誹謗中傷への効果的な対策は?インターネット上のトラブル対処法について

誹謗中傷を受けた場合の効果的な対策と現在の法制度について

企業・個人に関わらず、誰もがインターネット上の誹謗中傷の被害者になり得ます。

5ちゃんねるなどの匿名掲示板や、Facebook、X(旧Twitter)、instagramなどのSNS、YouTubeのような動画サイトなど、様々なメディアで誹謗中傷の被害が発生していますが、正しい対策方法で被害を最小限に抑えた、被害者を罪に問い損害賠償を請求することも可能です。

”豊川弁護士”
この記事では、誹謗中傷を受けた際にどう対処すれば良いのか、知っておきたい有効的な対策を解説します。

執筆・監修者

執筆・監修:豊川祐行

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。 あまた法律事務所へのお問い合わせはこちら

誹謗中傷の定義とは

誹謗中傷は根拠のないデタラメな内容で他人を非難する、悪口を言う行為を指します。特に匿名での書き込みができる環境のインターネット上では、誰かを傷つけるような行動は起こりやすくなっています。

誹謗中傷は法的に罪になる可能性があるものです。

該当する法的な違法行為

誹謗中傷は民事と刑事の責任を負う可能性があります。

民事上の責任は、名誉毀損として投稿内容の削除要請や慰謝料などの損害賠償の支払いを求められることがあります。

刑事上の責任は、名誉毀損罪のほか、侮辱罪、信用毀損罪、威力業務妨害罪などに該当するリスクがあります。被害者が刑事告発し、投稿者が警察に捜査され起訴に至った事例は少なくありません。

”女性”
刑事上の責任と問われると前科が付き、懲役刑が科されるケースもあります。

SNSなどで誹謗中傷した事例

実際にX(旧Twitter)やインスタグラムといったSNS、YouTubeなどであった誹謗中傷の具体的な事例を紹介します。

  • X(旧Twitter)の匿名アカウントで特定の人物に対し「バカ」「きもい」など侮辱する悪口を投稿した。
  • 芸能人のSNSアカウントに「性格悪い」「死んだらいいのに」など中傷するコメントを送った。
  • SNS上に就活で不採用になった企業のことを「ブラック企業」と悪口を投稿した。
  • FBで自分が利用した飲食店を「まずい」「店員の接客が最低だった」などと非難する投稿をした。

 

名誉毀損は事実に基づき相手の名誉を侵害する行為で、侮辱罪は「きもい」「死ね」「ブス」など単なる悪口を言う行為に適用されます。嘘の情報で他人の信用を貶める行為は信用毀損罪、「店に爆弾を仕掛けた」といった脅しのような威力を用いて他人の業務を妨害する行為は、威力業務妨害に当たります。

誹謗中傷への効果的な対策方法

ネットで誹謗中傷の被害に遭っても、対策方法を知っていれば冷静に対応できます。

ネットの誹謗中傷は初動が大切

ネット上で悪質な書き込みや投稿による被害を受けたときは、初動での対応を間違えないことが重要です。

最所に問題となる書き込みの記録・保存を敏速に行い、きちんと証拠を残すようにしましょう。その後、加害者の情報開示の要請を行い、書き込みの削除要求や訴訟を検討します。

1証拠を保存する

ネットの書き込みは投稿者自身に消去される可能性があります。証拠を残しておかないと犯人の特定や訴訟が難しくなるなど、被害者側が不利になってしまいます。

証拠を保存する方法
  • 画面に書き込みを表示してプリンターで印刷する。
  • スクリーンショットとしてスマホやパソコンに保存する。URLと日時も同じ画面内に入るようにする。
  • カメラ等で画面を撮影する。
  • YouTubeなどの動画は、動画ダウンロードソフトやアプリを使用し保存する。

 

 スクリーンショットやカメラではおさまりきらない縦に長いwebページはプリンターでページを印刷するなど、ケースバイケースで使い分けましょう。
2証拠をとったら削除請求

しっかりと証拠を残した後は、サイトの管理者やSNSの事業者に有害情報が掲載されていることを通報し、書き込みの削除を依頼します。

不快な投稿はすぐにでも消してほしいところですが、先に削除してしまうと証拠は残りません。絶対に記録を残した上で請求するのがポイントです。

しかし、サイト運営者が削除を行ってくれない時や、そもそも削除依頼のフォーム自体が存在しないサイトはあります。

”豊川弁護士”
サイト側での対応が難しい状況であれば、サーバーを管理しているプロバイダに対して削除依頼を申請します。それでも応じてくれない時は、削除の仮処分を裁判所に申し立てるか訴訟の提起を考えます。

