「友人から借りたお金は個人再生でどう扱われるの?」
「知人にだけは迷惑をかけたくないけど、別扱いできる?」
知人や友人から借りたお金についても、この原則の例外にはなりません。
知人に知られない方法や、手続き上の注意点についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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この記事の目次
個人再生で知人からの借金はどう扱われるか
「友人に迷惑をかけたくない」「知人への借金だけは別にしたい」という気持ちはごく自然なことです。
しかし、個人再生における知人からの借金の扱いは、感情とは切り離された法律のルールに従います。
知人への借金を抱えたまま個人再生を検討している方にとって、まず押さえるべき基本ルールがあります。
ここでは、個人間の借金が個人再生の対象になるかどうか・知人が「債権者」として扱われる法的な理由・借用書がない場合の扱い・再生計画で知人が受け取れる金額の考え方を順に解説します。
個人間の借金も個人再生の対象になる
個人再生を申し立てると、知人・友人からの借金も手続きの対象に含まれます。
「相手が個人だから除外できる」という例外はありません。
個人再生は、裁判所を通じて借金を整理する法的手続きです。
対象となるのは「債権者が誰か」ではなく「借金という債務が存在するかどうか」になります。
知人から借りたお金も、法的には金融機関からの借入と同じ「債務」であるため、手続きから外すことは認められません。
- 手続き開始後、裁判所から債権者一覧表に記載された全債権者へ通知が行われる
- 知人が債権者として記載されていれば、知人にも裁判所からの通知が届く
- 知人への借金を申告せずに進めた場合は財産隠し・不正申告とみなされるリスクがある
知人への借金を意図的に除外すると、手続きの認可が取り消される可能性があり、手続き全体がやり直しになる重大なリスクを抱えます。

金融機関と同じ「債権者」として扱われる理由
個人再生において、知人は金融機関と同等の「債権者」として位置づけられます。
これは感情的な判断ではなく、民事再生法の構造に基づく取り扱いです。
民事再生法では、貸し手が銀行であっても個人であっても、お金を貸したという事実があれば同じ債権者として扱われます。
この原則は「債権者平等の原則」と呼ばれ、一部の債権者だけを優遇することを禁じています。
特定の債権者だけを有利に扱うことが許されると、債権者間で不公平が生じ、手続き全体の信頼性が損なわれるためです。
- 任意整理なら対象とする債権者を自分で選べるという特徴がある
- 裁判所を通さず、特定の債権者とのみ返済条件を交渉する手続き
- 知人への借金を対象から外して別途返済を続けることが可能なケースがある
ただし、任意整理は減額幅が個人再生より小さい場合が多く、借金の総額や収入状況によって向き不向きがあります。
どちらが適切かは弁護士への相談をもとに判断することが望ましいです。

借用書がない場合の扱い
借用書や契約書がなくても、知人からの借金は個人再生の対象になります。
書類の有無は、債務の存在そのものには影響しません。
ただし、借用書がない場合は「いくら借りているか」の証明が難しくなることがあります。
知人側が申告額に異議を唱えた場合は、裁判所が双方の主張をもとに金額を確認・判断する手続きが発生することがあります。
この場合、知人が裁判所とのやり取りに関与することになるため、手続きが知人に伝わる可能性がさらに高まります。
- 貸し借りの経緯を記録したメッセージや通帳の入出金履歴
- 知人との間で認識している借入金額と返済状況
- 借入の時期や経緯の概要
書類がなくても手続きは進められますが、弁護士に依頼する際に把握している情報をできる限り共有しておくと、申告内容の整合性が取りやすくなります。

再生計画で知人が受け取れる金額はどうなるか
個人再生では、裁判所が認可した「再生計画」に基づいて債権者への返済が行われます。
知人もこの計画の枠内で返済を受ける債権者の一人です。
再生計画における返済額は、借金の総額を一定割合まで圧縮したうえで、残額を3〜5年かけて分割返済するという形が一般的になります。
圧縮後の返済額は、全債権者に対して「債権額に応じた按分」で配分されます。
知人への借金の割合が大きければその分だけ知人が受け取れる金額も多くなりますが、金融機関の債権者と同じ比率での扱いになります。
知人だけを優先して多く返済することも、逆に知人への返済を減らすことも、再生計画の中では原則として認められません。

