士基準は、過去の判例を基に東京三弁護士会交通事故処理委員会が作成した「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)に基づく算定基準です。
この基準は裁判所でも広く採用されており、最も公正で適切な慰謝料水準とされています。
弁護士基準による全治10日(通院期間10日程度)の慰謝料は、概ね6万円程度となります。

この差額の大きさから、交通事故の被害者にとって弁護士基準での解決がいかに重要かがわかります。
弁護士に依頼することで、任意保険基準から弁護士基準への増額が期待でき、全治10日のケースでも2万円程度の増額が見込めます。
📊 慰謝料基準の比較
| 基準 | 全治10日の慰謝料 | 弁護士基準との差額 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 約4万円 | 約2万円の差 |
| 任意保険基準 | 4万円+a | 1万円程度の差 |
| 弁護士基準 | 約6万円 | – |
全治10日の慰謝料が決まる仕組み
交通事故で全治10日のケガを負った場合、慰謝料の算定は複数の要素を総合的に考慮して決められます。
慰謝料の算定では、医師が診断書に記載する全治期間だけでなく、実際の通院回数、治療内容、症状の程度なども考慮されます。
同じ全治10日でも、毎日通院した場合と週2回通院した場合では、慰謝料額に差が生じることがあります。
📝 慰謝料算定に影響する要素
- 医師の診断による全治期間
- 実際の通院日数・頻度
- 治療内容の詳細
- 症状の程度・経過
通院日数の数え方
慰謝料計算において通院日数は極めて重要な要素です。
自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責基準では「4,300円×通院日数×2」と「4,300円×通院期間(1ヶ月30日計算)」を比較し、少ない方を採用する仕組みになっています。
- 診断書をもらった初診日
- レントゲン検査を受けた日
- 薬をもらいに行った日
- 経過観察のための再診日
通院日数のカウントでは、実際に医療機関を受診した日のみが対象となります。
医師の診察を受けた日はすべて通院日数に含まれます。

通院の頻度も慰謝料に影響します。
医師の指示に従って適切な間隔で通院している場合は問題ありませんが、過度に通院回数を増やしたり、逆に医師の指示を無視して通院を怠ったりすると、慰謝料算定に悪影響を与える可能性があります。
📝 通院日数計算のポイント
医師の診察を受けた日のみが通院日数として認められ、薬局での薬受け取りなどは含まれません。適切な通院頻度を維持することが慰謝料算定において重要です。
実治療日数と総治療期間の違い
実治療日数と総治療期間は慰謝料算定において異なる概念です。
実治療日数とは、実際に医療機関を受診した日数の合計で、例えば10日間のうち5回通院した場合は実治療日数5日となります。
一方、総治療期間とは、初診日から最終診療日までの暦日数で、10日間治療を受けた場合は治療期間10日となります。
自賠責保険(国土交通省)では、「実治療日数×2」と「総治療期間」を比較し、少ない方に4,300円を掛けて慰謝料を算出します。
全治10日で5回通院した場合、実治療日数×2は10日、総治療期間は10日となるため、この場合は10日×4,300円=43,000円が自賠責基準の慰謝料となります。

弁護士基準(裁判所基準)では、赤い本や青い本といった損害賠償額算定基準に基づいて、通院期間と通院頻度を総合的に考慮して慰謝料が算定されます。
一般的に、適切な通院頻度で治療を受けていれば、自賠責基準よりも高額な慰謝料が認められる傾向があります。
保険会社との示談交渉では、どの基準を適用するかによって慰謝料額が大きく変わるため、適正な慰謝料を受け取るためには、医師の指示に従った適切な通院と、必要に応じて弁護士への相談が重要です。
📝 適正な慰謝料を受け取るポイント
医師の指示に従った適切な通院を継続し、必要に応じて弁護士に相談することで、適正な基準での慰謝料算定が期待できます。
慰謝料以外にもらえるお金
交通事故で全治10日程度のケガを負った際、多くの方が慰謝料のみに注目しがちですが、実際には慰謝料以外にも様々な損害項目で金銭的な補償を受けることが可能です。
適切な請求を行うことで、総受取額を大幅に増やせる可能性があります。

