債務整理で借金問題を解決する場合は、基本的に弁護士や司法書士の先生に依頼をするケースが多いと言えます。
しかし、法律知識の範疇になるため、司法書士と弁護士でどのような違いがあるのかわからない人が多いと思います。
意外と大きな違いがある弁護士と司法書士
そもそも弁護士と司法書士では、どのような部分に異なる点があるのでしょうか。
弁護士という職業は、借金問題はもちろん、身の周りのトラブルや事件について法的な助言を行います。また、代理人として時には相手方との交渉を行うなど、「依頼者の権利を守ること」が弁護士の役割です。
一方で司法書士とは、不動産や会社など、主に登記を行うことを業務としている人のことを指します。
基本的には、弁護士は「法律問題の解決人」、司法書士は「登記手続きをする人」という違いがあります。
また、借金問題について携われる範疇についても大きく異なる点があります。
弁護士は債務整理など借金問題の相談をはじめ、代理人になってもらい貸金業者との交渉や訴訟を行ってもらうことが可能です。
一方司法書士は、2003年に行われた法律改正によって債務整理の依頼が可能になりました。
司法書士は、借金および過払い金の個別債権額が140万円以下に限り、法律相談や交渉・訴訟が可能になります。
つまり、債権額が140万円をオーバーしているの場合、司法書士に委託をすることはできません。また、債務額の条件がクリアできた場合でも、「認定司法書士」でないと対応することができないという注意点もあります。
司法書士に相談しても借金問題は解決できる?
結論としては可能です。司法書士にお願いしたケースでも、借金解決への策になるということが言えます。
しかし、司法書士は弁護士よりも対応できる範囲が狭いため、その中で対応可能な部分という「制限付き」になるケースが多いです。
借金の整理を検討する際は、事前にその相違点に注意することが必要です。また、司法書士では不可とされている手続きの範疇も存在します。
全てお任せできるという認識で委託すると、後から余計な手続きが増えてしまったり、費用が嵩んでしまう可能性があります。
任意整理で司法書士ができないこととは
任意整理に限って言えば、弁護士と同様に、司法書士も代理人の手続きを担当することが可能です。
しかしこれには条件があり、「債権額が140万円以下」限定で、代理人の業務が認められます。
従って、140万円という額を超過している債務の場合は、司法書士を代理人の役割として手続きの依頼することはできません。
ただし例外もあります。もし合計額が140万円を超えている場合でも、個々で計算した際に債権額が140万円をオーバーしていなければ、司法書士に対しても代理人業務の委託が可能になります。
これは例えば、Aという会社からの借入が90万円、Bという会社からは借入が60万円ある場合、合計額としては150万円と計算されますが、個々で見ると90万円と60万円なので140万円以下の対象になります。
よって、このようなケースであれば司法書士に依頼をしても問題ありません。代理人としての手続きが認められることになります。
個人再生・自己破産で司法書士ができないこと
個人再生や自己破産でも、弁護士にできて司法書士にできない業務の範疇が存在します。
それは、裁判所への同行が基本的にできないということです。
手続きを行う上で、申立人は書類を提出する必要があったり、裁判官との面接が必要なため裁判所に出頭をします。
この場合、弁護士に依頼をすれば、法廷代理人として弁護士が裁判所に出向いて手続きを行いことが可能になるので、依頼者自身が裁判所に出頭する必要はありません。
しかし、司法書士が担当する業務の基本は、裁判所へ提出する書類作成が主になりますので、依頼者本人が裁判所へ出頭しなければいけなくなります。
これは、司法書士が地方裁判所での「法廷代理人」になる権限を有していないことが理由です。
従って、裁判所でのやりとりに関しては、依頼人自身が全てを行なう必要があります。
また、個人再生や自己破産の手続きを司法書士に依頼したい場合は、任意整理と同様、そもそも140万円以下のみの案件という制限がつきます。
このように、債務整理を依頼するにあたって、司法書士と弁護士では携われる範囲がことなります。
司法書士に依頼をする場合、依頼者自身が手続きをしなくてはいけない手間が増えるケースが多いため、事前にそのことを確認しておくことが重要です。
司法書士に依頼した方が弁護士よりコストを抑えられるのか?
司法書士と弁護士、業務範疇がそもそも違う点や、債務整理の際に可能になる業務の範囲について解説をしてきました。
それでは、気になる費用の方では違いがあるのでしょうか。
結論からお伝えすると、司法書士の方が安くなる、弁護士の方が高くなるということを言い切ることはできません。
基本的な考えとして、どちらが高くなる安くなるの判断ということではなく、依頼する事務所によって費用が異なるというケースが多いと言えます。
実は、司法書士でも弁護士でも債務整理を依頼した場合、報酬に関しての規定や指針はあるもののハッキリとした報酬額の基準はなく、その報酬は事務所によって異なります。
よって、司法書士に依頼すればトータルの費用が安くなると断言することはできません。
司法書士と弁護士どちらに債務整理を頼むべき?
どのような手段を取るのが良いのか悩まれている方も多いと思います。
まずは債務整理の中でも、任意整理と個人再生・自己破産では対応できる範疇が異なるため、その内容から確認が必要することがです。
もし任意整理を選択する場合であれば、140万円以下の案件は司法書士でも弁護士と同様、代理人としての手続きを行うことが可能です。
個人再生・自己破産を検討している方であれば、司法書士の場合、基本的には裁判所で行う手続きは依頼者自身がやならくてはいけないため、手間が多くなると言えます。
また、司法書士に頼んだ場合も、140万円以下の案件に限られるという部分は任意整理と同様です。
費用の面で考慮した場合でも、「弁護士より司法書士に依頼した方が安くなる」ということは一概に言えないため、どのような債務整理の種類であっても、まず最初に弁護士へ相談することが得策と考えられます。
弁護士事務所の中には無料相談ができる事務所があります。
借金問題を整理したいと検討されている方は、まずは無料相談をしてどのような手続きが有効かを確認することが、借金問題解決への近道と言えます。
まとめ
借金問題で悩みを抱えている方は、どのような選択をするのが適切なのか、なかなか判断が難しいことも多いと思います。
債務整理とひとくちに言っても、手続きの種類だけでも一つではありませんし、金額や背景によってどのような手段になるかは多岐にわたります。
そこで今回は、債務整理を行う場合、司法書士と弁護士に依頼した時の内容について異なる点を解説してきました。
基本的には司法書士に債務整理を依頼することも可能ではありますが、そこには条件や制限が発生することをお伝えしました。