知人への借金だけ別に返済することはできない
知人への借金だけを個人再生の対象から外して、こっそり返済を続けることは法律上できません。
「知人だけは傷つけたくない」という気持ちは自然ですが、その行動が手続き全体を壊す原因になりかねません。
個人再生では、すべての債権者を平等に扱う「債権者平等の原則」が適用されるため、特定の債権者だけを優遇して返済すると「偏頗弁済」とみなされるリスクがあります。
ここでは、債権者平等の原則・一部の債権者への返済が禁じられる理由・偏頗弁済と見なされる期間の目安・手続き前後の返済の影響を順に解説します。
債権者平等の原則とは
個人再生の手続きでは、すべての債権者を同じ条件で扱わなければなりません。
これが「債権者平等の原則」です。
この原則は、民事再生法に基づく手続きの根幹をなすルールになります。
消費者金融・銀行・クレジット会社・知人・家族など、貸し手の属性にかかわらず、すべての借金が手続きの対象となります。
「知人だから除外できる」「個人間の借金だから別扱いにできる」という例外は、法律上認められていません。
- 完了後に知人へ任意で返済すること自体は法律上禁止されていない
- ただし手続き中に「完了後に返すつもりだった」という事実が判明した場合は問題視される可能性
- 完了後の対応についても事前に弁護士へ確認しておくことが安心

一部の債権者への返済が禁じられる理由
特定の債権者だけに返済することが禁じられているのは、他の債権者との不公平を防ぐためです。
個人再生は裁判所が関与する法的手続きであり、「この人だけ全額返済して、他の債権者は減額する」という状況は、手続きの公平性を根本から損なうものとして法律上厳しく制限されています。
具体的には、知人への返済を優先した分だけ、他の債権者が受け取れる額が実質的に減ることになります。
裁判所や他の債権者から見れば、これは明らかな不公正であり、手続き全体の信頼性を揺るがす行為として扱われます。
知人の借金が個人再生の対象になった場合、知人が実際に受け取れる返済額は元の借金から大幅に減額されることが一般的です。
個人再生では借金総額を一定割合まで圧縮する仕組みがあるため、知人への返済額も他の債権者と同じ割合で減額されます。
知人にどの程度の経済的影響が出るかは借金の総額や財産状況によって異なりますが、全額は返済されないケースがほとんどである点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

偏頗弁済と見なされる期間の目安
偏頗弁済のリスクは、個人再生の申立てよりかなり前の返済にも及ぶ点に注意が必要です。
民事再生法では、申立て前の一定期間内に行われた特定の債権者への返済が「偏頗行為」として否認される可能性があります。
一般的に、通常の債権者への返済は申立て直前のおおよそ90日程度が審査の対象になりやすいとされています。
一方、知人・家族など「内部者」に対する返済は、それよりも長い期間、目安として1年前後にさかのぼって審査されるケースもあるとされています。
ただし、具体的な期間は事案や裁判所の判断によって異なります。
- 申立て直前の知人への返済は特に問題になりやすい
- 内部者(親族・友人など)への返済は通常より長い期間が審査対象になりやすい
- 「返済したつもりがなかった」という主観は、法的な判断には影響しない
返済の金額や頻度にかかわらず、過去に知人へ返済を行っている事実がある場合は、早めに弁護士に状況を伝えて確認することが重要です。
「少額だから問題ない」と自己判断せず、実際にあった返済の内容をそのまま弁護士に開示することが、適切な対処につながります。