交通事故による損害は、精神的苦痛に対する慰謝料だけでなく、治療費・交通費・休業損害・その他の実費など、事故によって実際に発生した経済的損失も含まれます。
これらの損害項目を正しく把握し、漏れなく請求することが重要です。
📝 法的根拠について
交通事故の損害賠償請求は、民法(e-Gov法令検索)第709条の不法行為責任と自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)第3条に基づいて行われます。
治療費
治療費は交通事故によって負ったケガの医療費全般を指し、医療機関での診察代・検査費・薬代・処置費などが対象となります。
保険会社への請求時には、これらの費用について適切な範囲と手続きを理解しておくことが大切です。
• 整形外科での診察や検査
• 整骨院での治療費
• 薬局での処方薬代
• 医療用器具(コルセットなど)の購入費用
• 医師の判断により必要とされたマッサージや理学療法
治療費の請求範囲は非常に広く、整形外科での診察や検査はもちろん、必要に応じて整骨院での治療費、薬局での処方薬代、医療用器具(コルセットなど)の購入費用も含まれます。
また、医師の判断により必要とされたマッサージや理学療法なども対象となる場合があります。

📝 治療費請求の手続き方法
手続きについては、保険会社による一括払い制度を利用する場合と、被害者が一旦立て替えて後から請求する場合があります。
| 支払い方法 | 特徴 |
|---|---|
| 一括払い制度 | 病院が直接保険会社に治療費を請求するため、被害者の負担が軽減される |
| 立て替え払い | 被害者が一旦立て替えて後から保険会社に請求する方法 |
一括払い制度では、病院が直接保険会社に治療費を請求するため、被害者の負担が軽減されます。
ただし、治療の必要性や相当性について保険会社が判断するため、医師との連携が重要になります。
交通費
通院のために要した交通費も、交通事故による損害として請求可能な重要な項目です。
継続的な通院が必要な場合、意外に大きな金額になることがあるため、正確な計算方法と請求可能な範囲を把握しておく必要があります。
自家用車で通院した場合の交通費は、「走行距離×15円」という基準で計算されます。
例えば、片道10キロの病院に20回通院した場合、10キロ×往復2回×20回×15円=6,000円となります。
この計算には、ガソリン代だけでなく車両の減価償却費も含まれているとされています。

公共交通機関を利用した場合は、実際にかかった運賃が請求可能です。
電車・バス・タクシーの利用料金について、領収書やメモで記録を残しておくことが重要です。
タクシー利用については、歩行困難な状態や公共交通機関の利用が困難な場合など、合理的な理由がある場合に認められるケースが多くなります。
- 自家用車:走行距離×15円で計算
- 公共交通機関:実際の運賃を請求
- タクシー:合理的理由がある場合のみ認められる
- 領収書やメモによる記録保持が重要
休業損害
交通事故によるケガで仕事を休まざるを得なくなった場合、その間の収入減少分について休業損害として補償を受けることができます。
全治10日程度のケガでも、職種によっては数日間の休業が必要になることがあり、適切な計算方法を理解して請求することが大切です。

休業損害の基本的な計算方法は「基礎収入の日額×休業日数」です。
基礎収入の日額は、事故前3か月の収入を90日で割って算出されるのが一般的です。
例えば、月収30万円のサラリーマンが3日間休業した場合、30万円÷30日×3日=3万円が休業損害となります。
📝 職業別の計算方法
職業によって休業損害の計算方法が異なるため、適切な方法を選択することが重要です。
自営業者や主婦の場合は計算方法が異なります。
自営業者は確定申告書などから前年の所得を基に日額を算出し、主婦については主婦の労働を金銭評価した基準額(現在は日額約6,800円)が適用されます。
有給休暇を使用した場合でも、実際に収入減少がなくても休業損害として請求できる場合があります。
| 職業 | 計算方法 |
|---|---|
| サラリーマン | 事故前3か月の収入÷90日 |
| 自営業者 | 前年の確定申告所得÷365日 |
| 主婦 | 主婦労働基準額(約6,800円/日) |