3情報開示請求する

誹謗中傷は刑事上での様々な罪に問われるのみでなく、民事上においても不法行為に対する慰謝料や損害賠償請求の対象になります。

訴訟を起こすにはプロバイダに発信者情報開示請求を行い、名前や住所など加害者の詳細な個人情報を確認してください。

誹謗中傷の放置は風評被害に繋がる

誹謗中傷を放置すると風評被害につながるおそれがあり危険です。

書き込みの削除には様々な手続きを経る必要があり、対応するのは面倒に感じやすいです。また、嘘の投稿であれば相手にする必要はないと考える方もいるでしょう。しかし、根拠のない投稿が拡散され、被害者のイメージやブランド、信頼性を損なう危険性が大いにあるのが、ネットの怖い点です。

 誹謗中傷を発見したら、放置せず適切な対策をとるようにしましょう。

風評チェッカーで誹謗中傷の有無を調べる

自身や自身の企業を誹謗中傷する書き込みがないか、知りたいときに有効なツールが風評チェッカーです。企業や個人の名前を入力すると、Google やYahoo! での検索で表示されるサジェストや関連ワードにネガティブなワードが入っていないか、掲示板や質問サイトなどに誹謗中傷のような投稿がないかチェックできます。

ネット上に悪意のあるネガティブな書き込みがないか判断できますので、風評被害への対策にも活用できます。

誹謗中傷について警察に相談する

誹謗中傷の被害はサイバー警察に相談できます。警察のネットやコンピュータに関するハイテク犯罪を専門に扱っている部署で、SNSなどの誹謗中傷にも対応しています。

電話の相談窓口である「#9110」に連絡すれば、警察署に足を運ばなくても警察へ相談できるので便利です。警察署はハードルが高いと感じることがあっても、電話であれば気軽に相談しやすいでしょう。

”女性”
法テラスといった専門機関を紹介してくれるなど、トラブルの内容に応じた対応もしています。

弁護士に相談する

誹謗中傷の発信者に対し訴訟を起こすときや裁判所に削除請求の仮処分を申し立てるとき、個人や企業では対応が困難な法的な手段を取るとき等は、弁護士に相談するのがおすすめです。

削除請求や誹謗中傷問題の事案に強い弁護士は、的確にアドバイスしてくれ心強い味方になってくれます。

弁護士は弁護士費用が心配ですが、初回相談や着手金は無料のサービスを実施している事務所なら相談しやすいでしょう。

誹謗中傷に対する現在の法制度について

2020年3月現在、誹謗中傷は正式な法律用語ではなく、どのような行為が該当するかの基準は明確ではありません。しかし、近年は誹謗中傷が社会的に大きな問題になっており、法律の整備を進める動きが出ています。

法制度の見直し

ネット上での誹謗中傷に対する厳罰化を求める声が高まり署名運動も行われています。政府は投稿発信者の特定をやりやすくする制度の創設、軽すぎるといわれる侮辱罪の厳罰化など法制度の改正を行う方針です。

警察庁でも2021年4月からスタートする第4次犯罪被害者等基本計画の中に、初めてネット中傷へ対策を取り入れました。

表現の自由との兼ね合いから反対する意見もありますが、ネット上の誹謗中傷取り締まりに力を入れていく方針をとっており、これからも厳罰化の流れは続いていくとみられます。
参考:犯罪被害者等施策

発信者情報の開示について

法制度の見直しに関しは総務省が悪質な書き込みの発信者を特定しやすくする新しい制度の創設を決定し、プロバイダ責任制限法改正が2022年10月1日に施行されました。

これまで、投稿の発信者を特定するには、プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報開示請求を行う必要がありました。ただ、手続きに時間がかかるため、被害者の負担が大きいとの意見が多くありました。

そこで新たな制度では、開示請求が簡略化され、1つの手続きで行えるようになっています。裁判をしなくても(非訟手続)裁判所の判断でプロバイダに情報開示を命じることが可能です。

加えて、ログインやログアウト時のログイン情報の公開など、開示請求の対象になる情報の範囲が拡大されました。
参考:プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律(概要)

”豊川弁護士”
結果、たとえ匿名であったとしても安易な書き込みはできなくなったと言えます。

誹謗中傷への効果的な対策まとめ

ネット上の誹謗中傷は拡散しやすく放っておくと取り返しのつかない被害を起こすリスクがあり、スピーディーに正しい対策をすることが大切です。

ひとりで悩まず警察や弁護士に相談しましょう。法的な対処には法律に詳しい弁護士の力を借りるのが安心です。削除請求や訴訟の手続きも任せられ、スムーズな解決に導いてくれます。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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