手続き前・依頼後に知人へ返済してしまった場合の影響
弁護士に依頼する前に返済していた場合と、依頼後に返済した場合とでは、リスクの性質が異なります。
依頼前の返済の場合、申立て前の一定期間内であれば偏頗弁済として問題になる可能性があります。
裁判所への申告が必要になる場合もあり、内容によっては手続きの認可に影響します。
発覚した際の対処方法は状況によって異なるため、事実を隠さず弁護士に伝えることが先決です。
依頼後の場合、弁護士に依頼した後は原則として債権者への個別の返済は停止します。
この段階で知人へ返済を行うと、偏頗弁済として扱われる可能性が高くなります。
認可が取り消された場合、個人再生による借金の圧縮効果は失われ、元の借金がそのまま残ることになります。
その後、改めて任意整理や自己破産など別の手続きを検討せざるを得ない状況になる可能性もあるため、リスクは軽視できません。
弁護士への依頼後は「知人だから」という判断で個別に行動せず、必ず弁護士の指示に従うことが求められます。

個人再生をすると知人に知られてしまうのか
個人再生の手続きで「知人に通知が届くのでは」と心配する方は少なくありません。
知人への借金を抱えている方にとって、「手続きが進むことで関係が壊れないか」という不安は、金銭的な問題と同じくらい切実です。
知人も債権者一覧に記載され、裁判所から書類が届く可能性がある一方で、弁護士が受任した後は知人からの取り立て・督促は止まります。
ここでは、債権者一覧への記載と通知の仕組み・弁護士受任後の督促停止・知人が手続きに関与するケース・関係を保つための現実的な対処を順に解説します。
債権者一覧への記載と通知の仕組み
個人再生では、知人からの借金も債権者一覧に記載しなければならず、裁判所から書類が送付される可能性があります。
個人再生は裁判所を通じた法的手続きであるため、申立ての際に提出する「債権者一覧表」には、金融機関・消費者金融だけでなく、個人から借りたお金も含めてすべての債権者を記載する義務があります。
知人だからといって意図的に除外することは認められておらず、申告漏れが発覚した場合は手続き全体が問題になることもあります。
裁判所は手続きの進行に応じて、債権者一覧に記載されたすべての債権者へ書類を郵送します。
知人の手元に裁判所からの封筒が届いた段階で、個人再生の事実を知られることになります。
- 再生手続き開始決定の通知
- 再生計画案の送付と意見申述の機会
- 認可決定の通知
これらはすべて郵送で行われるため、知人が手続きの存在を知ることは、現実的にはほぼ避けられません。
「こっそり手続きを進めて、知人にだけは気づかれないようにしたい」という期待は、残念ながら難しい状況です。
手続き開始前や進行中に「知人にだけ先に全額返済しておく」という行為は、偏頗弁済として問題になる可能性があります。
善意からの返済であっても手続き上のリスクにつながるため、弁護士への相談前に知人への返済を急ぐことは避けてください。

弁護士受任後は知人からの督促が止まる
弁護士が受任した時点から、知人は直接の督促や連絡ができなくなります。
弁護士が債務整理の依頼を受けた後、「受任通知」がすべての債権者へ送付されます。
金融機関や消費者金融に対しては、貸金業法の規定により受任通知後の督促が明確に禁止されています。
個人の知人に対しては貸金業法の直接適用はありませんが、受任通知を受け取った後も取り立てを続けることは法的観点から問題のある行為とみなされる場合があり、現実的には直接の督促を続けることは難しくなります。
「借金の返済を迫られ続けてつらい」という状況の方にとって、督促が止まることは手続きを進める大きなメリットのひとつです。
督促が止まることで、生活の立て直しに集中できる環境が整います。

知人が手続きに関与するケース
知人が手続きの内容に意見を言える場面が、一定の範囲で存在します。
個人再生では、債権者が再生計画案に対して異議を申し立てる権利を持っています。
知人も債権者として書類を受け取るため、計画案の内容に不満があれば意見を述べることが可能です。
ただし、計画が否決されるためには「反対した債権者の数が債権者総数の半数以上」かつ「その債権額が総債権額の半数以上」という要件を両方満たす必要があります。
知人ひとりが反対したからといって手続き全体が止まるわけではありません。
また、知人が債権額を証明する書類(借用書や振込履歴など)の提出を求められる場合もあります。
このプロセスを通じて、知人が手続きの詳細を把握する可能性は十分にあります。
関与の度合いは借入額や状況によって異なるため、自分のケースでどの程度の関与が想定されるかは、弁護士に事前に確認しておくことをおすすめします。