- 基本計算式:基礎収入日額×休業日数
- 職業によって計算方法が異なる
- 有給使用時も請求可能な場合がある
- 適切な証明書類の準備が重要
慰謝料を増額するためにやるべきこと
交通事故で全治10日程度の軽傷と診断された場合でも、適切な対応を行うことで慰謝料を増額できる可能性があります。
保険会社から提示される示談金は、多くの場合、法的な基準よりも低い金額に設定されています。
軽傷だからといって諦める必要はなく、正当な権利として適正な慰謝料を請求することが重要です。
慰謝料の算定には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあり、弁護士基準が最も高額になります。
全治10日の場合、自賠責基準では通院日数や期間に応じて4,300円×日数で計算されますが、弁護士基準を適用することで大幅な増額が期待できます。

- 弁護士基準の適用を目指す
- 適切な通院を継続する
- 示談交渉での主張を明確にする
病院での診断書をもらう
交通事故による怪我の診断書は、慰謝料請求における最も重要な証拠書類です。
診断書には治療期間、症状の程度、必要な治療内容が明記され、これが慰謝料算定の基礎となります。
診断書を取得する際は、医師に対して事故の状況と症状を詳しく説明することが重要です。
軽微な症状であっても、首や腰の痛み、頭痛、めまいなどがあれば必ず伝えましょう。
医師は患者の申告に基づいて診断書を作成するため、症状の過小申告は慰謝料減額の原因となります。
- 事故の状況を詳細に医師に説明する
- 軽微な症状も含めて全て申告する
- 症状の過小申告は慰謝料減額の原因となる
診断書には「全治○日」という記載がありますが、これは治療が完了するまでの見込み期間を示しています。
実際の治療期間がこれより長くなった場合は、追加の診断書を取得して治療期間の延長を証明する必要があります。
📋 診断書の「全治○日」について
「全治○日」は治療完了までの見込み期間であり、実際の治療期間が延長された場合は追加の診断書取得が必要です。
通院記録をしっかり残す
通院記録は慰謝料算定において治療の必要性と継続性を証明する重要な資料です。
定期的な通院実績があることで、怪我の程度と治療の妥当性が認められ、適正な慰謝料の支払いにつながります。

通院する際は、可能な限り毎回同じ病院・同じ医師を受診することが望ましいです。
複数の医療機関を転々とすると治療の一貫性が疑問視される可能性があります。
やむを得ず転院する場合は、紹介状を取得し、治療の継続性を明確にしておきましょう。
通院日程は医師の指示に従って決定し、無理な間隔を空けないことが重要です。
痛みが軽減したからといって通院を中断すると、症状が軽微であったと判断される恐れがあります。
医師から通院終了の指示があるまでは、定期的に受診を継続することが慰謝料増額の鍵となります。
治療費の領収書、診療明細書、お薬手帳なども重要な証拠となるため、すべて保管しておきましょう。
これらの書類は、実際にかかった治療費の証明となり、慰謝料とは別に実費として請求できます。

📝 保管すべき重要書類
- 治療費の領収書
- 診療明細書
- お薬手帳
- 診断書・診療録
弁護士に相談するタイミング
全治10日程度の軽傷であっても、弁護士への相談は慰謝料増額において大きな効果をもたらします。
保険会社は当初、低い基準での示談を提案してくることが一般的ですが、弁護士が介入することで弁護士基準での交渉が可能になります。

弁護士相談の最適なタイミングは、保険会社から最初の示談提案を受けた時点です。
この段階で弁護士に相談することで、提示された金額の妥当性を判断し、適正な慰謝料額を把握できます。
軽傷の場合でも、弁護士基準を適用することで慰謝料が2倍から3倍に増額されるケースは珍しくありません。
弁護士費用については、多くの自動車保険に弁護士費用特約が付帯されており、この特約を利用することで費用負担なく弁護士に依頼できます。
特約の有無は契約時の保険証券で確認できるため、事故後速やかに確認することをお勧めします。
金融庁でも、弁護士費用特約について多くの保険会社が取り扱っていることが案内されています。
- 相手方が過失を認めない場合
- 治療費の支払いを渋る場合
- 症状が長引いて後遺障害の可能性が出てきた場合
軽傷事案であっても、相手方が過失を認めない場合や、治療費の支払いを渋る場合は、早期の弁護士相談が必要です。
また、症状が長引いて後遺障害の可能性が出てきた場合も、専門的な知識を持つ弁護士のサポートが不可欠となります。
📝 弁護士相談のポイント
軽傷でも弁護士基準で慰謝料が大幅増額される可能性があります
慰謝料請求で気をつけたいポイント
交通事故で全治10日程度のケガを負った場合、適切な慰謝料を受け取るためには請求手続きの注意点を理解しておくことが重要です。
全治10日の場合の慰謝料相場は、自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責基準で約4万円、弁護士基準では約6万円と大きな差があります。
- 示談交渉での対応方法
- 過失割合の影響
- 時効管理
保険会社は営利企業であるため、できる限り支払額を抑えようとする傾向があります。
そのため、被害者側が正しい知識を持って対応することで、適正な慰謝料を確保できる可能性が高まります。

