会社の自己破産の流れを理解しメリット・デメリットを知ろう

自己破産は、個人に係る借金問題を解決するための制度ですが、同じように、法人に係る借金問題を解決するための制度として法人破産制度があります。

そこで今回は、法人破産にフォーカスして、手続きの流れ等を解説していきます。

そもそも「法人破産」とは、債務超過に陥り、支払不能となった会社について、裁判所から選任された破産管財人が、会社の財産を換金し、債権者に配当することを主な目的とした手続きのことをいいます。

簡単にいうと、法人が負担する借金を整理するための手続きが「法人破産」ということになります。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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法人破産と自己破産の違い

法人破産と自己破産は、いずれも借金を整理するための手続きである点では共通しています。ですが、法人と個人という違いから、以下のような点で両者は異なります。

(1)破産の効果

法人が破産をすると、それまでに抱えていた負債の返済義務が消滅するだけでなく、破産手続が終了したときに法人格も消滅します。
これに対し、個人が自己破産をすると、一部の例外を除いた借金の返済義務は消滅しますが、個人そのものは当然ながら消滅しません。

このように、両者には、破産をした後に主体が消滅するかどうかという点に違いがあります。

(2)手続きの違い

破産事件には、管財事件同時廃止事件という2つの手続きがあります。

「管財事件」とは、裁判所から選任された破産管財人が、破産者の財産を管理・換価したうえで、債権者に配当するための手続きです。

これに対し、「同時廃止事件」とは、破産管財人は選任されずに、簡易・迅速に進められる手続きのことをいいます。

法人は、個人に比べ、財産や利害関係などが複雑であることがほとんどであることから、破産管財人を選任して、法人に係る財産等を調査させる必要があります。そのため、法人破産は、原則として、管財事件として扱われることになります。

これに対し、個人破産の場合は、財産の有無や免責不許可事由の有無により、管財事件として扱われる場合もあれば、同時廃止事件として扱われることもあります。

※※重要※※
個人とは違い、法人破産は原則として、「管財事件」として扱われることになります。

(3)費用の違い

先に見たように、法人破産の場合は管財事件となるのが原則です。管財事件では、申立手数料や官報公告費に加え、破産管財人に納付する引継予納金が必要になります。

また、一般的には、弁護士などに依頼することが多いため、弁護士費用も加えて必要になります。弁護士報酬についても、個人の破産に比べると、高額となることがほとんどです。

これに対し、自己破産では、申立手数料や官報公告料が必要であることは法人破産の場合と同じですが、同時廃止事件として扱われれば、引継予納金は不要になります。

このように、法人破産をする場合は、自己破産に比べ、費用が高くなるという違いがあります。

(4)財産の処分方法の違い

破産手続きにおいて、破産者に財産があれば、原則として、その財産を換金して債権者に配当することになります。

この点、法人破産では、最終的に法人が消滅することになるため、法人が保有する財産はすべて処分されることになるのが原則です。

これに対し、自己破産では、すべての財産を処分してしまうと、個人の生活に支障を来すおそれがあるため、一定の財産を手元に残すことができるようになっています。

このように、法人破産をする場合、原則として、すべての財産が処分の対象となりますが、自己破産では、すべての財産が処分の対象とはならないという違いがあります。

(5)免責制度の有無

「免責制度」とは、破産手続きの中でなされた配当では返済しきれなかった債務について、破産者の責任を免除する制度です。

法人の場合、破産をすることによって、法人は消滅することになるため、配当では返済しきれなかった債務が残ったとしても、その債務も消滅することになります。そのため、法人破産に免責制度は設けられていません。

これに対し、自己破産の場合、破産をすることによって、個人そのものが消滅するわけではなく、破産手続きによっても返済しきれなかった債務は、破産後においても残ります。そこで、自己破産では、破産後において残った債務の返済義務を免除するために、免責制度が設けられています。

このように、法人破産には免責制度が設けられていませんが、自己破産には免責制度が設けられているという違いがあります。

そして免責制度がないのですから,法人・会社の破産の場合には,免責不許可事由や非免責債権といった制度も無いということになります。

法人による破産手続きの流れ

法人破産の手続きは、個人が破産する場合に比べ、法律関係や財産状況が複雑であることがほとんどです。そのため、弁護士などに依頼することが一般的です。

以下では、弁護士に依頼することを前提として、法人破産の手続きの流れを見ていきたいと思います。

(1)法律相談

まずは、会社が負っている債務の状況や売上げ、財産状況等を弁護士に開示して、会社が置かれている状況を相談します。

あまた法律事務所のように無料相談を実施している法律事務所をいくつか回ってみて、自社に合った事務所を選ぶことをお勧めします。

(2)弁護士に依頼

依頼する弁護士が決まると、弁護士との間で委任契約書(法人破産の手続きを弁護士に依頼することを内容とする契約)を交わします。その後、弁護士は各債権者に受任通知を発送します。