知人との関係を保つための現実的な対処
手続きを進める前に知人へ直接説明しておくことが、関係を保ううえで現実的な選択肢です。
裁判所からの書類が突然届くことで、知人が「なぜ事前に何も言ってくれなかったのか」と感じるケースは少なくありません。
通知が届く前に、自分の状況と手続きの必要性を率直に伝えておくことで、相手の受け取り方が変わることがあります。
もちろん、伝え方や伝えるタイミングは状況によって異なります。
弁護士に相談する際に「知人への説明をどうすべきか」も含めて聞いておくと、具体的なアドバイスをもらえます。
個人再生の手続きを通じて返済額が減額される場合でも、計画に沿って誠実に返済を続ける姿勢を示すことが、関係の維持につながることがあります。
法的な問題の解決と人間関係の修復は別々に考えながら、両方に向き合っていく姿勢が大切です。

知人への借金を別扱いしたいなら任意整理という選択肢
個人再生では知人への借金を除外できませんが、任意整理であれば対象とする債権者を自分で選べます。
「知人への借金だけは守りたい」という気持ちは多くの方が抱えますが、その思いを実現できる可能性がある手続きが任意整理です。
ただし、すべての人に適しているわけではなく、借金の総額・収入・債権者の構成によって向き不向きがあります。
ここでは、任意整理の仕組みと、個人再生や自己破産との違いを比較しながら解説します。
任意整理なら対象債権者を自分で選べる
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と個別に交渉し、将来利息のカットや返済計画の見直しを求める手続きです。
裁判所を通さないため、交渉する相手を自分で選ぶことができます。
知人を対象から外し、消費者金融や銀行だけを任意整理の対象にすることが可能です。
個人再生や自己破産では、すべての債権者を手続きに含める義務があります。
これに対して任意整理は、債権者ごとに対象・対象外を判断できる点が最大の特徴です。
たとえば、消費者金融A社・B社は任意整理で交渉しつつ、知人Cへの借金はそのまま通常どおり返済を続けるという進め方ができます。
- 対象外にした知人には手続きに関する通知や書類は届かない
- 裁判所を通さない手続きのため、対象として選んだ債権者とのみ交渉が行われる仕組み
- 知人に整理の事実を知られたくない場合、対象外にすることで通知が届く心配は基本的にない
対象外にした知人への借金は、任意整理の前後を問わず引き続き自分で返済する必要があります。
任意整理後の家計で知人への返済も継続できるかどうかを、事前に確認することが大切です。

任意整理で知人を対象外にした場合、返済はどうなるか
知人を任意整理の対象外にした場合、その借金は手続きの影響を受けず、従来どおりの条件で返済を続けることになります。
任意整理によって他の債務の月々の返済額が減れば、知人への返済に回せる余裕が生まれるケースもあります。
注意が必要なのは、任意整理後の返済計画が実際に継続できるかどうかです。
任意整理では、対象とした債務を原則3〜5年程度の分割払いで返済する計画を立てます。
この返済に加えて知人への返済も並行して続けるとなると、月々の支出がかえって増える可能性もあります。
見落とされやすい点として「偏頗弁済(へんぱべんさい)」のリスクも押さえておきましょう。
個人再生や自己破産の手続き直前に、知人など特定の債権者だけに優先して返済を行うと、他の債権者との公平性を損なう行為として問題になる場合があります。
任意整理の場合は個人再生・自己破産ほど厳密ではありませんが、他の債務の返済を止めながら知人への返済だけを続けるような状況は、後に手続きの選択肢を狭める可能性があります。
どの順番でどの債権者に返済するかは、弁護士に事前に確認することをおすすめします。