- 慰謝料請求の基本的な注意点
- 自賠責基準と弁護士基準の違い
- 保険会社との交渉で注意すべきポイント
示談交渉での注意点
保険会社との示談交渉では、相手方の担当者ペースに巻き込まれないよう注意が必要です。
保険会社の担当者は交渉のプロであり、被害者が不利になるような話し方で誘導してくる場合があります。

保険会社から提示される金額は、多くの場合、自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責基準に近い低い金額です。
この提示額が適正でないことを理解し、弁護士基準での計算根拠を示して交渉を進めることが重要です。
また、電話での口約束は避け、重要な内容は書面で確認することで後のトラブルを防げます。
録音や記録を残すことも有効で、担当者の発言内容を正確に記録しておくことで、後々の交渉材料として活用できます。

過失割合が慰謝料に与える影響
過失割合は、事故の責任度合いを示す数値で、慰謝料額に直接影響を与える重要な要素です。
例えば、被害者側の過失割合が20%とされた場合、本来受け取れる慰謝料から20%が減額されることになります。
これを過失相殺といいます。
判例タイムズなどの過失割合認定基準を参考に、類似事例での割合が適用されるのが一般的です。
しかし、個別の事情により修正要素が加味される場合もあります。
被害者が注意すべきは、保険会社が提示する過失割合が必ずしも適正ではないということです。
保険会社は自社の負担を軽減するため、被害者側の過失割合を高く設定しようとする傾向があります。

📝 過失割合改善のための対策
過失割合に納得がいかない場合は、現場写真、目撃証言、ドライブレコーダー映像などの客観的証拠を収集し、適正な割合を主張することが重要です。
弁護士に相談することで、法的根拠に基づいた反論ができ、過失割合の改善につながる可能性があります。
- 客観的証拠の収集(現場写真・目撃証言・ドライブレコーダー映像)
- 類似事例の過失割合認定基準の確認
- 保険会社提示割合の適正性検討
- 弁護士への相談による法的根拠の構築
慰謝料請求の時効
交通事故の慰謝料請求権には時効があり、期限を過ぎると請求できなくなってしまいます。
人身事故の場合、慰謝料請求の時効期間は事故発生日から5年間です。
この期間内に請求手続きを完了させる必要があります。
時効の起算点は、原則として事故が発生した日ですが、後遺障害が残った場合は症状固定日から5年間となります。
全治10日程度の軽傷であっても、治療期間中に症状が悪化し、後遺障害が残る可能性もゼロではないため、時効管理は慎重に行う必要があります。

⏰ 時効を止める方法
時効を止める方法として、裁判上の請求、支払督促、調停の申立てなどがあります。
また、相手方保険会社が債務の存在を認める書面を作成した場合も、時効の更新事由となります。
| 時効中断の方法 | 具体的な手続き |
|---|---|
| 裁判上の請求 | 損害賠償請求訴訟の提起 |
| 支払督促 | 簡易裁判所への支払督促申立て |
| 調停申立て | 簡易裁判所への調停申立て |
| 債務承認 | 保険会社による債務存在の書面承認 |
実務では、治療終了後に示談交渉を開始し、交渉がまとまらない場合に調停や訴訟に移行することが多いため、時効直前になって慌てることがないよう、早期から専門家に相談することが推奨されます。
特に複雑な事案や高額な請求が予想される場合は、時効管理も含めて弁護士に依頼することで安心して手続きを進められます。
- 治療中でも時効は進行するため早期相談が重要
- 後遺障害の可能性がある場合は症状固定日の確認が必須
- 保険会社との交渉記録は時効中断の証拠として保管
- 複雑な事案では専門家による時効管理が安全
よくある質問:全治10日の交通事故慰謝料について
全治10日程度の交通事故に遭われた方から寄せられる質問と回答をまとめました。
同じような状況の方の疑問解消にお役立てください。