ここでいう「受任通知」とは、会社が破産を申立てることを各債権者に知らせるための通知です。受任通知が送られることによって、債権者による直接の催促や連絡は停止し、それ以降は弁護士が債権者との窓口になります。

(3)書類の作成、破産の申立て

弁護士は、破産を申立てるための申立書を作成するとともに、依頼者の協力の下、必要書類を揃えます。

書類がすべて揃うと、弁護士は裁判所に法人破産を申立てます。

(4)破産手続き開始決定、破産管財人の選任

裁判所は、申立書等に特に問題がなければ、法人について破産手続き開始を決定するとともに、破産管財人を選任します。

ここでいう「破産管財人」とは、破産手続き全般について、指揮監督する立場の弁護士のことをいいます。破産管財人が選任されることにより、会社の財産はすべて破産管財人が管理することになるため、会社は自社の財産を管理・処分する権限がなくなります。

(5)破産管財人との打ち合わせ

破産管財人が選任されると、すみやかに、破産管財人との打ち合わせが行われます。

打ち合わせは、依頼者と会社の代理人弁護士、そして、破産管財人の三者間で行われ、主に、会社の財産や負債の状況などを破産管財人に説明することになります。

(6)債権者集会

破産手続き開始決定が出た日から3ヶ月後に、第1回目の債権者集会が裁判所で開かれます。債権者集会では、破産管財人から債権者に対し、管財業務の進捗などについて報告が行われます。

1回で管財業務が終了すれば、2回目の債権者集会の期日が指定されることになります。

(7)債権者への配当

破産管財人は、会社の財産を換金し、税金や未払い賃金などの支払いに充てます。これらの支払いを終えたうえで、現金が残っている場合にかぎり、債権額に応じて各債権者に配当を行います。

(8)破産終結決定

配当が終わると、裁判所により破産終結決定がなされます。
同決定をもって、破産手続きは終結となり、会社は消滅し、残った負債も消滅することになります。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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法人破産を行うことのメリット

法人破産と聞くと、マイナスのイメージが強いかもしれませんが、法人破産を行うことには以下のようなメリットもあります。

(1)債権者による催促が止まる

先に見たように、法人破産は、法律関係や財産状況が複雑であるため、弁護士などに依頼することが一般的になっています。

弁護士に依頼した場合、弁護士から各債権者に対して送られる受任通知により、債権者による直接の催促は止まります

それまで、毎日のように債権者から催促を受けていた会社にとっては、大きいメリットの一つといえるでしょう。

(2)代表者(個人)も免責を受けられる

会社が負担する債務は、その会社の代表者が連帯保証人となっていることが少なくありません。そのため、会社が法人破産をする場合には、会社の代表者も併せて自己破産を申立てる必要があるケースがあります。

この場合、代表者個人は裁判所から免責を受けることによって、保証債務の返済義務を免除してもらうことができます。

(3)会社の資金繰りから解放される

会社は、経営状態が傾きはじめると、毎月の資金繰りに追われるようになります。

法人破産をすると、法人自体が消滅することになるため、それ以降の資金繰りをする必要がなくなります。
このように、法人破産を行うと、会社の資金繰りから解放されるというメリットがあります。

法人破産を行うことのデメリット

法人破産を行うことのデメリットは、以下のとおりです。

(1)財産を処分される

会社が保有している財産は、原則として、すべて処分され、代表者個人が保有している財産についても、一定のものを除いて、処分されることになります。

(2)事業を続けることができない

繰り返しになりますが、法人破産をすると、法人自体消滅することになります。そのため、事業を継続することはできません。

また、会社自体が消滅して事業を継続できなくなる以上、すべての従業員を解雇する必要があることもデメリットの一つです。

(3)起業が困難になる

法人破産をする際に、併せて代表者個人について自己破産を申立てた場合、代表者個人はブラックリストに載ることになります。

そのため、免責許可決定の確定後およそ5年~10年は、融資を受けることが難しくなり、新たに起業することは困難になります。

法人破産まとめ

法人破産は、自己破産に比べ、法律関係や財産などの面で複雑であることが多いです。検討する際は、そのメリット・デメリットを十分に理解しておく必要があります。

また、手続き自体も、管財事件として扱われることが通常であるため、裁判所により選任される破産管財人の指揮監督の下で進められることになります。
このほかにも、破産管財人との打ち合わせや債権者集会など、手続きの中で対応する必要があることは多岐にわたります。

個人だけでなく、法人での破産を検討している方は、あまた法律事務所の無料相談をご利用いただくことをお勧めします。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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