任意整理が向いているケースと向いていないケース
任意整理は、すべての人に適した手続きではありません。
借金の総額・収入・債権者の種類によって、向いているかどうかが変わります。
- 借金総額(知人への借金含む全体)が概ね300万円前後以下で、収入から返済できる見込みがある
- 消費者金融や信販会社など、交渉に応じやすい債権者が整理対象の中心である
- 知人など特定の債権者への返済を維持したい事情がある
- 車や住宅など、手放したくない財産がある
- 借金総額が収入に対して大きく、3〜5年での返済が現実的でない
- 知人への借金の金額が大きく、月々の支出が家計を圧迫する
- 債権者の多くが任意整理に応じにくい種類の債務(税金・養育費など)である
- 過去に任意整理を行っており、再度の交渉が難しい状況にある
任意整理は裁判所を通さない分、手続きの柔軟性が高い反面、減額できる金額には限界があります。
元本の大幅な圧縮は基本的に期待できず、将来利息のカットと返済期間の調整が主な内容になります。
借金総額が大きい場合は、個人再生や自己破産のほうが根本的な解決につながることもあります。
個人再生を検討している段階から任意整理への切り替えを考える際は、まず「知人への借金を除いた金融機関分の総額だけで、3〜5年の返済計画が成り立つか」を確認することが入口になります。

個人再生・任意整理・自己破産の主な違い
3つの手続きを比較すると、それぞれの特徴と向き不向きが明確になります。
自分の状況に合った手続きを選ぶための判断軸として確認してください。
| 比較項目 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|---|---|---|
| 裁判所の関与 | なし | あり | あり |
| 対象債権者の選択 | 選べる | 選べない(全員対象) | 選べない(全員対象) |
| 元本の減額 | 原則なし | 最大で元本を5分の1程度まで圧縮可能 | 全額免除(非免責債権を除く) |
| 住宅の維持 | 住宅ローン完済済みなら維持しやすい | 住宅ローン特則で維持できる場合あり | 原則として手放す必要あり |
| 資格・職業制限 | なし | なし | 手続き中は一部制限あり |
| 返済義務 | 残る(交渉で軽減) | 残る(大幅に圧縮) | 原則なくなる |
任意整理は柔軟性が高い分、減額効果が限定的です。
個人再生は元本を大きく圧縮できますが、知人を含む全債権者が対象になります。
自己破産は返済義務そのものをなくせますが、一定の財産は処分対象になります。
どの手続きが最適かは、借金の総額・収入・財産・債権者の構成・知人への借金の扱いなど、複数の要素を組み合わせて判断する必要があります。

知人からの借金がある状態で個人再生を進めるときの注意点
個人再生を選択する場合、知人への借金があるときには特有の注意点があります。
まず前提として、口頭での約束や書面のない個人間の借金も、個人再生の対象になります。
金融機関からの借入と同様に「債権」として扱われるため、知人からの借金だけを最初から除外することはできません。
感情的に「知人だけは特別に扱いたい」と思うのは自然ですが、法的な手続きである以上、ルールを守って進めることが最終的に自分と知人の両方を守ることにつながります。
ここでは、弁護士に依頼した時点で知人への返済を止めること・債権者一覧への正確な記載・弁護士への正直な情報共有という3つの注意点を解説します。
弁護士に依頼したら知人への返済は即座に止める
弁護士に個人再生を依頼した時点で、知人への返済は直ちに止める必要があります。
これは任意ではなく、手続きを有効に進めるために必ず守らなければならない行動です。
返済を続けた場合、偏頗弁済と認定され、再生計画が認可されなくなる可能性があります。
「弁護士に依頼した後も少しずつ返していれば大丈夫」と考える方は少なくありませんが、この認識は危険です。
個人再生では、申立てのおおむね数か月前(目安として3か月程度)以内に特定の債権者にだけ返済した行為も問題視されます。
知人という間柄であっても、法的には「特定の債権者への優遇」とみなされます。
弁護士から受任通知が発送されると、金融機関からの取り立ては止まります。
しかし知人への返済は当事者間の合意で続けることが物理的には可能なため、意識的に止める判断が必要です。
弁護士から「返済を止めてください」と指示を受けたら、その指示に従い、知人にも事情を説明して返済を一時停止することを伝えましょう。
知人への説明が難しいと感じる場合は、弁護士に相談すれば、知人への通知文の作成や説明の仕方についてアドバイスを受けられます。