全治10日の場合、慰謝料はいくらもらえますか?
全治10日の交通事故における慰謝料は、適用される基準によって大きく異なります。

自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責基準では、実際の通院日数に4,300円を掛けて計算します。
任意保険基準は保険会社によって異なりますが、自賠責基準より若干高く設定されることが一般的です。
弁護士基準(裁判基準)では最も高額な慰謝料が期待でき、全治10日程度の軽傷でも約6万円程度の慰謝料が認められるケースがあります。
📝 参考情報
自賠責保険の詳細については、国土交通省の自賠責保険ポータルサイトで確認できます。
全治10日と診断されたが、実際の通院回数が少ない場合はどうなりますか?
自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責保険における慰謝料計算では「実際の通院日数×2」と「治療期間」のうち少ない方を基準とします。
例えば全治10日と診断されても、実際の通院が3回だった場合、計算の基準となるのは3日間となります。
この場合の慰謝料は4,300円×3日×2=25,800円となります。

打撲や捻挫などの軽傷でも慰謝料はもらえますか?
打撲や捻挫といった比較的軽い怪我でも、交通事故によるものであれば慰謝料の対象となります。
全治10日程度の打撲や捻挫は交通事故では頻繁に見られる怪我ですが、軽傷だからといって慰謝料が支払われないということはありません。
重要なのは、事故と怪我の因果関係が明確であることと、適切な医療機関での診断・治療を受けることです。

- 軽傷でも交通事故による怪我は慰謝料の対象
- 事故と怪我の因果関係の証明が重要
- 適切な医療機関での診断・治療が必須
慰謝料以外にも請求できる費用はありますか?
全治10日の交通事故では、慰謝料以外にも以下の費用を請求できる可能性があります。
- 治療費(実際にかかった医療費の全額)
- 通院交通費(公共交通機関・自家用車ガソリン代)
- 休業損害(仕事を休んだ場合の収入補償)
治療費は実際にかかった医療費の全額が補償対象となります。
通院のための交通費も、公共交通機関の運賃や自家用車のガソリン代(1キロあたり15円程度)が認められます。

会社員の方で仕事を休んだ場合の休業損害も請求可能です。
全治10日程度では数日の休業となることが多く、日給や月給から算出した1日あたりの収入額に休業日数を掛けて計算します。
より高い慰謝料を受け取るためにはどうすれば良いですか?
弁護士基準での慰謝料獲得を目指す場合、弁護士への相談が効果的です。
保険会社は通常、自社に有利な任意保険基準や自賠責基準(国土交通省)での和解を提案してきます。
しかし弁護士が介入することで、裁判で認められる水準の弁護士基準での慰謝料獲得が期待できます。

- 弁護士費用特約が利用できる場合
- 慰謝料の増額が弁護士費用を上回る場合
- 軽傷であっても専門的なサポートを受けたい場合
全治10日程度の軽傷であっても、弁護士費用特約が利用できる場合や、慰謝料の増額が弁護士費用を上回る場合は、専門家のサポートを受けることを検討しましょう。
治療が長引いた場合、診断書の「全治10日」は影響しますか?
事故直後の診断における「全治10日」は見込みであり、実際の治療期間と必ずしも一致しません。
症状が予想より長引いて2週間や3週間の治療が必要となった場合、実際の治療期間に基づいて慰謝料が再計算されます。
当初の診断書の記載によって慰謝料が制限されることはありません。

大切なのは医師の指示に従って治療を継続し、症状が改善するまで適切な医療を受けることです。
途中で治療を中断してしまうと、本来受け取れるはずの慰謝料が減額される可能性があります。