債権者一覧に知人の借金を正確に記載する重要性
個人再生の申立てでは、全ての債権者を漏れなく記載した債権者一覧表を提出する義務があります。
知人からの借金も例外ではなく、意図的に記載を省くと虚偽申告とみなされ、手続き自体が棄却される可能性があります。
- 知人の氏名・住所・連絡先
- 借入金額と借入時期の概算
- 返済状況(残債額・最終返済日など)
「知人を巻き込みたくない」という気持ちから記載を省くケースがありますが、これは手続き上の重大な違反です。
裁判所は申告内容の正確性を重視しており、後から発覚した場合には再生計画の取り消しにつながるリスクもあります。
記載した場合でも、知人が手続きに積極的に関与するかどうかは別の話です。
債権者集会への出席は知人に義務づけられているわけではなく、欠席しても手続きは進みます。
再生計画案への同意についても知人自身の判断に委ねられますが、一定数以上の債権者が反対しない限り計画は認可される仕組みになっているため、知人が同意しなかった場合でも直ちに手続きが止まるわけではありません。
記載すること自体が知人に大きな負担をかけるわけではないため、正確な申告を優先してください。
借入の際に書面を作成していない場合や、金額の記憶が曖昧な場合でも、分かる範囲で誠実に記載することが求められます。

知人からの借金の状況を弁護士に正直に伝えるべき理由
弁護士への相談時点で、知人との借金に関する事情を隠さず話すことが、手続きをスムーズに進めるための前提条件です。
伝えるべき内容を後から追加修正すると、対応策の変更が必要になり、手続き全体が遅延します。
- 知人への返済をすでに優先して行っていた場合
- 知人との間に書面がなく口頭での約束だった場合
- 借入の時期が申立て直前に集中している場合
特に、申立て前の数か月間に知人への返済を集中させていた場合は、偏頗弁済として問題になる可能性が高く、弁護士がその事実を把握していなければ適切な対処ができません。
弁護士は守秘義務を負っており、相談内容が知人や第三者に漏れることはありません。
不利な事情であっても、隠さずに伝えることが重要です。
弁護士は事実を把握した上で、偏頗弁済のリスクをどう軽減するか、知人との関係をどう維持するかについて現実的なアドバイスを提供します。
「こんなことを話したら手続きが不利になるのでは」と心配する方もいますが、事実を隠した状態で進む方がリスクははるかに大きくなります。
知人からの借金の状況を整理した上で弁護士に相談することで、自分のケースに合った手続きの選択肢(個人再生か任意整理かなど)も含めて、より適切な判断が得られます。

自分のケースに合った手続きを弁護士に相談する
知人からの借金をどう扱うかは、手続きの種類・借入額・返済状況によって判断が変わります。
自分で判断しようとすると、誤った行動(知人への先行返済など)がかえって手続きを複雑にする恐れがあります。
個人再生と任意整理のどちらが適切かは借金の総額・収入・知人への返済状況で変わり、偏頗弁済のリスクがある場合は弁護士への早期相談が被害を最小化します。
ここでは、弁護士が手続きの選択を判断できる理由と、無料相談で確認しておくべきことを解説します。
弁護士が手続きの選択を判断できる理由
個人再生と任意整理のどちらが適しているかは、借金総額・安定収入の有無・これまでの返済履歴など、複数の要素を組み合わせて判断します。
一つの条件だけで決まるものではありません。
「知人との関係性」は法的な判断基準にはなりません。
感情的な事情が手続きの選択に直接影響するわけではなく、あくまで借入額・収入・返済状況といった客観的な条件をもとに判断されます。
弁護士はこれらの要素を総合的に見た上で、法的リスクを回避しながら最善の手続きを提案できます。
- 知人への返済を優先したことが偏頗弁済に該当するかどうかの見極め
- 任意整理で知人の借金だけを対象外にできるかどうかの確認
- 個人再生を選んだ場合に再生計画が認可される見込みがあるかどうかの試算
たとえば、総借入額が比較的少なく、知人以外の債権者が2〜3社程度であれば、任意整理で知人への借金を手続きから外せる可能性があります。
任意整理で知人の借金を対象外にした場合、その借金については通常どおり返済を継続することが前提となります。
ただし、返済を継続できる収入・資力があるかどうかは弁護士との相談で確認が必要です。
一方、借金総額が大きく、返済能力に対して債務が重い場合は、個人再生が現実的な選択肢になります。
すでに知人に一部返済している場合は、その時期・金額・方法によって偏頗弁済とみなされるリスクの度合いが変わります。
偏頗弁済と判断された場合、裁判所や管財人から当該返済の取り消しを求められ、知人がいったん受け取った金額を返還しなければならない事態が生じることがあります。

無料相談で確認しておくべきこと
無料相談を有効に使うには、聞くべきことを事前に整理しておくことが重要です。
準備なしに相談すると、時間が足りず肝心な部分を確認できないまま終わることがあります。
- 知人への借金を任意整理の対象から外せるか、外した場合の返済継続条件
- すでに知人へ返済した分が偏頗弁済に該当するかどうか
- 個人再生と任意整理のどちらが自分の収入・借入額に合っているか
相談前に、借入先の一覧・それぞれの残高・知人への返済履歴(金額・時期)をメモしておくと、弁護士が状況を把握しやすくなります。
正確な情報を伝えるほど、提案される手続きの精度が上がります。
無料相談の窓口としては、法テラス(日本司法支援センター)や各都道府県の弁護士会・司法書士会が運営する相談窓口が代表的です。
費用の立替制度が利用できる場合もあるため、費用面が心配な方は法テラスへの問い合わせから始めることも一つの方法です。
無料相談は「まだ決めていない段階」で利用するものです。
相談したからといって、その場で手続きを依頼する義務はありません。
複数の事務所に相談して比較することも判断の質を高める上で有効です。
比較する際は、知人への借金の扱いについて具体的な回答が得られるか、費用の説明が明確かどうかを確認する軸にするとよいでしょう。

個人再生と知人からの借金に関するよくある質問
知人や友人からお金を借りている場合、個人再生の手続きがその関係にどう影響するのか、判断が難しいと感じる方は少なくありません。
「特定の相手だけ別扱いにできるのか」「手続き中に返済を求められたらどうすればよいのか」といった疑問は、多くの方が抱える共通の不安です。
個人間の借金が絡む場面で生じやすい疑問について、手続きの仕組みをふまえながら整理しています。
人間関係への影響を心配されている方も、まずは正確な情報を知ることで、冷静に次のステップを考えられるようになるはずです。
友人からの借金だけを個人再生で別に返済することはできますか?
個人再生では、友人への借金だけを別扱いにして返済することは原則としてできません。
個人再生には債権者平等の原則があり、知人や友人であっても金融機関と同じ債権者として扱う必要があります。
そのため、特定の債権者だけを手続きから除外したり、優先して全額返済したりすることは認められていません。
理論上は、一定の条件下で例外的な取り扱いが認められる余地がないわけではありませんが、実務上はリスクが高く、手続きが否認される可能性もあります。
手続き前に知人へ優先して返済した場合、偏頗弁済(へんぱべんさい)として問題視されることがあるため注意が必要です。

個人再生を弁護士に依頼した後に知人への返済を続けてもいいですか?
弁護士に依頼した後は、知人への返済も原則として止める必要があります。
個人再生の手続きでは、すべての債権者を平等に扱うことが法律上の原則となっています。
依頼後に知人など特定の債権者だけに返済を続けると、「偏頗弁済」とみなされるリスクがあります。
偏頗弁済が認定された場合、裁判所から手続きの進行に支障をきたす判断を受ける可能性があり、再生計画の認可に悪影響が出ることがあります。
「知人だから」「少額だから」という理由で返済を続けることも、法律上は同様に問題となる場合があります。

お金を貸した相手が個人再生した場合、貸したお金は返ってきますか?
個人再生が認められた場合、貸したお金の全額回収は難しくなる可能性が高いです。
個人再生では、裁判所が認可した再生計画に基づいて債務が大幅に減額され、残額を分割で返済する形になります。
そのため、知人に貸したお金についても、元の金額より少ない金額での返済しか受けられないケースが一般的です。
債権者として再生計画案に対して異議申し立てを行うことは手続き上可能ですが、異議を申し立てても計画が覆るとは限らず、最終的には裁判所の判断に委ねられます。
貸金の証拠(借用書・振込記録など)がない場合、そもそも債権者として認められないリスクもあるため、手続きの進行状況を早めに確認することが望ましいです。

個人間の借金に借用書がない場合、個人再生の手続きに影響しますか?
借用書がなくても個人再生の手続き自体は進められますが、記載義務と返済義務は変わりません。
個人間の借金に借用書がない場合でも、個人再生の申立て自体は可能です。
ただし、借用書の有無にかかわらず、知人への借金は債権者一覧表に漏れなく記載する義務があります。
記載を怠ると手続きの公平性が損なわれ、場合によっては再生計画が認可されないリスクもあります。
書面がないからといって返済義務がなくなるわけではありません。
口頭での合意や振込履歴なども債権の根拠となり得るため、知人への借金も正式な債権として扱う必要があります。

個人再生の手続き中、知人から直接お金を返すよう求められたらどうすればいいですか?
弁護士に依頼済みであれば、知人からの直接の督促は原則として止まります。
弁護士に個人再生を依頼すると、弁護士から知人に対して受任通知が送付され、以降の返済交渉の窓口は弁護士が担うことになります。
受任通知が届いた後も知人が直接連絡してくる場合は、「弁護士に依頼しているので、そちらに連絡してほしい」と伝えて、弁護士に状況を報告するのが適切な対応です。
まだ弁護士に依頼していない段階で知人から返済を求められている場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
個人再生では、知人への借金も原則として他の債権者と同様に扱われます。
特定の知人だけに優先して返済すると、手続き上の問題になる場合があるため、自己判断での返済は控えるようにしてください。

知人からの借金がある場合、任意整理と個人再生どちらが向いていますか?
知人への借金を別扱いしたい場合は、任意整理のほうが柔軟に対応しやすい選択肢です。
任意整理は、手続きの対象とする債権者を個別に選択できるため、知人への借金を対象から外して関係を維持したいケースに向いています。
一方、個人再生は原則としてすべての債権者を対象に含める必要があるため、知人への借金だけを別扱いすることが難しい手続きです。
どちらの手続きが適切かは、借金の総額や毎月の収入・支出のバランスによって異なります。
任意整理は減額効果が限定的なため、借金総額が大きい場合は個人再生のほうが返済負担を大きく軽減できるケースもあります。

まとめ
個人再生では「債権者平等の原則」のもと、知人からの借金だけを別扱いして全額返済することは原則認められません。
知人・友人からの借金も借用書の有無にかかわらず債権者一覧表に申告する義務があり、申告漏れは認可取消や手続き廃止の重大なリスクを伴います。
手続き前後の知人への優先返済は「偏頗弁済」として問題になり、否認権の行使によって知人が返済金を返還しなければならなくなる可能性があります。
知人への借金だけを別扱いしたい場合は、対象債権者を選べる任意整理が現実的な選択肢になります。
知人との関係を守るためには、通知が届く前に「法的な手続きであること」「完了後に返済する意思があること」を伝えておくことが有効です。
知人からの借金がある状態で個人再生を検討するなら、自己判断で動く前に弁護士・司法書士の無料相談で具体的な方針を確認することが、最終的に知人を守ることにもつながります。
あまた法律事務所では、個人再生をはじめとする債務整理に関するご相談を承っております。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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